300年の生命力が宿る。食卓に長寿と物語を運ぶ「本榧箸(ほんかやばし)」

2025/08/27

今回、編集長のアッキーが注目したのは、300年の時を重ねた木から作られる「本榧箸(ほんかやばし)」です。古来より神聖な木として扱われてきた「榧(かや)」を使い、一本一本手作りされた逸品には、どのような物語が込められているのでしょうか。その魅力と背景にある思いについて、株式会社高知前川種苗の専務・店舗代表を務める前川美智子氏に、取材スタッフがお話を伺いました。

株式会社高知前川種苗 専務・店舗代表の前川美智子氏

―まずは、御社の成り立ちについてお聞かせください。

前川 弊社はもともと種や苗を扱う種苗会社で、現社長で4代目になります。先代である3代目の社長(現在の会長)が囲碁を大変好んでおり、趣味で榧(かや)の木でできた碁盤を集めていました。榧の木は木目が美しく、弾力性があるため、最高の碁盤・将棋盤の材とされています。しかし、碁盤になるほどの太さに育つには300年もの歳月がかかることを知り、このままでは榧の木がなくなってしまうと危機感を覚えたそうです。

そこで、「他の人ができなかったことをやろう」と考え、榧を種から育て、30万本を四国の山に植林しました。300年、9代先を見据えた壮大な計画です。その一方で、碁盤を作るために集めた貴重な榧の材を、もっと多くの人に知ってもらいたいという想いから、碁盤や将棋盤を販売するウェブショップ「榧工房 かやの森」を立ち上げました。

先代が毎日山に通い、丁寧に手間をかけて植えて育てた「榧(かや)の森」。

「榧(かや)」とは、どのような木なのでしょうか。

前川 幹はもちろん、榧は、根っこから葉、そして実まですべて使える、人を守る最後の木だと言われています。特に実は栄養価が高く、古くから食用や薬用として重宝されてきました。徳川家康が夏の陣で勝利できたのは、保存食として持参した榧の実のおかげだったという説もあります。神事にも深く関わっており、今でも相撲の土俵の下には榧の実が鎮められているそうです。そのほか実を搾った食用油、精油にも加工されます。

また、榧という漢字は「木」へんに「非ず」と書きます。その理由の1つに、水に強く腐りにくい性質が挙げられます。ダム湖に沈んでいた木々の中で、唯一腐らず、原型を留めていたのが榧だったそうです。抗菌性も高いため、古くは家の土台や風呂桶、船の材料として使われてきました。

その性質が知られるようになったことで、昭和の時代に価値が上がり、まな板1枚が高級品となりました。一般には手に入りにくい時代が続きましたが、私たちはウェブショップを通じて、その良さを再び広めたいと考えています。

―今回ご紹介いただく「本榧箸」はどのような経緯で生まれたのでしょうか?

前川 会長が集めた貴重な榧の木で碁盤を作った後、どうしても「端材」が出ます。これを何かに活用できないかと考えたのが始まりです。碁盤作りだけで終わらせるのはあまりにもったいない、と。そこで、日用品として皆様の暮らしに寄り添えるお箸が生まれました。樹齢300年の木から作られていることから「長生きをする」縁起物として、「長寿箸」という名前でも知られており、大切な方への贈り物としても喜ばれています。

職人の手仕事で丁寧に、持ちやすさと口当たりの優しい形を追求。

―300年の歴史が込められたお箸、とても素敵です。どのような特徴がありますか?

前川 なんといっても軽さです。初めて手に取った方は皆、その軽さに驚かれます。また、持ちやすいよう少し太めに、角は丸く。職人が一つひとつ丁寧に仕上げることで、自然と手になじむ形にしました。天然木から手づくりしているため、木目や色あいには個体差があることも特徴です。塗装には口に入れても安心安全な天然蜜蝋を使用していて、口当たりが優しく、使いやすいと好評をいただいています。食器洗浄機は使えませんが、乾きが非常に早いため、お手入れも簡単です。私自身、同じ箸を10年以上使っていますが、今でも現役です。

職人による丁寧な仕事により、手に馴染みやすく、使いやすい。

―サイズ展開もあるのですね、家族みんなで使えるのも嬉しいですね。

前川 3サイズからお選びいただけます。女性向けの本榧箸(小)と男性向けの本榧箸(大)に加え、少し細く削った子供用サイズをご用意しました。ご家族皆さまで、軽くて持ちやすい本榧箸をぜひお試しください。

子供用(18cm)、女性用(21cm)、男性用(24cm)の3サイズ展開。

―現在は、どちらで購入することができるのでしょうか。

前川 主にオンラインショップと、毎週日曜に高知市で開かれる「日曜市」のアンテナショップで販売しています。日曜市では、多くの観光客の方に知っていただく機会になっています。「榧って何?」と興味を持ってくださり、その特徴をお伝えすると、皆さまお箸やまな板を買って帰られます。そして、実際の使い心地を気に入って、後日インターネットでリピート購入してくださるというケースが非常に多いです。父の日や母の日、退職祝いなど、大切な方への贈り物として選んでいただくことも増えました。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

前川 私たちは箸だけでなく、榧の実から作った食用油や盤のお手入れに使う榧オイルのほか、世界で初となる榧の実の緑の果肉から抽出した精油や香水をつくっています。まずは、今ある貴重な資源を大切にしながら、その魅力を伝えていくことが重要だと考えています。そして、これからも榧の木々の成長を見守り、将来的にはもっと多くのお客様に喜んでいただける商品を作っていきたいと考えています。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

「本榧箸(小 長さ21cm)」
価格:¥1,100(税込)
店名:榧工房 かやの森
電話:088-880-5188(9:00~17:00 日曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.kayanomori.com/SHOP/ki00010.html
オンラインショップ:https://www.kayanomori.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

前川美智子(株式会社高知前川種苗 専務・店舗代表)
1960年高知県生まれ。株式会社高知前川種苗に入社後、43年にわたり事業に貢献。現在は300年の時が生んだ貴重な「榧」の木の魅力を伝える「榧工房 かやの森」の店舗代表、専務を務める。高知の自然と文化をこよなく愛し、その魅力を全国に発信している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/高知前川種苗>

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