
創業350年。蘇らせた幻の酒米で醸す純米大吟醸「備前雄町100%」と「有機 備前雄町100%」
2026/05/14
今回、編集長のアッキーが注目したのは、創業から350年以上の老舗が醸す、米本来の旨味を極限まで引き出した、力強くも優しい味わいの日本酒。純米大吟醸の「備前雄町100%」と「有機 備前雄町100%」です。素材の良さが際立ち、和食はもちろん洋食とも調和する、お米の豊かな生命力が宿っています。
その背景には、絶滅しかけていた幻の酒米「雄町」を再興させた、並々ならぬ執念がありました。取材スタッフが京都府に本社を構える玉乃光酒造株式会社 代表取締役社長の羽場洋介氏にお話を伺いました。

玉乃光酒造株式会社 代表取締役社長の羽場洋介氏
―まずは御社の歴史についてお聞かせください。
羽場 玉乃光酒造の歩みは、1673年(延宝元年)に和歌山で始まりました。初代が紀州徳川藩から酒造免許を授かったという誇り高いルーツを持っており、以来300年近くにわたり、紀州の豊かな風土の中で、品質に妥協しない誠実な酒造りを続けてきました。しかし1945年の和歌山大空襲により、蔵を失うという大きな困難に直面したのです。
戦後、11代目が再起の地として選んだのが京都の伏見でした。いい酒を造るために不可欠な良質な水を求め、この地で新たな歴史をスタートさせたのです。時代が移り変わっても、水と米と麹だけで造る「純米酒」という姿を守り抜く姿勢は、私たちの不屈の精神として受け継がれています。




戦後、名水の地である京都・伏見の地にて再建。
創業以来、米・水・麹のみで造る純米酒を追求してきた。
―社長ご自身は異業種を経験されたそうですね。
羽場 私は14代目の代表を務めていますが、以前は全く別の世界に身を置いていました。20代のころは公認会計士として、数多くの企業の財務状況を客観的な視点で見つめてきました。その後、30代では自ら飲食業を経営し、現場の厳しさと喜びを肌で感じてきたのです。そうした中、コロナ禍という未曾有の危機によって酒造業界や飲食店が大きな打撃を受け、実家の蔵も困難な状況にあることを目の当たりにしました。350年続く伝統の灯を、自分の代で消してはならない。そうした強い覚悟が芽生えたことがきっかけとなり、2021年に入社し、代表に就任することを決意したのです。
―看板商品の「備前雄町100%」は、幻の酒米を復活させて作り上げたとお聞きしました。その背景を教えてください。
羽場 高度経済成長期の真っ只中であった1964年、コストや効率を優先し、添加物でお酒の量を増やす手法が一般的だった当時に、私たちは業界に先駆けて「純米酒」を復活させました。さらに、栽培が難しく絶滅しかけていた幻の酒米「雄町(おまち)」の再興にも尽力してきた歴史があります。11代目が岡山県の農家を一軒ずつ訪ね歩き、さらには収穫したお米を乾燥させて貯蔵するための施設である「ライスセンター」を自社で寄贈してまで栽培の継続を願ったことが、現在の私たちの酒造りに繋がっているのです。 「いい酒は、いい米から」という信念のもと、効率よりも本来のおいしさを優先し、幻の米を看板商品へと育て上げました。

玉乃光を代表する純米大吟醸。
純米酒復活のシンボルとも言える「雄町米」を100%使用。
―こだわりと、おすすめの楽しみ方について教えてください。
羽場 私たちは大規模な蔵でありながら、機械に頼りすぎない「手造り」を何よりも大切にしています。たとえば、自動蒸米機を使わず、今でも「甑(こしき)」でお米を蒸し、麹造りもすべて職人の手作業で行っています。五感を研ぎ澄ませてお米の状態を見極めるこの工程こそが、機械では出せない深い味わいを生むのです。
また、伏見の名水「伏水(ふしみず)」を用いることで、米の旨味と酸味が完璧に調和した、芯のある味わいが生まれます。私たちが目指しているのは、料理の邪魔をせず、毎日でも飲みたくなる「食中酒」としての姿です。お米のふくよかな香りと、スッと喉を通る心地よいキレは、旬の魚料理やおそうざいなど、いつもの家庭料理の味を一層引き立ててくれます。週末の夕食に、自分を労う贅沢なひとときを、お気に入りの酒器でゆっくりと過ごしていただければうれしいですね。

