兵庫県の老舗酒蔵が贈る「酒粕が香るバスク風チーズケーキ」と「純米スパークリング祝泡」

2026/02/27

今回、編集長のアッキーが注目したのは、蔵人が丁寧に焼き上げる濃厚な「酒粕が香るバスク風チーズケーキ」と繊細な泡が美しく立ち昇る本格スパークリング「純米スパークリング祝泡 SHU-WA」です。一見意外な組み合わせの裏には、老舗の暖簾と職人の雇用を守り抜こうとした、熱い物語がありました。
伝統を重んじながらも、現代の食卓に新しい喜びを提案し続けるその背景には、どのような思いが込められているのでしょうか。取材スタッフが、兵庫県に本社を構える、富久錦株式会社 代表取締役社長の稲岡敬之氏にお話を伺いました。

富久錦株式会社 代表取締役社長の稲岡敬之氏

富久錦株式会社 代表取締役社長の稲岡敬之氏

―まずは、180年以上の歴史を持つ御社の歩みについて教えてください。

稲岡 私たちの蔵は1839年、天保10年に兵庫県加西市で創業しました。180年以上にわたりこの地で酒造りを続けていますが、大きな転換期となったのは1992年です。当時はまだ醸造アルコールを添加しない、米と米麹だけで造る「純米酒」は珍しかったのですが、私たちは全国に先駆けて、すべてのお酒を純米酒にする「純米蔵」へと切り替えました。
さらに1997年からは、使用するお米をすべて地元・加西市産に限定しています。これは「純粋な食が人生を豊かにする」という私たちのテーマに基づいた決断でした。古い写真を見ても、明治時代から「品質第一」という言葉を掲げています。良い原料を使い、おいしいものをお届けするという姿勢は、時代が変わっても決して変えてはいけない私たちの根幹だと考えているのです。

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180年以上にわたり、兵庫県加西市にて酒造りの歴史を紡いできた。

―社長ご自身は8代目として家業を継がれましたが、醸造学を専門的に学ばれたそうですね。

稲岡 はい。東京農業大学の醸造学科を卒業後、国税庁の醸造研究所で研究生として酵母の研究や分析に携わりました。専門的な知識や科学的な視点を学んだうえで1995年に入社し、まずは営業や製造の現場を経験。2001年には明治時代の古い蔵を再生させて直営店「ふく蔵」を立ち上げ、地域の方々に私たちの酒を直接お届けできる場所作りを始めました。その後、2013年に社長に就任し、現在も醸造責任者としてシーズン中は毎朝蔵に入り、自ら仕込みの現場で汗を流しています。伝統的な職人の勘を大切にしながら、理論に基づいた酒造りを実践することを常に心がけているのです。

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築100年以上の酒蔵を再生した直営店「ふく蔵」。
ショップやカフェ、ギャラリーなどがあり、地域のランドマークとして親しまれている。

―「酒粕が香るバスク風チーズケーキ」が誕生したきっかけを教えてください。

稲岡 2020年、コロナ禍によって飲食店向けの出荷が止まり、かつてない経営危機に直面しました。蔵人が一生懸命にお酒を造っても、売る場所がない。それでも、大切な仲間である蔵人の雇用を守り、彼らが酒造りに専念できる環境を維持しなければならないと強く決意しました。どうすればいいのか必死に考え抜き、導き出した答えが、ご家庭で楽しめる「お菓子」を作ることだったのです。
蔵人たちは当然、お菓子作りなど未経験です。慣れないオーブンを前に、菓子専門のスタッフとともに毎日試行錯誤を繰り返しました。素材の良さがストレートに出るものは何かを追求し、ようやく完成したのがこのバスク風チーズケーキなのです。まさに、蔵の危機を救うために全員で挑んだプロジェクトから生まれた一品でした。

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口に含んだ瞬間、クリームチーズのコクと酒粕の芳醇な香りが鼻腔をくすぐる。

―素材選びへのこだわりは、どのような点にありますか。

稲岡 自社の純米酒から生まれる、芳醇でフルーティーな香りの「酒粕」を贅沢に使用している点が最大の特徴です。ベースには世界的に評価の高い「Kiriクリームチーズ」を選び、酒粕の旨みと最も調和する黄金比を導き出しました。小麦粉の使用を極限まで抑えていますので、ひと口食べれば「ほとんどチーズそのもの」と感じるほど圧倒的に濃厚です。
また、牛乳と生クリームは隣町の京神牧場から届く、新鮮で質の高いものだけを厳選しています。保存料などの余計なものは一切加えず、素材本来の力を引き出すという酒造りの信念をケーキ作りにも反映させました。毎週、丁寧に手作りしてお届けしています。

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新鮮な牛乳と生クリームで仕上げた「チーズそのもの」のような濃厚さ。

―おすすめの楽しみ方はありますか。

稲岡 まずは冷蔵庫でしっかりと冷やしていただくのがいいですね。そうすることでチーズと酒粕の密度がギュッと凝縮され、より深い味わいを楽しめます。実はこのケーキ、日本酒との相性が抜群なのです。特に純米酒と合わせると、酒粕の風味が引き立ち、酒蔵が作るチーズケーキならではの新しい晩酌の形を体験していただけます。甘さは控えめに仕上げていますので、お好みで黒胡椒を少し振りかけるのもおすすめですよ。ワインやウイスキーにも合う「大人の味」に変化します。仕事や家事で頑張った一日の終わりに、自分へのご褒美として、少しずつ切り分けて至福のひとときを過ごしていただければ幸いです。

