薩摩藩主が愛し、いまも地元で愛され続ける創業170年の味。ふわふわ、しっとり「かるかん」と「かるかん饅頭」

2025/11/26

鹿児島の伝統菓子「かるかん」。170年以上も前から愛され続ける、その素朴でやさしい味わいの秘密はどこにあるのでしょうか。今回、編集長のアッキーが注目したのは、「かるかん5枚・かるかん饅頭5個入」です。ふわふわ、しっとりとした食感の背景には、原料である「自然薯」や「米粉」への、時代を超えた徹底的なこだわりがありました。その味わいは、薩摩藩御用達としての伝統を守るだけでなく、新しい食べ方の提案など、未来へ「本物」を繋ぐ誠実な姿勢によって支えられています。鹿児島県に本社を構える、合名会社明石屋菓子店の代表社員、岩田 英明氏に取材スタッフが話を伺いました。

― まず、御社の長い歴史についてお聞かせください。

岩田  はい、私どもは1854年(安政元年)の創業、「かるかん発祥の店」と言われております。創業からは171年を迎えました。もともと初代は、江戸にあった薩摩藩のお屋敷(江戸藩邸)で、藩専属の菓子職人として仕えておりました。 当時の藩主、島津斉彬公は非常に先進的な方で、「江戸や大阪に負けないお菓子を作ってほしい」という命を受けました。 その後、斉彬公が島津藩の当主に就かれる際に一緒に鹿児島へ参りまして、城下に店を構えたのが1854年、これが明石屋の始まりです。

初代が島津斉彬公と共に鹿児島へ渡って以来、その歴史は170年を超える。
戦災による移転を経ても、のれんは固く守られている。

― 会社を継ぐまでの経緯と、入社後に大切にしている思いについて教えてください。

岩田  大学卒業後は、外の世界を学ぶため、まず百貨店(伊勢丹)に入社しました。1992年に家業である明石屋菓子店へ戻りました。先代からもよく言われたのですが、私どもの商売はマラソンではなく「駅伝」だと考えています。 私は途中の走者として、このバトンを次の世代へしっかり渡すのが役割です。 幼い頃、祖父から戦後の復興の話をよく聞かされて育ちました。その思いを引き継ぎながら、「かるかん」づくりに真摯に向きあっています。

― 「かるかん」は、どのようにして誕生したのでしょうか。

岩田  島津斉彬公の高い理想に応えるため、 初代が江戸の菓子職人としての技術と、薩摩の良質な自然薯(山芋)を融合させて創製したのが始まりです。 名前の由来には諸説ありますが、私どもは大陸由来の菓子文化に起源があると考えています。 「カル」は韓国語で「粉」という意味があり、 「粉で作った厚物(あつもの)」、そこから「カルカン」となったのではないか、そんな説を有力としています。

― 今回ご紹介いただく「かるかん5枚・かるかん饅頭5個入」は、2種類のお菓子がセットになっているのですね。「かるかん」と「かるかん饅頭」の違いについて、教えていただけますか。

岩田  はい。「かるかん」は、自然薯と米粉、砂糖のみで蒸しあげた、素材の風味をいかした素朴で気品ある味わいのお菓子です。一方、「かるかん饅頭」は、その伝統のかるかん生地で、北海道産の小豆を使ったこだわりの餡を包んだものになります。このセットでは、餡のない「かるかん」が5枚、餡入りの「かるかん饅頭」が5個入っており、両方の味を楽しんでいただけます。

素材の風味をそのまま味わう「かるかん」と、こだわりの餡が加わった「かるかん饅頭」。
伝統の生地が持つ2つの魅力を楽しめる。

―味わいの核となる、自然薯、米粉、そして饅頭の餡について、原料へのこだわりやご苦労などを詳しくお聞かせいただけますか。

岩田 自然薯は創業以来、良質なものだけを使っています。 昔から、自然のものですから採れない年もあり、自然薯が手に入らない時は、代替の山芋は使わずにかるかんを作らない、という姿勢を貫いています。

