作る楽しみ、飾る幸せ。燕三条の町工場が作る、北欧インテリア「基本の正八面体セット 真鍮製」

2025/12/18

今回、編集長のアッキーが注目したのは、北欧の伝統装飾「ヒンメリ」を手作りできる「基本の正八面体セット 真鍮製」です。フィンランドの伝統装飾であるヒンメリは、本来は藁(わら)で作られますが、このキットは金属加工の技術を活かし、本物の輝きを放つ真鍮(しんちゅう)パイプで製作するのが特徴です。その背景には、50歳で専業主婦から実家の工場に入り、大胆な改革を進めてきた女性社長の熱い思いがありました。取材スタッフが、新潟県燕三条に本社を構える株式会社ハセテックの代表取締役、原田 雪枝氏にお話を伺いました。

―まずは、御社のこれまでの歩みについてお聞かせください。

原田 この会社は、1956年に私の父が燕三条の地で創業した、ロウ付け溶接の工場でした。
世の中の流れを感じた父が「これからは溶接だけでは食べていけないだろう」と、いろいろと模索するようになったのです。そこから「よし、切削もやるぞ!」「次はパイプ加工だ!」と次々に宣言し、事業を拡大していきました。比較的早い段階から、切削・加工・溶接の3つを柱としており、時代に合わせて「挑戦する姿勢」がありました。

新潟県燕三条に根ざす金属加工のスペシャリスト、ハセテック。

―ご自身は、50歳で専業主婦から家業に入られたという、異色のご経歴をお持ちだそうですね。

原田 そうなんです。私は18歳で実家を出てから32年間、家業とは全く関わらず専業主婦として生活していました。転機が訪れたのは50歳の時で、会社の建て直しのために呼ばれて入社することになったんです。2008年のことでした。当時はノウハウも知らず、工場で作っているものを見ても「これ何?」という状態でしたね。

入社後は取締役を経て、代表取締役に就任しました。ですが、長く「外部」にいたからこそ、この地域や工場の「非常識が常識」になっている部分に気づくことができました。そこから外部の専門家の力も借りたり、自ら研修に出向いたりしながら、「あるべき姿に整えていく」という視点で働き方改革などを進めていきました。私の性格上、思いついたら止まらないところがありまして、古い社員たちは「何も知らない娘がやってきてかき混ぜている」と感じたかもしれませんが、持ち前のバイタリティで次々と改革を進めていった形です。

―その「外部の視点」が、BtoCブランド「Meteori(メテオリ)」の立ち上げに繋がっていくのですね。

原田 はい。会社改革を進める中で、BtoBの部品加工だけでなく「自社製品」の必要性を感じ、模索を始めていました。そんな時、ある方のご紹介でヒンメリの愛好家の方と出会ったのがきっかけです。フィンランドの伝統装飾であるヒンメリは、本来は藁(わら)やストローで作るものなのですが、「これをハセテックの真鍮パイプで作ったら綺麗じゃないか」という、素晴らしいアイデアをいただいたんです。まさに、工場の「内部の常識」だけでは思いつかない、「外部の視点」が繋いだご縁でした。

このアイデアを元にイベントでワークショップを行ったところ非常に好感触だったので、「ではこれを製作キットにして売ってみようか」と販売がスタートしました。こうして、本業の「金属加工技術」と、暮らしを彩る「北欧インテリア」という、一見無関係な2つが結びついて「Meteori(メテオリ)」ブランドが誕生しました。

「真鍮パイプで作ったら綺麗じゃないか」。
愛好家の一言から生まれたアイデアが、工場の技術と結びつき形になった。

―「基本の正八面体セット」には、どのようなこだわりが詰まっているのでしょうか。

原田 最大のこだわりは、本業である部品加工の技術を注ぎ込んだパイプの処理にあります。もちろん機械でカットしているので切り口は綺麗なのですが、さらに微細なバリ(突起)が残らないよう、専用の機械で磨き処理を施しているんです。
この一手間を加えることで、ホームセンターなどで売られている単なる素材とは質が全く違います。キラキラとした輝きと高級感が生まれるので、インテリア商品として飾った時の満足感が格段に違いますし、作っている時もワクワクしながら作れるんです。

