シャリッ、ふわっ。明治43年創業、石臼製法で守る伝統の味「えび天」と、驚きの食感「ロメインレタス天」

2026/05/11

今回、編集長のアッキーが注目したのは、海老の旨味が広がる「えび天」と、食感が楽しい「ロメインレタス」です。手掛けるのは、香川県観音寺市にある老舗蒲鉾店。 おいしさの秘密は、燧灘(ひうちなだ)の恵み、そして守り続ける「手仕事」と「石臼製法」にありました。
その背景には、危機を乗り越え、地域の宝を「看板商品」として磨き上げた家族の物語が…。取材スタッフが、福弥蒲鉾株式会社の代表取締役、福島一弥氏にお話を伺いました。

―まず、御社の100年を超える歴史について教えてください。

福島 弊社は1910年(明治43年)に、祖父が「福島商店」として創業。 1954年(昭和29年)に有限会社へ法人化し、その後、株式会社になりました。 創業以来、観音寺の地で、目の前に広がる豊かな漁場・燧灘(ひうちなだ)の海の幸と共に歩んできました。

1910年(明治43年)の創業以来、観音寺の地で瀬戸内海・燧灘(ひうちなだ)と共に歩む。

―ご自身は、家業に戻られる経緯で、大きな転機があったと伺いました。

福島 若い頃は都会に出たくて、東京・築地のおじの乾物屋で事務仕事などをしていました。 ですが、両親から家業を手伝うよう声がかかったことや、叔母から「お父さんという商売の師匠のもとで学ぶのが一番だ」と助言されたこともあり、22、23歳で家業に戻りました。
最大の転機は、私が34歳の時、1985年(昭和60年)に大黒柱であった父が急死したことです。 会社が潰れるかもしれないという最大の危機でした。幸いにも父と二人三脚でやってきた母がいましたので、母を社長に据え再出発。ありがたいことに、従業員も誰一人辞めることなく一丸となって支えてくれたのです。 その危機を皆で乗り越えたからこそ、今の福弥蒲鉾があります。

―看板商品である「えび天」は、その転機と深く関わっているそうですね。

福島 はい。昭和40年代頃、スケソウダラのすり身が開発され、かまぼこ業界は大量生産・均一化の流れになりました。 昔から観音寺は小海老が獲れ、「えび天」自体はありましたが、父が亡くなった後、改めて自社の強み、地域の特色をどう出すかを見つめ直したのです。 そこで、目の前にある燧灘(ひうちなだ)の小海老を使った「えび天」を、福弥の看板商品として本格的に力を入れていこうと決意しました。

看板商品として愛され続ける「えび天」。

―「えび天」の、あの「シャリッ、ふわっ」とした食感は、どのように生まれるのでしょうか。こだわりを教えてください。

福島 すべての工程に理由があります。まず原料ですが、主役はもちろん燧灘(ひうちなだ)の小海老(ジャコ海老)です。プランクトンが豊富な漁場で育つため、格別な甘みがあります。さらに、脇役にも妥協はせず、すり身はスケソウダラの特級品を使っています。

次に手仕事。漁期(6月~9月)に1年分の海老を仕入れますが、鮮度を保つため、仕入れたその日のうちにすべて処理します。1日に何十万匹にもなる海老の頭を、今も変わらず一匹一匹すべて手作業で取っていく。大変な手間ですが、これを機械化するわけにはいきません。

そして製法です。海老の旨味が最も詰まっている「殻と身の間」を活かすため、あえて殻付きのままミンチにします。 これが、独特の「シャリシャリ感」を生み出します。 そのミンチと、先ほどのすり身、豆腐を練り上げるのが、昔ながらの「石臼」です。

現代の主流である機械(サイレントカッター)は効率がいいですが、高速で刃が回るため、すり身の鮮度が落ち、豆腐の食感も潰れてしまいます。 石臼であれば、熱をたてることなく、豆腐の食感を絶妙に残しながら練り上げることができる。 非効率ですが、この「シャリッ、ふわっ」の食感は、この石臼という職人技でしか生み出せない、私たちのこだわりなんです。

