
京都・伏見から、気品ある香りで料理に合う“究極の食中酒”純米吟醸「桃の滴」と華やかな微発泡酒「souvenir」
2026/06/12
今回、編集長のアッキーが注目したのは、食事を主役にするキレが魅力の純米吟醸「桃の滴」と、蔵元直送でしか味わえない特別な微発泡酒「澤屋まつもと souvenir(スーベニア)」です。最高級の酒米兵庫県東条産「山田錦」を贅沢に使用し、料理のじゃまをしないよう香りを抑え、現代の食卓に調和する黄金バランスを追求。
その背景には、230年を超える伝統を受け継ぎながら、異業種での経験を糧に「お客様の期待をどう超えるか」をロジカルに考え抜く、11代目社長の真摯な眼差しがありました。取材スタッフが、京都府に本社を構える、松本酒造株式会社 代表取締役社長の松本総一郎氏にお話を伺いました。

松本酒造株式会社 代表取締役社長の松本総一郎氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
松本 松本酒造は、1791年(寛政3年)に初代松本治兵衛が京都の東山にて、屋号を「澤屋」として創業したのが始まりです。それから230年以上、歴史を積み重ねてきました。現在の伏見の地へ移ってきたのは、1923年(大正12年)のことです。酒造りに欠かせない良質な水を求め、この場所を選びました。
敷地内には、明治時代に建てられたレンガ煙突をはじめ、大正、昭和、平成、そして令和と、それぞれの時代に築かれた建物が並んでいます。NHKの連続テレビ小説「マッサン」や、時代劇のロケ地などにも活用されています。私たちはこの歴史的な外観を大切に守りながら、令和の今も進化し続ける脈動感を絶やさないようにしています。



200年以上の歩みの中で培った技術を活かし、現在は「桃の滴」をはじめとする日本酒を数多く展開している。
―家業を継ぐまでの歩みについて教えていただけますか。
松本 私は大学卒業後、本田技研工業に入社し約40年勤めました。車が大好きで、特に広報としての長いキャリアを積みました。世界を転戦するF1などのレース現場を中心に、どうすればファンの皆さんに現場の面白さを伝え、期待を超える感動を届けられるかということを考えていました。
2021年に11代目として家業を継承しましたが、私にとって「社長」という肩書きは、単なる一つの役割に過ぎません。前職で培った「肩書きではなく役割を全うする」というフラットな考え方で今の組織をつくろうと思っています。かつての「車」も今の「日本酒」も、本質的には「お客様によろこんでいただけるものを作る」という点で共通しています。異業種から戻ったからこそ、伝統産業の当たり前を顧客視点で見つめ直し、お客様が求めているものをロジカルに追求できると考えています。
―看板商品の「桃の滴 純米吟醸」について詳しく伺いたいと思います。
松本 戦後の大量生産時代、ものを作れば売れるという時期がありました。しかし、そのようなやり方はいつか自分たちの首を絞めると考え、先代たちは日本酒の原点である「米と米麹と水だけ」で作る純米酒への回帰をいち早く決断したのです。その中で生まれたのが「桃の滴」でした。
目指したのは、お酒単体で完結するのではなく、あくまで「食事を主役にする」ための名脇役、すなわち「究極の食中酒」です。一口飲めば、自然と料理へと箸が伸びるようなキレを追求しています。「桃の滴」という名は、松尾芭蕉が伏見を訪れた際に詠んだ「我が衣に伏見の桃の雫せよ」という句から命名しました。地域への愛着と、お客様への誠実さを一献に込めています。


究極の食中酒として醸された、純米吟醸酒「桃の滴」。
―最高級の酒米を使用されているそうですが、日本酒造りにおけるこだわりについても教えてください。
松本 酒米の王様「山田錦」の最高峰が栽培される、兵庫県東条の「特A地区」で契約栽培されたお米を100%使用しています。一般的には麹米と仕込みに使うお米でランクを分けることもありますが、私たちはすべて同一の最上ランクの米で統一しています。伏見の名水を使い、お米のポテンシャルを最大限に引き出すために、最新のデータ管理と職人の技を融合させています。
製造工程においては、数値管理、特に温度管理を緻密に行っています。精米時から蒸し上げ、発酵に至るまで、お米が傷つかないよう細心の注意を払い、ほとんどの工程を手作業で行っています。特A地区の米を使えばおいしいのは当たり前。そこからさらにどう磨き上げ、一口飲んだ瞬間に直感的な満足感を感じていただけるか。私たちは「選ばれ続ける品質」のために、努力を日々積み重ねています。


