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「スッパイマン」で一躍全国区へ!今や女性に支持されるヘルシーな梅菓子

2023/03/29

黄色と赤色のカラーリングに、アメコミ風のキャラクター。誰しもが目にしたことがあるであろう、この「スッパイマン」シリーズ、実は沖縄生まれのお菓子です。地元で長く愛されてきたものを、独自の発想と行動力で全国区のお菓子に成長させ、今後は海外へ進出予定。同時に社内でDX(デジタルトランスフォーメーション)化を進めるなど、未来に向けて走り続ける、株式会社上間菓子店、代表取締役社長の上間幸治氏にお話を伺いました。

株式会社上間菓子店 代表取締役社長の上間幸治氏
株式会社上間菓子店 代表取締役社長の上間幸治氏

御社の沿革について教えてください。

上間 弊社は1966年菓子卸業として創業しました。当時沖縄はまだアメリカ世で、本土のお菓子を小売店に卸していたのです。でもその後、沖縄が日本に復帰すると本土から企業が進出し、現在の創業者相談役、私の父(上間信治)が、このまま問屋でいては厳しい時代が来ると考え、1981年に菓子製造業へ転身しました。

それで、梅を使ったお菓子の製造を始められたと。

上間 もともと沖縄には、台湾、中国から輸入されていた干し梅がありました。暑い沖縄で、当時、熱中症対策という言葉は無かったのですが自然と口にしていたのです。しかし日本への復帰後、その干し梅から日本では使用禁止の甘味料が見つかり、輸入ができなくなりました。そこで、安心安全で美味しいものを自分たちで作ろうということになったのです。

御社の干し梅が生まれたのですね。

上間 そうですね。創業者の上間信治が台湾に足を運んで作り方を習い、材料を調達し、日本風の味付けにして販売しました。最初の頃は、自分たちで梅を天日干しにしていて、雨が降ったらスタッフや私が大声で皆に知らせていたのですよ(笑)。しばらくしてボイラーを導入し、手作り感のある簡易乾燥室で作るようになりました。

製品は、干し梅一本だったのですか?

上間 塩せんべいなども作った時期もあったと聞いています。でも1個数十円といった世界で、どんなに売っても1日2万円ほど。とても採算が合わないので辞めてしまったそうです。「スッパイマン甘梅一番」は、海外産でついた干し梅の悪い印象を、ラジオやイベントなどで払拭する活動もあり、徐々に認められ少しずつ認知されるようになりました。

スッパイマンの名前はどこから出てきたのですか?

上間 スーパーヒーローのように全国世界へ飛んでいってほしいという思いから名付けました。1981年、日本初の干し梅ブランドの誕生です。

―その後、社長は大阪へ行かれたのですね?

上間 18歳からですね。大学に進学する道もあったのですが、目的をはっきりと決めていない状態で行くのも良くないと思い。それなら社会に出ようと高校卒業後、1週間後には大阪にいました。一度地元を離れた方が、その良さも悪さもわかるだろうという思いもありましたね。最初は日当がいただける現場作業員からスタートして、徐々にいろんな仕事を経験しました。そんなある日、「大阪で一番地価が高いのは心斎橋のアメリカ村だ」という話を先輩から聞いて、じゃあせっかく来たのだから大阪で一番競争率が高いとこで頑張って働いてみようと、アメリカ村三角公園前のアパレルショップで働き始めたのです。

そこが5、6坪の小さな店だったのですが、徐々に売上を伸ばし、月に1000万越えの繁盛店になり、周りでも知られる店になりました。売上を上げ続けるのは大変でしたが、非常に刺激を受けましたね。給料も同世代よりもだいぶ良かったです。店長就任の話もあったのですが、将来、沖縄で家業を守る事になるだろうと思っていたので辞めました(笑)。

99年に沖縄に戻ってからは営業を担当するも、なかなか成果が出ませんでした。地元では「スッパイマン」で知られていても、全国ではスッパイマンどころか干し梅を誰も知らなかったのです。

それでも、フードショーのような展示会にはよく出展していました。その頃、沖縄自体、芸能では有名になりつつも観光地としてはまだまだマイナーなエリアだったので、親子でハッピを着て大きい声で「沖縄から来たスッパイマンです。よろしくお願いしまーす!」と声出ししても「沖縄から売るもんなんてない」「沖縄に何もない」など言われ全く興味を持ってもらえませんでした。今では親子の良い思い出です。そんな状態が2年ぐらい続きました。

どのようにして認知されるようになったのですか?

