創業48年のうどんチェーン店「資さんうどん」は、北九州では知らない人はいないほど、地域で愛されてきたお店です。その勢いはとどまるところを知らず、他県展開やEC販売と事業拡大を続けています。編集長アッキーと取材班が、その味と人気の理由について、現在社長を務める佐藤崇史氏にお伺いしてきました。
大阪でも大行列!日本一の呼び声も高い、北九州のソウルフード「資さんうどん」
2024/02/20
株式会社資さん 代表取締役社長 佐藤崇史氏
―北九州のソウルフードと呼ばれ、50年近い歴史のあるうどん店「資さんうどん」の社長をお引き受けになった経緯を教えてください。
佐藤 着任する6、7年前、今から10年以上前に、前職で北九州に出張する機会があり、当時の同僚に連れて行ってもらったのが「資さんうどん」との出会いです。その時に「こんなにおいしいうどんがあるのか」と感激したのを覚えています。お店もすごく活気があって、食べている人もみんな幸せな顔をしているなと、当時そう思ったのも記憶していました。
数年後、創業者が亡くなられて、今後この事業業態をもっと拡大していけるような若い経営者に託したいというお話があり、「あの資さんなら」とお引き受けしました。
1976年(昭和51年)1月、大西章資氏が現在の北九州市戸畑区一枝に本店を開店。
自分の名前から一字取り、親しみやすく「資さんうどん」とした。
―最初に出会った当時と印象は変わりありませんでしたか?
佐藤 お話をいただいたその週末に北九州へ行き、「資さんうどん」の店舗を何軒も回りました。うどんだけでなく、カレーやカツとじ丼、おでん等、いろいろなものを食べてみたのですが、全部おいしいんです。お店もやっぱり数年前と全く変わらずに活気がありました。
1976年からやっている歴史があるお店で、それが北九州のソウルフードとなって、みんなに愛される存在になっているのだと再確認しました。
「資さんうどん」には、うどんだけでなく、なんと100を超えるほどのメニューがある。
お客さまのリクエストにその都度応えてきた結果なのだそう。
―ご自身は北九州出身ではないということですが…。
佐藤 僕は広島出身で、その後も東京、神奈川に住んでいた人間です。でも、その人間が食べても本当においしいと思うわけです。北九州の人だけがおいしいと思っているのではないのだから、きっと日本全国、いや全世界の人が食べてもおいしいと感じるだろうと思いました。
関西や東京などにその味が広がっていけば、お客様にとっても幸せなことのはずだし、働いている従業員にとっても、自慢の味がどんどん広がっていくことは誇らしいことだと思います。
やっぱりおいしいものって人を幸せにしますし、人を笑顔にしますから。より多くの人が「資さんうどん」を食べられるように成長していきたい、そういう場を提供していきたい、というふうに思いました。
―そのおいしい味、今回ご紹介いただいた「肉うどん」について教えてください。
佐藤 まず、出汁にこだわっています。鯖節がメインですが、椎茸、昆布等といくつも素材を入れていて、旨味を凝縮させた濃厚な出汁になっています。
麺に関しても、外はやわらかくて中はもちっとした、かなり特徴のある食感になっています。讃岐うどんのツルツルシコシコでもなく、博多うどんのような柔らかいうどんでもなく、外は柔らかくて、中はもちもちの麺なんです。
出汁と麺、このふたつが合わさることで、唯一無二の他にはない味になっている、と思います。
たっぷりと入った肉も、玉ねぎと一緒に九州醤油で甘辛く炊いていて、出汁と麺とよく合います。通販で販売している商品ですので、冷凍でお届けしますが、お店と同じ味を楽しんでいただけます。
通販の「肉うどん」を試食。旨味の強い出汁とよく煮込まれた肉、
柔らかくもちっとした麺に、思わず顔がほころぶ美味しさ。
―やはり「肉うどん」が人気No.1でしょうか?
佐藤 通販では1位です。店舗での1位は「肉ごぼ天うどん」です。九州のうどん店では、ごぼ天(ごぼうの天ぷら)がポピュラーで人気も高いのですが、通販で販売するとなると、ごぼ天を「お店の味」と同じ様に再現するのはハードルが高く、まだ実現できていません。現時点では、絶賛商品開発中です。もしごぼ天も入れたい場合には、お家でぜひ作って足していただけたら、と思います。
それから、これはちょっとした裏技ですが、だしが多めについていますので、それを使って茶碗蒸しを作るのもおすすめです。常連のお客様などはそういったアレンジも楽しまれているようです。
お店で一番人気の「肉ごぼ天うどん」。九州ではごぼうの天ぷらが好まれる。
ホームページでは、家庭でのごぼ天の作り方や、
余ったつゆを使った茶碗蒸しのレシピなども紹介している。
―通販では、他にはどんな商品が人気でしょうか?
