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470年の歴史と「繋がる」体験。新潟の老舗酒蔵が提案するエコな日本酒サービス「カヨイ」

2025/12/05

今回、編集長のアッキーが注目したのは、自宅にいながら蔵元と直接つながる体験ができる、日本酒サービス「カヨイ」です。専用のステンレスボトルが蔵と自宅を行き来する、まさに現代の”通い徳利”。普段はなかなか飲めない特別なお酒が詰められ、自宅へと戻ってきます。新しい日本酒の楽しみ方を提案する背景には、470年以上の歴史を持つ新潟最古の酒蔵の伝統と、社長の強い課題意識がありました。取材スタッフが、吉乃川株式会社 代表取締役社長の峰政祐己氏に話を伺いました。

吉乃川株式会社 代表取締役社長の峰政祐己氏

吉乃川株式会社 代表取締役社長の峰政祐己氏

まず、吉乃川の長い歴史と、受け継がれてきた酒造りへのこだわりについてお聞かせください。

峰政 吉乃川の創業は1548年(天文17年)、上杉謙信が活躍した戦国時代に遡ります。470年以上の歴史を持つ、新潟県で最も古い酒蔵です。創業以来、原料となるお米は新潟県産にこだわっています。

仕込み水には、敷地内の地下深くから湧き出る信濃川の伏流水「天下甘露泉(てんかかんろせん)」だけを使用。これはミネラルをバランスよく含む軟水で、吉乃川特有の「飲み飽きしない、さらりとした口あたり」を生み出す源です。目指しているのは、料理を引き立てる名脇役のような、毎日飲んでいただけるお酒ですね。

そのために、私たちの酒造りは「機械化はしても自動化はしない」ことを信条としています。伝統の技と手仕事で醸す「手造り大吟醸」を基本とし、人の感覚を何よりも大切にしています。

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新潟県で最も古い歴史を持つ吉乃川の蔵。2019年には、顧客との交流拠点として
「吉乃川 酒ミュージアム『醸蔵(じょうぐら)』」をオープンし、
新たな酒文化の発信地となっている。

どのような経緯で吉乃川に入社され、社長に就任されたのでしょうか。

峰政 私は兵庫県生まれで、吉乃川のオーナー家とは無縁です。大学卒業後はマーケティング専門会社に入社し、その取引先の1社として吉乃川を担当したのが最初の縁です。当時から吉乃川のお酒は大変おいしいと感じていましたが、シェアを調べると200人に1人しか飲んでないということが分かったのです。「これなら、100人に1人にすることができるはず」と、マーケターとしての純粋な課題意識から入社を決意しました。その後、2016年に先代社長と製造部長が相次いで急逝されるという危機的な状況があり、まだ後継者が若いということから、私が社長に就任することになりました。

今回の商品「カヨイ」が生まれた背景をお聞かせください。

峰政 社長に就任してから改めて私たちの課題を考えていくと、スーパーやコンビニでの販売や比較的量が多く出る飲食店さんでの販売が中心のため、「顧客の声が蔵に届きにくい」ということに気づきました。お客様が飲んでどう感じたのか、その反応が見える仕組みを作るためには、流通との関係性を考える必要があります。同時に「直接つながる接点」が必要だと考え新たな見学施設吉乃川酒ミュージアム『醸蔵』を開設しました。

一方で、私は、ブランドとは「お客さんの中に記憶としてどう残るか」だと考えています。新たな顧客接点を作る中で、特別な流行りのお酒は必要なのですが、そのままネットで販売しても、お客様は吉乃川のお酒を覚えてくれないのではないか、であれば、吉乃川の特別なお酒を欲しいと思う人に届けたいと考えたのです。

