
めんつゆがよくからみ、箸でもフォークでも“すべらない”と縁起もいい「すべらんうどん」
2026/01/29
今回、編集長のアッキーが注目したのは、「すべらんうどん」です。その名の通り、お箸やフォークからすべりにくい、ユニークな形状が特徴のうどんです。その形には、社長自らの経験から生まれた、深く温かい思いが込められていました。取材スタッフが、大阪府に本社を構える、うどん双樹株式会社の代表取締役、岡 道信氏にお話を伺いました。

うどん双樹株式会社 代表取締役の岡 道信氏
―まず、ご自身がうどん事業を始められた経緯と、会社の歩みについてお聞かせください。
岡 もともと私は、祖父が創業した「株式会社冨士屋かまぼこ」というかまぼこ屋に勤めていました。うどん開発は、個人的な経験から「人の役に立ちたい」という思いで始めたもので、当時はあくまで「ライフワーク」としてかまぼこ屋の仕事と並行して行っていたのです。その後、勤め先がM&Aされるといった出来事を機に独立し、2007年に「うどん双樹株式会社」を設立しました。私にとってこのうどん事業は、大切な「起業の原点」であり、ライフワークそのものです。

大阪天満宮の境内に構える店舗は、多くの参拝客との縁を結ぶ場所となっている。
―なぜ、うどん開発がそれほど強い「ライフワーク」となられたのでしょうか。
岡 その原点は、私自身の切実な経験にあります。私は生まれつき小児麻痺で、さらに22歳の頃にベーチェット病を発症し、のちに失明しました。自分自身、うどんを食べたくてもつるつるとして掴みづらく、思うように食べられない「もどかしさ」を、誰よりも深く感じていたんです。
また、当時参加していた障害者のヨットグループでの体験も大きかったですね。みんなで鍋を食べた際に、仲間たちがうどんをうまく掴めず、お皿からこぼしてしまう姿を目の当たりにしました。そんな時に、母から「そうやったら、食べやすいうどん作ったらどうよ」と言われたんです。その言葉に背中を押され、「同じように困っている人の役に立ちたい」という純粋な使命感で、このライフワークが始まりました。
―ご自身の経験と、お母様の一言が始まりだったのですね。そこから、現在の特徴的な形になるまでには、どのような道のりがありましたか。
岡 最初は輪なげの輪から「イカリング」のようなドーナツ状のうどんを試作したのですが、これが大失敗でして(笑)。「うどんの食感がしない」「どこを掴んでいいかわからず、かえって食べにくい」といった具合で、なかなかうまくいきませんでした。そこから1年半から2年ほど、試行錯誤の日々が続きましたね。そんなある日、電車に乗っていた際に、手にした「切符」からヒントを得たんです。「わざわざリング状にしなくても麺の表面に切れ目を入れたらどうだろう!」と思い、現在のスリット形状にたどり着くことができました。

「食べたいのに掴めない」というもどかしさを解消するために生まれた、優しさの結晶。
見た目は通常のうどんと変わらないが、その一本一本に「すべらない」工夫が凝縮されている。
―試行錯誤の末に生まれた形だったのですね。「すべらんうどん」の、こだわりのポイントを詳しく教えていただけますか。
岡 最大の特徴は、もちろん麺の中央に入ったスリット(切れ目)です。お箸やフォークを入れると、そのスリットによって麺をしっかり掴むことができます。長さも、一般的なうどんは25cmから30cm程度ですが、食べやすさを追求してそうめんと同じ18cmに設定しました。
この特殊な麺の製造は、兵庫県たつの市の「株式会社横尾商店」さんにお願いしています。実は、前職のかまぼこ屋時代に、かまぼこ用のでんぷんを仕入れていた取引先だったんです。その会社が偶然「製麺」も手掛けていたという「ご縁」があったからこそ、この難しい形状の製造を引き受けていただくことができました。
また、出汁もこだわっており、店舗では大阪の昆布やかつおを使っただし専門店「混合だし削り」を使用しています。スリットがあることで、このおいしい出汁が麺によくからみ、「食べやすい」だけでなく「よりおいしい」うどんを実現しています。

