母の味を食卓へ!神戸牛の肉感を楽しむ「佃煮」と脂の旨みを味わう「しぐれ煮」

2026/04/30

今回、編集長のアッキーが注目したのは、母の味を再現した職人技の傑作「神戸牛 佃煮・しぐれ煮」です。明治創業の老舗が手がけるこのセットは、赤身の肉感を堪能できる「佃煮」と、神戸牛特有の脂がとろける「しぐれ煮」という、対照的な二つの味わいが魅力です。職人が肉の繊維を見極めて包丁を入れ、一晩寝かせて丁寧に余分な脂を除くなど、専門店ならではの妥協なき手仕事が、炊きたてのご飯を何倍もおいしく彩ります。

その背景には、一度は途絶えかけた「母が作ってくれたお弁当の味」を蘇らせた、4代目店主の温かな思いがありました。取材スタッフが、兵庫県神戸市に本社を構える、有限会社辰屋 代表取締役の辰己真一氏にお話を伺いました。

有限会社辰屋 代表取締役の辰己真一氏

―まずは、御社の歩みについて教えてください。

辰己 1900年(明治33年)、神戸の元町で小さなお肉屋として創業したのが辰屋の始まりです。当時は町の精肉店として近隣の方々に親しまれる小売が中心でしたが、時代の移り変わりとともに姿を変えてきました。高度経済成長期のスーパーマーケットの台頭や、牛肉の輸入自由化といった大きな波が押し寄せる中で、小売だけでなく、レストランなどへの業務用卸にも力を入れるようになったのです。

一方で、景気の変動により「安ければいい」という風潮が強まり、私たちが大切にしてきた「本当にいいお肉」の価値を守るのが難しい時期もありました。そこで2000年、当時としてはまだ早かった、インターネット販売へと舵を切ったのです。老舗の看板を守ることは、ただ形を維持することではありません。時代のニーズに合わせて挑戦し続ける「攻めの姿勢」こそが、今日まで信頼をいただいている理由だと考えています。

明治から続く神戸牛専門店。町の精肉店から始まり、現在はオンラインショップも通じて全国へその品質を届けている。

―4代目として継ぐことを決めた経緯をお聞かせください。

辰己 小学生の頃から近所への配達や肉の加工を手伝っていましたから、神戸牛は常に生活の一部でした。ただ、大学卒業を控えた時期には、一度は外の世界を見ようとスーツを着て就職活動も経験したのです。実際に面接にも足を運びましたが、4月の入社時期が近づくにつれ、「やはり家業を継ぐべきだ」という思いが強くなりました。

外の世界に目を向けたからこそ、家業が持つ価値や魅力を再認識できたのだと思います。入社当時は接客から加工まであらゆる業務をこなしました。世代を超えて受け継がれる温かな空気を大切にしながら、次の100年を見据えていきたいと考えています。

―セットになっている「佃煮」と「しぐれ煮」。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

辰己 このセットは、神戸牛の異なる魅力を一度に味わっていただけるよう、対照的な二つの商品を詰め合わせました。「佃煮」は、神戸牛の赤身が持つ力強い肉感をダイレクトに堪能できる一品です。対して「しぐれ煮」は、すき焼き用の薄切り肉を使用することで、神戸牛特有の脂の甘みがとろけるような食感を楽しめる仕上がりになっています。中でも「佃煮」には、私にとって非常に深い思い入れがあります。かつて宅急便のような配送方法がない時代には、生のお肉を全国に届けることができず、その代わりに日持ちのする味噌漬けと佃煮が定番商品となっていましたが、時代の変化とともに製造が途絶えていた時期がありました。しかし、私の記憶の中には、幼稚園や小学校の頃にお弁当に入っていた、あの甘辛い佃煮の味が鮮烈に残っていたのです。「母が作ってくれたあの味を、もう一度再現したい」。その一心で、母とともに記憶の中の味を頼りに何度も試作を重ねてようやく完成したのです。今では多くのお客さまに愛される看板商品となりましたが、それは妥協なく伝統の味を守り抜いたからこそだと思っています。