そこで着想したのが、江戸時代の「通い徳利」でした。徳利を酒屋に持っていき、お酒を詰めてもらう仕組みです。これを現代で実現できないかと考え、「ステンレスボトルにロット番号を入れれば、蔵とお客さんの間を行ったり来たりできるサービスが作れるんじゃないか」とひらめきました。そうして、お客様との継続的な関係性を築くためのサービスとして「カヨイ」が生まれました。

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かつての「通い徳利」を現代版にアップデートした専用ボトル。
ボトルを返送すると、また洗浄されて新しいお酒が入って戻ってくる。

「カヨイ」は、単なるお酒の通販とは全く異なる、ユニークなサービスですね。

峰政 はい。「カヨイ」の最大の特徴は、単にお酒(モノ)を売るのではなく、「蔵とつながる体験」を提供するサービスであることです。お家と酒蔵が、専用のボトルを介して直接つながる新しいスタイルですね。お届けするお酒は、そのときどきで変わる「特別なお酒」です。例えば、月替わりでご用意するものなど、普段はなかなか蔵元でしか飲めないような限定のお酒を愉しんでいただけます。

そのお酒を詰める専用ボトルは、地元・長岡の金属加工企業と協業して開発した、フルステンレス製のオリジナルです。お客様専用の「マイボトル」として、飲み終わったら蔵に送り返していただき、また新しいお酒を詰めてお届けします。ボトルを繰り返しリユースするため、「エコ」の点でも優れていると、サステナビリティに関心の高いお客様からも支持をいただいています。

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遮光性に優れたステンレス容器は、デリケートな日本酒の品質保持にも最適。
洗練されたフォルムは、和食だけでなく洋食のテーブルにも自然と馴染む。

お客様の反応はいかがでしたか。

峰政 サービス開始前にクラウドファンディングを実施したのですが、目標額50万円に対し、10倍を超える530万円というご支援が集まりました。これにより、従来の日本酒ファンだけでなく、「サステナビリティ」に関心の高い新たな顧客層の開拓にもつながったと感じています。お客様の中には、サービス開始から「ほぼ皆勤賞」というくらい毎月欠さず注文してくださる熱狂的なファンの方もいらっしゃるほどです。まさに私たちの狙いであった「顧客との継続的な関係構築」が実現できていると感じますね。

―最後に、未来に向けたビジョンをお聞かせください。

峰政 今、日本酒は若い人たちの間でブームになっていると思います。ただ、その中で「手の届きにくい伝統工芸品」になってしまってはいけないと思います。お酒は嗜好品なので、日常の楽しみとして、未来に残していくことが、私たち比較的大きな地方蔵の責任とも感じています。そのために、「カヨイ」のような特別な体験を提供する「感動の酒」と、スーパーなどで気軽に買える「満足の酒」、つまり日常の酒の両方を追求し続けることが重要だと考えています。県内の同業大手の経営者の皆さんとも「日常的に楽しまれるお酒(普通酒)こそが新潟の酒の土台として守っていこう」という話をしています。スッキリと飲みやすい新潟のお酒をより多くの人に伝えていけるよう、これからも、地元・長岡の「醸造発酵の街」としての地域文化を守り、磨き続けることを使命として、取り組んでいきます。

―貴重なお話をありがとうございました!

カヨイ

「カヨイ」
価格:初回 ¥11,000(税込)おかわり ¥5,000(税込)
※価格は時期によって変動する事があります
店名:吉乃川公式オンラインショップ
電話:0258-77-9910(9:30-16:30 火曜日 年末年始除く)
商品URL:https://sake-yoshinogawa.shop/view/page/kayoi
オンラインショップ:https://sake-yoshinogawa.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

峰政祐己(吉乃川株式会社 代表取締役社長)
1972年、兵庫県西宮市生まれ。横浜国立大を卒業後、東京都内のマーケティング会社に入社。食品関連会社の営業支援などを担っており、吉乃川は顧客だった。2008年、吉乃川に入社し、2016年に同社代表取締役社長に就任。2025年からは新潟県酒造組合の副会長も務める。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/吉乃川>

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