
器まで海の旨みたっぷり!青森・八戸から届く「器ごと食べるSDGsなほたてグラタン」
2026/05/12
今回、編集長のアッキーが注目したのは、最後の一口までおいしく味わえる、「器ごと食べるSDGsなほたてグラタン」です。スプーンを入れれば「パリッ」と小気味よい音が響き、中からは魚介の旨みが凝縮された濃厚なホワイトソースがとろけ出します。
この「食べられる器」の背景には、震災とコロナ禍という2度の大きな逆境を、持ち前の遊び心と執念で乗り越えた、作り手の挑戦がありました。取材スタッフが、青森県に本社を構える、宝成食品株式会社 代表取締役社長の河村隆衛氏にお話を伺いました。

宝成食品株式会社 代表取締役社長の河村隆衛氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
河村 起業したのは2009年、26歳のときです。当初はかにの加工と販売からスタートしたのですが、創業3年目の2011年に東日本大震災が発生し、当時、弊社が委託加工をお願いしていた陸前高田市の工場と、そこへ配送中の原料もすべて津波で失ってしまったのです。絶望的な状況でしたが、そこで立ち止まるわけにはいきませんでした。「ここ八戸で、自分の手でものづくりをしたい」と決意し、5月には八戸市内で工場を借りて製造を再開したのです。このとき抱いた「地域の味を守り、雇用を生み出す」という覚悟が、今の商品開発の原点となっています。



東日本大震災を乗り越え、地元の生産者と協力しながら、新しい名産品を八戸から発信し続けている。
―あえて厳しい水産業界で起業された背景には、どのような思いがあったのですか?
河村 商売の楽しさを肌で感じたのは、幼いころに祖母と過ごした時間がきっかけでした。現在は八戸には毎週日曜日に「館鼻岸壁(たてはながんぺき)朝市」という大きな市場が開かれるのですが、小学生のころは陸奥湊駅という八戸港から近い駅前で、毎週朝市が開催されていました。そこで、自分たちで採った山菜や、自分で釣った魚を祖母と一緒に売りに行っていました。お客さまと直接触れ合い、喜んでいただき、お小遣いをもらう体験が、私の商いの根幹にあります。
両親は公務員と銀行員という家庭で、起業には猛反対されました。しかし、どうしても大好きな「魚食文化」に携わる道を選びたかったのです。社名の「宝成(ほうせい)」には、人との縁という「宝」を大切に育み、形にしていきたいという願いを込めています。現在は、市場で余ってしまう魚を有効活用するために寿司店やラーメン店も展開しており、地域の自然の恵みを無駄にしないフードロス削減を、企業として果たすべき当たり前の責任として捉えています。
―今回ご紹介するグラタンシリーズの原点となった、「かにグラタン」誕生のきっかけには大きな危機があったそうですね。
河村 食べられる容器の開発は、コロナ禍でかにの甲羅が日本に全く入らなくなるという危機がきっかけでした。もともと弊社では本物のかにの甲羅を器にした商品を作っていたのですが、年末商戦を控えて原料が欠品するという事態に直面したのです。
「甲羅がないなら、自分たちで新しい器を作ってみよう。いっそ丸ごと食べられる器にできれば、お客さまにも喜んでいただけるのではないか」というアイデアが生まれました。プラスチック容器という選択肢もありましたが、ゴミも出ず怪我の心配もない、遊び心のある食べられる器に挑戦したかったのです。
そこからアイスクリームのコーンメーカーなどに片っ端から電話をかけ、最終的に大阪の最中(もなか)の機械メーカーに辿り着きました。社長に直接想いを伝えると「おもしろそうですね」と意気投合してくださり、本物の甲羅から型を取って半年かけて特注の金型を完成させたのです。伊勢海老ペーストを加えることで香りをより一層引き立てたその味わいは、大手スーパーのクリスマス用おそうざいとしても採用されるほどのヒット作となりました。



本物の甲羅の代わりに、食べられる器を採用した「かにグラタン」。
―その技術を進化させて生まれたのが、「器ごと食べるSDGsなほたてグラタン」なのですね。
河村 かにグラタンで培った食べられる容器の技術を、次は青森の名産品である「ほたて」のために使いたいという地元愛から開発がスタートしました。近年、陸奥湾(むつわん)産のほたてが稚貝の死滅により数が減少していることを憂い、地元の宝を丸ごと味わってほしいという願いを込めたのです。
また、器の原料には青森県産米「まっしぐら」の米粉を配合しました。これにより、環境への配慮と地域の農業支援を同時に叶える、真の意味でのSDGsを目指しています。

「かにグラタン」の器ごと食べる発想を生かして開発した「ほたてグラタン」。
―こだわりについて詳しく教えてください。
河村 まず具材には、陸奥湾産のベビーほたてを贅沢に丸ごと2つトッピングすることで、噛むたびに溢れるほたての甘みと弾力をしっかりと感じていただけるようにしました。さらに、器自体にもほたてのエキスを練り込んでいるため、焼き上げた瞬間からほたての香りが広がります。
また、米粉を配合したこの器は、ソースの水分に負けない絶妙な強度を追求しました。冷凍状態から完全解凍してトースターで焼くことで、「カリッ」としたクリスピーな食感になります。中身のホワイトソースは、玉ねぎのペーストをふんだんに使った秘伝のレシピで、香ばしい器と一緒に食べたときに最高の相性になるよう何度も調整を重ねて完成させました。まさに青森の海と大地の恵みが一体となったおいしさです。

具材には陸奥湾産のベビーほたてを使用し、器にもほたてエキスが練り込まれた贅沢な逸品。
―自宅での楽しみ方を教えてください。
河村 完全解凍してからオーブントースターで14分ほど焼くだけで、本格的な味をご自宅で楽しめます。夕食のメインにはもちろん、お酒のお供としてゆっくり味わうのもおすすめです。最後の一口まで丸ごとおいしく食べ終えられる清々しさは、日常の中にちょっとした驚きと満足感を与えてくれるはずです。
また、青森の新しいおみやげとしても人気で、お客さまからは「ホワイトソースがおいしい」という声や、本物の貝殻と違って安全なため、保育園や高齢者施設からも評価をいただいています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
河村 「青森の宝を世界へ届けること」が目標です。現在は、ほたて型の食べられる容器にアイスクリームを詰めるという、ワクワクするような新構想が進行しています。売上10億円という目標も掲げていますが、それはより多くの地域の宝を救い、届けるための通過点に過ぎません。震災から立ち上がった八戸の企業として、常に新しいこと、に挑戦し続ける背中を次世代に見せ、地域全体を活気づけていきたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「器ごと食べるSDGsなほたてグラタン」
価格:¥324(税込)
店名:青森発うまいもんマルシェ
電話:0178-20-0521(9:00~17:00)
定休日:水・日・祝日
商品URL:https://item.rakuten.co.jp/umaimon-marche/hotategratin01/
オンラインショップ:https://www.rakuten.co.jp/umaimon-marche/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
河村隆衛(宝成食品株式会社 代表取締役社長)
1982年生まれ。2009年に26歳で宝成食品株式会社を設立。創業3年目の東日本大震災で工場を失うも、自社製造への切り替えで再起を果たす。コロナ禍での資材不足を逆手に取った「食べられる器」の開発など、独自のアイデアで水産加工業に革新をもたらす。現在は「地域の宝を形にする」を信念に、寿司店やラーメン店、海外展開など多角的な経営で青森の魚食文化を支えている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/宝成食品>




























