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「まるごとあんこ」の楽しさと、まろやかな甘さが魅力。 芋ようかんと肩を並べる人気の「あんこ玉」

2022/04/19

「舟和」といえば、「芋ようかん」を思い浮かべる人が多いかもしれません。でももうひとつ、芋ようかんに負けず劣らず人気の商品があるのをご存知ですか?
今回、アッキーが気になったのは、明治35年創業、和菓子の老舗・舟和本店の「あんこ玉」。創業当時から販売されていて、今もなお、熱烈なファンの人たちに支えられている人気商品です。
商品開発のエピソードや、変わらぬ人気の理由を、舟和本店の副社長を務める小林寛子氏に、取材陣がお聞きしました。

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株式会社舟和本店 代表取締役副社長の小林寛子氏

―今年で創業120周年を迎えられるそうですね。おめでとうございます。

小林 ありがとうございます。創業の精神を守りながら、お陰様で今日まで和菓子作りを続けてくることができました。
昔からのお客様はもちろんですが、「おばあちゃんが好きだったから」「実家で食べていたから」と買いにきてくださる若い方や、「子どもに食べさせたい」というお母さまもいらして、世代を超えてご愛顧を受け継いでくださっているなと感じます。そういう方々のおかげで、120年繋がってこられたのだと思います。

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創業当時から変わらぬ味の「芋ようかん」。
原材料は甘藷、砂糖、塩のみで、
お子さんにも安心して食べさせられる味。

―舟和本店の代名詞でもある「芋ようかん」はどのようにして生まれたのですか。

小林 弊社は1902年に「羊羹司舟和」として開店しました。当時は砂糖が貴重で、煉り羊羹などの和菓子は庶民に手が届かないものでした。「もっと身近な材料を使っておいしいお菓子ができないか」ということで、私の祖父である創業者の小林和助が、石川定吉さんと共同で研究開発したのが、さつまいもを使った「芋ようかん」です。
当時、芋ようかんやみつ豆に似た簡素なお菓子が駄菓子屋で売られていたのですが、それを祖父たちが今のようなお菓子にレベルアップしたのです。

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1個まるごとあんこの和菓子、「あんこ玉」。
噛むと、あんをくるんだ寒天がぷちっと弾けて楽しい。

―「あんこ玉」も、創業当時からの商品ですよね。

小林 そうです。さつまいもの収穫は9~10月なので、保存技術が整っていなかった時代は、5月くらいになるとさつまいもが手に入らず、芋ようかんを作れなくなるのです。作っても、温度が高いのですぐに傷んでしまいます。芋ようかんを売ることができない夏の間、何を売ろうかということで、つなぎの商品として、煉り羊羹や栗蒸し羊羹、あんこ玉が生まれました。なかでもあんこ玉は、おいしいし見栄えもいいと評判で、人気の商品となりました。
甘さも控えめで、油分も使わないので、あっさりしている和菓子だと思います。創業当時から、糖度はずっと変わっていません。
男性やお酒好きな方には、「芋ようかんは苦手だけれど、あんこ玉は好き」という声もよくいただきます。

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定番の味は、小豆、白いんげん、抹茶、いちご、みかん、珈琲の6種類。

―あんこ玉は、色々な味があるのが楽しいです。

小林 昔は今のようにきれいな色をつけたり味を変えたりというのはできなかったので、あんこ玉は黒と白の2色でした。黒は小豆を丸めたもので、白は手忙豆(白いんげん豆)が原料です。
そこに抹茶味が加わったのですが、黒・白・緑だと地味だというので、次にいちご味が加わり、だんだんと種類が増えてきました。
以前は2つの玉の台座がくっついた形でしたが、種類が増えてくるにつれ、「2つ同じ味よりも1つずつ味わえたほうが良いね」ということで、平成に入ってから1つずつの今の形になりました。
一時は、9玉全部が違う味になっていたこともあります。紅茶、ぶどう、柚子、あんず……。近年ではマンゴー、ココナツ、マロングラッセ、ラム酒、チーズ、パイナップル、しょうがとか。「あんこ玉としてはどうなの?」という味にもトライしてみました。チーズは微妙でしたね(笑)。ぶどうは香りが強すぎるのでやめました。現在は、定番の6色に落ち着いています。
でもちょっと冒険もしたいので、季節に応じて、冬至だったらかぼちゃや柚子、春は桜やよもぎ、5月はメロンなど、「季節玉」というのを出しています。お客様からも「今度の季節玉は何?」とか「今年もそろそろあれ出るわよね」というお声をいただけるので、注目していただけているようです。
最近は喫茶にいらしたお若い方が、6色玉が並んだ写真を撮って行かれることもあります。ティックトックやインスタグラムに載せていただいたりして、ありがたいことです。

