
東京・成城で70年愛され続けている洋菓子。バターの香りとサクサク食感のクッキーに、バタークリームとラムレーズンが絶妙の「レーズンサンド」
2026/04/16
落ち着いた高級住宅街が広がる世田谷区・成城(せいじょう)の地に、大正時代から暖簾を守り続ける一軒の菓子店があります。今回、編集長のアッキーが注目したのは、驚くほどサクサクとした食感が魅力の「レーズンサンド」。そしてバターの豊かな香りと卵の濃厚な風味が際立つ「月乃実ぼうろ」です。口の中でほどけるクッキーの食感や、芳醇なバターの香りは、手作りだからこそ。

その背景には、「余計なことをしない」という誠実さを貫く、老舗の矜持がありました。取材スタッフが、東京都に本社を構える、株式会社成城凮月堂 代表取締役社長の堀芳郎氏にお話を伺いました。

株式会社成城凮月堂 代表取締役社長の堀芳郎氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
堀 創業は1918年(大正7年)で、今年で108年になります。京都出身の初代が東京の品川で店を構え、1930年(昭和5年)に現在の成城学園前に移転しました。初代は和菓子職人でしたが、移転時に当時としてはまだ珍しかった洋菓子を取り入れるために、フランス職人を招き、技術を学びました。以来、和洋どちらも手作りの生菓子を主力とする、全国的にも珍しいスタイルを確立しています。学問や文学、映像に縁の深い文化的なこの街で、現在は「成城凮月堂」のほか、作りたてにこだわった和菓子店「あんや」や、おみやげにぴったりの「成城散歩」など、コンセプトの異なる店舗を展開し、地域の方々の日常に彩りを添えられるよう努めています。時代は変わっても、地元のお客さまのために「作りたて」を届ける姿勢は、今も昔も変わりません。





創業から100余年。
和菓子職人だった初代が成城の地で洋菓子を取り入れて以来、和洋の垣根を超えた菓子作りが続く。
―家業を継ぐことへの葛藤や、決意に至った経緯を教えていただけますか?
堀 もともとは、家業を継ぐ気はありませんでした。大学では経営工学を専攻し、卒業後は銀行員として「数字の世界」に身を置いていました。ですが、20代後半の頃、ふと自分の原点を見つめ直す機会がありました。食べ物の商売というのは、おいしいかどうかがすべてという非常に正直な世界です。「おいしいと思っていただけなければ、買ってはいただけない」という厳しさと、それゆえに「作ったものがダイレクトにお客さまの喜びにつながる」という価値を再認識したのです。そこで家業に戻る決意をし、30歳手前で製造の現場に入りました。職人たちと共に汗を流し、一から菓子作りの本質を学ぶ修業時代を過ごしたことで、手仕事の尊さを身をもって知りました。自分が作ったお菓子で誰かを笑顔にする。その小さな幸せの積み重ねを次世代に繋いでいきたいという思いが、今の私の原動力になっています。
―看板商品の「レーズンサンド」について伺います。70年以上も愛され続けているロングセラーですが、誕生の背景にはどのような思いがあるのでしょうか。
堀 私が子どもの頃からずっと店にあり、時代に合わせて少しずつブラッシュアップを重ねてきた、私たちを象徴する商品です。一番のこだわりは、バタークリームとクッキー、レーズンの「究極のバランス」を追求すること。一般的なレーズンサンドは四角い形が多いですが、私たちのものは丸い形をしています。これは、最初の一口から最後の一口まで、どこを食べてもクリームと具材を均等に味わっていただきたいという、職人の配慮から生まれた形なのです。奇をてらうのではなく、王道のおいしさをどこまで高められるか。その理想を追い求め続けた結果、この形と味にたどり着きました。


70年以上愛され続ける看板商品の「レーズンサンド」。
封を開けた瞬間に、芳醇なバターの香りが広がる。
―「サクサク感」に驚きました。この食感を守るためのこだわりを教えてください。
堀 そう言っていただけるのが一番嬉しいですね。多くのレーズンサンドはしっとりとしたタイプですが、私たちはあえて力強い「サクサク感」を大切にしています。この食感とバターの豊かな風味を最大限に活かすため、日持ちを延ばす添加物は一切使用していません。そのため賞味期限は5日間と短くなりますが、それは保存料に頼らず「鮮度」を最優先している、私たちの誠実さの証でもあるのです。毎日、必要な分だけを手作りし、フレッシュなバタークリームの香りを閉じ込めています。厳選したラムレーズンの芳醇な香りと、サクッとしたクッキー、なめらかなクリームが口の中で三位一体となる瞬間を、ぜひ楽しんでいただきたいですね。




驚くほど軽やかなサクサク感。
最後の一口まで、クッキーとクリーム、レーズンが完璧な比率で溶け合う。
―どのようなシーンで楽しむのがおすすめですか?
堀 地元の方は、毎日のおやつとして気軽に楽しんでくださっていますが、少しだけ背筋が伸びるような「成城の空気」を纏ったお菓子でもあります。週末の午後に、丁寧に入れた紅茶と共に楽しんでいただければ、それはとても贅沢な時間になるはずです。また、常温でもおいしいのですが、冷蔵庫で少し冷やすと、ひんやりとしたクリームが口の中でなめらかに溶け出し、サクサクのクッキー生地とのコントラストがより一層際立ちます。頑張った一日の終わりの、自分へのちょっとしたご褒美にもぴったりですよ。