上間 運が良かったとも言えますが、某トップアイドルの方が、音楽番組で、「沖縄でスッパイマンを食べました」と話してくれたのです。それまでは、展示会に3日間出店しても10万、20万くらいの売り上げだったのが、放送後、1000万、2000万に。さらにメディアから取材依頼も入ってきて、今で言う「バズる」ということを経験しました。従業員も、放送前は15名ぐらいだったのが、数年後には30名、40名に…。

―対応が大変だったのでは……

上間 そうですね。でも売れなくてもずっと、展示会に出ていたことが良かったです。なぜなら放送を見て、全国の小売店さんがうちを知って、取引しようとするわけですが、連絡先がわからない。そんな時、「あっ、このお菓子、あの展示会で見た!」と思い出していただけたのです。展示会の主催者に連絡すれば、うちの連絡先が分かるので、商品が入れられます。そんなことがあって、地道に展示会に出展していて良かったなと思いました。点と点が繋がって線になるということを、22歳の頃、始めて実感しました。

―ここまで来れば、順風満帆です。

上間 商品はどんどん売れていきました。ただ、自分自身は「まずい」と思っていました。まだ準備や実力が伴ってないという感じで、怖かったですね。このまま家業を続けても、自分には会社を興した経験も、経営もした事ないことに焦りを感じていました。なので20代半ばに、私だけ会社から半分抜けるような感じで、アパレルの企業を立ち上げたのです。

起業し、多くの人に協力して頂きながら、友人とあちこちから商品を引いて、売ってを経験しました。苦労もありましたけど、割と早いうちに黒字化できるようになり、立地も良かったので、2年足らずで売却できました。今で言うプチエグジットな感じですね。

半分は会社に残した体は…?

上間 楽天大学に通ったり、ホームページを制作しメールの問い合わせやECなどを担当しました。会社は伸び続けましたが、10年くらいはラインナップを大きく変えることはしませんでした。今のように増やしたのは会長(上間政博)を含め全従業員のおかげもあり、ここ7、8年くらいです。「いよいよ時期が来た」と感じたので。

―どのようにスタートしたのですか?

上間 2008年、コラボ企画のようなものから始めました。沖縄は高校野球が熱い県なのですが、私は、他の高校生も頑張っているのに、野球だけフューチャーされるのはどうなのだろう?と思っていたのです。そんな時、ある高校の写真部が、写真甲子園で優勝したというニュースを見て、僕たちの出番だと。彼らに、一般の方の酸っぱい顔をいっぱい撮影してもらって「スッパイ写真展」(https://www.amaume.co.jp/collabo/)というのを開催しました(笑)。自分でメディアに直接電話をし、取材に来ていただき新聞などに掲載すると、彼らの親御さんたちにもとても喜んでいただけたり、コラボすることで違う角度でスッパイマンをアピールでき「あ、こういったことってできるんだ。これはブランディングになる」と思いました。

面白いですね!

上間 次に声をかけたのが浦添工業高校というところで、そこでは学生が自分たちでブランドを立ち上げて、オリジナルデザインのTシャツなんかを作って販売していたのですが、そこに「スッパイマンのシャツを一緒に作りませんか?」と声をかけました。(https://www.amaume.co.jp/collabo/urasoekougyou/)その中に、アメコミ好きの学生さんがいて、スッパイマンのキャラクターを考えてくれたのです。すごく良くて。オフィシャルキャラクターとして承認させていただきました。メディアを呼んで発表記者会見も開いたのですよ。

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地元高校生が生んだ、オフィシャルキャラクター、スッパイマン。

