今回、編集長アッキーが気になったのは、だしとめんつゆで知られる「節辰商店（ふしたつしょうてん）」。株式会社節辰商店・代表取締役の勝田辰雅氏に、商品の人気の理由を取材陣がうかがいました。

株式会社節辰商店 代表取締役の勝田辰雅氏

―御社の沿革を教えてください。

勝田　170年前はいわゆる乾物、昆布、煮干しを中心に扱っていました。その後、かつお節を売るようになり、うどん屋さんやそば屋さんを取引先として増やしていき、繁盛していたようです。私は祖父の代が戦争の時で、苦労したと聞いていますが、アイデアマンで、だしパックを作ったりして、メーカーとして発展しました。私の父の代は中華食材や冷凍食品など営業品目を増やしていき、食品卸として急成長しました。しかし、バブル崩壊後は売上が縮小していきます。乾物問屋として出発し、総合食品商社を目指した時期もありましたが、最終的にはメーカーになったという流れです。

―社長になられた経緯を教えてください。

勝田　私は6代目ですが、長男ですから、小さい頃から家を継ぐという思いはありました。とはいえ、外で働きたいという気持ちもあったので就職し、パソナで法人営業を担当しました。その後、リクルートのグループ会社でコンテンツ作りを学び、デロイトトーマツコンサルティング合同会社で経営計画や経営戦略を学びました。それから家業に入りました。

―創業時から守り続けているものはございますか。

勝田　真面目な商売をするということです。広告、宣伝、営業は得意ではないのですが、商品自体は原価をかけて、お値打ちで提供しています。かつおぶしの品質が悪いものは絶対にいれませんし、もっと高く売ることができたとしても、お求めやすい価格をつけるようにしています。また、短期間に儲けようと思っておらず、取引先と10年、20年の付き合いが続いていく中で、利益を上げていこうという考え方です。そのため仕入れでも融通がきいたり、信頼関係を大事にしています。

―「鰹たっぷりつゆ」はどういった商品でしょうか。

勝田　鹿児島・枕崎産のかつお節、土佐の宗田かつお節、北海道産昆布や国産干しシイタケでダシをとり、有機特選醤油と本みりんを組み合わせました。じつはもともと「めんつゆ」という非常にバランスが良い商品を作っていましたが、販売がふるわなかったんです。スーパーで売っている商品と戦っても厳しいので、差別化を考えました。そこで、価格が高くても、最高級の素材を使い、老舗のかつお節屋が作っていることをアピールできる商品にしたのです。すると、生協や高級スーパーで人気が出て、ロングセラー商品になりました。名古屋の味付けは甘めなので、「鰹たっぷりつゆ」もやや甘めという特徴があります。

原材料はすべて国内産。

―おすすめの食べ方はありますか。

勝田　炊き込みご飯、スペアリブとたけのこの煮物など、さまざまなレシピをご紹介していますが、シンプルにそのまま手軽にめんつゆとして使えるのが魅力だと思っています。冷奴やおひたしのタレとしてそのままかけてもおいしいですよ。

冷奴にそのままかけて。

そうめんなどのつけめんに。

―お客様からはどういった声が寄せられますか。

勝田　化学調味料、添加物を使っていないので、安心して食べられるといった声が多いです。また赤ちゃんの離乳食のタイミングで購入される方もいます。

―国産の極上素材を使われているのがすごいですね。

勝田　祖父や父の代から取引先と強い信頼関係を築いていたため、いい素材をスムーズに揃えることができたと思います。高級料亭では1Lの水に40gのかつお節を入れてだしを取りますが、この商品は65gのかつお節を使っています。これまでの市販のつゆは香りが少ないのが弱点だと思っていたので、めいっぱい使うことにしました。

温かいうどんやそばにのだしに。

肉じゃがなどの煮物にも。

―今後のビジョン・展望を教えてください。

勝田　生協や高級スーパーだけでなく、一般的なスーパーでおいてもらえるように頑張っています。また、コロナ禍で家庭にいる時間が長くなったので、料理が楽しくなるような商品に力を入れて開発しています。また、得意ではなかった広告やマーケティングにも力を入れなければならない時代なので、アマゾンでの販売もスタートしました。飲食店に向けて、業務用のだしをアピールする提案力も強化していきます。

―貴重なお話をありがとうございました。

「鰹たっぷりつゆ」（900ml）
価格：¥1,026（税込）
店名：節辰商店
定休日：インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL：https://www.fushitatsu.co.jp/products/detail32.html
オンラインショップ：http://www.fushitatsu.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

＜Guest’s profile＞
勝田辰雅（株式会社節辰商店 代表取締役）

1976年名古屋市生まれ。名古屋大学卒業後、株式会社パソナに入社。その後、株式会社リクルートメディアコミュニケーションズ、デロイトトーマツコンサルティング合同会社を経て、株式会社節辰商店に入社。2021年、節辰商店の6代目社長に就任する。

＜取材／垣内栄　MC／升谷遥香　撮影／坂口明子＞