
常識を覆す大ぶりのたこがゴロリ。三陸の恵みと復興への想いが詰まった「たこわさび」
2025/10/16
今回、編集長のアッキーが注目したのは、大ぶりのたこが贅沢に入った「たこわさび」。これまでのたこわさびの概念を覆す、たこの食感と、ツーンと鼻に抜けるわさびの風味がたまらない逸品です。東日本大震災という未曾有の困難を乗り越え、変化を恐れずに新たな挑戦を続ける株式会社丸荒 代表取締役の及川吉則氏に、この商品の魅力と事業にかける想いを、取材スタッフが伺いました。

株式会社丸荒 代表取締役の及川吉則氏
―まず、会社の成り立ちについてお聞かせください。
及川 私の父が1974年に創業しました。宮城県の南三陸町は漁師町で、父も家業として漁師をしていました。そこから、今でいう6次産業化のように、獲ったものを加工して販売することを始めたのが事業の起こりです。1996年に30歳で会社を継ぎ、漁業から水産加工・販売へと事業を本格的に転換しました。

太平洋を目の前に臨む、丸荒本社。
―及川社長は2代目でいらっしゃるのですね。どのような経緯で会社を継がれたのでしょうか?
及川 私は長男でしたので、田舎ならではの考え方かもしれませんが、自然な流れで家業を継ぐものだと考えていました。私自身も、会社を継ぐ前は父と同じように漁に出て、カキの養殖など生産者としての経験を積みました。その後、本格的に代表として事業に携わるようになってからは漁師を辞め、食品加工の分野に専念することにしたのです。ありがたいことに事業は右肩上がりに成長し、工場も5棟まで増やすことができました。
―東日本大震災では、甚大な被害を受けられたと伺いました。
及川 はい。震災前は5棟あった工場のうち4棟が津波で流され、残った1棟も床上2mほど浸水しました。また、地上の設備だけでなく、ホタテやカキといった養殖の基盤も海の底からすべて流されてしまいました。
今でも、漁獲量は震災前の3割ほどしか戻っていません。そのため、以前と同じ商品を作ることは難しく、全く新しい会社を立ち上げるような覚悟で、商品も販路も変えながら事業の再建を進めてきました。まさにゼロからの再スタートです。ようやく工場の復旧が完了し、本格的なスタートラインに立てたのが2020年のことです。

東日本大震災を乗り越え、再スタートを切る。
―今回ご紹介いただく「たこわさび」は、どのようにして生まれたのでしょうか?
及川 この「丸荒の贅沢珍味『海烹撰』」シリーズは、実は震災前から発売の準備を進めていた商品でした。事業を再開した当初は、生鮮品の原料が何もない状態でしたから、まずはこの珍味シリーズの製造から始めました。
もともと南三陸町のたこは、「西の明石(兵庫県)、東の志津川(宮城県南三陸町)」と言われるほど業界では有名なブランドなんです。その自慢のたこを原料にしていましたが近年の温暖化等の影響で水揚げが少なく今は三陸・宮城産を中心にしています。
―「たこわさび」のこだわりのポイントを教えてください。
及川 一番の特徴は、一般的なたこわさびよりも、たこを大きくカットしている点です。もともとは写真映えを狙ったのですが、これがお客様に大変喜ばれました。
また、味付けは、ツーンと鼻に抜けるわさびの風味と、ピリッとした辛さを効かせた「大人向けの辛さ」に仕上げています。わさびは香りが命ですが、その香りを飛ばさないようにするのが難しかったです。約1年かけて開発したこだわりの味です。

素材を活かした上品な味付けは、お酒のお供にも。
―お客様からはどのようなお声が届いていますか?
及川 やはり、たこを大ぶりにカットしているので「食べごたえがすごい」「これまでのたこわさびと全然違う」といったお声をよくいただきます。飲食店でも使っていただいており、「見栄えが全く違う」と好評です。テレビ取材でタレントさんが食べたときには、大きすぎて喋れなくなってしまったほどで、そのインパクトがさらなる話題を呼びました。
―水産加工食品だけでなく、スイーツも展開されているそうですね。
及川 はい。震災後、町の商店街を復旧させる過程で、「ホワイトシップ」というブランドでバームクーヘンなどのスイーツ販売を始めました。地元の子どもたちが、将来水産業以外の選択肢も持てるように、という想いもあります。
また、近年は温暖化でリンゴやブドウといった農産物が獲れるようにもなってきたので、町の農家や飲食店など40人ほどの仲間と、「スイーツピクニック」という町おこし企画も主催しています。


水産業だけでなく、スイーツ事業にも注力している。
「バウムクーヘン ソフトタイプ ホール」。
―今後の展望についてお聞かせください。
及川 震災からの14年、そして近年の気候変動と、私たちを取り巻く環境は常に変化しています。獲れる魚も変わってきており、水産業界は非常に厳しい状況です。しかし、変化に対応できなければ生き残ることはできません。
私は会社の経営だけでなく、観光協会の会長を10年務めるなど、町全体の産業をどう盛り上げていくかという視点で活動してきました。これからも広い視野を持ち、常に新しいことにチャレンジし続けたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました!

「丸荒の贅沢珍味『海烹撰』シリーズ たこわさび 150g」
価格:¥1,242(税込)
店名:MARUARA OIKAWA Seafood Shop
電話:0226-48-5625(9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://maruaraoikawa01.stores.jp/items/5ffeecaab00aa348c5a71c18
オンラインショップ:https://maruaraoikawa01.stores.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
及川吉則(株式会社丸荒 代表取締役)
1966年宮城県南三陸町生まれ。家業を継ぎ1996年に代表取締役に就任。右肩上がりの業績を続けるも、2011年の東日本大震災で5棟の工場のうち4棟を流出。残った1棟で事業を再開し、2020年に工場の復旧を果たす。震災、気候変動という厳しい環境の中、常に地域の未来を見据え、新たな挑戦を続けている
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/丸荒>




























