
やさしい甘さと心ほどける口どけ。札幌の老舗が守り続ける味「三温糖きなこねじり」
2025/10/23
今回、編集長のアッキーが注目したのは、どこか懐しく、素朴な魅力を持つおやつ菓子で、驚くほどしっとりとした食感が魅力の「三温糖きなこねじり」です。ひと口食べれば、そのやさしい口どけと奥深い味わいに、きっと誰もが好きになるはず。80年以上にわたり「体にやさしいおやつ」を追求し続ける企業の誠実な物語と、おいしさの秘密について、札幌第一製菓株式会社の代表取締役社長の一戸誠氏に取材陣が伺いました。
―御社のこれまでの歩みについて教えてください。
一戸 弊社は1942年に、創業者の伊藤清が北海道札幌で和菓子の製造販売を始めたのが原点です。当時はきなこねじりだけでなく、あんこ玉やパイなど、さまざまなお菓子を手がけていました。しかし、約15年前に「きなこねじり」一本に事業を集中させるという大きな決断を下したのです。きなこねじりの専門メーカーは、今ではおそらく弊社くらいではないでしょうか。だからこそ、おかげさまでシェアはトップクラスだと考えています。

1942年の創業以来、札幌の地でおいしいお菓子を作り続けている。
―一戸副社長は、もともと異業種からの挑戦だったそうですね。
一戸 はい、以前は車業界で整備士として働いていて、毎日オイルまみれになっていました。そんな中、先代の社長である義父から「後を継いでくれないか」と声をかけてもらったのがきっかけです。
正直なところ、あまりにも世界が違うので悩みました。ですが、これも新しい業界に挑戦できるまたとない機会だと考え、一念発起してこの世界に飛び込むことを決意したんです。入社してからは、衛生管理が第一の食品工場で、伝統の味を守る日々です。
―今回ご紹介いただく「三温糖きなこねじり」は、どのような商品ですか?
一戸 「きなこねじり」というお菓子そのもののルーツは、江戸時代にまで遡るといわれています。もともとは京都の結婚式で出されるお祝いのお菓子でした。また、日本海を渡る北前船の船員のための貴重な保存食でもあり、古くから人々の暮らしの中にあったお菓子なんです。
栄養価が高く腹持ちがいいので、忙しい現代の方の朝食代わりとしてお召し上がりいただくのもいいのではと考えています。昔ながらのお菓子ですが、今のライフスタイルにこそフィットする新しい可能性を秘めていると感じています。
―驚くほどしっとりしていますが、おいしさの秘密はどこにあるのでしょうか?
一戸 一番のこだわりは、商品のやわらかさや口どけの良さを生み出す「水飴」にあります。弊社で使っているのは、国内産のさつまいもでんぷんを原料にした、このお菓子のためだけに作ってもらっている特注品です。この特別な水飴があるからこそ、独特のしっとりとした食感が生まれます。
原材料は、直焙煎の大豆からつくったきなこと、水飴、お砂糖、植物油のみ。とてもシンプルではあるものの、気温や湿度の変化に合わせ、お互いの良さを引き立ててくれる素材を日々厳選しています。創業以来、添加物は一切使っていません。
また、三温糖は、通常の砂糖よりもミネラルが多く、コクのある甘さが特徴。きなことの相性もバツグンで、三温糖と合わせることできなこの香りが深まります。この「三温糖きなこねじり」が弊社の看板商品です。

しっとりやわらかく、どこか懐かしい味わいのきなこねじり。こだわりの水飴と、必要な素材のみでシンプルにつくられている。
―手作業の工程も大切にされていると伺いました。
一戸 はい、きなこねじりの命ともいえる「ねじる」工程は、今も8人ほどの職人がずらりと並んで、一本一本丁寧に手でねじっています。生地を練りながら成形し、片方の手を固定してもう片方の手でひねりを加える。この手仕事によって、絶妙な空気が含まれます。これが機械では決して真似のできない、ふんわりとしながらもしっとりとした独特の口どけの秘密なのです。

職人の手でひとつひとつ丁寧にねじられていく。
―お客様には、正直であることを大切にされているそうですね。
一戸 私たちは、お客様に対して常に誠実でありたいと考えています。きなこは大豆からできていて体にいいイメージがありますが、あくまで「おやつ」です。お菓子はお菓子ですから、食べ過ぎはよくありません、とお伝えすることもあります。
また、大豆は自然の産物なので、育った土地によって含まれる栄養成分が微妙に異なります。前に買ったものと成分表示が違うとお問い合わせをいただくこともありますが、それも自然の証です。私たちはそうした事実を隠さず、正直に伝えることがお客様との信頼関係に繋がると信じています。
―今後の展望についてお聞かせください。
一戸 毎日お菓子作りに励んでくれる社員やその家族が、安心して豊かに暮らせることが一番大切です。まずは目の前の仕事を大切に、コツコツと取り組みたいと思っています。
その上で、私たちの作るきなこねじりが、日本中のご家庭で「いつものおやつ」として愛される存在になってほしいです。そうなれば、こんなにうれしいことはありません。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!

「三温糖きなこねじり」170g(1箱20袋入)
価格:¥8,155(税込、送料、手数料込)
店名:札幌第一製菓
電話:011-661-0301(10:00~17:00 ※土日・祝日を除く
商品URL:http://sa-dai1.jp/service/
オンラインショップ:http://sa-dai1.jp/service/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
一戸誠(札幌第一製菓株式会社 代表取締役社長)
1975年北海道札幌市生まれ。自動車整備士としてキャリアを積んだ後、2008年に先代である義父からの誘いを受け、札幌第一製菓株式会社へ。全くの異業種からの挑戦ながら、営業と工場の現場で経験を重ね、2025年8月に代表取締役社長に就任。前職で培った「ものづくりへの真摯な視点」を活かし、80年以上続く伝統の味を守るとともに、社員とその家族の幸せを第一に考えた堅実な経営で、同社の未来を担っている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/札幌第一製菓>




