そこからコラボに注目するようになり、梅くくりで様々な展開をしていこうと考えて、2008年では学生さんとだったコラボが2020年からはカルビーさんのポテトチップスやバンダイさんのガンダム(シャア)、ポケモンさんのピカチュウ、アーティストではオレンジレンジさん、BEGINさん、アパレルではUNIQLOさんやFR2さんとさせていただき、同時進行で他品種の柿ピーや梅こんぶ、いか天などが生まれました。

また他品種コラボにはもうひとつ魅力があります。沖縄は、離島という日本一の立地ハンデで送料が高くなり、リードタイムが長くなります。その点、コラボをすれば、本土にある企業の工場で商品作っていただけて、そこから発送もしてもらえる。弊社にとって大きなメリットです。

―そんな魅力もあるのですね。それでは、ご紹介いただいた「スッパイマンの甘梅一番 たねなし」の魅力についても教えていただいて良いでしょうか。

上間 「スッパイマンの甘梅一番 たねなし」は、誕生からすでに20年近く経っている商品で、おかげさまで、かなり認知されています。弊社の商品の梅は、台湾や中国からですが、品質を守る為に定期的に現地で検査や調査を行っていて、種の無い製品は梅の種を、現地でひとつひとつ、手作業で抜いていただいて作っています。

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バッグにポンと忍ばせておきたい、「スッパイマンの甘梅一番 たねなし」。

手作業とは驚きです!ちなみに「スッパイマン」には、こちらの「たねなし」と、もう一つ「たねぬき」という商品がありますよね。違いについて教えていただけますでしょうか?

上間 こちらの「たねなし」はソフトタイプで食感が柔らかいのが特徴。「たねぬき」はハードタイプで、強めに乾燥させて歯応えがある商品です。

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「たねなし」。口に入れると、ジュワ~ッと梅の風味が広がります。

―もはや、お菓子のポジションを超えていますよね。

上間 熱中症対策で塩分、疲労回復でクエン酸や、子供の成長にカルシウム、女性に優しい鉄分、食物繊維、抗酸化作用でアンチエイジング効果も有り機能性も高く、中でも女性に支持されています。この商品自体の認知度は、15歳から59歳までの間で65%ほどあるのですが、パーセンテージが最も高いのが、10代後半から30代の女性で70%超でした。

マスク生活で唾液が減っているとも言われていますが、「スッパイマン」は見ているだけで唾液がたっぷり出て、口内環境の改善にも役立ちそうです(笑)。そして次に、「スッパイマン 柿ピー一番」についても教えてください。

上間 「スッパイマン 柿ピー一番」は、ドン・キホーテさんとのコラボ商品です。製造してくださっているメーカーさんの技術が非常に高く、梅の味をしっかり、強めに表現することができました。ある人気番組で、柿ピー特集の回があり、こちらを紹介していただいたのですが、番組終了後はサーバーがダウンする事件も(笑)。ちなみに購入できるのは、ドン・キホーテさんか、弊社店舗、ネットショップのみの限定商品です。

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食べ出すと止まらなくなる!「スッパイマン 柿ピー一番」。
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大きめサイズの柿の種。見た目以上に、味わいは「梅」!

今後の展開についても教えてください。

上間 会社の経営には、横軸と縦軸の2通りがあります。バーティカル(垂直)とホリゾンタル(水平)とも言いますね。生産から自社でお店を持って売るまでを6次産業化と言い、その中にSPA(製造小売業)やD2C(ECサイトを主にした製造業)などがありますが、これが縦の軸です。僕たちは梅自体を海外から仕入れているので、生産者にはなれない。つまり、縦の軸を伸ばすことはまだ厳しいのかなと思います。そこで、横軸を伸ばしていこうと。これがつまり、コラボだったりするのですが、まずはお菓子から始めて、現在は海苔の佃煮など、食品の分野にも軸を伸ばしています。これをホリゾンタルブランドマーケティングと提唱しています。

これからさらにモノの値段が上がっていくことを考えると、卸だけでは利益が厳しくなるとも予想されます。そこで弊社は小売りにも力を入れつつあります。もともとネットショップ中心だったのですが、直販できる店を持とうと、国際通りに「スッパイマンショップ」をオープンしました。ありがたいことにいい反響をいただいています。

