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半世紀以上にわたり受け継がれる伝統の味!久留米の名店・大砲ラーメンの「昔ラーメン・呼び戻しブラック」

2023/03/31

今回編集長アッキーが見つけたのは、豚骨ラーメン発祥の地・久留米で70年にわたり愛され続ける「大砲ラーメン」。久留米ラーメンの特徴である“呼び戻しスープ”の元祖です。ミシュランガイドに掲載された経験も持つ名店が守り継ぐ、そのおいしさの秘密を代表取締役社長の香月均史氏に伺いました。

株式会社大砲 代表取締役社長の香月均史氏
株式会社大砲 代表取締役社長の香月均史氏

―創業は1953年。ラーメン屋台から始まったそうですね。

香月 1953年といえば、不安定な状況ながらも日本が活気を取り戻しつつあった時代です。久留米発祥といわれる豚骨ラーメンの文化も、戦後の復興とともに大きく拡がろうとしていました。そんな中、父である先代が始めた一軒のラーメン屋台。それが「大砲ラーメン」の原点です。

―大砲ラーメンの代名詞とも言える“呼び戻しスープ”。その特徴を教えてください。

香月 うちが元祖ですが、久留米ラーメンは昔から“呼び戻し”の技法で作ったスープが主流です。開店当初から一度も空にすることのない釜があって、そこに別の釜でとった新しいスープを少しずつ継ぎ足していく。父が確立したその技法を「呼び戻し」と命名しました。

豚骨ラーメンには、ほかに「取りきり」と呼ばれるスープもあって、こちらはその日ごとに一から新しく作るので臭みが少ないのが特徴。博多や熊本のラーメンは、ほとんどがこの技法です。一方、呼び戻しはスープを継ぎ足すことで、熟成された独特のクセのある味わいが生まれるんです。芋焼酎と一緒で、どうしても慣れないという人もいますが、一度ハマったら病みつきになりますよ。

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毎日変わる状況に応じて、微調整しながら仕込む呼び戻しスープ。
その技術の習得には3年から5年を要するという。

―スープを継ぎ足しながら、創業当初の味を半世紀以上にわたって受け継がれているのですね。

香月 釜から釜へ、店から店へスープ分けを行うことで、創業当初からの味わいを全店に受け継いでいます。今、11店舗ありますが、スープの仕込みはセントラルキッチン方式ではなく、必ずそれぞれの店舗で行っています。“本物の豚骨ラーメン”の文化を守っていくためにも、長年修行を積んだ職人がいてはじめて、新しい店を展開するという感じでやっています。

オンラインショップの商品に使用しているのも、店舗でお出ししているラーメンと同じ釜から取ったスープなんです。お手元に届くまでに数日かかるのでスープ、麺、具材は個別に真空パックにして、できるだけ店と同じ状態で味わっていただけるようにしています。

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商品は冷蔵便で到着。小麦粉のブレンドからこだわった自家製麺は、
スープが染み込みやすいよう低加水で仕上げられている。

―「昔ラーメン」は、先代の味を再現したものだとか。復刻のきっかけは?

香月 一番のきっかけはラードです。ほとんどのラーメン店がそうであるように、父は晩年、市販のラードを使っていました。でもその前は、自分で手作りしていたんです。豚の背脂をサイコロ状に切って鍋で炒めて、じわじわ出てくる脂をスープに少し加えていました。そうすると、コクや香ばしさが全然違うんですよ。その味が忘れられなくて、再現したのが「昔ラーメン」です。

でもスープの濃度は当時と少し違っています。昔の久留米のラーメンは、もっとシャバシャバした薄めのスープでした。お客様や作り手の嗜好がだんだんと濃い方へと変化していったんですね。それに合わせて、昔ラーメンもこってり系に仕上げています。

―トッピングにも特徴があるのでしょうか?

香月 ラードを作るときに背脂の揚げ玉、通称“カリカリ”ができるのですが、それをトッピングとして加えています。最近はほとんど見かけなくなりましたが、昔の久留米ラーメンにはこの揚げ玉が入っていました。それと、シナチクですね。今では“豚骨ラーメンには紅生姜”というのが一般的になっていますが、昭和30年代前半までは真っ赤に染めた干したけのこ、いわゆるシナチクが乗っていました。今、干したけのこは手に入らないので、たけのこの水煮で再現しています。

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創業以来守り継がれるスープのうまみと、手作りのラードだからこそ出せる
コクの深さが堪能できる「昔ラーメン」。お好みでネギとたまごを乗せて。

―「呼び戻しブラック」はどんなラーメンですか?

香月 基本的なスープはどのラーメンも同じで、ラードで味を変えているんです。「呼び戻しブラック」の場合は、クセのないラードにニンニクや玉ねぎなどを加えて、3段階くらいに焦げみを変えながら火にかけています。そうしてできた真っ黒なマー油の香ばしい香りが食欲をそそる、ピリ辛系のラーメンです。

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「呼び戻しブラック」は、余ったスープにご飯とチーズ、
ネギを入れてリゾット風にして食べるのもおすすめだとか。

―最後に今後の展望をお聞かせください。

香月 我々のモットーは、お客様に喜んでいただけるもの、本当においしいものを提供し続けるということ。「我々は永遠に仕事をする」という社訓があるのですが、これからもその姿勢を貫いていきたいと思っています。そして、職人たちに伝えたいのは「呼び戻しスープの伝道師たれ」ということ。大砲の灯火を絶やすことなく、未来へ繋いでいってほしいですね。

―本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

昔ラーメン・呼び戻しブラック

「昔ラーメン・呼び戻しブラック」(各2食入り)
価格:¥3,900(税込)
店名:大砲ラーメン
電話:0120-947-796(10:00~17:00 土日祝日・年末年始・夏季などの特別休業日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://taiho.shop/i/202204008
オンラインショップ:https://taiho.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
香月均史(株式会社大砲 代表取締役社長)

1958年生まれ。1989年に「大砲ラーメン」の2代目代表取締役社長に就任。TV番組などで豚骨ラーメン発祥地・久留米を全国に知らしめながら、「ラーメンフェスタin久留米」を仕掛けるなど“ラーメンをテーマにしたまちおこし”を提唱。久留米ラーメンルネッサンス委員会アドバイザー、久留米ラーメン会相談役も務めている。

<文・撮影/野村枝里奈 MC/津田菜波 画像協力/大砲>

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