海の京都・舞鶴で水揚げされた極上サワラを急速冷凍。脂&甘みたっぷり「天然京鰆のしゃぶしゃぶ 200g×1パック」

2025/06/02

「プライドフィッシュ」をご存知ですか?各都道府県の漁業協同組合連合会と漁業協同組合が選定した、漁師が自信をもって推奨する魚介類、つまり漁師さんが選んだ「本当においしい魚介類」のことです。現在、全国のプライドフィッシュは295。その中から、編集長アッキーこと坂口明子の目に留まったのが、京都府に7種あるプライドフィッシュのうちの1つ、「京鰆」です。京鰆は、やわらかな身と淡白な味わい、強い旨みと甘みが身上。その魅力を最大限堪能できる、しゃぶしゃぶ用の京鰆を製造・販売する有限会社川又商店代表取締役の長崎寿夫氏に、取材陣がお話を伺いました。

有限会社川又商店代表取締役 長崎寿夫氏

ーまずは、会社の成り立ちについて、お聞かせください。

長崎 1955年頃、私の祖父が個人事業主として、魚の卸売を始めました。舞鶴港で水揚げされた魚を、東京や大阪といった大都市の魚市場に卸す仕事からスタートし、父の代からは鮮魚発送のほか、魚の加工品の製造・販売も行っています。

加工品を取り扱うようになったのは、私の父である2代目から。30年ほど前から魚の水揚げ量が徐々に減ってきて、鮮魚出荷だけではやっていけなくなったのです。水揚げ量が年々減ってきている主な理由は、気候変動による海水温の上昇です。魚というのは大抵、寒く冷たいところを好むため、水温が高い沿岸部に寄ってこなくなりました。

舞鶴では定置網漁が主体で、沿岸部に網を仕掛け、そこに入る魚を毎日水揚げして獲るという手法を取っています。この手法だと魚の鮮度が非常によいのですが、魚が沿岸部に寄ってこないので網の中に入らない。それで、水揚げ量が減ってきているのです。

そして、もう1つの理由は、漁師さんが減ってしまったこと。漁師の仕事は、寒い中での作業で、体力的にもかなりハードなため、後継者がいないのです。たとえ網の中にたくさん魚が入っても、漁師さんがいなければ水揚げできません。なかなか頭の痛い問題です。

京都・舞鶴には四季を通じてさまざまな魚が水揚げされる。こちらは春夏が旬の高級魚、ノドグロ。

ー長崎社長は、もともとシステムエンジニアとして仕事をされていたとか。

長崎 そうなんです。魚屋の息子ながら魚が苦手で、特に刺身は20歳手前まで、全く食べられませんでした。もともと電気関連に興味があったので大学の工学部に進み、卒業後はIT企業に就職しました。家に戻ったのは2001年、現会長である父親が体調を崩したことがきっかけです。

ー家業を継ぐおつもりはあったのですか?

長崎 頭の片隅に「継がなくてはいけないかな」という気持ちはありました。でも、魚を好きではないだけでなく触るのも嫌でしたし、忙しくてなかなか家庭を顧みることができない父を見ていて、この仕事を今ひとつ好きになれませんでした。

ところが、地元を離れて初めて客観的に舞鶴を見ることができ、改めて舞鶴の良さや面白さがわかったのです。田舎で本当に何もないのですが、生まれ育った場所だけに居心地がよく、やっぱり暮らしやすいんです。父親から「帰ってこい」と言われたわけではないのですが、戻ることにしました。

魚を覚えるところから始め、3年くらいしてやっと競り場に参加できるように。それからは、自分が買った魚を魚市場やスーパーマーケットに卸すようになりました。そこでの「前回の魚は悪かったけど、今回は良いね」といったやりとりの中から、少しずつ魚を見る目が鍛えられていったような気がします。良い魚を良い、悪い魚を悪いと、そこそこ目利きができるようになるまでには、10年くらいかかりました。

ー今回、ご紹介させていただく「天然京鰆のしゃぶしゃぶ 200g×1パック」は、社長が企画・開発されたとのこと。商品誕生の経緯をお聞かせください。

長崎 私が魚を食べられるようになったきっかけが、鰆(サワラ)なんです。鰆は我が家の食卓によく上がって、家族は「おいしい」と言って食べていたのですが、私は全く手をつけていませんでした。

