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150年変わらない北海道の味。金時豆でつくる「丸缶羊羹」

2025/11/06

今回、編集長のアッキーが注目したのは、筒から押し出して、くるりと糸を回して切り分ける、ユニークな羊羹「丸缶羊羹」です。この商品を作っているのが、北海道の南西部に位置し、かつて北前船の交易で栄えた港町・江差(えさし)で150年以上の歴史を刻む老舗「五勝手屋本舗」。伝統の味を守りながらも、常に新しい楽しみ方を提案し続ける株式会社五勝手屋本舗の6代目代表取締役社長、小笠原敏文氏に取材スタッフが伺いました。

株式会社五勝手屋本舗 代表取締役社長の小笠原敏文氏

株式会社五勝手屋本舗 代表取締役社長の小笠原敏文氏

―北前船が行き交った港町で、150年以上の歴史を紡いでこられたのだそうですね。

小笠原 はい。私どものルーツは江戸時代にまで遡ります。祖先が江差(えさし)の南方にあった五花手(ごかって)という地区で豆の栽培に成功したことをきっかけに、北前船が運んできた砂糖や寒天を使ってお菓子づくりを始めたのが起源です。そして、看板商品である「五勝手屋羊羹」が生まれた1870年(明治3年)を創業年として、この地で商いを続けてきました。おかげさまで、1936年(昭和11年)には昭和天皇が函館に行幸された際のお土産として私どもの羊羹が選ばれ、道南を代表する銘菓として知っていただけるようになりました。

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はじまりは江戸時代。江差(えさし)の地にて、
北前船が運んできた材料を使ってお菓子を作っていた。

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江戸時代から現代へ。
お菓子作りのバトンは、現在6代目の手に渡っている。

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丸い筒型のパッケージ。レトロで愛らしいデザイン。

―社長はどのような経緯で、家業を継がれたのでしょうか。

小笠原 高校卒業後、東京農業大学へ進学し、その後アメリカのフロリダに3年ほど滞在していました。食の世界に興味はあったものの、当時は家業を継ぐという意志はありませんでした。日本に戻り、2000年に当社に入社したのですが、すぐに経営に関わったわけではありません。そこから20年間、製造以外の全部門で実務を経験した後、2020年に6代目を継ぎました。

―社長に就任されて、特に大切にされている考え方はありますか?

小笠原 すべての商品は看板商品の「丸缶羊羹」から繋がっていると考えています。その考えを共有するために「相関図」を作成しました。伝統を守ることはもちろん重要ですが、同時に、この絶対的な中心軸さえブラさなければ、新しい挑戦もできると考えています。この「相関図」は、私たちの進むべき道を示す羅針盤のようなものです。

和菓子の新たな可能性を追求する、独自の相関図。
中心の「五勝手屋羊羹」を軸に、
他にはないユニークな商品を開発し続けている。

―看板商品である「丸缶羊羹」は、形も食べ方もとてもユニークですが、どのような経緯で誕生したのでしょうか。

小笠原 この形が生まれたのは1938年(昭和13年)頃、私の祖父にあたる4代目が、当時東京で流行り始めていた丸い筒形のパッケージをいち早く採用したのが始まりです。実は当時、有名な和菓子店をはじめ、多くの店が同じような丸い羊羹を作っていました。しかし、四角い羊羹が主流で、あまり売れ行きがよくなかったため、他のお店は次々と製造をやめてしまいました。私どもは江差(えさし)という田舎町にあったため、良くも悪くも都会の流行に左右されずに作り続けることができました。当時は決して主流ではなかったその選択が、時を経て、五勝手屋本舗だけの「個性」として輝きを放つことになったのです。

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1938年から作り続けている、特徴のある「丸缶羊羹」。

―味へのこだわりについてもお聞かせください。一般的な羊羹とは少し違う、奥深い味わいを感じます。

小笠原 一番の特徴は、原材料に小豆ではなく「金時豆」を使っていることです。これは、私どもの祖先がこの地で豆栽培を始めたというルーツにも繋がっています。一度は栽培が途絶えてしまった幻の豆を、地域の農家さんや団体の皆さんと力を合わせ、5年がかりで蘇らせました。この羊羹には、北海道・江差(えさし)の土地と人の思いが詰まっているのです。

この金時豆を使うことで、羊羹の色は美しい飴色になり、どこか懐かしいのに初めて出会うような深い味わいが生まれます。口に入れると、まず金時豆ならではの優しい甘さと豊かな風味が広がり、じっくりと練り上げた砂糖が織りなすカラメルのような香ばしさが、ふわりと鼻を抜けていきます。

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創業当時から、五勝手屋の商品に使われている「金時豆」。

―食べる前の「糸で切る」というひと手間も、この商品ならではの体験ですね。

小笠原 そうですね。筒の底から食べたい分だけ押し出して、容器についている糸をくるりと回して切る。このひと手間が、いつものおやつの時間を、少しだけ心豊かな、特別なひとときに変えてくれるのではないかと考えています。今は何でも機械化できますが、こうした手作業でしか生まれない価値を、私たちはこれからも大切にしていきたいです。

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筒の底を押し出して羊羹を出し、糸で切ってからいただく。

―おすすめの楽しみ方を教えていただけますか?

小笠原 お気に入りの日本茶やコーヒーと合わせていただくのはもちろんですが、意外な組み合わせとして、ウイスキーやスコッチといった蒸留酒とのペアリングもおすすめです。金時豆のコクと砂糖のカラメル感とのハーモニーをぜひ楽しんでいただきたいですね。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

小笠原 会社の規模を闇雲に大きくすることを目指すのではなく、この江差(えさし)という愛する町と共に歩んでいきたいと考えています。また最も大切なのは、お客様に「必要とされる」存在であり続けること。そのために誠実なものづくりを続けていきます。そして、同業の仲間たちと切磋琢磨しながら、斜陽産業といわれることもある和菓子の世界全体を盛り上げ、この美しい日本の文化を未来に繋いでいく。この羊羹を一口味わうことが、そんな未来へのささやかな応援に繋がっているとしたら嬉しく思います。

―本日は貴重なお話をありがとうございました!

丸缶羊羹

「丸缶羊羹(1本)」
価格:¥378(税込)
店名:五勝手屋本舗
電話:0139-52-0022
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://gokatteya.co.jp/?pid=164645607
オンラインショップ:https://gokatteya.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

小笠原敏文(株式会社五勝手屋本舗 代表取締役社長)
1972年北海道生まれ。東京農業大学を卒業後、アメリカ・フロリダへ。2000年に株式会社五勝手屋本舗に入社し、製造以外の全部門を経験。2020年に同社代表取締役社長に就任。「丸缶羊羹」を軸とした独自のブランド哲学のもと、伝統を守りながらも新しい和菓子の可能性を探求し続けている。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/五勝手屋本舗>

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