きものがもっと楽しくもっとラクに。涼しく衿や袖が簡単に替えられる長襦袢「き楽っく」

2025/09/04

きものが好き、あるいはこれから着てみたい、でも暑さや手間が気になるという方に朗報!今回、編集長アッキーが注目したのは、衿付けの手間が要らず、好みや季節に合わせて衿や袖を替えて楽しめる長襦袢「き楽っく」。便利さに加え、近年の気候を考え涼しさにもこだわった長襦袢は、一年を通して大人気です。開発元である京都の和装小物製造卸メーカー、株式会社衿秀 代表取締役社長の志野稔氏、未来を担う孫の志野正宗氏に、会社のあゆみや商品づくりについて、取材陣がお話をうかがいました。

株式会社衿秀 代表取締役社長 志野稔氏(右)と孫の志野正宗氏(左)

ご創業はいつですか?

志野 私が初代で、22歳の時に創業しました。現在90歳ですから68年前です。呉服の中でも着るものではなく、帯揚げや帯締めなど和装小物を専門にし、小物も色や柄がいろいろ欲しいというお声に対応するうち、なにかと“間に合う”商品が増え、お客様に喜ばれるようになりました。

ご苦労されたことは?

志野 苦労ばっかりでしたけどね。最初は一人でしたから、帯締めなどを詰めた40kgほどの重いトランクを持って、全国を回っていました。当時は車に積むというわけでなく、すべて手に提げて。大変でしたが、今も体が丈夫なのは当時頑張ったおかげかなと思います。

和装小物のメーカーとしての特徴は?

志野 儲けるというより、さまざまな和装小物を揃えてお役に立ちたいという思いでやってきましたから、商品が豊富というのが特徴。「衿秀さんはいろんなもんやってはる」と、信頼していただいています。商品が揃っているので、これがほしいと得意先が増え、年に80〜100軒ほどずつご新規様が増えています。

志野商店として商売を始め、衿元の美しさを追求する意味から衿秀の屋号に変わった。

孫の正宗さんも入社され、心強いですね。

志野 これからもお客様に間に合うようなものを作っていきたいと思いますし、後を継いでよかったと思ってもらえるような、格式のある良い店にしたい。そして上手に継いでもらいたいですね。うちでは決算後に決算賞与を支給することにしているのですが、ずっとみんなに配当が届くように頑張ってほしいと思います。

卸メーカーとして問屋さんや呉服店に販売を?

志野正宗(以下、正宗) はい、卸が8〜9割、残りの1割ほどがネットショップや百貨店催事です。日本全国に取引先があり、祖父の頃とは違って今は車を使いますが、商品を積んで営業先をまわることが多いです。一部海外との取引もあって、そこでは帯締めをカメラストラップにしたり、帯揚げをシルクストールにしたり、海外のとらえ方で販売されています。

商品はすべて社内で製造を?

正宗 かつては分業制でしたが、現在はすべて弊社で扱っていて、90%がオリジナルです。ですので、アレンジもでき、色の変更などいろいろなご要望に対応できます。OEMも行なっています。和装小物がなんでもあって、どのようにもできるので、取引先が増えているのかと思います。職人の高齢化が進み、他社には難しい部分もあります。うちは社長が「どんどん作れ、在庫を作れ」という人ですから(笑)、在庫だらけ。ただ、業界の他社さんの多くが売上が伸びればビルを買っていた時代から、社長は「ビルは買わずに商品にお金をかける」という考えでした。それが今も続いています。

きものにまつわる小物ならなんでもある。お客様の要望に応える幅広い品揃え。

正宗さんは次の社長に?プレッシャーはありませんか?

正宗 就任は時期も含め何も決まっていません。プレッシャーといっても、昔は職人の支えがあって、上に立つ人が儲かってというイメージがあったと思いますが、今は職人がいませんから、業界の流れも変わってきています。売上も大事ですが、職人の確保や育成などそちらに力を入れることが大事です。

正宗さんご自身は学生時代はどんな勉強を?

正宗 美大で洋画を専攻していました。絵を描くだけでなく、今は商品づくりで、デザインに関わることもあります。

主力のヒット商品、「き楽っく」とはどんな商品ですか?

