
明治の文豪も愛した日比谷松本楼から届く、ご褒美「厳選美食スープセット」
2025/11/05
今回、編集長のアッキーが注目したのは、「日比谷松本楼 厳選美食スープセット」です。完熟トマトたっぷりの「ミネストローネ」、えびの旨みと生クリームのコクが際立つ「えびのビスク」、あさりとベーコンが入った濃厚な「クラムチャウダー」という、レストランの本格的な味わいが楽しめるセット。手がけるのは、120年以上の歴史を誇るレストラン「日比谷松本楼」です。
歴史を守りおいしさを伝える老舗の物語と商品に込めた思いを、株式会社日比谷松本楼代表取締役社長、小坂文乃氏に取材陣が伺いました。

株式会社日比谷松本楼 代表取締役社長の小坂文乃氏
―日比谷公園の歴史と共に歩まれた120年。その道のりについてお聞かせください。
小坂 1903年、日本初の洋式公園として日比谷公園が誕生。私どもの歴史は、この日比谷公園と同時に始まりました。公園の設計思想には「美しい花壇」「音楽が聴ける場所」「食事ができる場所」という3つの要素があり、その「食事」を担う役割をもって生まれたのが松本楼です。創業者である曽祖父・小坂梅吉は、西洋料理という新しい文化をこの東京の中心から発信してきました。
オープン当初は、夏目漱石や高村光太郎、石川啄木といった文豪の方々にも足を運んでいただいたそうです。このような方々がステーキやアイスクリームを味わい、ご自身の作品で紹介してくださったことで、少しずつ西洋料理が広まったと聞いております。

夏目漱石や高村光太郎など、多くの文豪に愛された「日比谷松本楼」。


日比谷の緑に包まれたレストラン。
1階は洋食の「グリル&ガーデンテラス」、
3階はフランス料理「ボア・ド・ブローニュ」。
小坂 しかし、その後の歩みは決して平坦なものではありませんでした。まず、関東大震災で木造だった最初の建物が倒壊。再建するも、戦後はGHQの管理下に置かれ、6年半もの間、営業ができない時期もありました。そして最大の試練が、1971年11月19日に起きた学生運動による火炎瓶での全焼です。何の落ち度もない中で全てを失い、父はもう再建できないと諦めかけたそうです。
その時、私たちを救ってくださったのが、松本楼を愛してくださっていたお客様でした。「思い出の場所をなくさないでほしい」というお手紙や励ましの声が全国から届き、マスコミの方々も応援してくださったおかげで、再建への道が開けたのです。このご恩に何かお返しがしたいという感謝の思いから、チャリティーイベントを始めました。再建記念日である9月25日にカレーを10円で提供しています。今では50年以上続く恒例行事となり、お客様との絆の象徴となっています。

現在の「日比谷松本楼 日比谷本店」。
緑豊かな空間で、本格的な洋食とフレンチを楽しめる。
―小坂社長は、当初から家業を継ぐご意思があったのでしょうか。
小坂 いいえ、全くありませんでした。私は次女で、姉が跡を継ぐものだと思っていましたから。中学高校時代をイギリスで過ごしたこともあり、海外で暮らしたいという気持ちが強かったのです。大学卒業後はイギリスの陶磁器ブランド「ウェッジウッド」の日本法人に就職しました。
しかし、その姉が海外転勤の多い方と結婚して日本を離れることになり、思いがけず私が家業を継ぐことになったのです。2018年に父が亡くなり、そこから本格的に社長業を引き継ぎましたが、直後にコロナ禍に見舞われ、本当に大変な3年間でした。
―120年という歴史の重みを、どのように受け止めていらっしゃいますか。
小坂 父はここで生まれ育ちましたから、松本楼は「自分の命そのもの」だと語っていました。ですが、私にとっては少し感覚が違います。創業者から始まり、歴代の社員、そして何より松本楼を愛してくださった数えきれないお客様の思いが積み重なった「大事なお預かり物」だと感じています。私の役割は、この大切な場所を、どんな時代の波が来ようとも、きちんと未来へ残していくこと。その責任を今、担っているのだと思っています。
―今回ご紹介いただく「厳選美食スープセット」は、どのような経緯で生まれたのでしょう。
小坂 以前からかぼちゃのスープなどは販売していましたが、「レストランで味わうような、もう少しリッチで、心からほっとできる贅沢なスープをご家庭でも手軽に楽しんでいただきたい」という思いから開発が始まりました。忙しい毎日の中で少しだけ自分を甘やかしたい時にぴったりの「小さなご褒美」。そうなるような、濃厚で具沢山なスープを目指しました。

