
木のぬくもりと現代のライフスタイルにフィットする手軽さ。400年の技で作る木製お椀「かぐら椀」とレンジ対応の「曲げわっぱ」
2026/05/08
今回、編集長のアッキーが注目したのは、木製食器の「KIBI かぐら椀」と「ほんとうに使いやすい曲げわっぱ」です。石川県・山中漆器の伝統である、ろくろで木を削り出す「挽物(ひきもの)」の技術。その繊細な口当たりと、天然木のぬくもりを活かしながら、電子レンジや食洗機対応という現代の利便性を完璧に融合させた逸品です。
これまでの漆器や木製食器の常識を覆す「使いやすさ」の背景には、400年続く産地の誇りと、三代目が現場で培った「使う人」への深い思いがありました。取材スタッフが、石川県に本社を構える、株式会社かのりゅう 営業企画部の嘉野智啓氏にお話を伺いました。
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
嘉野 私たちの拠点は、石川県の山中温泉地区にあります。ここは天正年間(安土桃山時代にあたる1573年から1592年までの期間)から400年以上続く山中漆器の産地で、なかでも「挽物木地(ひきものきじ)」という、ろくろで木を削り出す技術においては日本一と言われるほどの精度を誇ります。
もともと「塗師(ぬしや)」と呼ばれる塗りの職人だった私の祖父が、1959年に株式会社かのりゅうを立ち上げました。祖父は非常に先見の明がある人で、当時としては珍しく、いち早く海外生産を取り入れました。それは単にコストを抑えるためではなく、伝統工芸をより多くの人の日常に届けたいという願いがあったからです。海外で木地を整え、日本で職人が最終仕上げを行うという生産体制は、この時に築かれました。産地の伝統を守りながらも、常に新しいビジネスの形を模索してきたのが私たちの歴史です。
―ご自身は、一度他社を経験してから家業に戻られたそうですね。
嘉野 はい。将来は家業を継ぐつもりでしたが、大学卒業後はあえて自社ではなく、漆器を扱う他社のセレクトショップで販売員として4年間働きました。お客様が実際に何を求めていて、何に不便を感じているのかを自分自身の肌で感じたかったのです。家業に戻ってきてからは、その時の経験が大きな糧になっています。
伝統があるからといって、食洗機で使えないなど使いにくいままでは現代の生活からは消えてしまいます。私は「売る側」としてのフラットな視点を持てたからこそ、今のライフスタイルに本当に必要な「使い勝手のいい器」とは何かを、よりシビアに追求できるようになったと感じています。
―「KIBI かぐら椀」は、どのような思いから誕生したシリーズなのでしょうか。
嘉野 「KIBI」という名前は、日本人の繊細な感情の動きを表す「機微(きび)」という言葉から名付けました。お味噌汁をいただくという、日本人の食卓の最も基本的な時間を、より豊かな体験に変えたいという思いが原点にあります。
漆器のお椀はどうしても「お正月用」や「お祝い事」といった、少し身構えるイメージがありますよね。私たちはその壁を取り払い、今のインテリアや洋食にも馴染む「普段使いの器」として漆器を再定義したかったんです。木のお椀は熱が伝わりにくいため、温かいものを入れても手に優しく、冷めにくいという天然素材ならではの優れた特徴があります。その良さを、気負わずに毎日実感してほしい。そんな願いを込めて、現代の食卓に調和する軽やかで洗練されたフォルムを目指しました。



使いやすく、シンプルでありながら、伝統的な美しさを兼ね備えたデザイン。
木目と木の色合いを生かした「プレーン」、上品で落ち着いた「レッド」、シックな色合いの「ブラック」の3色展開。
―「うす挽き」や仕上げの工程など、非常に高度なこだわりが詰まっているとお聞きしました。
嘉野 はい。一番のこだわりは、口に触れた瞬間の心地よさです。ここで「うす挽き」という技術が活きてきます。これは熟練の職人がろくろを使い、木の塊をミリ単位の限界まで薄く削り出す、最高峰の技法です。この技によって、驚くほど繊細で軽い口当たりが実現しました。
また、製造工程にも独自の工夫があります。木地の成形などの工程は海外で行うのですが、それを日本に持ち帰った後、一度あえて塗装をすべて磨き落とし、日本の職人が一から塗り直しを行い、仕上げています。なぜそこまでやるのかといえば、日本の厳しい品質基準で仕上げ直すことで、天然木の質感を最大限に引き出しながら、食洗機にも耐えうる強靭な耐久性を持たせることができるからです。さらに、現代の衛生面への配慮から、漆器では珍しい抗菌効果もプラスしました。手にした時のしっくりとくる適度な重量感も、厚みを微調整して作り上げています。