山田錦の祖先でもある雄町米。
純米吟醸蔵として、添加物を一切加えない「純米造り」を貫いている。
―お客さまからはどのような反響が寄せられていますか。
羽場 長年愛され続けているお酒ですので、80代のお客さまから「若い頃からずっとこのお酒を飲んでいるよ」と声をかけていただくこともあります。人生のさまざまなシーンに寄り添い、信頼を積み重ねてきた証だと感じて感謝しています。また、お酒に詳しくない方からも「飲みやすい」という評価をいただくことが多いですね。世代を超えて受け継がれる「間違いのない選択」として選んでいただけていることは、私たちにとって大きな励みになっているのです。
―続いて、「有機 純米大吟醸 備前雄町100%」について教えてください。
羽場 2020年に、国が定めた厳格なオーガニック基準である「有機JAS」の認証対象にお酒が追加された際、私たちは業界でいち早く認証を取得しました。自然の力だけで力強く育てられた酒米「有機備前雄町」を100%使用しています。農家さんと共に持続可能な未来を作ろうとする私たちの姿勢を体現した、挑戦的な一品なのです。単なるオーガニック商品としてではなく、日本の農業の未来を支える選択として、このお酒を世に送り出したのです。


透明感のある瑞々しい口当たりと、雄町米ならではの濃密な旨味が特徴。
―「有機」ならではの味わいの魅力や特徴はどこにありますか。
羽場 希少な有機栽培の雄町米を精米歩合45%まで磨き上げ、五感を研ぎ澄ませて醸しています。有機ならではの、力強くもピュアな米の生命力を感じる唯一無二の旨味が特徴です。桐箱に収められた上質な佇まいは、特別な日の一本や、大切な方へ届ける真心の象徴としてもふさわしいものです。農家さんへの敬意を込めたこのお酒は、一口ごとに米の純粋な力強さが伝わってきます。環境に配慮したものを選びたいという思いを持つ方にとっても、自信を持って選んでいただける品質に仕上げています。
―どのような方々に注目されていますか。
羽場 日本酒を文化として捉える方々や、海外のファンの方々からも熱い支持をいただいています。私たちの選択が、結果として日本の美しい農業を守ることにも繋がっているという肯定感を、手に取ってくださる皆さまと共有していきたいと考えています。
―最後に、これからの未来に向けたビジョンをお聞かせください。
羽場 日本酒を単なる飲み物としてではなく、日本人の心に根ざした「精神文化」として次世代、そして世界へ繋いでいきたいという大きな夢があります。その一環として、私たちは「東蔵再生プロジェクト」を進めています。築100年を超える古い酒蔵を再生し、地域の伝統産業が集積する拠点を作ることで、日本の美しさを五感で体験できる場を提供したいと考えているのです。玉乃光の酒を飲むことが、日本の文化を守る一歩に繋がると感じていただけるよう、ブランドを育てていきたい、そのことで皆さまの毎日が少し豊かになる、そんな存在を目指して、これからも誠実な酒造りを続けてまいりたいと思います。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「備前雄町100%」
価格:¥2,750(税込)
店名:玉乃光酒造オンラインショップ
電話:075-611-5000(09:00~16:30)
定休日:土日祝
商品URL:https://ec.tamanohikari.co.jp/products/bizennomati
オンラインショップ:https://ec.tamanohikari.co.jp/

「有機 純米大吟醸 備前雄町100%」
価格:¥11,000(税込)
店名:玉乃光酒造オンラインショップ
電話:075-611-5000(09:00~16:30)
定休日:土日祝
商品URL:https://ec.tamanohikari.co.jp/products/organic_omachi
オンラインショップ:https://ec.tamanohikari.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
羽場洋介(玉乃光酒造株式会社 代表取締役社長)
1979年生まれ。公認会計士として企業の監査やコンサルティングに従事し、30代で飲食業を経営。コロナ禍を機に350年以上続く家業の灯を守ることを決意し、2023年9月に14代目代表取締役社長に就任。異業種の経験を活かした客観的な視点で「食中酒」としての日本酒の価値を再定義し、伝統文化の継承と再生に尽力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/玉乃光酒造>




























