
醤油のようで醤油じゃない?素材の味を引き立てる旨み調味料「足助仕込三河しろたまり」
2025/11/26
毎日のお料理、味付けがマンネリになっていませんか。いつもの素材でも、調味料一つで食卓は見違えるほど豊かになります。今回、編集長のアッキーが注目したのは、「足助仕込三河しろたまり」です。琥珀色に輝くこの調味料は、厳密には「醤油」ではありません。その理由は、大豆を使わず、小麦の旨味と甘みを極限まで引き出したから。素材の味を決して邪魔しない、クリアな旨味が特徴です。その背景には、理想の味を追い求めて仕込蔵ごと山奥へ移設したという、作り手の執念の物語がありました。愛知県に本社を構える、日東釀造株式会社の代表取締役 蜷川洋一氏に取材陣がお話を伺いました。

日東釀造株式会社 代表取締役の蜷川 洋一氏
― はじめに、御社のこれまでの歩みについて教えていただけますでしょうか。
蜷川 大正期に創業し、1938年(昭和13年)に私の祖父が事業を引き継ぎました。私で4代目です。創業以来、醸造業が盛んなこの愛知県碧南市の地で、歴史を紡いでいます。

先代と蜷川洋一氏。
醸造業が盛んな愛知県碧南の地にて、大正期に創業。
伝統の技と探究心は、時代を超えて今に受け継がれている。
― 蜷川社長は、家業を継がれる前に別の会社で経験を積まれたそうですね。
蜷川 大学時代から実家の仕事をしようと決めていましたが、先代に相談し、一度、名古屋にある業務用の酒販店に就職しました。弊社の商品も扱ってくださっているお店です。目的は、飲食店やホテルの厨房まで配送業務で入っていき、自分たちが作った商品が現場でどう使われているのかを直接見て勉強をすること。2年間の修業を経て、1984年に日東醸造に入社。1994年に社長に就任しました。
― 今回ご紹介いただく「足助仕込三河しろたまり」ですが、開発の経緯をお聞かせください。
蜷川 「しろたまり」を始めたのは約30年前、ちょうど代替わりの頃ですが、発端は先代が「白醤油が気に入らない」と感じていたことでした。従来の白醤油は、色の薄さが最大の特徴です。その色を保つため、旨みの元になる大豆を極端に減らし、小麦を9割以上使っていました。その結果、旨みが普通の醤油の3分の1ほどしかなかったのです。さらに、色が濃くなるのを遅らせるために塩分を高く(約18%)する必要があり、どうしても“しょっぱさが目立つ”という欠点がありました。「色の薄さ」と「旨み」、この両立の難題をなんとかしようとしたのが「しろたまり」の開発の始まりです。


素材の色と味を生かす白醤油の特性を、さらに追求した調味料。
― その難題を、どのように解決されたのでしょうか。
蜷川 発想をガラッと変え、「小麦の量を倍にして、大豆をやめる」という製法にたどり着きました。試行錯誤には5年ほどかかりました。小麦を倍量使うことで、小麦のでんぷん質が糖に変わり、自然な甘みと旨みが生まれます。これで塩分は高いままでも、しょっぱさを感じない理想のバランスが実現できました。ですが、大豆をゼロにした結果、JAS法上の「醤油」の定義から外れてしまいました。それでも一番気に入ったこの味を追求することを選んだのです。そのうえで、原料も徹底的に見直しました。小麦は地元・愛知県産だけを使い、塩は、当時まだ希少だった伊豆大島の伝統海塩「海の精」を採用しました。



厳選された小麦と塩、そして清冽な井戸水。
すべてが木桶の中で一体となり、唯一無二の「しろたまり」へと熟成されていく。
蜷川 何よりこだわったのが水です。本社で使っていた水に満足できず、どうしても天然の井戸水を使いたいと探し回りました。本社から車で2時間近く離れた山奥の「足助(あすけ)」という土地で、廃校になった小学校の校庭に理想の井戸水を見つけたのです。今から27年前、その木造校舎を改装して「足助仕込蔵」を新設しました。今も、本社で麹を作ってトラックで運び、足助の蔵でその井戸水と「海の精」を使い仕込んでいます。熟成後にまた本社へ持ち帰り仕上げを行うなど、おいしさのために手間ひまをかけています。



愛知県の奥三河、足助町の山あいにある「足助仕込蔵」。
きれいな天然の井戸水を使うため、廃校となった小学校の校舎を改装した。
―まさに唯一無二の調味料ですが、家庭ではどのように楽しむのがおすすめでしょうか?
蜷川 初めての方は、まず「お豆腐」に少しだけかけて、味や香りを知っていただくのが一番です。あとは「卵焼き」ですね。お砂糖を入れなくても、卵の甘みが引き立って、色も茶色くならずにきれいに焼けると思います。他にも、付属のタレの代わりに「納豆」にかけると、納豆本来の味がよく分かりますし、お刺身ならマグロより白身魚やイカによく合います。ごま油と合わせて中華風の和え物にもなります。ただ一つポイントが。色が薄いのでつい多めに入れてしまいたくなりますが、塩分は普通のお醤油より高いので、「少なめに使う」ことを意識してくださいね。

おすすめの卵焼き。
砂糖なしでもほんのり甘く、美しい黄色に仕上がる。
―和食だけでなく、いろいろな使い方ができるんですね。プロの方からの評価も高いそうですね。
蜷川 もともと白醤油自体がプロの料理人さん向けの調味料なんです。「しろたまり」も、今はアメリカやフランス、オーストラリアといった海外のフレンチやイタリアンのシェフにも使っていただいています。彼らからは、素材の味を邪魔しない点を評価されています。ポタージュスープに数滴たらしたり、カルパッチョに使ったり。魚介系のピザにスプレーで吹きかけると香りが立つ、なんていう使い方も聞きました。国内ですと、こだわりの食材を扱うスーパーや百貨店などで置いていただいています。
― 海外のシェフにも広がっているとは驚きです。今後の展望についてお聞かせください。
蜷川 海外での面白い使い方をもっと知りたいですし、輸出はこれから増やしたいです。一方で、近年の異常な暑さや集中豪雨など、気候変動によって農産物などの大事な原材料が確保しづらくなっているという課題もあります。ですから今後は、無理にたくさんは作らない。「自分たちが作り手として自信が持てるもの」を、いいものが作れる量だけ作り、その価値を分かってくださる方へいかに伝えていくか、だと考えています。売上規模がたとえ小さくなったとしても、継続できる事業の仕方を考え続けていきたいです。
―貴重なお話をありがとうございました。

「足助仕込三河しろたまり」
価格:594円(税込)/150ml、 864円(税込)/300ml、 2,916円(税込)/1.8L
店名:日東醸造オンラインショッピング
電話:0566-41-0156(10:00~17:00 土日祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://nitto-j.com/shopping/shopping-1218/
オンラインショップ:https://nitto-j.com/shopping/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
蜷川洋一(日東釀造株式会社 代表取締役)
1959年愛知県生まれ。大学卒業後、名古屋市の酒類販売店で2年間業務研修、1984年日東醸造入社、1994年から代表取締役を務める。以来、先代が考案した究極の白しょうゆ「しろたまり」の普及活動を中心に取り組んでいる。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/日東釀造>




























