宮崎の風物詩「大根やぐら」でつくるポリポリ食感。「日本の干したくあん」缶詰

2026/06/01

今回、編集長のアッキーが注目したのは、ポリポリとした小気味よい食感が特徴の「日本の干したくあん」です 。しかも、独自の技術によって缶詰に凝縮されており、その食感が常温で3年8カ月もの長期間にわたって続きます。
宮崎の寒風の中で天日干しされた大根の旨みを、独自の技術で缶詰に凝縮。その背景には、伝統の味を絶やさず世界へ届けたいという3代目社長の情熱と、3年にわたる試行錯誤の物語がありました。取材スタッフが、宮崎県に本社を構える、道本食品株式会社 代表取締役社長の道本英之氏にお話を伺いました。

―まずは、御社の歩みについて教えてください。

道本 私たちの会社は1937年、宮崎県田野町にてさつまいもを原料とした澱粉の製造から始まりました。南九州はさつまいもの産地であり、良質な原料が豊富に手に入ったのです。私の祖父である創業者は広島県の江田島(えたじま)出身なのですが、より良い土地を求めて宮崎へ渡り、事業を起こしました。しかし、創業から30年ほど経った頃、海外から安価な輸入澱粉が入ってくるようになり、家業は廃業の危機に直面したのです。そこで新しい事業への転換を余儀なくされました。

―そこから、どのようにたくあんづくりへとつながったのでしょうか。

道本 祖父の故郷である江田島は、軍港として栄えていた広島県呉市の近い島でした。江田島は軍に物資を供給する役割を担っており、その中の一つに、大根を干して作る「干したくあん」があったのです。それを見ていた祖父が「宮崎の良質な大根でこれを再現しよう」と考えたのが始まりでした。1966年に漬物製造へと舵を切り、それまでさつまいもを作っていた農家の方々に「これからは大根を作ってほしい」と一軒一軒お願いして回ったのです。宮崎県田野町に干したくあんを産業として広めたのは、私の祖父だという自負があります。

創業以来60年、宮崎県の干したくあん文化を担ってきた。

―社長ご自身は、最初から家業を継ぐつもりだったのですか?

道本 実は全く帰るつもりはありませんでした。大学卒業後は東京の大手企業に就職し、当時は石油化学事業に従事していたのです。1992年頃はバブルの余韻もあり、ビジネスの最前線で働く毎日はとても刺激的で楽しく、サラリーマン生活を満喫していました。そのため、宮崎へ戻るという選択肢は頭にありませんでしたね。しかし34歳の時、母から「(製造、品質管理や流通が)複雑になってきている父親の仕事を手助けしてほしい」と言われまして。息子というのは母親の願いには弱いもので…。母のその一言で、11年間のサラリーマン生活に区切りをつけ、家業に入る決意を固めたのです。

―今回ご紹介いただく「日本の干したくあん」の缶詰ですが、開発のきっかけは何だったのでしょう。

道本 2007年から海外の展示会に出展し始めたのですが、現地のバイヤーから「もっと賞味期間を長くしてほしい」「常温で管理できるようにしてほしい」「開封してすぐ食べられるようにしてほしい」というリクエストを何度もいただいたのです。袋入りの商品は、賞味期限が1年ほどだったので「それなら缶詰にするしかない」と考え、2010年から開発に着手しました。海外のバイヤーのニーズに応えて、世界中の人々に日本の伝統的な干したくあんを届けたい。その切実な商品開発への思いが、未踏の領域への挑戦を支える原動力となりました。

バイヤーからの声に応え、常温で3年8カ月の長期保存を可能にした。

―開発には3年もの歳月を要したそうですね。特に苦労された点はどこですか。

道本 一番の難関は「加熱による食感の変化」でした。缶詰製品は、容器に詰めたあとに加熱殺菌が必要ですが、通常の缶詰と同じように120℃で殺菌をすると、たくあんが煮えて「おでんの大根」のように柔らかくなってしまうのです。ポリポリ、コリコリとしたたくあんの命ともいえる食感が失われては意味がありません。しかし、殺菌が不十分では保存性が確保できない。この問題を解消するために、温度と時間の組み合わせを細かく調整する試行錯誤を3年間繰り返しました。