それが、大学進学を機に舞鶴を離れる際、「これからは魚を食べる機会が少なくなるな」と思って鰆の刺身を食べてみたら、これが何ともうまい(笑)。味わいは淡白ですが、脂が乗っていて甘みがあり、身がしっとりやわらかいんです。食わず嫌いだったんですね。それから刺身を食べるようになり、自分で魚をさばいてみたいとまで思うようになりました。つまり、私にとって、鰆はとても思い入れのある魚なんです。

しゃぶしゃぶを開発する前に、鰆の西京漬けを商品化して販売しているのです。舞鶴で獲れた鰆を京都市内から取り寄せた味噌で漬けた、まさに純・京都産の商品です。味には自信があるのですが、売上はそこそこでして(笑)。でも、私としては京鰆のおいしさを全国の方々に知っていただきたい。脂が乗っていて、どなたが召し上がっても「おいしい!」とおっしゃっていただけるようなものを作りたい。そうした強い思いがありました。

また、舞鶴市といえば魚、というイメージがあると思いますが、実は、舞鶴市ふるさと納税の一番の売上はローストビーフなんです。もちろん、ローストビーフもおいしくて私も大好きなのですが、舞鶴市としてはやはり、積極的に魚をPRしたい。ふるさと納税の返礼品として舞鶴の魚を使った新商品を作れないだろうか、という市長さんからのお話もあって、本格的にしゃぶしゃぶ用の鰆の開発が始まりました。

「天然京鰆のしゃぶしゃぶ 200g×1パック」は、冷凍の状態で届く。

ー鰆は、舞鶴特産の魚なのでしょうか?

長崎 鰆は回遊魚で、北海道南部から沖縄まで広い範囲で獲ることができます。地域によって旬が異なりますが、近年、京都では1年を通じて漁獲され、海水温の上昇によって漁獲量が急増。今では、漁獲量が日本一となっています。

通年漁獲されるようになったとはいえ、いちばんおいしいのは秋から冬にかけて。その、いちばんおいしい状態をご家庭にお届けするために、アルコールフリーザーという冷凍機で急速冷凍しています。

魚は、マイナス5℃くらいまで素早く凍らせないと、解凍した際にドリップ(水分)が出たりして身質が変化し、味も落ちてしまいがちです。その点、マイナス35℃のアルコールに魚をつけるアルコールフリーザーを使えば一瞬で凍り、身質が変化しにくいという話を聞いたんです。しかも、そのフリーザーを作っている会社が舞鶴市内にあると聞き、それはぜひ導入したいと。

折しも、新型コロナ感染症拡大によって事業再構築補助金というものがあり、申請したところ何とか審査を通りまして、昨年6月に加工場にフリーザーが入り、商品化に漕ぎつけました。

基本的にはパックのまま流水解凍だが、念のため半日ほど冷蔵庫に。
もし十分解凍出来ていない場合は、食べる直前に流水解凍を。素人では、とてもこんなに薄く切れない…。

解凍すると、まさに生の鰆のよう。沸かした薄めのだしに「しゃぶしゃぶ」。
脂が乗って、旨みも甘みもたっぷり。新鮮な状態で急速冷凍されているからか、臭みはまったくない。

ー開発段階で、苦労されたことはありますか?

長崎 どう薄く切るか、苦労しました。腹側は脂が乗っていて淡いピンク色をしていますが、背側は薄い灰色です。身質もそれぞれ違います。真ん中に骨が通っているので、最初は腹側と背側と切り分けていたのですが、鰆のおいしさを十分味わっていただくには、腹と背を一緒に召し上がっていただきたい。そのためには真ん中の骨だけを取り除く必要があるのですが、これがむずかしい。うっかりすると、身がちぎれてしまうのです。切り方については、改良の余地があると考えています。あとは、解凍の仕方です。基本的には流水解凍が良いのですが、スライスした身を発泡スチロールのトレイに並べているので、どうしても表面だけが解凍され、身が重なっている部分が解凍しきれない場合があるのです。この点も、今後の課題です。

ーこちらの商品は、御社のネットショップと舞鶴市のふるさと納税(https://www.furusato-tax.jp/product/detail/26202/6454535)のみでのお取り扱いですね。インターネット通販は、いつから始められたのですか?