佐藤 「もつ鍋」ですね。冬場には「肉うどん」を追い越して1位になることもあります。一般的に「もつ鍋」というと、醤油味や塩味があるのですが、「資さん」の「もつ鍋」は「資さんの出汁」で召し上がっていただくんです。もちろん最後はうどんで締めていただきたくて、「うどん」がセットで付いています。
うどんに勝るとも劣らない人気の「もつ鍋」。
ぷりぷりの牛テッチャンをこだわりのうどんつゆで煮込む。もちろん〆はうどんで。
佐藤 それと、「ぼた餅」も通販でご購入いただくことができ、人気です。北九州ではかつて、屋台で「ぼた餅」を出すという文化があったんです。鉄鋼の街として栄えた時代に、屋台では、お酒を出さない代わりに、明日に向けて活力が高まる甘いものを、ということで「ぼた餅」が提供されていたそうです。
そこで「資さんうどん」でもうどんに合う「ぼた餅」を作ろうということで、創業者が約半年かけて、奥さまと一緒に家で試作を繰り返しながら、あんまり甘過ぎない、食事と一緒に召し上がってもおいしい「ぼた餅」を作り、今では「資さん」の名物になっています。お店では年間540万個出ているんですよ。
店舗では、「うどん」と一緒に「ぼた餅」を注文し、さらにおみやげに
買って帰るという光景がよく見られ、売り切れになる日もあるという。
―通販では、どんなお客様が多いでしょうか?
佐藤 「資さんうどん」の店舗は、九州7県と、山口県、岡山県、大阪府で66店舗展開しています。店舗の大半が九州で、まだまだお店で食べられる場所が少ないので、やはり「資さん」が家庭で味わえることに喜びを持っていただいている方がたくさんいらっしゃいます。定期便も好評で、毎月のように買ってくださっている人もいます。離れて暮らすご家族に仕送りをされている親御さんも多く、九州の住所から東京や大阪へ送られる方も非常に多いです。
―まさに郷土愛そのものという感じがします。
佐藤 僕らが本当にありがたく思うのは、お客さまの「資さん愛」がすごいということです。「資さんファン」が僕らの自慢です。私なんて、北九州で人にご挨拶すると「僕の血液はおそらく半分以上「資さんの出汁」でできてますよ」なんて言われたりしますから。
昨年の8月に、大阪のデパートに期間限定で出店した時にも、通販のお客様へのメールとSNSでの告知だけなのに、2時間待ちの行列ができたりして、口コミの力が大きい。SNSでフォローされているお客様も多いのですが、その方々がどんどん口コミを拡散してくださって、さらに広がっています。本当に僕らは感謝しかないです。
一方で、郷土の味というだけではなくて、本当にどこの人が食べても美味しい味だと思っていますし、実際にそういうご評価もいただいています。昨年の9月に、大阪城公園で開催された、日本最大級のグルメインベント「YATAIフェス2023」に出店した際には、飲食店舗が約60店舗ほど出店していた中で、来場者の人気投票で、「資さんうどん」は1位になったんです。
大阪市初出店となる「資さんうどん今福鶴見店」。
大阪の人たちも、その味を求めて、連日行列をつくっている。
―60店舗中1位はすごいですね。全国展開にも期待が高まります。
佐藤 東京にもお店がほしいという声も多くのお客さまからいただいています。今後はより多くの方に食べていただけるよう、私たちも進化を続けていかなければならないと思っています。将来の夢としては、海外のお客さまにも「資さん」のうどんがおいしいと思っていただけるような、そういう展開ができればいいなと思っています。まだ具体的に計画があるわけではないですが、そういう夢は持っています。
―北九州のソウルフードが世界中で食べられる日も近そうです。本日はお話をありがとうございました。
「肉うどん3人前」
価格:¥3,150(税込)
店名:資さんストア公式サイト
電話:093-932-4751(9:00~17:00土・日曜日・年末年始を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://sukesanstore.com/products/467
オンラインショップ:https://sukesanstore.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐藤崇史(株式会社資さん 代表取締役社長)
広島県出身。1997年慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、ソニー株式会社、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)を経て、2006年株式会社ファーストリテイリングに転じ、経営変革・グループ戦略・人事・店舗運営・社長室等の責任者を歴任。経営変革を推し進めた。2018年3月より株式会社資さんの代表取締役社長に着任。その後、第二創業期を牽引。現在に至る。
<文・撮影/尾崎真佐子 画像協力/株式会社資さん>