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伝統を繋いで、未来へ。 幸せを運ぶ色とりどりの麺「絲(いと)」

2022/08/25

富山県の西部に位置する砺波市の大門(おおかど)地区は、古くから農業が盛んに行われてきた土地。江戸時代後期からは、冬の農閑期を活用しながら素麺作りが行われるようになり、「大門素麺」は地域の名産品となりました。今回は、そんな「大門素麺」の技術を継承しつつ、新しい麺作りにも挑戦、砺波市の魅力づくりに力を注ぐ株式会社柿里商店 代表取締役社長の佐藤朝乃氏にお話を伺いました。

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株式会社柿里商店 代表取締役社長の佐藤朝乃氏

―御社の沿革について教えてください。

佐藤 弊社は、砺波市内を中心に、日本料理やステーキハウス、宿泊施設などを経営している「株式会社柿里」の製麺事業部として、2016年に立ち上がりました。きっかけは、「柿里」の代表を務める夫が、「大門素麺を作ろう!」と提案してくれたこと。「大門素麺」は、もともと大門地区の農家の方々が農閑期に手がけてきた名産品なのですが、時代と共に農家さんが減り、素麺作りを手がけるところも少なくなり、同じ砺波市で食に携わる者として、地元の食文化に少しでも関わることができたらと考えたのです。

―メインの製品は、大門素麺なのですね。

佐藤 はい。大門素麺は、主に大門地区の農家さんがそれぞれで製造しています。手延べで製造した細く長い麺を乾燥する前に曲げて形づくり、包装紙に包むのが特徴で、共通の包み紙には生産者の名前が記名されています。手間暇かけて作られる商品なので、地元でも日常使いというよりは、贈り物として選ばれることが多いでしょうか。最盛期だった昭和初期には60軒ほどが製造していたと言われていますが、現在は11軒に。弊社はそのノウハウを一から学ぶため、長年麺づくりに関わっていらした職人の方に来ていただき、若いスタッフと切磋琢磨しながら新しい一歩を踏み出すことになりました。

―そんな御社から誕生した「絲」。箱を開けた瞬間、とても幸せな気持ちになりました!誕生の経緯をお聞かせいただけますか?

佐藤 大門素麺は、農閑期の冬場に作られるものなのですが、農家ではない弊社は夏場に時間が生まれます。麺づくりには寒い冬場が向いているのですが、エアコンが発達した今は夏場でも製造ができますので、「絲」は、春から秋のシーズンに作れるものとして考案しました。大門素麺へのリスペクトを込めて、「曲げる」や「折りたたむ」という特徴を取り入れ、お花のようにまとめた形は、いろいろな編み方を試した結果に完成したもの。「柿里」の飲食店は慶事でご利用いただく機会も多いことから、まずは紅白の「縁(ENISHI)のむすび」という商品が生まれ、次にカラフルな「絲」、さらには「想ひ花」という弔事向けの商品も誕生しました。

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「絲」の製造も手延べで丁寧に行なっている。

―開発の段階で、難しかったところはありますか?

佐藤 麺の色付けです。オレンジにはパプリカ、紫には紫いもなど、野菜のパウダーを加えて色付けをしているのですが、パウダーによっては生地が伸びなくなったり、切れてしまったり、あと、できたときは綺麗なのに、急に色が落ちてしまうことも。いろいろ試して最終的に残ったのが5色。それでも麺作りは天気や温度に左右されるので、今も試行錯誤が続いています。

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ひとつ、ひとつ、心を込めて。

―どんな風にいただくのがおすすめですか?

佐藤 まずはシンプルにつゆで楽しんでいただいて。一般的な素麺よりも少し太めでコシもあるので、地元ではナスと煮る郷土料理もあるんですよ。パスタのカッペリーニのようにイタリアン風に使っていただくのもおすすめです。実は「絲」は、海外のバイヤーさんにも目に留めていただき、香港でも販売をしているのですが、現地の方々がインスタグラムなどに上げてくださっているレシピがとてもユニークで。それらを見るたび、「ひとり歩きを始めたのね。頑張って!」と、まるでわが子を嫁に出したような気持ちになっています(笑)。

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ホームパーティなどに持ち寄っても喜ばれそう。

―同じくカラフルな「松葉」は、どのような経緯で生まれたのですか?

佐藤 ありがたいことに「絲」の製造量が増え、それと共に“切れ端”の部分がたくさん出るようになりまして。最初の頃は、スタッフの間でいただいていたのですが、追いつかなくなるほどになって。そんなある日、小さな子どもがいるスタッフが、「うちの子は麺が好きなんですが、毎度ハサミで切ってあげるんです。でもこれは、最初から短いのですごく楽ですよ」と。なるほどと思って、まずは販売所の隅っこでこっそり販売してみたんです。すると、1つ、2つと出るようになって、しばらくするとお電話で予約までいただくように。それまで、「お客さまに切れ端を販売するなんて失礼では?」と心配に思っていたのですが、そんな思いを払拭してくれるほど反応が良く、きちんとパッケージを作って販売することにしました。図らずも、SDGsの目標のひとつ、「つくる責任 使う責任」に含まれる食品ロス解消にも繋がり、思い切って取り組んでみて良かったと思っています。

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幅広い層に好評の「松葉」。

―「松葉」という名前も素敵ですね。

佐藤 松葉のような形、ということもあるのですが、松葉には「ささやかなもの」という意味もあるので、ピッタリだと思いました。ちなみに「松葉」には、「絲」と同じ5色のベースがあるのですが、そこに他の色をトッピングするのが私の密かな楽しみ。春は差し色を増やしてカラフルに、秋はシックに……など、自分の中でテーマを決めてアレンジしています(笑)。

―今後の展望をお聞かせください。

佐藤 まずは大門素麺を、次の世代、その次の世代へとしっかりと繋いでいくこと。そして新しく生み出した「絲」や「松葉」を通して、食のシーンに幸せをお届けすること。そのためにも、常にチャレンジ精神を持って臨む会社でありたいと思っています。

―楽しく、しなやかに、新しいチャレンジを続けられている様子が、代表の明るいお声から伝わりました! ありがとうございました。

柿里商店_商品1

「絲」(75g×9袋)
価格:¥5,832(税込)
店名:柿里オンラインショップ
電話:0763-32-7065
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kakizato.cart.fc2.com/ca5/31/p-r-s/
オンラインショップ:https://kakizato.jp

柿里商店_商品2

「松葉 彩いろどり」(グリーンベース、ピンクベース、イエローベース 各150g)

価格:¥378(税込)
店名:柿里オンラインショップ
電話:0763-32-7065
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kakizato.cart.fc2.com/?ca=9
オンラインショップ:https://kakizato.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
佐藤朝乃(株式会社柿里商店 代表取締役社長)

1963年生まれ 地元テレビ局のアナウンサーを経て、飲食業や宿泊業を経営する夫と結婚。日本料理店の女将を務めた後、6年前の製麺事業立ち上げと同時に現職に就任。地域に江戸時代から続く大門(おおかど)素麺を次の世代に継承するかたわら、オリジナル商品を開発すべく日々楽しく奮闘中。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/鯨井綾乃 画像協力/柿里商店>

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