細く大量高密度の360度毛でブラッシング。ものづくりの町・東大阪の技術が生んだ次世代歯ブラシ

2023/06/19

お口の健康と美しさのためには、毎日の口腔ケアが大切。ブラッシングが楽にでき、効果も高いケアアイテムをよき相棒にしたいですね。編集長アッキーが注目したのは、音波振動を利用して歯を磨き上げる、株式会社STI-IR(スティアー)が開発した360度毛歯ブラシ。開発の経緯や特徴を、同社代表取締役常務の樋口泉美氏に取材スタッフが伺いました。

株式会社STI-IR 代表取締役常務 樋口泉美氏
株式会社STI-IR 代表取締役常務 樋口泉美氏

-優しい磨き心地のこの歯ブラシは、職人の町として有名な東大阪で開発されたのですね。

樋口 1952年に東大阪市で創業し、私の祖父が町工場の鉄工所で働いていました。父の代になって、省力化機器の設計・製造、精密機械部品の加工・組み立てをするようになり、3代目で歯ブラシを作るようになりました。

-機器や機械部品の会社が、歯ブラシの開発に踏み切られたきっかけは?

樋口 元社員からの提案がきっかけでした。その社員は大病で会社を辞め、少し元気になって会社に顔を出した時に、歯ブラシの開発をしたいと提案したんです。父は大反対でしたが、その社員が不治の病だったということもあり、人助けの気持ちで開発に取り組んだところ、完成した歯ブラシは、結果として大ヒット商品になりました。その社員はその後1度会社に復帰して退職され、事業だけが今も続いています。

-開発のために専門の事業部を作られて?

樋口 2004年に自社特許技術を採用した「360度毛歯ブラシ」の企画・開発・製造・販売を展開するコモディティ事業部を新たに立ち上げ、開発に取り組んできました。

極細毛で毛量はふつうの歯ブラシの15〜20倍。

-これほどの優しい磨き心地、つるつる感は驚くばかりです。極細毛や大量高密度毛、丸い毛先などには精密機械部品加工の経験が生きて?

樋口 そうですね。一般的な歯ブラシは植毛で毛を本体に植え付けているのですが、うちは歯ブラシの形状上植毛をすることができないので、溶着技術で360度ディスク毛を生成し、積層しているのです。うちの溶着ディスク毛は植毛のブラシに比べて強度が約20%強いというデータも出ています。

毛を埋め込んだほうが強度がありそうなイメージでしたが、それだけ御社の溶着技術が優れているのですね。

樋口 ありがとうございます。他社では真似をしようと思ってもできない技術を使っていますので、歯ブラシを作っている機械については、じつは特許を申請していないんです。

かっこいいエピソードですね。技術の高さと誇りを感じます。毛が細いことで歯垢の吸い上げ効果も高いと?

樋口 「毛細管現象」といって、毛が細く、また毛の数が多いので、一般的な歯ブラシよりも表面張力が働き、歯垢などを含めた汚れがブラシに吸い上げられやすくなっています。実際に12人に普通の歯ブラシと使い比べてもらったところ、10人は一般的な歯ブラシを使った時に磨き残しがたくさんあったという実験結果も出ています。

毛先が丸く知覚過敏の人にも喜ばれるとか。舌のブラッシングにも使える。

ほかにもこだわりのポイントが?

樋口 毛先が丸いのは、中国で販売するにあたって、通関を通す際に必要なGB規格のためなんです。毛の先が丸くないと危険と認識されるので中国では販売できなくなるのですが、中国での販売数が多いので、毛先を丸く開発する必要がありました。この歯ブラシは毛が細くて多く、360度付いていますから大変な苦労でしたが、なんとか開発に成功しました。そして毛先が丸いと、中国に輸出できるだけでなく、お世話になっている歯医者さんによると、知覚過敏の方にも安心して使っていただけるようです。お客様からも知覚過敏が和らいだとか長年探し求めていた歯ブラシに出会ったというお声をいただいています。

歯茎に痛みを感じることもありません。飛沫が飛びにくく、洗面台がきれいに使えるのもいいですね。

樋口 毛が細く柔らかいので毛のしなりがよく、飛沫も飛びにくくなっているのだと思います。

-2021年時点では世界15か国で販売。日本在住の外国人有識者による賞も受賞されているとか?

樋口 「OMOTENASHIselection」(https://omotenashinippon.jp/prize/about/)2022年では「アジア選定員賞」を受賞、これで5年連続受賞しています。デザインの斬新さを高く評価いただいただけでなく、見た目のインパクトの期待を裏切らない効果、特にお子さまに対しての効果は高評価でした。実際にお子さまのために購入される方が多く、西松屋さんでは人気商品になっています。

360度毛歯ブラシの電動タイプ、POPOTAN 電動モデル TWISty。
小刻みな音波振動で磨き上がりの効果が高い。

-2022年には360度毛歯ブラシが累計3,000万本突破。そのうち電動はどのくらいですか?

樋口 2万本を突破しています。電動はテレビ通販が多いので、一般の消費者の方が購入されることの多い量販店やドラッグストアで販売できるよう、価格を抑えるべく頑張っています。原価は高く難しいことではあるのですが…。

-電動歯ブラシの海外での販売は?

樋口 電動歯ブラシは海外ではまだですが、海外での販売を視野に入れて電池式にしているんです。

電動タイプには取り替えヘッドが2個付いている。

-一般の電動歯ブラシは充電式が多く、洗面台に充電器やコードを置かなければならず面倒でしたが、これは便利です。海外進出を含め、今後の展望は?

樋口 360度毛歯ブラシは、現在14か国に輸出しており、優しい磨き心地かつ短時間で磨いてもしっかり汚れが落ちることから、お子さまにとくに人気ですが、イギリスでは医療現場や介護現場で好評を得て、当初年間2,000~3,000本から昨年度が20万本と、輸出本数が急上昇しています。日本だけでなく世界中で少子高齢化が進んでいきますから、高齢者にも使っていただけるようにしたいと思います。大人は歯ブラシは平面のものだと固定概念があるので、固定概念のない子どもから幅広い世代に広がっていけばと思っています。

-一度使えば虜になる歯ブラシだと思います。本日はありがとうございました。

POPOTAN TWISty 360度毛電動モデル

「POPOTAN TWISty 360度毛電動モデル」
価格:¥6,600(税込)
店名:STI-IR(スティアー)オンラインショップ
電話:06-6730-1712(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:http://360tampopo.moon.bindcloud.jp/products/pg4578533.html
オンラインショップ:http://360tampopo.moon.bindcloud.jp

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
樋口泉美(株式会社STI-IR 代表取締役常務)

1972年4月大阪府生まれ。大阪産業大学入学後、女子バスケットボール部を立ち上げ。卒業後、株式会社STI-IR(当時、株式会社樋口製作所)入社。28歳の時に父である前社長が引退、取締役常務に就任。自動機械部品加工及び組立以外に新規事業として360度毛歯ブラシの開発・生産・販売を手掛けるようになる。360度毛歯ブラシの製法国際特許取得。360度毛歯ブラシの良さを世界中の人に知ってもらい、たくさんの人々に使ってもらうことが夢。

<文・撮影/大喜多明子 MC/橋本小波 画像協力/STI-IR>

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