熟練の職人がひとつひとつ仕上げる「磨き」の工程。
塗装工程を増やすことで強度を高め、食洗機でも洗うことができるようになった。
―「かぐら椀」を日常の中でどのように使ってほしいですか。
嘉野 お味噌汁はもちろんですが、和洋を問わずさまざまなシーンで使っていただきたいですね。例えば、朝のポタージュやミネストローネを注ぐスープボウルとしても最適です。非常に軽いので、片手でも扱いやすく、朝の時間にも重宝します。
また、木目が美しく映える「プレーン」は、バニラアイスやカットしたフルーツを盛り付けるデザートカップとしてもおすすめです。天然木は結露しにくいので、夏場に冷たいデザートを入れてもテーブルが濡れる心配がありません。お子様からご年配の方まで、手に取るたびに木のぬくもりで心がほっと休まるような、そんな日常の相棒として可愛がっていただければうれしいです。

現代のインテリアや洋食にも馴染む洗練されたフォルムで、食卓で過ごす時間をより豊かに。
―海外需要開拓プログラム「Takumi Next 2023」への選出など、評価も高まっていますね。
嘉野 JETRO(ジェトロ/日本貿易振興機構)のプログラムに選出いただけたことは、私たちが取り組んできたことが認められたようで、大きな自信になりました。実際にお客様からも「一度このお椀を使うと、もうプラスチックには戻れない」という、驚きの声を数多くいただいています。世界に誇れる日本の技術を、いかに今の暮らしに馴染ませるか。その挑戦が実を結び、リピーターの方が増えていることは、産地の職人たちにとっても大きな励みになっています。
―続いて「ほんとうに使いやすい曲げわっぱ」についてですが、レンジ対応は画期的な発明ですね。
嘉野 ありがとうございます。これはまさに、お客様の「切実な悩み」から生まれた商品です。お弁当に曲げわっぱを使う方は多いですが、共通する不満は「レンジで温められないこと」でした。
本来、木製品はレンジにかけると中の水分が急激に膨張し、割れや変形が起きてしまいます。ですが、冬場でも冷たいご飯を食べるのは寂しいですよね。私たちは数年にわたる試行錯誤の末、特許出願済みの特殊なシーリング加工を開発しました。
これにより、マイクロ波を通しつつ木材の変形を抑えることに成功したんです。木が持つ本来の「呼吸」を妨げない特殊な塗装を施しているため、レンジで温めてもご飯がベタつかず、ふっくらとした炊き立てのようなおいしさが蘇ります。


特許出願済みの特殊シーリング加工により、木製品では画期的な電子レンジ対応を実現した。
―お手入れが簡単で、メディアでも話題になっているそうですね。
嘉野 はい。天然杉の香りはそのままに、油汚れやシミに強いコーティングも施してあるので、食洗機で洗うことができます。「曲げわっぱは手入れが大変そう」と諦めていた方からも、これなら手軽に使えると好評をいただいています。雑誌『クロワッサン』やTBS系列のテレビ番組『あさチャン!』などでも「暮らしを賢く彩る逸品」として紹介していただきました。「手軽でストレスなくおいしくご飯を食べられる」という実感を、より多くの方に体験していただきたいですね。

独自のコーティングで食洗機洗浄が可能。忙しい現代のライフスタイルに寄り添うお手入れのしやすさが魅力。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
嘉野 伝統とは、形を変えずに守ることではなく、今の時代に合わせて進化し続けることだと考えています。世の中のライフスタイルが変われば、求められる器も変わります。私たちはその変化を敏感に捉え、伝統技術をベースにしながらも、現代人の課題を解決する器をこれからも開発し続けます。
また、直接お客様と繋がれる機会を増やし、山中漆器の魅力をより身近に伝えていきたい。漆器の未来を日常の食卓に繋ぎ止めるという使命感を胸に、手に取るたびに幸せを感じられるものづくりに励んでまいります。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「KIBI かぐら椀 【食洗機対応】【抗菌】【汁椀】【木製】【山中漆器】」
価格:¥2,750(税込)
店名:株式会社かのりゅう
電話:0761-78-1838(9:00~17:00 ※土・日・祝祭日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://kouboumoku.thebase.in/items/105385003
オンラインショップ:https://kouboumoku.thebase.in/

「Mサイズ レンジ・食洗機対応 ほんとうに使いやすい曲げわっぱお弁当箱 【600ml】【山中塗り】【天然木】」
価格:¥5,060(税込)
店名:株式会社かのりゅう
電話:0761-78-1838(9:00~17:00 ※土・日・祝祭日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付商品
URL:https://kouboumoku.thebase.in/items/101143335
オンラインショップ:https://kouboumoku.thebase.in/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
嘉野智啓(株式会社かのりゅう 営業企画部)
1991年、石川県加賀市生まれ。400年以上の歴史を誇る山中漆器の産地で、創業50年を超える木製食器メーカー「かのりゅう」の三代目。大学卒業後、漆器のセレクトショップでの販売員を4年間務め、現場のニーズを学ぶ。家業に戻ってからは、伝統の「挽物」技術を活かしつつ、電子レンジや食洗機に対応した機能的な製品開発を牽引している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/かのりゅう>




























