
300年の歴史が息づく京都の涼菓。竹筒からつるんと味わう「甘露竹」
2025/08/29
今回、編集長のアッキーが注目したのは、涼し気な青竹入りの水ようかん「甘露竹(かんろたけ)」です。江戸時代から続く京都・祇園の老舗和菓子店、鍵善良房(かぎぜんよしふさ)が手がける、みずみずしい味わいの一品です。その歴史や商品の魅力について、株式会社鍵善良房の15代目当主、代表取締役社長の今西善也氏に、取材スタッフがお話を伺いました。

株式会社鍵善良房 代表取締役社長の今西善也氏
―長い歴史をお持ちですが、創業はいつ頃なのでしょうか。
今西 創業時期を特定できる文献はないのですが、「享保十一年」という年号が書かれた菓子の重箱がお店で見つかっています。西暦でいうと1726年、江戸時代中期です。少なくともその頃には、菓子屋を営んでいたようです。屋号はもともと「鍵屋」でした。モチーフにしている蔵の鍵は富の象徴として親しまれた縁起のいい柄です。当主は代々名前に「善」の字がつく者が多く、「鍵屋の善さん」という意味合いで、お客様から「鍵善(かぎぜん)さん」と呼んでいただくようになり、それが店の名前として定着したと聞いています。


旧店舗から発見された「行器(ほかい)」。
神仏に供え物を盛る器として使われ、後に外出時の食事を運ぶために使われたとされている。
正面には鍵のマーク、側面には「鍵屋良房」の文字があり、300年の歴史が感じられる。
―今西社長は15代目でいらっしゃいますが、家業を継ぐことは意識されていましたか?
今西 大学卒業後の進路を考え始めた頃から、いずれは自分がこの店を継がなければならないと、自ずと意識するようになりました。幼い頃からお店が家でしたから、お菓子作りはとても身近なものでした。今回ご紹介する「甘露竹」に使う青竹を洗ったり、笹で蓋をしたりという作業は、子どもの頃から手伝っていました。大学卒業後は、ご縁があって銀座にある和菓子店に就職し、製造の現場で3年ほど働きました。お菓子作りの基礎をそこでも学び、その後、京都に戻って家業に入りました。


京都・四条本店の外観と内感。歴史が詰まった店内は、まるでタイムスリップしたかのよう。
昔も今も変わらず、多くの人に愛されている。
―今回ご紹介いただく「甘露竹」は、青竹の筒に入っているのがとてもユニークですね。いつ頃からある商品なのですか?
今西 正確な時期は定かではありませんが、おそらく昭和のはじめ、戦前にはすでにあったかと思います。昔から竹筒にようかんを流し入れるという手法があり、そこから着想を得たのではないかと思います。
―水ようかんのおいしさだけでなく、見た目からも楽しめる素敵なお菓子ですね。
今西 はい。長く親しまれているお菓子です。京都の竹を専門に扱うお店から、大きさを揃えた新鮮な青竹を仕入れています。筒の口を覆っているのは、こちらも京都産の香り高い笹です。食べる前に、まず笹の爽やかな香りも楽しんでいただきたいと思っています。底にぷすっと穴を開けると、中身がつるんと出てくる。その仕組みも楽しんでいただけたら嬉しいです。

笹の爽やかな香りは夏にピッタリ。竹かご入りの商品も展開。

つるんと出てくる、喉ごしなめらかな水ようかん。
―水ようかんのこだわりについてもお聞かせください。
今西 水ようかんは、小豆、砂糖、水、そして海藻から作られる寒天だけで作っています。保存料などの添加物は一切使っていません。とてもシンプルな菓子だからこそ、素材の質が味を大きく左右します。特に小豆は農作物なので、その年々で出来がいいものを吟味し、店の味に合う最良のものを選んでいます。小豆の風味を生かし、甘すぎずさっぱりとした味わいになるよう気をつけています。
―製造工程で職人技が光る部分はありますか?
今西 あんと寒天を合わせる工程は、職人の経験がものをいいます。シンプルな材料だからこそ、火加減や混ぜ方、冷まし方といった細かな調整が味の決め手になります。熱すぎるままだとあんこと水分が分離してしまいますし、冷ましすぎても寒天のなめらかな食感が損なわれてしまいます。この加減は、機械では難しい部分で、職人の長年の勘と経験が頼りです。手作業だからこそできる、絶妙な塩梅があります。
―どのようなお客様が購入されることが多いですか?
今西 昔から、大切な方への贈り物としてお使いいただくことが多いです。結婚式の引出物など、お客様の人生の節目に立ち会わせていただくことも少なくありません。包装やのし紙など、お客様と相談しながら一つひとつ丁寧にご用意するので、「おかげさまでうまくいきました」とご報告いただけたときは、こちらも大きな達成感を感じ、何より嬉しいです。
―リピーターのお客様も多そうですね。
今西 ありがたいことに、親子代々でご愛顧くださるお客様もいらっしゃいます。京都以外にお住まいの方でも、「夏になると鍵善さんの甘露竹が食べたくなる」と、毎年決まってご注文をくださる方も多いです。ご自宅用のおやつとして、ご家族やご友人と楽しむためにとお求めになる方も増えました。単純に「おいしかった」という一言が、私たちの何よりの励みになります。
―最後に、今後の展望についてお聞かせください。
今西 昔からのお客様を大切にしながら、今の時代を生きる新しい世代の方々にも、弊社のお菓子を楽しんでいただきたいです。今は海外からのお客様もたくさん京都にいらっしゃいます。国籍を問わず、世界中の方々に、日本の伝統的なお菓子の素晴らしさを知っていただけるような商品を、これからも考えていきたいと思っています。オンラインショップも整えましたので、お店になかなか来られない方にも、気軽にお菓子を届けられたら嬉しいです。
―素晴らしいお話をありがとうございました!

「甘露竹(かんろたけ)サービス箱入り」
価格:¥2,000(税込)
店名:鍵善良房オンラインショップ
電話:075-561-1818(9:00~18:00 月曜除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kagizen.co.jp/collections/kanro-take/products/kanro-take-simplified
オンラインショップ:https://shop.kagizen.co.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
今西善也(株式会社鍵善良房 代表取締役社長)
1972年生まれ、祇園町の老舗菓子屋・鍵善良房に育つ。大学卒業後、東京の菓子店にて3年間の修業を積む。その後、京都に戻り家業に従事し、2008年に15代目当主として社長に就任。「伝統を守りながら、常に時代にあった菓子作り」を信条とし、2012年にはカフェ「ZENCAFE」、2021年には美術館「ZENBI」をオープンさせるなど、新しい挑戦を続けている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/鍵善良房>




























