【6月の食日記】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

〇月×日

神楽坂通り沿いにありながら、看板も無く、階段しかない古い雑居ビルの3階。「ジュウバー」は酒と料理を楽しむ中華料理店で、かの希須林の新形態。名物は食感と香りでうっとりする肉団子。豚肉と野菜にこだわり、ワンタン、春巻、スペアリブ、白菜と春雨のトロトロ煮等々、オーダーしないことが困難な逸品がズラリ。もちろん酒も、どんな趣向の客でも、つい頼みたくなるラインナップと工夫に溢れている。そして〆のカレーは、永遠に食べられそうな味。中華料理はどんどん新しい形態に広がっている気がする。

〇月×日

中華バルは流行っているのか。渋谷のラブホテル街にある「池湖」もすごい。アイアンシェフ・脇屋友詞さんのもとで10年修業をしたご主人が、ひとりで営む。なんともジューシーな特製焼き豚をはじめ、ていねいに作られた料理はしみじみ美味い。ひとりならハーフサイズも可というのもうれしい限りだ。

〇月×日

ミシュランがイタリア料理に厳しいのは有名だが、そんな中で星を維持し続けているのが目黒の「ラッセ」。元和食の料理人ながら、ピザに惹かれてイタリアに渡り、三ツ星店のスーシェフにまで上り詰めた異才・村山シェフの情熱は凄まじい。内装を一新し、日本の食材、特に魚にこだわった料理はまだまだ進化しそうだ。

〇月×日

ここ数年、東京では焼き鳥ブームが続いているが、その中でもトップクラスの人気を誇る品川「鳥しき」の分店がオープン。目黒川沿いの「鳥かど」は、本店同様すこぶる居心地がいい。高いホスピタリティと確かな味。コースの間に出てくる一品料理のクオリティも高く、客を飽きさせない。というわけで、こちらもすでに予約困難に。

〇月×日

勢いで鳥しきの池川さんが出ている「やきとりテクニック」を購入。名著「やきとりと日本人」の著者・土田美登世さんが編集だけにとても勉強になる。早速砂肝を買って、串に刺す。「ろく助のうま塩」を振って焼くと、当然ながら旨い。いかに今まで自分が適当にやっていたかを痛感。

〇月×日

昨年末、神保町にオープンした「ジロトンド」はとても穏やかなイタリアン。麹町「ロッシ」で同僚だったサービスとシェフだけに、全てがスムーズに流れ、木を基調とした店内にはすがすがしい空気が流れている。素材を生かした丁寧な料理と、的確なワイン。若いカップルの最初のデートや、これからレストランを勉強したい人にはぴったりかもしれない。

〇月×日

”肉王子”こと田辺晋太郎君がプロデュースする渋谷・東急東横店の「肉グルメ博」は極めてレベルが高い。他のイベントと違い、とんでもない人気店や名店が続々出店。肉を愛する気持ちが通じ合うのだろうか。その中の一店「エレゾ」でリエットを購入。これがとんでもなく美味い! 鹿肉、牛肉と香味野菜をペースト状にしたものだが、一瞬で家族の胃袋に消えていった。オンラインでも購入可だ。

〇月×日
最近、浅草界隈に新しいビストロやワインバーが登場し、盛り上がっているのはご存じだろうか。こちら「ペタング」は、その中でも注目の一軒。シェフがひとりで営むカウンターのみのお店で、そのシェフは「グレープガンボ」「FUJIMARU」の料理長を歴任した山田武志氏。「ウフマヨ」「チューリップカラアゲ」「カリカリトリッパとトマトのサラダ」「ハンバーグ」などなど、直接的に食欲に訴えかけるメニューが並ぶ。さらにロットチェントで一躍有名になった、浅草開化楼のパスタフレスカまで! マルディグラの和知シェフに紹介してもらったという、近所の鳥屋さんから仕入れたレバーのムースは、うっとりしたいなら必食。

〇月×日

恐るべきもんじゃ屋さんが出現した。代々木八幡の「ぜんさいと煎餅もんじゃさとう」は人気ポルトガル料理店「クリスチアノ」など、常に斬新な店を生みだす革命児・佐藤幸二氏の新しい提案。具材で土手を作る佃島方式ではなく、全てを一気に流し入れる浅草方式。生地だけの煎餅部分も、出来たても、少し焦げた後半もそれぞれ美味。常時20種近くあるが、特に「発酵羊挽肉もんじゃ」と「夢の国タイランドもんじゃ」は素晴らしい。もんじゃを白飯にかけたいと思ったのは初めてだ。

〇月×日

経堂にオープンした「炭火焼肉ふちおか」。大人気店「なかはら」で修業した渕岡弘幸氏が5月に開いたばかり。美しい肉の数々は、味がきれいで重くなく、カラダにスーッと入ってくる。最近焼き肉は……と思っているような人にぜひ訪れてほしい。サイドメニューも充実。

〇月×日

際コーポレーションといえば、「紅虎餃子房」をはじめ中華に数々の革新を吹き込んだ一大グループ。その総帥・中島武さんが際の力を結集したようなラボ「龍眉虎ノ尾」を西麻布にオープンした。グループの中でも実力の高いシェフに3~4カ月ずつ店を任せるというシステム。それだけに食材も味も一級品。ライブ感にも溢れ、ここは中国?と錯覚してしまうほど。夜の食材が使われるランチは相当お得らしい。

大木淳夫

大木淳夫

「東京最高のレストラン」編集長

1965年東京生まれ。学習院大学卒。ぴあ株式会社メディア・クリエイティブ局メディアプロデューサー。日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最のレストラン」編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に「東京とんかつ会議」(山本益博・マッキー牧元・河田剛)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)、「一食入魂」(小山薫堂)、「日本一江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「グルメ多動力」(堀江貴文)など。好きなジャンルは鮨とフレンチ。
現在は、「テリヤキ」(堀江貴文氏が運営するグルメキュレーションサービス)公式キュレーター=「テリヤキスト」、Retty「TOP USER」としても活動中。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

食べたり買ったり作ったり~レストランガイド編集長の日常~新着記事

おすすめ記事