長崎 約5年前、コロナ禍のときです。でも、私はIT企業に勤めていたこともあって、24年前に舞鶴に戻ってきたとき、すぐにネット通販をやりたかったのです。魚の水揚げ量が減っていく中、会社が生き残る道としては魚を加工し、付加価値をつけて販売していく必要があると考えていました。でも、当時は仕事を覚えるのに精一杯で、そこまで手が回らず延び延びになっていました。

そうした中、2005年に「タイムカプセル 10年後の自分に送る手紙」という企画に参加しました。2015年にその手紙が届いて読んでみると、「今頃、魚の加工品販売をすごく頑張ってやっているでしょうね」と。でも、実際には全く頑張れていなかった。なのに、相変わらず行動に移せないままでした。大いに反省し、重い腰を上げてネット通販にも力を入れているところです。

長崎社長自慢の逸品「舞鶴港 西京味噌漬」。
京鰆のみを使用し、白味噌も京都府内で製造されたものを使用した“ALL京都”の西京漬け。
100g×2切れ×4パックで¥6,000(税込・送料無料)。

舞鶴市の漁師町「吉原」で受け継がれてきた伝統の味を受け継いで製造した「京都舞鶴 ゆうさいくんのさばへしこ」¥2,100(税込)。
へしこは、丹後半島から若狭湾にかけての日本海側で、古くから保存食として慣れ親しまれてきた。
川又商店では、脂の乗った特大サイズの国産さばを使用し、1年以上ぬか漬けしたものだけを販売。

さばへしこを軽く焼いてほぐし、出汁をかければ絶品「へしこ茶漬け」に。

ー今後、京鰆のほかにも舞鶴の魚の加工品が購入できるようになるのですね。楽しみです。では最後に、今後の展望をお聞かせください。

長崎 私がつねに心がけているのは、お客様が求めているものを的確に選び、お送りすることです。高くてもいいから最高のものを送ってほしいというお客様がいらっしゃれば、安くてもいいので大量にほしいというお客様もいらっしゃる。それぞれのニーズに的確に応えていくのが、川又商店としての努めだと思っています。そのためには、これまでの経験を活かし、目利きの力をもっともっと磨く必要があります。

私が家に戻った5年後に弟も帰ってきて、それからずっと一緒に仕事をしているのですが、彼も同じ考えですので、今後も力を合わせてやっていくつもりです。

商品に関しては、最終目的は「生で食べられるものを作る」ということ。舞鶴ではマグロも水揚げされるのですが、そういうものを冷凍し、たとえば一人用の海鮮丼を作れないかと模索中です。ただ、私の思いだけではなかなか実現できません。社員みんなと話し合いながらやっていきたいと思います。

また、今はいろいろな食品を冷凍して販売する自動販売機が、全国的に普及し始めていますね。舞鶴の漁港近くでも、弊社の商品に限らずいろいろな魚屋さんの魚をお客様に買っていただけるよう、自動販売機を設置できたらいいなと考えているところです。

ーぜひ、実現させてください。楽しみにしております! 貴重なお話をありがとうございました。

「天然京鰆のしゃぶしゃぶ 200g×1パック」
価格:¥4,200(税込)
店名:川又商店
電話:0773-77-1771
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://maizuru-kawamata.com/item-detail/1749455
オンラインショップ:https://maizuru-kawamata.com

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

長崎寿夫(有限会社川又商店 代表取締役)
1972年京都府生まれ。金沢大学工学部卒業後、IT企業にシステムエンジニアとして入社するが、2001年に家業の鮮魚卸売業を継ぐために帰郷。2015年に代表取締役社長に就任。2024年に自社工場の大規模改修を行い、地元京都舞鶴港で水揚げされる魚介類を使用した生食用商品の開発を精力的に行っている。また2022年より京都府舞鶴市場の鮮魚仲買人で結成する舞鶴水産流通協同組合の理事長に就任。

<文・撮影/鈴木裕子 MC/藤井ちあき 画像協力/川又商店>

羽田甚商店

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