佃煮(左)としぐれ煮(右)、二つの異なる食感を食べ比べることができる。
シンプルな味付けで、肉のうまみが引き立つ。

―「佃煮」の製造において、特に大切にされている技術的なポイントはどこでしょうか。

辰己 一番重視しているのは、肉の繊維に合わせて厚みや角度を微調整する「職人によるカット」です。佃煮には分厚い赤身肉を使用しますが、お肉には「目(繊維)」があり、その目に逆らって切らないと食感が硬くなってしまいます。柔らかい部位は厚めに、硬さが出やすい部位は薄めにと、一枚一枚のお肉と対話するように包丁を入れることで、口の中で心地よくほどける食感を生み出しているのです。

また、後味のキレをよくするための「引き算」も大切にしています。一度炊き上げた後に冷蔵庫で一晩寝かせると、余分な脂が白く浮き出てきます。これを手作業で徹底的に取り除くことで、神戸牛の濃厚な旨みを凝縮しつつ、食べた後に重たさを感じさせない上品な味わいに仕上げています。調味料も醤油、砂糖、みりん、酒のみで、余計なものは一切加えません。

肉の目(繊維)を見極め、最も柔らかく噛み切れる角度で包丁を入れる。
専門店ならではの職人技。

―もう一つの商品「しぐれ煮」は、どのような思いで開発されたのですか。

辰己 赤身の肉感を楽しむ佃煮に対して、神戸牛のもう一つの主役である「脂の甘み」を存分に味わっていただきたいと考え開発しました。すき焼き用の薄切り肉を使用することで、噛まなくてもとろけるようなジューシーな食感を実現しました。

脂の旨みが強い部位だからこそ、全体を引き締めるためにピリリとした清涼感のある粒山椒を加えています。しっとりとした柔らかさを保つために職人が火加減を細かく調整し、伝統的な調味料だけで炊き上げています。「いいお肉だから、何も足さない」という私たちの信念を形にした、まさに大人のための贅沢な逸品です。

すき焼き用の薄切り肉を使用。
神戸牛の良質な脂の甘みを、粒山椒のピリリとした味が引き締める。

―このセットを通じて、読者の方々にどのような体験を届けていきたいですか。

辰己 週末の朝に炊きたてのご飯を用意して、二つの味を並べて楽しむ。そんな日常の中の「小さな贅沢」を提案したいですね。冷めてもおいしいので、お弁当に入れればお昼休みの時間が楽しみになりますし、少し温めれば山椒が香る最高のお酒のあてにもなります。

特に「大切な人に贈ったら、喜ばれたので自分用にも注文した」という喜びの連鎖が起きていることが何より嬉しいですね。ギフトとしてのご利用が多いため、精肉商品には保冷剤の同梱や、ご希望の方には二重包装を行ったり、ひと目で肉と分かるような外箱にしたり、案内ステッカーを貼るなど、手元に届いた瞬間に安心していただけるよう気配りを徹底しています。おかげさまで楽天では7000件を超えるショップレビューをいただき、平均評価4.94という高い支持をいただいています。

噛みしめるほどに肉汁の旨みが広がり、白米の甘みを引き立てる。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

辰己 私たちのビジョンは、創業から変わらず「神戸牛でみんなをハッピーにすること」です。伝統を守ることはもちろん大切ですが、現在は神戸牛をより身近に楽しんでいただくために、自社でカレーパンの開発にも挑戦しています。納得のいく味と価格を両立させるのは難しい道のりですが、新しい驚きをお届けできるよう模索し続けたいですね。

お客さまから「おいしかった」という声をいただくのはもちろん嬉しいですが、私たちの提供したお肉によって食事の時間をより楽しくすごしていただけることが最大の喜びです。品質へのこだわりを貫きながら、次の100年も「辰屋があってよかった」と言っていただけるような、信頼されるお肉屋であり続けたいと考えています。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「神戸牛 佃煮・しぐれ煮 セット(佃煮1個&しぐれ煮1個)」
価格:¥4,968(税込)
店名:有限会社辰屋(神戸元町辰屋)
電話:078-331-3026(10:00~17:30)
定休日:日曜・祝日
商品URL:https://www.kobebeef.co.jp/products/tuksigset
オンラインショップ:https://www.kobebeef.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

辰己真一(有限会社辰屋 代表取締役)
1957年(昭和32年)兵庫県神戸市生まれ。明治33年創業の神戸牛専門店「辰屋」の四代目。幼少期から家業を手伝い、大学卒業後に入社。2000年にECサイトを立ち上げ、現在は売上の9割以上をインターネット販売が占めるまでに成長させた。職人としての肉の目利きと、デジタルを駆使した先見性のある経営で、神戸牛の魅力を全国に発信し続けている。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/辰屋>

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