―伝統のある商品の中に、ときどき遊び心のある商品も混じっていますよね。バレンタイン限定の詰め合わせも、可愛かったです。

小林 基本がシンプルなので、バリエーションが色々作れるのですね。ハート形の芋ようかんを出したところ、とてもご好評をいただきました(「ハートでい~もん」)。チョコレートがお好きでない方も食べられるから嬉しい、というお声も聞きます。
今年はハート形の芋ようかんと、桃とりんごのあんこ玉の詰合わせもご用意したのですが、桃の形にしたり、りんごの葉っぱをつけたりするのは手作業で数が限られてしまい、店頭限定販売になってしまいました。来年からはもうちょっと頑張って、こちらもお取り寄せいただけるようにしようと思っています。

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「ふなわかふぇ」自由が丘店。
若い方々が「舟和本店」を知るきっかけにもなっている。

―かふぇも人気ですね。

小林 お菓子って、やっぱり作りたてがおいしいですよね。かふぇでは芋ようかん入りのチーズケーキや芋ようかんパフェなどもお出ししています。洋風なものにも挑戦しています。
お芋のどら焼きも温かいどら生地にその場で餡を包んで仕上げています。
ひらがなで「ふなわかふぇ」なので、舟和本店と思わずに入ってくる方もいらっしゃいます。舟和をご存じない方にも、芋ようかんやあんこ玉を知っていただく良いきっかけになっています。

―お店に行けない方も多いので、お取り寄せがあるのは嬉しいです。

小林 以前は、お取り寄せは「販売の色々なチャンネルのひとつ」という感じでしたが、今ではコロナの影響もあり、売り上げが2倍、3倍になっています。それでも他社さんに比べるとまだまだ少ないと思います。
今は百貨店も厳しいので、お店を増やすという方向より、お取り寄せに力を入れていきたいです。
夏頃にHPを一新して、Eコマースに注力したページ作りをする予定です。商品も増やして、見やすくなります。まだまだ発展途上なので、これから頑張って充実させていかないとと思っています。
和菓子はとても繊細なので、発送作業にはとても気を遣っています。たとえばあんこ玉のように、寒天に包まれた柔らかな商品は、箱詰めが機械ではできないので、ひとつひとつ手作業で詰めています。それも未熟な人がやるとへこみができたり、傷をつけてしまうことがあります。

こちらとしては、「何時までに発送をしなければ」とつい焦ってしまうけれど、お客様にとってはそのひと箱が自分のための唯一の箱なので、箱を開けたときにがっかりされることがないように、ていねいに、間違いのないように心掛けてやらせていただいています。手間暇を惜しまないからこそ、喜んで頂けると思います。
お取り寄せ限定で、お店にはない商品や季節限定商品もあります。なかなかお出掛けになれない時は、こういうところで季節感を味わっていただければと思います。
不定期ですが、送料を下げている期間もありますので、ホームページをちょこちょこご覧になって、そういう機会をぜひ利用していただきたいです。