レストランの感動を食卓へ。
「えびのビスク」、「クラムチャウダー」、「ミネストローネ」の3種。
―それぞれのスープのこだわりについて教えてください。
小坂 どのスープもレストランの厨房と同じように、素材の持ち味を最大限に引き出すことを大切にしています。「えびのビスク」は、甘みと酸味のバランスが絶妙なポルトガル産のトマトペーストを贅沢に使い、ソテーした香味野菜とじっくり煮込むことで、味の土台をしっかりと作ります。そこに濃厚なえびの旨みと香り高い白ワインを加え、仕上げに生クリームでまろやかさとコクをプラスしました。えびの豊かな香りと、幾層にも重なる味わいの深さを感じていただけるはずです。

凝縮されたえびの旨味と、香味野菜の奥深いコクが特徴の「えびのビスク」。
小坂 「クラムチャウダー」は、なめらかな口当たりの決め手となるベシャメルソースから丁寧に手作りしています。あさりとベーコンの旨みが溶け込んだソースに、隠し味としてパルメザンチーズを加えることで、ぐっと奥行きのある味わいに仕上げました。ゴロゴロと入った具材の食感も楽しく、お子様から大人まで、誰もが笑顔になるような、どこか懐かしくも本格的な一品です。

まろやかで本格的な味わいの「クラムチャウダー」。
隠し味のパルメザンチーズが、味に奥行きを加える。
小坂 「ミネストローネ」は、太陽の恵みをいっぱいに浴びたイタリア産完熟トマトのピューレをベースに、かぼちゃや人参のペーストを加えて、野菜本来の自然な甘みと旨みを引き出しました。口に含むと、トマトの爽やかな酸味と野菜の優しい甘みが溶け合い、豊かなハーモニーを奏でます。野菜がたっぷり摂れるので、忙しい日の朝食にもぴったりですよ。

野菜本来の旨みがたっぷり詰まった「ミネストローネ」。
―おすすめの楽しみ方はありますか?
小坂 もちろんそのまま温めてスープとして召し上がっていただくのが一番ですが、非常に濃厚で具沢山なので、パスタソースとして使うのもおすすめです。休日のランチに、このスープとパスタをあえるだけで、本格的な一皿が完成します。お気に入りのパンを添えて、休日のブランチにするのもいいですね。温めるだけでレストランの味を楽しめるので、頑張った日のご褒美ディナーとしても、きっと心も体も満たされるはずです。
―今後の展望についてお聞かせください。
小坂 かつて松本楼は「西洋の料理を伝える」という役割を担っていましたが、今の時代における私たちの使命は、「日本全国にまだ知られていない、素晴らしい食材を東京の真ん中から発信していくこと」だと考えています。
例えば、長崎県壱岐島(いきのしま)の「壱岐牛(いきぎゅう)」は、松阪牛の元牛になるほどおいしいですが、あまり知られていません。この壱岐牛をレストランでお出ししたところ、その味に感動したお客様が、実際に壱岐島へ旅行に行かれたという出来事もありました。
むやみに店舗を拡大するのではなく、日本各地の生産者の方々と深く繋がり、お客様に日本の食文化の豊かさを伝えていく。それが、これからの松本楼が目指す姿です。このスープを味わっていただくことが、日本の素晴らしい作り手を応援する一歩に繋がれば、これほど嬉しいことはありません。
―本日は素敵なお話をありがとうございました。

「日比谷松本楼 厳選美食スープセット」
価格:¥2,700~¥17,820(税込)
店名:日比谷松本楼
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hibiyamatsumotoro.shop/items/68a6c730f0ab5a39bb6f24ef
オンラインショップ:https://hibiyamatsumotoro.shop/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
小坂文乃(株式会社日比谷松本楼 代表取締役社長)
1968年生まれ。中学高校時代を英国で過ごす。立教大学社会学部観光学科卒業後、Waterford Wedgwood Japan(株)入社。その後、日比谷松本楼に入社、現在に至る。立教大学校友会副会長、日本フードサービス協会厚生年金基金理事。2019年農林水産大臣賞受賞。社業の傍ら、母方の曾祖父梅屋庄吉と中国の革命家孫文の歴史に関する講演や展示会を国内外で行う。2021年外務大臣賞受賞。長崎県民特別賞。上海市名誉市民。壱岐市観光大使、東京国立博物館評議員等を務める。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/日比谷松本楼>




