契約栽培された山田錦と、伏見の名水を使用。
お米が傷つかないよう、職人がほとんどの工程を手作業で行っている。
―おすすめの飲み方はありますか。
松本 日本酒は、世界でも稀な、広い温度帯で楽しめるお酒です。0度の「雪冷え」から、50度の「熱燗」まで、温度によって表情が豊かに変化します。私は、お客様ご自身がその時々の料理や気分に合わせて、自分にとっての最適解を探すことをおすすめしています。
例えば、少し熱めにつけたお燗が、だんだんと温度が下がっていく過程での味の移ろいを楽しむのも贅沢なひとときです。そうして一日の疲れがいつの間にか消えているような、日常に寄り添う上質なキレを追求しています。
―周囲からはどのような声が届いていますか。
松本 おかげさまで、大阪国税局清酒鑑評会の「燗酒用清酒の部」において、2024年度と2025年度の2年連続で優秀賞をいただくことができました。プロの厳しい審査によってお墨付きをいただいたことは、大きな励みになっています。
冷えを気にされる女性の方や、冬場に温かい料理と合わせたい方にとって、この受賞実績は強い安心感に繋がっているようです。年配の方から若い世代まで、「やっぱりこれが落ち着く」と選んでいただけるのは、私たちが追求してきた「飽きのこない味わい」が届いている証だと思っています。大切な方への贈り物としても、自信を持っておすすめできる一本です。
―もう一つの注目商品、「澤屋まつもと souvenir(スーベニア)」についても教えてください。こちらはどのようなきっかけで誕生したのですか。
松本 蔵へ足を運んでくださるファンの皆さんの、「ここでしか買えないお酒はないのですか?」という声に応えるために生まれました。「おみやげ(souvenir)」として、伏見の土地の思い出をご自宅まで持ち帰ってほしいという願いを込めています。現在は、蔵の店頭と自社オンラインショップ限定で販売しています。
ラベルデザインにもこだわりました。私たちのシンボルであるレンガ煙突と酒蔵の風景を、イラストレーターの西淑(にししゅく)さんに描き下ろしていただきました。食卓に置くだけでパッと華やぐような洗練されたデザインは、私たちの伝統を「今」の感性で表現したものです。


蔵元を訪れる方への「おみやげ」として開発された「澤屋まつもと souvenir」。
パッケージには、シンボルのレンガ煙突と酒蔵が描かれている。
―味わいや、おすすめのペアリングについても伺えますか。
松本 自然なガス感を含んだ、フレッシュでジューシーな味わいが特徴です。日本酒の新しい可能性を提案する「澤屋まつもと」ブランドの精神を受け継いでおり、軽やかな微発泡感が心地よく広がります。
この爽やかさは、カルパッチョなどの洋風の魚料理や、少し油分のある料理とも驚くほどマッチします。週末のホームパーティーなどで、シャンパングラスに注いで乾杯するのも素敵です。シャンパンよりアルコール度数が高いのでグラスに半分くらい注いでいただくと素敵にお楽しみいただけると思います。会話を弾ませるきっかけになるはずです。春の蔵開きには2000名以上の方が詰めかけ、外国人観光客の方も翻訳機を片手に指名買いしてくださるほど、国境を超えて愛される一献となっています。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
松本 お客様の期待をどう実現していくか。それが私たちの生き残る道だと思っています。近年の気候変動により、原料となるお米の状況も年々厳しくなっていますが、どのような状況下でも期待を裏切らない品質を届け続けるための技術研鑽を止めてはなりません。
また、自社だけでなく、京都・伏見全体の酒蔵が連携して、地域を盛り上げる「受け皿」を作りたいと思っています。京都駅から車で20分という恵まれた立地を活かし、多くの方に伏見の酒文化に触れていただきたいのです。230年の歴史を背負いながらも、常に「今のお客様」の喜びを最優先する。伝統を次世代へ繋ぐ「繋ぎの蔵元」として、日本の酒文化をより豊かにしていくために、これからも泥臭く、誠実に歩み続けてまいります。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「桃の滴 純米吟醸」
価格:¥1,760(税込)
店名:松本酒造株式会社
電話:075-611-1238
商品URL:https://shop.matsumotoshuzo.com/?pid=180290746
オンラインショップ:https://shop.matsumotoshuzo.com/

「澤屋まつもと souvenir」
価格:¥2,000(税込)
店名:松本酒造株式会社
電話:075-611-1238
商品URL:https://shop.matsumotoshuzo.com/?pid=164508038
オンラインショップ:https://shop.matsumotoshuzo.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
松本総一郎(松本酒造株式会社 代表取締役社長)
1956年、京都市生まれ。1982年に本田技研工業株式会社へ入社し、長年にわたりF1などのレース広報として世界を舞台に活躍。2021年10月に同社を退職し、松本酒造株式会社に入社。11代目として代表取締役社長に就任。「肩書きは役割」という信念のもと、異業種での経験を活かした顧客視点の酒造りで、伝統ある老舗の新たな歴史を刻んでいる。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/松本酒造>




