慌ただしい日常をふっと緩めてくれる、魔法のようなひとときを。
―著名人や地元の方々からも、厚い信頼を寄せられているそうですね。
堀 ありがたいことに、成城に暮らす皆さまには、2世代、3世代と受け継がれる「わが家の定番」として親しんでいただいています。私たちとしては何より地元の方々の信頼を裏切らないことが第一だと考えています。手みやげとして持参する際に、「成城凮月堂のものなら間違いない」と選んでいただける。その積み重ねてきたブランドの信頼感こそが、私たちの誇りです。
―もう一つの人気商品「月乃実ぼうろ」について教えてください。
堀 はい。和洋どちらの技術も持つ私たちならではの、新しいけれどどこか懐かしいお菓子を目指しました。西洋のサブレに、日本で古くから親しまれてきた「丸ぼうろ」の素朴なニュアンスを融合させています。老若男女問わず、誰が食べても「ああ、おいしい」と心が解けるような、普遍的な味を目指して開発しました。洋菓子の華やかさと和菓子の優しさが溶け合う、不思議と飽きのこない一品です。


和の「丸ぼうろ」の素朴さと、洋の「サブレ」の贅沢なコク。
和洋の技術を併せ持つ成城凮月堂ならではの、新しい商品。
―原料へのこだわりはいかがでしょうか。
堀 北海道産の発酵バターと、選りすぐりの贅沢な卵をふんだんに使用しています。ここでも大切にしているのは「引き算」の菓子作りです。お菓子を柔らかく保つための酵素や乳化剤などは使わず、素材そのものの良さを引き出すことに専念しています。余計なものを入れないからこそ、バターの豊かな香りと卵の濃厚な風味が際立つのです。お子さまからご年配の方まで、どなたにも安心して召し上がっていただける優しさを込めています。

「大切な家族に、本当に安心できるものを」。
保存料や香料に頼らず、厳選した素材の力を最大限に引き出す。
―パッケージも月とうさぎのモチーフで、とても可愛らしいですね。
堀 ありがとうございます。成城らしい上品さと可愛らしさを兼ね備えたデザインを心がけました。箱を開ける瞬間のときめきも、お菓子の楽しみの一部ですから。癖のないおいしさなので、コーヒーや紅茶、日本茶など、どんな飲み物にもよく合います。3世代が集まる家族団らんの場の真ん中にあり、会話を邪魔せずにそっと寄り添う。そんな名脇役のような存在であれたら嬉しいですね。

月とうさぎがモチーフのパッケージ。
―どのようにお客さまに支持されていますか?
堀 「大切な家族には、本当に安心できるものを食べさせたい」と願う、食の質にこだわるお客さまから、熱い支持をいただいています。派手さはありませんが、一度食べるとまた戻ってきたくなる。そんなリピーターの方が多いのもこの商品の特徴です。この「月乃実ぼうろ」も、私たちが守り続けてきた誠実な菓子作りの一つの形として、信頼を寄せていただいていると感じています。
―最後に、今後の展望や守り続けていきたい信念についてお聞かせください。
堀 一言で言えば「余計なことをしない」ことに尽きます。規模を拡大することや百貨店へ進出することよりも、自分たちの目が届く範囲で、最高のクオリティと鮮度を守り抜くことを優先したい。たくさん売れるようになると、どうしても機械化したり、日持ちをさせるための工夫が必要になったりして、味が変わってしまうのです。私たちは、職人の手仕事を一貫して守り、毎日一つずつ大切に作るという姿勢を貫きます。和洋菓子という、日本独自の素晴らしい文化を一つの伝統工芸として次世代に繋いでいくこと。それが私たちの使命です。オンラインを通じて私たちの味を知っていただいた方が、いつか成城の街を訪れ、実店舗での体験を楽しんでくださる。そんな未来を願っています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「レーズンサンド(5個入~)」
価格:¥1,684~(税込)
店名:成城凮月堂
電話:03-3482-0551(9:30~20:00)
商品URL:https://shop.cake-cake.net/seijofugetsudo/select_item.phtml?CATE3_ID=6&tag_id=9&search_type=tag_search
オンラインショップ:https://shop.cake-cake.net/seijofugetsudo/index.phtml

「月乃実ぼうろ(5個入)」
価格:¥1,252(税込)
店名:成城風月堂
電話:03-3482-0551(9:30~20:00)
商品URL:https://shop.cake-cake.net/seijofugetsudo/select_item.phtml?CATE3_ID=25&tag_id=1&search_type=tag_search
オンラインショップ:https://shop.cake-cake.net/seijofugetsudo/index.phtml
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変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
堀芳郎(株式会社成城凮月堂 代表取締役社長)
1964年東京都生まれ。1989年早稲田大学大学院理工学研究科卒業後、株式会社三菱銀行入行。1992年に退行し、株式会社成城凮月堂に入社。自ら製造の現場に入り修業を積む。2009年より代表取締役社長。成城の街に根ざし、伝統的な和洋菓子文化を守り続けるとともに、「あんや」「成城散歩」などの新ブランドも展開している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/成城風月堂>




