また、藁と違って金属製のため、万が一失敗してもやり直しができる点も、初心者の方には嬉しいポイントだと思います。素材の真鍮は、時間と共に湿気などでゆっくりと茶色く変色していきますが、それも「アンティークな味わい」として、経年変化を長く楽しんでいただけます。

輝きの秘密は、部品加工で培った「バレル加工(バリ取り)」。
素材の真鍮は、時間と共にアンティークな風合いへと変化する。

―おすすめの楽しみ方やアレンジ方法はありますか?

原田 このキットの魅力は、作る楽しみと飾る楽しみの両方があることだと思っています。パイプというシンプルな「線」をつなげていくだけで、だんだんと「3D」の立体になっていく。完成品は、商品ページでも提案しているように、植物を中に入れたり、お花やキャンドルと一緒に飾ったりするだけで、いつもの空間がぐっと華やぎます。

また、ビーズやサンキャッチャーのようなキラキラしたパーツと組み合わせると、本当に素敵な「自分だけのオリジナル作品」ができあがります。ワークショップでも、好きなパーツを選んで組み合わせてもらっていますが、皆さんとても楽しまれています。

実際に「結婚式の装飾」としてご依頼をいただいたこともあるほどの上質感ですので、ご自宅用はもちろん、ギフトにもおすすめです。吊るして飾ると、モビールのように静かに揺れている様子に心が癒される、というお声もいただきます。ぜひさまざまな飾り方で楽しんでほしいですね。

ビーズやサンキャッチャーと組み合わせ、自分だけの作品に。
画像はMサイズ1個、Sサイズ3個のセット。

―一般の方だけでなく、プロの方からも支持されているそうですね。

原田 そうなんです。オーダーカットのパイプを、「ヒンメリ作家」として活動する方や、生徒さんに教える講師の方が、ご自身の作品の「素材」として、あるいは教室の教材として選んでいただいています。
「プロが素材として選ぶ」という事実が、先ほどお話しした「切り口の美しさ」や「質感」の何よりの証明になっていると感じています。

―最後に、ブランドと会社の未来への展望をお聞かせください。

原田 「Meteori」ブランドについては、「もっと売りたい」というよりは、結婚式やイベントなど、このヒンメリを「楽しむシチュエーションが広がっていくことを見たい」と思っています。この文化自体がもっともっとスタンダードに広まってほしいですね。

一方で、本業の部品加工については、国内の製造業は本当に厳しい状況にあります。その中で、社員みんなで力を合わせて頑張って生き残っていきたいという思いが強いです。

そして、そのバトンは次の世代へと渡していきます。実は、来月から社長職を息子に譲るんです。若い世代にどんどん任せたいと思っていますので。もちろん私も経営には携わっていきますし、ヒンメリは私が始めたことなので、これからも関わり続けます。

―貴重なお話をありがとうございました!

「【ヒンメリ製作キット】基本の正八面体セット 真鍮製」
価格:¥3,400(税込)
店名:Meteori(メテオリ)
電話:0256-64-4411(9:00~16:00※土日、祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://meteori12.thebase.in/items/69823620
オンラインショップ:https://meteori12.thebase.in/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

原田 雪枝(株式会社ハセテック 代表取締役)
1958年生まれ。都内の大学を卒業後、塾講師などを経て結婚。専業主婦として生活していたが、2008年、50歳で実家である株式会社ハセテックに入社。取締役を経て、現在は代表取締役を務める。外部の視点を活かした大胆な働き方改革を実行し、BtoCブランド「Meteori」を立ち上げるなど、企業の変革を牽引している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/ハセテック>

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