
世界に1つだけ!凸文字の刻印弁当箱「アルミお弁当箱★どうぶつシリーズ」
2025/10/23
今回編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、オリジナルの刻印を施せるアルミお弁当箱。特許取得の特殊なエンボス加工技術を、園児にもママにも喜ばれる愛らしい製品に落とし込むことになった背景は?トーチョーマーキングシステムズ株式会社 代表取締役の花輪篤稔氏に、取材陣がお話を伺いました。

トーチョーマーキングシステムズ株式会社 代表取締役の花輪篤稔氏
―創業からの歩みをお聞かせください。
花輪 1919年、私の祖父が花輪刻印製作所を、東京は赤坂の地に創業しました。1957年に法人化して東京彫刻工業株式会社へ。一貫して刻印・刻印機の製造販売を主な業務としてきました。1982年に父が2代目となり、その父の他界にともない、私が現職に就いたのが2005年。2019年に創業100周年を迎えました。



自社一貫生産にこだわる刻印、刻印機メーカーとして、
様々な材質、スタイル、クオリティにも対応する
幅広いマーキングソリューションを製造。
―花輪社長のご経歴は?
花輪 東京で生まれ育ち、大学のゼミの先生に「30歳になるまでは自分の好きなことにいろいろとチャレンジする方が良い」と言われたことを鵜呑みにして(笑)、カメラマンを目指すようになりました。芸術大学に通っていた姉の友人たちのクリエイティブな雰囲気の影響も受けていたと思います。
大学を卒業後約2年間、エジプトでガイドをしながら写真を撮り続け、雑誌に載せてもらったりしていました。本格的に写真を学ぼうと、アメリカのフィラデルフィアに渡り、写真学校へ。その1年後にニューヨークの有名な写真学校に挑戦したところ、見事合格。いよいよというタイミングで、父から一度帰って来なさいと言われました。
帰国して話を聞いてみると、あまり会社がうまくいってないとのこと。父が私に入社してほしいと思っているのを感じたので、入社を決めたのが1999年です。
―入社後取り組まれたことは?
花輪 実際に入ってみると、債務超過がひどくて、本当にいつ潰れてもおかしくないという状況でした。現場を見れば、創業当初から変わらない、職人の技術でなんとか切り盛りするアナログ製品たち。工業展示会参加や海外視察では、刻印系業界の「今」と、自分たちとの大きなギャップを感じました。入社したばかりの自分の目にも、このまま続けていくのは難しいだろうということは明らかでした。

創業時から受け継がれている手打刻印の技術は今も現役。
花輪 そこで私は、スペインからデジタル刻印機を輸入することを決定します。しかし、父をはじめ社内の職人たちからは反対の声が上がりました。ただ、僕としても、子どもの頃からかわいがってくれた社員たちを路頭に迷わせるわけにもいかず、海外との違いを目の当たりにし、会社を継続させ、世界一の刻印屋になりたいという想いで頑張るわけです。いろいろ販売していく中で、デジタル刻印の販売数が伸びていき、需要の高さを知らされました。すると、社内も、3代目が頑張ってるんだから手伝おうという雰囲気に徐々に変わっていきました。
少し見通しが立ってきた頃に父が病気で他界し、僕が本格的に後を継ぐことになり、新しい機械を輸入するのではなく、自社でオリジナル刻印機の開発をしようと思い切りました。5年余りの月日を経てようやく完成したのが、今の主力商品である「MarkinBOX」です。ドットマーカー、ピンマーカーなどと言われるデジタル型の刻印機で、ドットの連続が滑らかな線となり刻印できる仕組みです。2010年に発売を開始し、今では種類も増え、国内外年間1,000台を出荷、これまでに累計1万台を超えました。