出汁にもこだわっていて、おいしいめんつゆがからむようにできている。

箸を通すとスリットが閉じて麺をしっかり掴むため、握力の弱い子供や高齢者でも容易に食事を楽しめる。
―食べやすくて、おいしい。素晴らしいですね。どのような方に、どのように楽しんでいただきたいですか。
岡 二つの楽しみ方があると思っています。一つは、小さなお子様からご高齢の方まで、ぜひ「ごく普通に」召し上がっていただきたいです。あえてスリットを意識しなくても、自然とお箸に引っかかりますので、その「食べやすさ」という優しさを実感してほしいですね。
もう一つは、「願掛け」としての楽しみ方です。完成したうどんが新聞で紹介された際、大阪天満宮の方の目に留まり、境内で出店させていただくご縁をいただきました。その時に、知り合いの議員が選挙戦に「『滑らない』って言葉、ええやん」とアドバイスをくれたんです。それがきっかけで、「すべらない」「落ちない」という縁起の良い「受験応援グッズ」としての使命が生まれました。受験はもちろん、資格試験、大切な試合や商談の前など、「ここぞ」という時に、お守りとして召し上がっていただけるとうれしいですね。

「すべらない」「落ちない」という縁起の良さから、受験生の合格祈願アイテムとしても人気。
―「優しさ」と「願掛け」、まさに二つの側面をお持ちですね。お客様や外部からの評価はいかがでしょうか。
岡 おかげさまで、「第3回 キッズデザイン賞 金賞」や「第4回 神戸ユニバーサルデザイン大賞 優秀賞」を受賞することができました。特に「キッズデザイン賞」をいただいたことは、子育て中のお母様方にとって大きな信頼の証になっていると感じます。
お客様からも「小さな子どもでもフォークで食べやすくてリピートしています」というお声や、「『すべらん』『落ちない』ので、受験生のギフトとして喜びました」というお声をいただき、本当にありがたいです。私の思いであった「優しさ(ユニバーサルデザイン)」と、天満宮とのご縁で生まれた「縁起(受験応援)」という二つの価値が、お客様にも確かに届いているのだと実感しています。
―最後に、これからの展望、未来のビジョンについてお聞かせください。
岡 うどんの可能性を広げる、新たな挑戦も始めています。乾麺を電子レンジで加熱するとサクサクのスナックになる「乾麺革命」という商品を開発しました。牛乳とシロップをかければ「シリアル(ミルクうどん)」に、水で戻せば「くず切り」のように、お味噌汁に入れれば「お麩」の代わりにもなります。小麦粉と塩だけでできた、保存も効く無添加おやつとして、忙しいお母さんを応援できればと思っています。
今後は「すべらん」という言葉をキーワードに、文房具やゲームなど、子どもたちの教育分野にも貢献していきたいです。大阪天満宮という場所でお商売をさせていただいていますが、神社は私たちの生活には切っても切り離せないものだと思います。これからも、その場所を基盤として、「人の役に立つ」という私のライフワークを続けていきたいですね。
―貴重なお話をありがとうございました。

「すべらんうどん4人前」
価格:¥1,800(税込)
店名:うどん双樹
電話:06-6373-1351
商品URL:https://udon-soujyu.ocnk.net/product/2
オンラインショップ:https://udon-soujyu.ocnk.net/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
岡 道信(うどん双樹株式会社 代表取締役)
生まれつき小児麻痺を患い、22歳の頃にベーチェット病を発症、のちに失明。親戚のかまぼこ会社に勤めながら「すべらんうどん」を開発し、グッドデザイン賞を受賞。「すべらないうどん」として新聞で紹介されたのをきっかけに、大阪天満宮からの依頼で境内にうどん店をオープン。20年にわたり受験生を応援し続けている。現在は、阪急百貨店7店舗でだし巻き玉子の販売店も経営。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/うどん双樹>




























