
食卓が変わる、驚きの柔らかさ。日本初の技術で旨味を閉じ込めた「熟成阿波尾鶏」
2025/11/05
普段スーパーで何気なく選んでいる鶏肉。もし、その鶏肉がいつもの料理を”ごちそう”に変えてくれるとしたら、毎日の食卓がもっと豊かになると思いませんか。
今回、編集長のアッキーが注目したのは、驚くほど柔らかくジューシーな徳島県の地鶏を熟成した「熟成阿波尾鶏」です。手がけるのは、貞光食糧工業株式会社。日本で初めて導入されたという特許技術の「熟成庫」をはじめとしたおいしさの秘密を、取材陣が代表取締役社長の辻貴博氏に伺いました。

貞光食糧工業株式会社 代表取締役社長の辻貴博氏
―はじめに、会社の沿革と、鶏肉事業へ参入された経緯についてお聞かせください。
辻 弊社の創業は1941年で、実は鶏肉ではなく、食用大麦の加工から始まりました。もともとは、地域の米屋が集まって共同で設立した製麦工場だったんです。私の家も代々、米などの穀物や材木を扱っていました。製麦の過程で出る外側の皮やぬかを、牛を飼う農家さんへの飼料として販売しており、その農家さんとのお付き合いが鶏肉事業へ参入の基盤となりました。
1960年代に全国でブロイラー産業が発展する流れに乗り、当社もこの分野に参入。1969年に鶏肉の加工工場を設立しました。食生活の洋風化と共に事業を拡大し、創業時から受け継がれる「地域の食を支えたい」という思いが、形を変えて今の事業に繋がっています。

中国・四国地方で随一の規模を誇る食品工場。
―辻社長は家業を継がれる前に、別の会社で修業されたご経験があると伺いました。
辻 はい。ご縁があって、取引先でもあった昭和産業株式会社で3年ほど修業しました。配属されたのは食品部で、スーパーマーケット向けに小麦粉や天ぷら粉、サラダ油などを販売する営業を担当していました。作り手側の論理だけでなく、商品を売る小売りの現場、そして最終的に買ってくださるお客様の視点を学べたことが、非常に大きな財産になっています。
家業に戻って最初に担当したのは、新設したばかりの冷凍食品部門でした。当時はまだ売り先も定まっておらず、ずっと赤字が続く苦しい状況でしたが、前職での経験があったからこそ、「お客様に本当に喜んでもらえるものは何か」を考え抜き、本物のおいしさを追求する今の姿勢の礎になったと感じています。
―今回ご紹介いただく「熟成阿波尾鶏」は、どのようなきっかけで生まれたのでしょうか。
辻 かつて徳島はブロイラーの産地として栄えましたが、その後、宮崎や鹿児島といった大規模産地が次々と誕生しました。広大な土地を持たない徳島ではコスト競争力で太刀打ちできず、「同じものを作っていては未来はない」と、差別化の道を模索し始めたのです。徳島の山あいの地形は、大規模な養鶏には向きません。
しかし、その弱みを「一羽一羽に手間ひまをかけられる」という強みに変えようと考えました。徳島県には畜産研究所があり、県と一体となって徳島ならではの肉用鶏を開発し、誕生したのが「阿波尾鶏」でした。安さを追い求めるのではなく、「本当のおいしさ」という価値で選ばれる鶏肉を届けたい。その思いが開発の原動力でした。


ほどよい歯ごたえと、あふれる旨味が特長の「阿波尾鶏」。
ゆとりのある飼育小屋でのびのびと育てている。
―「熟成阿波尾鶏」の最大の特徴である「熟成」について、そのおいしさの秘密を詳しく教えてください。
辻 当社では、おいしさを科学的に追求する中で、日本で初めて特許技術の「熟成庫」を導入しました。なぜ、この鶏肉が冷めてもパサつかず、ジューシーなのか。その秘密は、あえて「待つ」という時間にあります。動物の肉は、処理後に肉質が一時的に硬くなります。鶏の場合は、それが5~6時間ほど。多くの工場では効率を重視して、この時間が終わる前に処理を進めてしまいますが、そうすると肉の繊維が縮んで硬くなってしまうのです。
私たちは、お肉が本来の柔らかさを取り戻すまで、骨付きのまま熟成庫でじっくりと待ちます。いわば、お肉が一番おいしくなろうとする力を最大限に引き出す、大切な時間です。これを経ることで、肉が縮むことなく、驚くほどの柔らかさを保つことができます。

