
抹茶パフェを生み出した茶舗自慢のスイーツ「葛ねり」と「抹茶のサンマルク」
2026/02/27
今回、編集長のアッキーが注目したのは、「抹茶スイーツ」というジャンルを開拓した茶の老舗が手掛ける和洋菓子。消費期限が製造日から3日というこだわりの和菓子と、フランス菓子をオマージュしたお取り寄せでしか味わえない洋菓子に込められたこだわりは?株式会社京はやしや 代表取締役の林屋牧男氏に、取材陣がお話を伺いました。

株式会社京はやしや 代表取締役の林屋牧男氏
―創業からの歩みをお聞かせください。
林屋 1753年に石川県金沢市で創業した茶店が始まりです。京都府宇治に茶園を取得し、栽培から製造、流通までを担っていた時代もあります。「加賀棒茶」で親しまれている茎を煎じた茎茶は、3代目が発明しました。4代目が世界初のインスタントティーを開発するなど、茶の製造販売を主業としてきましたが、父の代で日本茶を出す喫茶店を開業。そこで菓子の製造を始めます。私が6代目を継いだ後は、時代の流れを鑑みて茶カフェに力を入れるようになりました。2026年現在、関東を中心に6店舗展開しています。

1753年創業の店を初代が引継いで以来270年以上続く茶舗。

東京ミッドタウン日比谷など関東を中心に展開する茶カフェでは日本茶の魅力を堪能できる。
―社長ご自身のご入社は?
林屋 実は会社を継ぐまでは獣医でした。全国に13ほどの動物病院を持っていましたが、父の逝去に伴ってそれらをほとんどお譲りして家業を継承しました。茶舗に生まれ、工場を併設した広い茶園で育ちましたから、茶への理解はありました。
―継承後に茶カフェ業態へと舵を切られたとのことですが……。
林屋 ペットボトルのお茶が台頭し、リーフティの売上が激減していたのです。茶葉の売上のみでは先細りすると判断しました。
5代目である父が喫茶店を始めたのは1963年。当時の喫茶店はコーヒーやコーラのようなハイカラな飲み物を楽しめても「茶を喫する」場所ではなかったことから、日本茶を提供する喫茶店を始めました。そこで抹茶を使った菓子も作るようになったのです。茶席のみでふるまわれる抹茶を、堅苦しくなくいろいろな形で楽しんでもらいたいという想いがあったようです。1967年には京都に「喫茶京はやしや」をオープンし、元祖と言われる抹茶パフェが人気を博すようになりました。
そんな父の想いが込められた抹茶の喫茶店を、時代に沿った形に変え「茶カフェ」として東京に出したのが2004年でした。店舗では選りすぐりのお茶を使ったカフェメニューやスイーツを提供できるよう、斬新な商品や時代のニーズに応えるメニュー開発を心がけています。

抹茶の魅力を余すところなく楽しめるようにと開いた喫茶店。

今や定番化した抹茶パフェは京はやしやで生まれた。
―「葛ねり」について教えてください。
林屋 10年ほど前に完成し、今では京はやしやを代表する菓子になっています。こだわりの石臼挽き抹茶を使用、和三盆で優しい甘みを出し、牛乳や生クリームを加えて葛で練り上げたもの。ねっとりとした独特の食感を出すために、毎朝職人が手作業で仕上げています。濃厚ながら後味はしつこくなく、抹茶の香りをしっかり感じられると思います。食感を残しつつ抹茶の風味を飛ばさない火の入れ具合が難しく、社内でも限られた職人にしか作れません。
お客様からのご要望を受けてほうじ茶葛ねりも作りました。抹茶と同じようにすればいいというのではなく、香りの出し方が違いますから難しかったです。苦味や焦げ臭は抑えつつ香ばしさは残るように気をつけました。多くは作れませんが、大量生産のラインに乗せてしまうと別物になりますから、手作りならではの味を大切にしています。