―発売直後から大変な反響があったそうですね。

稲岡 おかげさまで発売直後からSNSなどでも話題になり、今では「富久錦の隠れた名品」と言っていただけるようになりました。週に100個ほどしか焼けないため常に品薄の状態が続いており、楽しみにしてくださっているお客様には心苦しいのですが、一つひとつ手作業で仕上げる希少な価値を感じていただけるはずです。チーズ好きにはたまらない濃厚な味わいということで、最近ではギフトとして選んでくださる方も増えています。大量生産はできませんが、手作りだからこそ伝わる温もりや、素材の力を感じていただけているのではないでしょうか。

―「純米スパークリング 祝泡 SHU-WA」の開発にはどのような思いがありましたか。

稲岡 「日本らしい乾杯酒を世界へ届けたい」というビジョンから開発がスタートしました。シャンパンのような華やかさを持ちながら、日本酒の伝統を象徴するお酒を目指したのです。そこで採用したのが、蔵の中に生息する天然の乳酸菌の力を借りる江戸時代からの伝統製法「生酛(きもと)造り」でした。あ
えて手間のかかる古い手法を用いることで、これまでにない新しい価値を生み出そうと考えたのです。「古いものこそが新しい」という私たちの思いを象徴する、モダンで洗練された一瓶です。ラベルデザインは、世界的なデザイナーの森田恭通氏によるもので、食卓を華やかに彩ります。

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口に含むと、お米の柔らかな旨みとキレのある酸味が弾ける。
ラベルも洗練されたデザインで、ギフトにもピッタリ。

―製造のこだわりや、料理とのペアリングについて教えてください。

稲岡 このお酒はシャンパンと同じ「瓶内二次発酵」を行っています。グラスに注いだ瞬間、きめ細やかな泡が一筋、まっすぐに立ち昇る美しさを追求しました。この「シューッ」と上がる泡を作るのが非常に難しく、熟成に2年を要する理由でもあります。地元・加西市産のお米を100%使用し、お米の柔らかな旨みとキレのある酸味を両立させました。
通常のシャンパンが苦手とするイクラや数の子といった魚卵系とも、日本酒ならではの包容力で驚くほど調和します。揚げ物などの脂をさらりと流してくれる爽快感もあり、お正月や記念日の乾杯にふさわしい「日本の乾杯酒」として自信を持っておすすめします。

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きめ細やかな泡立ちが、記念日やお祝いの場を華やかに彩る。

―海外での評価も非常に高いそうですね。

稲岡 本場フランスの著名なソムリエの方からも「魚介料理に非常に合う」と称賛をいただきました。現在は日本国内だけでなく、ヨーロッパなど海外へも輸出されており、世界各地で私たちの泡が楽しまれています。手間暇をかけた品質が、国境を越えて認められていることは大きな励みになります。大切な方への贈り物として選んでいただくことも多く、贈った方にも、贈られた方にも喜んでいただけるような、信頼の品質をこれからも守り続けていきたいと考えています。

―最後に、これからの展望についてお聞かせください。

稲岡 私たちの最大の目標は、「加西市の農業とともに歩む会社」であり続けることです。現在はお米の全量を契約栽培で賄っていますが、ゆくゆくは自社での酒米作りも見据えています。農業に従事する方々の情熱を、お酒やスイーツという形に変えて発信していくことが、地域活性化への貢献に繋がると信じています。酒造りを通じて、この地域の豊かな風景や文化を次世代へと繋いでいく「地域のショーケース」のような存在でありたい。180年の伝統を背負いながらも、常に読者の皆さんが今求めているものを形にする、柔軟な姿勢を大切に歩んでいきます。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

酒粕が香るバスク風チーズケーキ

「酒粕が香るバスク風チーズケーキ」
価格:¥2,700(税込)
店名:ふく蔵オンライン
電話:0790-48-2005
定休日:なし(元旦、臨時休業日を除く)
商品URL:https://www.299store.net/shopdetail/000000000610/
オンラインショップ:https://www.299store.net/

純米スパークリング 祝泡 SHU-WA 【2023】(720ml)

「純米スパークリング 祝泡 SHU-WA 【2023】(720ml)」
価格:¥4,950(税込)
店名:ふく蔵オンライン
電話:0790-48-2005
定休日:なし(元旦、臨時休業日を除く)
商品URL:https://www.299store.net/shopdetail/000000000617/
オンラインショップ:https://www.299store.net/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

稲岡敬之(富久錦株式会社 代表取締役社長)
1971年兵庫県生まれ。富久錦8代目蔵元。東京農業大学醸造学科卒業、国税庁醸造研究所にて酵母の研究に携わる。1995年入社。営業・製造部を経て2013年社長就任。2001年に直営店「ふく蔵」を立ち上げる。就任後は醸造責任者として自ら酒造りに加わり、ブランド「純青」をリリース。播磨の恵みと風土で醸す唯一無二の酒を目指し、全量純米酒、全量地元産米による酒造りを実践している。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/富久錦>

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