特許を取得した熟成庫。 丸鶏のまま熟成させることで、
みずみずしさを保ったままやわらかい食感を実現できる。
―ほかにも、こだわりはありますか?
辻 鶏を冷却する工程にもこだわっています。一般的には水に長く漬けて冷やすのですが、それだと肉が水っぽくなってしまいます。そこで私たちは、水に漬ける時間を20分と短くしました。その後「エアチラー」という空気冷却に切り替え、余分な水分を飛ばして旨味をぎゅっと凝縮させています。
また、処理を行う前に鶏を眠らせてストレスを最小限に抑えたり、飼料によもぎや海藻、木酢液などを配合して健康な鶏を育てたりと、飼育から加工まで、すべての工程でおいしさのための手間を惜しみません。

飼育環境、飼料、処理・冷却、そして熟成。
すべての工程のこだわりがおいしさの理由。
―おすすめの食べ方や、特に熟成の効果がわかる部位があれば教えてください。
辻 これだけこだわって作った鶏肉ですから、まずはシンプルに塩こしょうで焼いて、素材そのものの味を確かめていただきたいです。どんな料理にも合いますが、特にチキンステーキや唐揚げにすると、その違いを実感いただけると思います。
この鶏肉の真価が最もわかるのは「むね肉」かもしれません。一般的にパサつきがちなむね肉が、驚くほどしっとりと柔らかく仕上がるんです。熟成の効果で冷めても硬くならず、おいしさが続きます。翌日のお弁当に入れても、ご家族にきっと喜んでもらえるはずですよ。いつもの親子丼や唐揚げが、まるでお店の味のようにランクアップします。手軽な贅沢をぜひお楽しみください。

シンプルな調理法でも素材の良さが際立つ。
もも肉はもちろん、むね肉でこそしっとりとした
「熟成阿波尾鶏」のおいしさがわかる。
―お客様からの反響はいかがですか?
辻 取引先であるスーパーのバイヤーさんからは、「他の鶏肉と食べ比べると、味の違いが圧倒的だ」という評価をいただいています。また、都内の有名レストランのシェフにもその味を気に入っていただき、お店のメニューに採用されています。食のプロが認める味をご家庭で気軽に楽しんでいただけるのは、私たちにとっても大きな喜びです。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
辻 私たちは生産者として、愛情込めて育てた鶏のおいしさを余すことなく食卓に届けたい、という思いを強く持っています。現在は、こだわりの鶏肉を原料に、温めるだけで本格的な味が楽しめる加工品の開発に力を入れています。原料の鮮度や安全性が高く、生産履歴もすべて明確なのは、大手メーカーにはない私たちの優位性だと自負しています。これからも、忙しい毎日を送る皆様の食卓を豊かにできるような、誠実な思いが詰まった新しい商品をお届けしていきたいです。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました!

「〈冷蔵〉熟成阿波尾鶏 もも肉 2kg」
価格:¥3,900(税込)
店名:貞光食糧工業オンラインショップ
電話:0883-63-5511(8:00~17:00 ※水・日曜日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.sada-base.com/items/62966080
オンラインショップ:https://shop.sada-base.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
辻貴博(貞光食糧工業株式会社 代表取締役社長)
1964年徳島県生まれ。昭和産業株式会社に入社し、3年の修業期間を経て1990年貞光食糧工業有限会社(現、株式会社)入社。2005年同社代表取締役社長に就任。地域貢献活動にも注力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/貞光食糧工業>




