プルプルとももっちりとも違うねっとりとした独特の食感。

しっとり感を保つため包むのに使われる笹の葉の香りも良い。
―「抹茶のサンマルク」についてもお聞かせください。
林屋 ムースやプリンのようなしっとりとした生地と抹茶味のスポンジ生地をバランス良く合わせたいと考えたのが出発点。2色のムースをビスキュイジョコンド(アーモンド入りスポンジ生地)でサンドし、表面をカラメリゼするフランスの伝統菓子「サンマルク」を抹茶でアレンジしました。お取り寄せ専用商品で、冷凍でお届けします。解凍してお召し上がりいただけますが、そのままアイスケーキとしてもおいしいと思います。抹茶はもちろん、コーヒーとの相性も良いですよ。

抹茶味のビスキュイジョコンド生地で、抹茶クリーム、ココナッツ風味のバニラムースをサンドし、
上のビスキュイ生地にキャラメリゼを施した6層仕立て。
―今後の展望をお聞かせください。
林屋 今後はやはりネット販売が主流になってくるのだと思っています。実店舗に関しては、人手不足もありますし、弊社の場合は細かい手作業が必要なメニューが多いので、どんどん増やすというのは難しいでしょう。お客様が望まれることを考えながら、本当においしいと思う物を丁寧に作って販売していけたらいいですね。抹茶の価格が恐ろしいほどに高騰していますが、すべて商品価格に転嫁するわけにはいきませんから、創意工夫を凝らしていく必要があります。
余談ですが、創業270年ほどで私が6代目と言うと、1代の在職期間が長いことに、多くの方が驚かれます。お茶を飲んでいると長生きなのかもしれませんね(笑)。初代から先代まで、新しいことにどんどん挑戦してきた会社です。初代は当初、古着とお茶を売っていて、薬にもなるほど人の役に立つものだから家業にふさわしいとお茶一本に絞ったそうです。2代目は、北海道と大阪を日本海繋ぐ物流船、北前船の活用に長けた人だったと聞いています。3代目は先述の通り加賀棒茶を開発しました。4代目は茶の抽出液を乾燥して粉末にする画期的なインスタントティーを発明しました。これは社史に残る大ヒット商品となりました。5代目である父は、廃れゆくと言われた抹茶をスイーツという形にして再評価のきっかけを作りました。
こうして振り返ってみると、お茶を守り広めるために新しいことへ取り組んできた歴史があります。ある意味では保守であり、別の見方では革新的。私はこれからも、保守と革新の両方を大事にしていきたいと思っています。そして、最も大切なのは、自分がおいしいと思うものをお客様に提供すること。自信をもってお勧めできる店づくりや商品開発を続けてまいります。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「葛ねり(くずねり)」(冷蔵/6個2種セット/竹籠入り)
価格:¥3,735(税込)
店名:京はやしや 公式オンラインショップ
電話:0120-884-846(平日 10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kyo-hayashiya.jp/item/kuzuneri-006-002-takekago/
オンラインショップ:https://shop.kyo-hayashiya.jp/

「抹茶のサンマルク」(冷凍)
価格:¥3,024(税込)
店名:京はやしや 公式オンラインショップ
電話:0120-884-846(平日 10:00~18:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kyo-hayashiya.jp/item/matcha-saint-marc/
オンラインショップ:https://shop.kyo-hayashiya.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
林屋牧男(株式会社京はやしや 代表取締役)
1949年京都府宇治市生まれ。1973年日本獣医畜産大学卒業獣医師免許取得。1979年に動物病院を開業し、全国に13動物病院開設。1995年林屋家5代目父の永眠後、祖業である茶業を継承。リーフ茶の販売低迷ペットボトル茶の躍進をみて茶カフェ業態へ転換を図り現在に至る。
<文/植松由紀子 MC/田中香花 画像協力/京はやしや>




