また、自然薯は、掘り子さんの高齢化や、イノシシなどによる獣害で、天然物は非常に少なくなってきました。 この危機に対し、私どもは10年以上前から鹿児島大学と共同で自然薯の栽培について研究を始めました。 遺伝子レベルまで調べ、天然物と栽培物の比較を行い、遜色がないことを確認しています。 今は全国の農家さんとも提携し、品質の維持に努めています。

「かるかん」の風味と食感を生み出している自然薯。
創業時から変わらずこだわり続けている。

米粉についても、私どもは皆さんが食べている食用米を厳選して仕入れています。 毎年どの米を使うか社内で検討し、年間100トンほど仕入れ、自社で製粉しています。すぐ使用できるよう、自社製粉が一番だと判断しました。かるかん饅頭の餡は、北海道産の小豆を厳選して使用しています。 また、かるかんそのものはグルテンフリーで、ビーガンの方にもお召しあがりいただけます。 小麦粉アレルギーのお子さんのために、ケーキの代わりにかるかんを使いたいというお問い合わせを全国からいただくこともあり、とても喜ばれています。

― そのままでも十分おいしいですが、おすすめのいただき方や、意外なアレンジ方法があれば教えてください。

岩田 ご飯が温かい方がおいしいのと同じで、かるかんも米粉を使っていますから、温め直すのが一番です。 ご家庭ならセイロや、炊飯器の蒸気で少し蒸していただくと、まるで出来立てのようにふわふわになります。そのままでもおいしいですが、トースターで焼き、バターを塗ったり、チーズやシナモンをかけたりしてもおいしいです。 米粉パンのような感覚で楽しんでいただけます。今後、パッケージも改良し、脱酸素素材ごと電子レンジに入れられるものを採用する予定です。 より手軽に、できたてのようにおいしく召し上がっていただけるようになります。

― 観光のお土産というイメージがありましたが、地元・鹿児島の方々にも深く愛されているそうですね。

岩田 はい。コロナ禍でそのことを改めて実感しました。2020年、2021年は人の移動が止まり、売上は大きく下がると予測していましたが、実際の落ち込みは約20%に留まりました。 つまり、お客様の約8割が地元の方々だったと分かり、改めて地元を大切にしなければいけないと痛感しました。ありがたいことに、「ひ孫たちも大好きで」と仰ってくださる常連のお客様もいらっしゃいます。 また、進学や就職で鹿児島を離れた方々が、「故郷の味」として「鹿児島でかるかん食べたな」と懐かしみながらご購入いただく機会も非常に多いです。

― 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

岩田 先ほども触れましたが、「グルテンフリー」や「ビーガン」対応という点は、大きな可能性を感じています。 また、かるかんの主原料である自然薯は、日本にしかない「ジャポニカヤム」という品種なんです。この日本固有の価値を、大陸、例えば中国や韓国の方々にもおいしいお菓子として展開を考えてみたいとは思っています。とはいえ、自然薯の量には限りがあります。 私どもが鹿児島市内だけで商売を続けている背景には、この原料の希少性があります。そのことをしっかり踏まえ、誠実に、そして丁寧に未来へとつないでいきたいと考えています。     

―貴重なお話をありがとうございました。

「かるかん5枚・かるかん饅頭5個入」
価格:¥2,700(税込)
店名:かるかん元祖 明石屋
電話:0570-020-431(受付時間 09:00~17:00)
商品URL:https://www.akashiya.col.jp/products/karuman-set/karuman-set5-5.html
オンラインショップ:https://www.akashiya.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

岩田英明(合名会社明石屋菓子店 代表社員)
1966年鹿児島県生まれ。玉川大学卒業後、伊勢丹に入社。1992年に明石屋菓子店へ入社。2007年に同社代表社員に就任。2021年より鹿児島県菓子工業組合理事長も務める。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/明石屋菓子店>

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