第3世代へと進化している「MarkinBOX」シリーズ。
花輪 大手自動車メーカーや航空宇宙機器開発製造会社など、実に幅広く世界中多くの業界で使われています。
―「アルミお弁当箱★どうぶつシリーズ」はその技術を応用したものですね?
花輪 従来は刻印の合せ型(凸型凹型)を製作し、型の間に素材をガチャンと挟むことでしかできなかったエンボス加工が、MarkinBOXなら型をつくることなく簡単にできることに気がつき、特許も取得しました。
そこで、これまでBtoB展開のみだった当社の事業を、BtoCに広げられないかと考え、MarkinBOX自体の販売ではなく、MarkinBOXを使ったサービスの提供を思いつきました。試行錯誤の末たどり着いたのは、アルミ製のお弁当箱。厚み、材質がエンボス加工に適していたわけです。
最初は英字で名前のみを入れて通販モールで販売していましたが、子どもが喜んでくれた!というお母さん方からのレビューに、もっと喜んでいただこうと工夫を重ねました。専用に開発したソフト「sketchbook」の、イラストやひらがなを簡単に登録できる機能を使い、動物似顔絵付き名入れのお弁当箱を考案。同時に自社のECサイト「MarkinSHOP」をスタートさせました。絵柄は8種類から、名前の字体はひらがな、カタカナ、英字から選べる、世界に1つだけのエンボス型名入れお弁当箱を、メーカーならではのお手軽価格で提供しています。

名前だけでなく好きな動物の絵を入れられるのがポイント。
―こだわりポイントを教えてください。
花輪 よくある名入れは、上から打ち付け文字が凹んでいるものか、レーザーや印刷がほとんどで、使っていけば名前が消えてしまいます。その点、下から浮き上がらせるエンボスタイプは永久的に名前が残る弊社ならではのもの。使い終わった後も思い出が残ります。社内のデザイナーが細かい工夫をたくさんしていて、絵柄の可愛さはもちろん、蓋だけでなく、底面や仕切りに施したちょっとした遊び心も好評です。

好評の、柔らかく盛り上がったエンボスは特許取得の技術あってこそ。

弁当箱本体の裏側にはお尻、仕切りには足跡が、通常の刻印で入っている。
絵柄は、子どもの好きな動物を中心に、
犬、ハムスター、うさぎ、ペンギン、ライオンなど8種類から選べる。

国内製造、昔ながらのアルミ製なので保温器にも対応。
Lサイズ(¥3,630・税込)と合わせた2サイズ展開。
花輪 爆売れしているということはありませんが、入園シーズンには毎年よく売れる商品です。「一生大事にします」「2人目が生まれたのでまた買わせていただきます」など、嬉しいメールやレビューもいただき、営業や製造の励みになっています。
―今後の展望をお聞かせください。
花輪 本業のBtoB製品に関しては、お陰様で刻印機の売上が約7億円で日本一となりました。世界的に見てもベスト10には入ると思いますが、欧米にはまだまだ競合がいます。当社の強みは、インターフェースの使いやすさと、文字の美しさ、そして細かな配慮を施した使い勝手の良さ。「すべての製造業に当社製品の導入」を目標にしています。世界一を目指して、また、日本で唯一の自社製造にこだわる刻印機メーカーとして、まだまだ高みを目指していきたいと思っています。
「MarkinSHOP」に関しては、現在、当社の刻印やドットマーカーなど、幅広い用途を扱う刻印専門店として展開しています。BtoC製品の開発は、エンドユーザーの生の声を聴けるチャンスなので、これからも機会を見つけて取り組んでいきたいと思っています。弁当箱にしても、1つ1つ手作業で名前と絵柄を入れるなど、時間やコストの面で見合わないところもありますが、お客様の声にヒントをいただいたり、勇気づけられたりする大切な場所として、今後も継続していきます。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「【名入れ】(S)アルミお弁当箱★どうぶつシリーズ」
サイズ:約150×103×高さ33mm
容量:約300ml
価格:¥3,300(税込)
店名:Markin SHOP
電話:043-308-4301(土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://markinshop.shop-pro.jp/?pid=144857503
オンラインショップ:https://markinshop.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
花輪篤稔(トーチョーマーキングシステムズ株式会社 代表取締役)
1972年東京生まれ。早稲田大学卒業後、世界放浪。1999年に東京彫刻工業株式会社に入社。2004年先代である父親の死去により3代目社長就任。2019年に創業100周年を迎える。2023年社名をトーチョーマーキングシステムズ株式会社に変更。
<文/植松由紀子 MC/藤井ちあき 画像協力/トーチョーマーキングシステムズ>




