―これから挑戦してみたいことはありますか。

小林 芋ようかんは原材料のほとんどがさつまいもで、ほくほくした紅あずましか使えませんが、今はねっとり系の紅はるかの方が人気で、紅あずまを生産してくれる農家さんが少なくなっています。仕入れ価格が高騰した影響で、やむをえず去年10月に、芋ようかんの値上げをさせていただきました。
先行きどうなるかわかりませんし、「それならば弊社でさつまいもを栽培していこう」ということになったんです。もちろん、それが商品になるとしてもずっと先のことですが、とりあえず今年から自分たちで作ってみようと。
右も左もわからないので、お世話になっている茨城の農家さんに相談して土地をお借りして、勉強させていただいているところです。

ゆくゆくは安定して量がとれるようになるのが理想ですが、まずは実際に作ってみて、自ら経験を積んでいきたいです。農作業の機械を運転するために、先日大型特殊免許をとってきたんですよ。
弊社は浦和に工場があり、工場直売店もあるのですが、狭くて古いので、今年は外構も含めて建て替えを計画中です。店内やテラスでお菓子やお茶をお召し上がり頂けるお店を作りたいと思っています。荒川沿いなので、ロードバイクの方も一休みしていって下さるといいなと。

―伝統あるお店だからこその難しさもあるでしょうね。

小林 伝統は守らなくてはいけないけれど、頭が固くなるといけないと思います。長く続いているところは皆さん同じだと思うのですが、伝統は守りつつ、時代に合ったものも取り入れていかないといけません。半々くらいのバランスで、と思っています。
絶対に変えてはいけない、守って行かなくてはと思っているのは、創業以来の味はもちろんですが、「安全な食品である」ということです。
それに加えてこだわっているのは添加物を極力使わないというところです。日持ちを求められる商品には安全なものを一部使用していますが、芋ようかんには絶対に使いません。
そのため日持ちがあまりしなくて、北海道や九州にお送りすると、届いた翌日までのお召し上がりになってしまい大変申し訳ないのですが、そこは譲れない点です。

その分、衛生管理を徹底して行っています。商品が繊細なので箱詰めは手作業になりますが、室温を低くして、厳しい衛生条件下でお客様にお届けするようにしています。
奇をてらうのは違うし、かといって、「いつ行っても同じ」な店だとつまらない。時代で人の好みは変わっていくので、そこをよく見ながら「おいしいね」と喜んでいただけるお菓子を、これからも末永くご提供していきます。
ただのお菓子であっても、120年続けば、一種の食文化として確立していると思っています。「芋ようかん」「あんこ玉」というと弊社の名前がまず出るように、信念を大切にこれからも守って参ります。
長く続けるということは、難しいこともありますが、本当に楽しいし面白い。色々な可能性があります。
120年だからとどっしり構えず、楽しみながら挑戦もしてやっていきたいです。

それも私だけが旗を振っていてもしょうがないので、社員さん一人一人も楽しみながら、同じ志を持って、お互いに支え合えるようにしたい。会社にいる時間って、すごく長いですよね。家族といるよりも長かったりします。その時間が楽しくなるように、職場環境を整えたいと思っています。
お客様にもそういう雰囲気は伝わるでしょうし、そうすることでまたこの先に繋がっていくのかなと思います。
この度は取材をしていただきまして、どうもありがとうございました!

―こちらこそ、素晴らしいお話ありがとうございました!

あんこ玉_商品

「あんこ玉(9個入り)」
▶価格 ¥777(税込、送料別)
▶店名 舟和本店
▶電話 0120-278-215(9:30~17:00)
(インターネットでのご注文は24時間365日受付)
▶商品URL https://funawa.jp/shop/item_detail?category_id=66264&item_id=303712
▶オンラインショップ https://funawa.jp/shop/

<Guest’s profile>
小林寛子氏(株式会社舟和本店 代表取締役副社長)

1969年東京生まれ。25歳で舟和本店に入社。総務部、製造部、浅草本店、喫茶、百貨店(伊勢丹新宿店)等で販売。故父会長の秘書、取締役を経て、2014年より同社代表取締役副社長に就任。本年度よりさつまいもの栽培研修に携わる。

<文・撮影/臼井美伸(ペンギン企画室) MC/栗原里奈 画像協力/舟和本店>

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