「えび天」の主役、燧灘(ひうちなだ)の小海老。
これを殻付きのままミンチにし、石臼で練り上げることで特徴的な食感が生まれる。

―おすすめの食べ方があれば教えてください。

福島 フライパンやトースターで軽く温めていただくのがおすすめです。香ばしく、とてもおいしいですよ。本場・香川ならではの「讃岐うどん」へのトッピング はもちろん、「海老カツサンド」へのアレンジレシピもおすすめしています。もし観音寺の工場に直接お越しいただけるなら、水曜日と日曜日を除く毎日10時から11時の1時間限定ですが、「ぬくぬく(揚げたて)」も販売しています。やはり揚げたては格別ですので、機会があればぜひ。

1日1時間限定で販売される「ぬくぬく(揚げたて)」

―地元での「えび天」の評価はいかがですか。

福島 「観音寺ブランド認証品」として、その価値を認めていただいています。 昔から愛され続けるロングセラーの看板商品であり、お土産としても人気が高いです。 遠方からわざわざ港の工場まで買い求めに来てくださる熱心なファンの方がいらっしゃるのは、本当にありがたいことですね。

―もう一つの人気商品、「ロメインレタス天」は非常にユニークですが、どのようなきっかけで開発されたのですか。

福島 本当に偶然の出会いでした。 ある日、知り合いのしゃぶしゃぶ屋に食事に行くと、鍋の野菜として、定番の白菜の代わりに「ロメインレタス」が。
私の常識では、青物野菜は熱をかけたらクタッとなるものだと思っていました。 ところが、そのレタスは煮込んでも青々としたままで、食感が「シャキシャキ」残っている。 「これは面白い!」と衝撃を受けましてね。「これは練り物にも絶対に使える」と直感し、その場で店主に「そのレタス、ひと玉譲ってくれ」と頼み込んで(笑)。 すぐに工場に持ち帰り、すり身と混ぜて揚げてみたのが、すべての始まりでした。

シャキシャキ感が新しい「ロメインレタス天」。

―「ロメインレタス天」のこだわりや特徴を教えてください。

福島 まず原料は、地元・観音寺市大野原で栽培されている「らりるれロメインレタス」です。 大野原は非常に品質のいいレタスを作る産地で、このレタス自体も「観音寺ブランド認証品」に選ばれています。品質のために、農家さんから顔を見て直接仕入れています。やはり誰が作ったか顔が見える関係で仕入れるのが一番ですし、何より鮮度が違います。
またこの商品は、レタスが収穫できる11月~4月までの「期間限定商品」となります。 普通のレタスではありえなかった「加熱しても残るシャキシャキ感」と、レタスの軸が持つ「豊かな甘み」をぜひ味わってほしい。 おかずやおつまみだけでなく、「ロメインレタス天チャーハン」といった意外なアレンジも楽しめますよ。

―最後に、今後の展望をお聞かせください。

福島 「えび天」のような伝統の技術は守りつつ、新しいことにも挑戦し続けたいです。例えば、過去にヒットしたキャベツを使った「お好み焼き風」の練り物を、今風にリバイバルできないか考えています。ロメインレタスのように、今後も「地元の食材」を積極的に掘り起こし、商品開発を行っていきたい。 また、「ぬくぬく(揚げたて)」の体験を直接お届けするために「キッチンカー」での販売も始めました。 そして何より、この会社を「かまぼこが本当に好きだ」という社員に継承していきたい。 それが私の純粋な思いです。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「えび天」
価格:¥295/個(税込)
店名:かまぼこの老舗 ふくやオンラインショップ
電話:0120-298-113(8:00~17:00(水曜、日曜除く))
商品URL:https://fukuya-online.jp/products/detail.php?product_id=21
オンラインショップ:https://fukuya-online.jp/

「ロメインレタス天」
価格:¥211/個(税込)
店名:かまぼこの老舗 ふくやオンラインショップ
電話:0120-298-113(8:00~17:00(水曜、日曜除く))
商品URL:https://fukuya-online.jp/products/detail.php?product_id=29
オンラインショップ:https://fukuya-online.jp/
※「ロメインレタス天」は、11月から4月までの期間限定商品です。

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

福島加寿子(福弥蒲鉾株式会社 代表取締役)
1951年香川県観音寺生まれ。1969年に福弥蒲鉾株式会社に入社。2001年に代表取締役に就任、現在地域おこし、県産品を使った商品開発に注力している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/福弥蒲鉾>

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