―その執念が、あの独特の歯ごたえを守り抜いたのですね。

道本 はい。ついにおいしさと保存性を両立させる最適な条件にたどり着き、2014年には製法特許も取得しました。原料にも徹底的にこだわり、宮崎の冬の風物詩にもなっている「大根やぐら」で天日干しされた大根を100%使用しています。寒風にさらして水分を抜いた干し大根だからこそ、加熱しても損なわれない熟成した旨みと食感が生まれるのです。缶を開けた瞬間に広がる香りと、生の状態と遜色ない食感には、一切の妥協を許さずに取り組んでいます。

原材料は宮崎県産の天日干し大根。
太陽と寒風に2週間さらされることで甘みが増し、コリコリした食感を持つたくあんへと生まれ変わる。

―どのようなシーンで楽しむのがおすすめですか。

道本 ぜひ「ローリングストック」として日常的に備えていただきたいですね。3年8カ月という長期保存が可能ですから、普段の食卓でおつまみとして楽しみながら、常に新しいものをストックしておく。もしもの時にこそ、食べ慣れたおいしいものがある安心感は大きいと思うのです。また、軽量で持ち運びやすく、液漏れやにおい漏れの心配がないので、キャンプや登山といったアウトドアにも最適です。海外旅行へ行かれる方が、故郷の味として持参されるケースも多いんですよ。

食卓での「あと一品」や、持ち運びが必要なシーン、ローリングストックにも最適。

―プロの現場やメディアからも高く評価されていますね。

道本 ありがたいことに、「日本缶詰大賞」でグランプリをいただいたほか、海上自衛隊の応急糧食として5年間採用され続けた実績もあります。過酷な現場の利用に選ばれた事実は、おいしさと保存性が認められた証として、大きな励みになりました。また、テレビ番組の「マツコの知らない世界」で紹介された際には「缶詰とは思えない食感」と驚きの声をいただき、全国から大変な反響を頂戴しました。「こんなものがあるのか」という驚きが、多くの方々にたくあんの魅力を再発見していただくきっかけになれば嬉しいです。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

道本 日本の大切な食文化である「干したくあん」を次世代へ、そして世界へつないでいくことが私の使命です。現在は世界の19の国と地域へ輸出していますが、さらなる展開を目指しています。一方で、国内では次世代への教育にも力を入れています。年間800名ほどの小学生の工場見学を受け入れたり、開発担当者や私が県内外の大学や高校に出向いて出前授業を行ったりしています。今の日本は、スマートフォンなどの通信費には何千円、何万円と払うのに、食費のわずかな値上げには異常に敏感な現状があります。命を支える「食」へのリスペクトをもっと高めたい。生産者の努力が正当に評価され、素晴らしい伝統技術が未来へ持続していく社会であってほしい。子どもたちにたくあんのおいしさと、その背景にある物語を直接伝えることで、食文化を守る種をまき続けていきたいと考えています。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「日本の干したくあん(単品、6缶セット)」
価格:¥400~(税込)
店名:道本食品
電話:0120-81-0006(9:00~16:00※土日祝日を除く)
商品URL:https://www.michimoto.shop/shopdetail/000000000006/cannedtakuan/page1/recommend/
オンラインショップ:https://www.michimoto.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

道本英之(道本食品株式会社 代表取締役社長)
1957年、宮崎県生まれ。慶應義塾大学卒業後、旭化成工業株式会社(現・旭化成)にて人事、総務、地域開発や石油化学事業の業務を11年にわたって経験。1992年に帰郷し、道本食品に入社。2001年に三代目代表取締役社長に就任。「日本のたくあんを世界へ」を合言葉に、伝統製法と最新技術を融合させた商品開発を推進。食文化の継承と食の地位向上を目指し、県内外の教育現場での出前授業にも熱心に取り組んでいる。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/道本食品>

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