博多の伝統が生んだ「しっとりふわふわ」の口溶け。マシュマロ菓子「鶴乃子」と自家製キャラメルとバター香る「祝うてサンド」

2026/05/28

今回、編集長のアッキーが注目したのは、しっとりふわふわのマシュマロ生地が至福の時を届ける銘菓「鶴乃子」と、ほろ苦い濃厚キャラメルに、くるみのカリカリ感とクッキーのサクサク食感が重なるキャラメルサンド「祝うてサンド」です。「鶴乃子」は、ふんわり柔らかなマシュマロ生地で黄味あんを包み、100年以上愛され続けてきた博多銘菓です。一方の「祝うてサンド」は、職人が丹念に炊き上げたキャラメルとくるみをサンドした、博多の祭りの活気を伝える新定番。
そこには、お菓子を通じて地元博多を元気にしたいという現代表の深い思いが込められていました。取材スタッフが、福岡県に本社を構える、株式会社石村萬盛堂 代表取締役社長の田中洋之氏にお話を伺いました。

株式会社石村萬盛堂 代表取締役社長の田中洋之氏

―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。

田中 私たちの創業は1905年、日露戦争の戦勝に沸く博多の地で産声を上げました。2025年に120年という節目の年を迎えたところです。創業の拠点となったのは、「オッペケペー節」で知られる博多生まれの新劇の祖、川上音二郎氏から託された場所だったのです。現在もその由緒ある福岡市博多区に本店を構えています。
私たちの原点には、南蛮文化をルーツに持つ伝統菓子「鶏卵素麺」があります。これは卵黄を主材料とするお菓子なのですが、どうしても卵白が大量に余ってしまうという問題がありました。その卵白を無駄にせず、大切に使い切ろうという精神こそが、石村萬盛堂のものづくりの根幹に流れるサステナブルな思想の始まりでした。素材を慈しみ、余すことなく活かす。その誠実な姿勢は、120年経った今も従業員一人ひとりに息づいています。

博多の地で120年続く、石村萬盛堂。

鶏卵の黄身を素麺状にし、甘く煮詰めた博多の伝統菓子「鶏卵素麺」。
この製造工程で出る卵白を活用し、新しい商品開発につなげた。

―社長ご自身は異業種でのご経験も豊富だそうですね。どのような経緯で石村萬盛堂を継いだのでしょうか。

田中 海外留学を経て、旅行業界で長くキャリアを積んできました。その後、縁あって福岡を代表する食品メーカーで経営や地域共創に携わることになり、最終的に石村萬盛堂へと至りました。異業種での経験があったからこそ、この老舗が持つ本当の価値が客観的に見えたのだと感じています。
私は、お菓子は単なる食べ物ではなく、人々の思い出を演出する役目を持っていると考えています。誰かをお祝いする日や、日常のふとした瞬間に寄り添い、情緒的な価値を届けること。それが私たちの仕事の本質なのです。博多の禅僧・仙厓和尚の描くユーモラスな画をデザインに取り入れているのも、博多らしい遊び心を継承し、お客さまに無邪気な歓びを感じていただきたいからです。伝統という形を守るだけでなく、現代の暮らしに馴染む地域に根ざしたお菓子づくりを追求し続けること。それが私の使命だと考えています。

博多の禅僧・仙厓和尚の書くユーモアに溢れた絵は、パッケージデザインなどに散りばめられている。
画像下は、博多っ子の無邪気さを表現して描かれた「ぷりちゃん」。

―看板商品である「鶴乃子(つるのこ)」について教えてください。

田中 「鶴乃子」は、先ほどお話しした鶏卵素麺で余った卵白を活かしたいという、もったいない精神から生まれた発明品なのです。今から100年以上前、まだ西洋発祥のマシュマロという技術が日本で珍しかった時代に、その舶来の技術と和の黄味あんを融合させるという、非常に先駆的な試みによって誕生しました。四角い箱でお菓子を売るのが当たり前だった当時に、この愛らしい卵型のデザインを採用した独創的なセンスには、今でも驚かされます。おかげさまで、博多といえば鶴乃子と言っていただけるほど、世代を超えて親しまれる圧倒的な知名度をいただくことができました。福岡を代表する手みやげとして、贈る側も受け取る側も安心できる信頼の証となっていることは、私たちにとって大きな誇りです。

ふんわりとしたマシュマロ生地の中に、黄味あんが詰まった「鶴乃子」。
福岡を代表する手みやげとして親しまれている。

―「鶴乃子」の独特の食感には、どのようなこだわりがあるのですか。

田中 一般的なマシュマロの概念を覆すような、しっとり、ふわふわとした高品質な食感こそが最大の特徴です。よく、赤ちゃんのほっぺのような弾力と表現していただくこともあるのですが、実はこの食感を生み出すためには、水分量の絶妙な管理が欠かせません。気温や湿度を調節しやすい昔ながらの木枠の型を使った製法で、手間ひまかけておつくりしています。
また、あえて長期保存を最優先せず、できたての瑞々しさを味わっていただくことを大切にしています。お取り寄せでご自宅に届きましたら、まずはそのまま、お気に入りのお茶と一緒に召し上がってみてください。口の中で優しくとろけるような体験が、日々の疲れをそっと癒してくれるはずです。