新型コロナウイルスの影響で、子供の頃、親父の助手席に乗って配達する姿を、間近で見ていたり、思春期を謳歌した国際通りから人が消え、かなりショックを受けました。だからこそ、この通りに店を開こうと。ただメイン通りで低単価のお菓子だけで店を出すのはリスクが高いと考えたので、グッズやアパレルも同時に展開してリスクを回避し、1ヶ月目から黒字化に成功しました。アパレルはECをせず店頭限定販売で、県外からのお客さんも非常に多いです。ちなみに店内のインテリアは沖縄、中華、アメリカをミックスしたものになっていて、“チャンプルー文化”を全面に押し出しています。

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アパレルアイテムにも、さりげなく「スッパイマン」!

常に、地元を一番に考えていらっしゃいますね。

上間 私たちがあるのは、沖縄のおかげですから。できることはやりたいです。店は、2023年4月にアメリカンヴィレッジへの出展も予定していまして、その後は東京、海外にも展開する予定です。海外展開は2020年を予定していたのですが、コロナで難しくなったので、仕切り直しです。様々なリスクがあることも承知していますが、海外はパワーが違いますから。アジア数カ国に同時期に展開など、リスクヘッジをしながら、利益を取れるようにやっていきたいと思っています。

DX化も推進されているとか。

上間 守りのDX化は進めていたのですが、この夏頃からは、攻めのDX化も進めていきたいと考えています。わかりやすく言うと、これまでは受注・発送データの業務効率化、原料のコントロールなどを進めていたところ、今後は蓄積したデータを商品開発に活かす、というようなことです。

8年ほど前からICTやIOTなどが話題になっています。私たちは第4次産業革命真っ只中で、今では暗号資産、NFT、Web3、メタバースなど、続々と新しい市場が生まれています。まだまだハードなどに問題はありますが、それらが日常的に使われるようになる時代も視野に入れ、未来型DX化を目指し、小売、海外戦略を同時に進めながら、カントリーリスクを見据え将来に備えていきたいと思っています。

―時代の波を読み、経験を活かしながら、前へ前へと進まれている上間社長。沖縄を訪れた際には、ぜひ、「スッパイマンショップ」を訪ねてみたいと思います。貴重なお話をありがとうございました!

スッパイマンショップ外観。

最新情報はインスタグラムをチェック。

スッパイマンショップ:https://www.instagram.com/suppaiman_shop/

上間菓子店:https://www.instagram.com/suppaiman_uemakashiten/

スッパイマン 甘梅一番 たねなし(15g)

「スッパイマン 甘梅一番 たねなし」(15g)
価格:¥172(税込)
店名:株式会社上間菓子店
電話:098-840-6000(営業時間 平日9:00~17:00)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.amaume.co.jp/search/detail.php?goods_id=175
オンラインショップ:https://www.amaume.co.jp

スッパイマン 柿ピー一番(110g)

「スッパイマン 柿ピー一番」(110g)
価格:¥226(税込)
店名:株式会社上間菓子店
電話:098-840-6000(営業時間 平日9:00~17:00)
定休日:土曜・日曜・祝日、インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.amaume.co.jp/search/detail.php?goods_id=50
オンラインショップ:https://www.amaume.co.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
上間幸治(株式会社上間菓子店 代表取締役社長)

1978年2月生まれ。小学生の頃より家業を手伝い、18歳から大阪へ。21歳で沖縄に戻り、自社の工場、配達、営業、本土への展示会出店などを行った後、EC担当をしながらアパレルショップを開店し、2年後に売却。2013年に同社へ完全復帰し、EC、企画も含め小売、デザイン、貿易、広報を担当。14年には制作したCM(エナジードリンク)が沖縄で話題に。2020年からは補助金を活用し新機械を導入、リブランディングのショップを22年7月に国際通り、23年2月北谷アメリカンビレッジへ出店。23年よりDX化を進める。同年2月、代表取締役社長に就任。

<文・撮影/鹿田吏子 MC/升谷遥香 画像協力/上間菓子店>

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