正宗 きものの下に着る長襦袢と肌着を一体化したものです。もともと長襦袢は汗を吸う機能がないので、肌着が必要なのですが、2つを一緒にしたらどうかということで「き楽っく」が生まれました。また、「き楽っく」にはファスナーで付け替えできる衿が付いています。きものの衿は、お家で長襦袢に手で縫い付けるのですが、やはり面倒ですし、かわいい柄や色の衿を付けたくても億劫になってしまいます。そこで、考えたのがファスナー式の半衿。さらに、ちらっとだけ見える袖も変えられたらいいのではないかと、マジックテープで付け替えできる袖を付けています。

好みやTPOによって自由に変えられる。画期的ですね。

正宗 きものは冬、夏、単衣と季節のルールがありますし、半衿や袖もきもののルールに沿って冬用、夏用など区別があり、色や柄を考えるとたくさん種類ができます。それを、襦袢一つを持って、パーツだけ替えられたら、夏も冬もラクに着られるのではないかと開発したものです。見えるところだけ季節に合わせるわけです。

「き楽っく」は面倒な衿付けが不要。季節や好みに合わせて衿や袖を自由に替えられる襦袢。

衿の付け替えはファスナーでできるのでスピーディー。きものを着るハードルを下げる画期的アイテム。

袖はマジックテープで付け替え。約4センチのテープが付いているので裄(ゆき)の長さも調整可能。袖の素材や色柄も自由に楽しめる。

いつ頃開発されたのですか?

正宗 50年以上前に、祖母の久美子が開発しました。当時はナイロンファスナーがありませんでしたから、アルミのファスナーを付けて、カチカチという音や感触からスタートしました。当時は袖は替えられず、二部式でした。製造は当時も今も山梨県にある子会社の株式会社ローズカラーで行なっています。

当時、画期的商品を開発と話題に。

―業界での反響は?

正宗 当初は呉服屋さんが好まず、売れなかったと聞いています。でも、東京の百貨店で取り扱っていただいたところ、お客様に喜ばれ一般の方によく売れるようになりました。

ラクに着られて喜ばれたでしょうね。

正宗 手で縫う手間が要らないだけでなく、色々な衿を楽しんでもらいたいという思いからできた商品です。衿屋としては、白だけ売っていても売上は上がりません。きまって色衿を買ってくださる方がいたので、色衿を普及させたいという思いもあったようです。

現在では問屋さんを通して全国の百貨店で販売していますし、自社をはじめ各種ネットショップでも販売しており、自社のオンラインショップでは主力商品です。とくにYouTubeで人気のきもの講師、すなおさんの動画の反響が大きく、公開されてから売上は1.5〜2倍、数ヶ月待ちという状態にもなりました。毎年1万〜1万2000枚ほど売れ、累計販売数は7万枚を超えています。

ペンギン、お花など柄はいろいろ。手間要らずで半衿の楽しみが広がる。

レースがちらりと見えるとおしゃれ。袖もいろいろなスタイルで。

年々暑くなっていますから、さらに涼しい商品も開発されたとか。

正宗 夏用に出した「ひんやりき楽っくプレミアム」は、綿麻楊柳素材にキシリトールをプラスした清涼感とドライ感のあるタイプです。夏はもちろん、夏以外にお使いになる方も多いです。ご自分が涼しいことが大事ですから。通常オフホワイトとミントの2色だけですが、2025年は限定色のレモンイエローを500枚のみ発売中です。

人気商品「き楽っく」に、2025限定カラーが登場。さわやかなレモンイエローを数量限定で販売。

―「き楽っく」は、新しいお客様が来られるきっかけにもなりますね。

正宗 簡単に着られ、洗濯もしやすいので、これからきものを着る若い方に向いています。そもそもきものを着ることが難しいと思われているので、なんとかならないか、簡単に着られる方法はないか日々考えています。

―次代を担うお立場として、今後どのようなことを?

正宗 きもの業界だけなら、しんどい部分もあるかもしれませんが、まだまださまざまな可能性があると思っています。京都は100年企業が多いので、65年の私たちは若いと扱われがちですが、東京からすると長く続く老舗と思われるかもしれません。そういう老舗の会社が、伝統と新しいことを掛け合わせ、確かな技と新しい考えで取り組んでいること、やわらかい頭で考えて進んでいることを、知っていただけたらと思います。

―商品の細部にも柔軟な発想を感じます。貴重なお話をありがとうございました。

「ひんやりき楽っく プレミアム」
価格:¥30,800(税込)
店名:衿秀
電話:075-221-4738(9:00~18:00 土日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://erihide-store.jp/view/item/000000005575?category_page_id=I239678
オンラインショップURL:https://erihide-store.jp/

「ひんやりき楽っく プレミアム 数量限定色 レモンイエロー」
価格:¥30,800(税込)
店名:衿秀
電話:075-221-4738(9:00~18:00 土日・祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:
https://erihide-store.jp/view/item/000000007169?category_page_id=I239678
オンラインショップURL:https://erihide-store.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

志野稔(株式会社衿秀 代表取締役社長)
1934年12月29日京都市生まれ。1947年今江孫三郎商店に勤務し1956年家業「志野商店」再開。1961年2月株式会社衿秀設立。取締役を経て1966年4月代表取締役社長に就任。ローズカラー株式会社取締役を兼任。

<文/大喜多明子 MC/藤井ちあき 画像協力/衿秀>

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