―一方、新しい博多の顔として話題の「祝うてサンド」は、どのような思いで開発されたのですか。

田中 このお菓子は、2021年のコロナ禍という非常に困難な時期に誕生しました。博多の夏の象徴である「博多祇園山笠」などの祭りが中止となり、街全体が静まり返っていたとき、こんな時だからこそ皆さまの心を明るく元気にするお菓子をお届けしたいと切に願ったのです。
そこで着目したのが、博多のお祝いの席に欠かせない風習である「博多手一本」という手締めでした。手一本を連想する手形のクッキーでほろ苦いキャラメルクリームとキャラメリゼしたくるみをサンドしたお菓子を開発。おめでとうという言葉が飛び交う日常を取り戻したいという、作り手の祈りを込めたのです。

毎年7月に行われる、博多の夏の象徴「博多祇園山笠」。

博多のお祝いの席で欠かせない「博多手一本」の手を叩く様子を形にしたキャラメルサンド。

―「祝うてサンド」のこだわりについても、詳しくお聞かせいただけますか。

田中 一番のこだわりは、香料に一切頼らず、職人が丁寧に火加減を調整して炊き上げる本物のキャラメルです。焦げすぎる寸前で火を止めることで、キャラメル本来の甘みと、深いほろ苦さを引き出しています。このほろ苦さがアクセントになり、濃厚なのに甘ったるさが残らない、後味のよさが生まれるのです。
サクサクとした手形の特製クッキーには厳選したバターを贅沢に使用。キャラメリゼされたくるみのカリッとした食感と合わせて楽しんでいただけます。五感すべてでお祝いの気分を感じていただけるよう、パッケージから中身まで一貫した世界観を作り上げました。保存料を極力使わず、素材の鮮度と風味を最大限に引き出す。ここにも職人の誇りが詰まっています。

キャラメリゼしたカリカリのくるみと、キャラメルクリーム、バターが香るクッキー生地が絶妙な甘さを生む。

―このお菓子は、どのようなシーンで楽しんでいただきたいですか。

田中 箱の中に同梱している博多手一本のしおりをぜひご覧になってみてください。それを見ながら、ご家族やご友人と一緒に手を打つ、そんな楽しい時間を過ごしていただきたいのです。贈りものとして手渡すときにも、博多の縁起物なんだよと会話が弾むコミュニケーションのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
また、頑張った自分へのご褒美として、少し贅沢なコーヒータイムにも選んでいただきたいです。甘すぎずコクがあるため、男性や普段あまりお菓子を召し上がらない方からも、喜びの声をたくさん頂戴しています。

同梱しているしおりには、博多手一本の作法が書いてある。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

田中 私たちは今、マシュマロを再定義するという新たな挑戦を始めています。老舗だからこそできる高品質なマシュマロの市場を確立し、新しい価値を提案していきたいのです。また、地域の未利用資源を活かし、博多から日本中へ、そして世界へ、地域の魅力を伝える商品を届けていく決意です。私たちのコンセプトである「バンザイを形に」という言葉の通り、お菓子を通じて無邪気な歓びと笑顔を広げていく。120年の歴史を大切にしながらも、次の100年も皆さまに愛される存在であり続けるために、私たちは一歩ずつ歩みを進めてまいります。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「鶴乃子 (8個入)」
価格:¥1,296(税込)
店名:石村萬盛堂公式オンラインストア
電話:0120-222-541(9:00~17:30 ※日曜・祝日を除く)
商品URL:https://www.ishimura.co.jp/shop/products/detail/22
オンラインショップ:https://www.ishimura.co.jp/shop/

「祝うてサンド 4個入」
価格:¥1,080(税込)
店名:石村萬盛堂公式オンラインストア
電話:0120-222-541(9:00~17:30 ※日曜・祝日を除く)
商品URL:https://www.ishimura.co.jp/shop/products/detail/179
オンラインショップ:https://www.ishimura.co.jp/shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

田中洋之(株式会社石村萬盛堂 代表取締役社長)
1969年生まれ。米国カリフォルニア州立大学卒業後、外資系旅行会社等を経て、2005年株式会社山口油屋福太郎入社。代表取締役社長として地域共創を推進。2025年7月、株式会社石村萬盛堂の代表取締役社長に就任。創業120年の老舗にて、情緒的価値を重視したブランド再生と「高品質マシュマロ」の再定義に挑んでいる。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/石村萬盛堂>

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