ずっと変わらない味にこだわる、信州・長野の地元産味噌の香りとしっとり食感が素朴な焼き菓子「みそぱん」

2026/06/18

今回、編集長のアッキーが注目したのは、長野県で長く愛され続けている懐かしの焼き菓子「みそぱん」です。一口食べれば、味噌の優しい香りと、しっとりとした食感、そして「初めてなのに、どこか懐かしい」と感じるような素朴な甘さが口の中に広がります。

その背景には、100年以上にわたり、信州で世代を超えて愛される「思い出の味」を守り続ける老舗の確固たる信念がありました。取材スタッフが、有限会社日新堂製菓の代表取締役社長、中山 明彦氏に話を伺いました。

―まず、御社の歴史についてお聞かせください。創業はいつ頃でしょうか?

中山 私で5代目になります。長野県松本市で創業は1909年(明治42年)、親族で事業を受け継いで10年ほど前に安曇野市に移転しました。創業当時は、飴や饅頭などを作っていたと聞いています。現在は「みそぱん」や饅頭、カステラをはじめ手作りのオリジナル菓子を製造しています。その中でも、主力商品の一つである「みそぱん」の製造が始まったのは、4代目である現会長の代からですね。

創業時は飴や饅頭作りから始まった老舗。
4代目の代から続く看板商品「みそぱん」の味を、今も大切に守り続けている。

―社長ご自身は、もともと家業を継ぐご予定だったのでしょうか?

中山 いえ、まったく考えていませんでした。大学進学で東京に出て、家業とはまったく関係のない文学部で学んでいました。卒業後は菓子製造と異なる業種の会社に入社し、その後もチラシを作る会社で働くなど、継ぐことは念頭になかったんです。ですが、外の世界を経験したからこそ、「先代が築いてきたものを、しっかり守っていかないといけない」という思いが芽生え、地元に戻ることを決意しました。私にとっては、それがUターンした一番の理由ですね。

―「みそぱん」は、どのような経緯で誕生したのでしょうか?「保存食」がルーツと伺いましたが。

中山 みそぱんの製造が始まったのは40年ほど前です。そのルーツは、江戸時代の末期に軍隊用の「保存食」として全国で作られていたものにあります。開発のきっかけは、4代目である現会長の「夏場でも食べられて、日持ちがする。そんなパン(お菓子)を作ろう」という思いでした。名前に「パン」と付いていますが、実際には「焼き菓子」に分類されます。賞味期限90日という日持ちの良さと、おいしさを両立した商品ですね。

一口食べれば、味噌の優しい香りがふわりと広がる。

―長く愛され続けるために、味や製法でこだわっている点、守り続けていることは何ですか?

中山 最大のこだわりは、あえて「味を大きく変えない」ことかもしれません。もちろん、原料の配合を微調整したり、小麦粉の種類を変えたりすることはありますが、あくまで小さい頃に食べた味と、大きくなってから食べた味が「ほぼ変わらない」という、その”懐かしさ”を守り続けることを大切にしています。

味の核となる原料の味噌は、地元・長野県産の「上高地みそ」を使用。味噌や小麦粉を混ぜた生地を一日寝かせ、焼き上げる直前に「醤油」をさっと塗ることで、あの独特の香ばしさを引き出しています。

実は、この「みそぱん」、製造面では非常に難しい商品なんです。生地がベタつき、扱いづらい。他社さんが簡単に真似できない理由は、おそらくそこにあると思います。というのも、生地がとてもデリケートで、外の気温や、その時々の小麦粉の質によって、柔らかさが大きく変わってしまうんです。そうなると、うまく形が作れません。そこを調整するのが、職人の経験値。水分量をわずかに変えたり、練る時間を調整したり、マニュアル通りにはいかない部分が必ず出てきます。その手間があるからこそ、機械では出せない素朴な食感が守られているのだと思います。

伝統の製法と長年の経験値が、素朴で懐かしい食感を生み出している。

―おすすめの食べ方、楽しみ方があれば教えてください。

中山 もちろん、そのままでもおいしく召し上がれます。オーブントースターで少し温めていただくと、香ばしさが一層引き立ち、また違ったおいしさを楽しめます。忙しい朝や小腹が空いた時はそのまま手軽に、週末の朝やゆっくりしたい夜はトースターで温めて、といった形でシーンに合わせて楽しんでいただくのがいいと思います。

―地元・信州では、どのような存在として親しまれているのでしょうか?

中山 長野県の特に中信地方では、昔から地域の小学校や保育園で、運動会やお祝い事の際に配られていたようです。私自身も運動会などで配られた記憶があります。お子様からご年配の方まで、家族みんなで楽しめる素朴な味わいですね。地元以外の方からも「初めて食べたのに、どこか懐かしい味がする」といった声をいただくことがあり、うれしく思っています。

そのままの素朴な味わいも良いが、少し温めると味噌の風味が豊かになる。

―最後に、5代目としての中山社長の今後のビジョン、展望をお聞かせください。

中山 ものすごくざっくり言うと「現状維持」です。もちろん、何もしなければ需要は減っていきますから、何もしないという意味ではありません。『メーカーとして存続し続ける』ための「現状維持」です。最も大切にしているのは、これまで守ってきた「みそぱんの味を変えないこと」。地域の方々の「生活の中で食べる定番の味」、「思い出の味」として、地域に根差すことを目指しています。時代が変わっても「変わらない味」を守り続ける。それが、私が戻ってきた使命だと考えています。

―貴重なお話をありがとうございました。

「10枚みそぱん(10個)」
価格:オープン価格(¥400前後)
店名:日新堂製菓
電話:0263-73-0073(8:30~17:00※土日、祝日を除く)
商品URL:http://www.misopan.co.jp/common/corp.htm

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

中山 明彦(有限会社日新堂製菓 代表取締役社長)
1972年長野県生まれ。東京にて6年ほど別業種で働き、2001年に帰郷して入社。2018年に同社代表取締役社長に就任。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/日新堂製菓>

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