大きなタコの足1本の豪快な炙り焼き。お刺身に、お料理にと楽しめます。

2025/02/17

今回、編集長アッキーが注目したのは、大きなタコ足1本の炙り焼き。開発したのは、宮城県石巻市の水産加工会社です。従来の常識を覆す柔らかな食感で人気上昇中。この商品を開発したきっかけ、製造工程での工夫とこだわりから、今後の水産業に対する考えまでを株式会社マルカ高橋水産代表取締役、髙橋力氏に取材スタッフがうかがいました。

株式会社マルカ高橋水産 代表取締役 髙橋力氏

―御社の創業は1988年とうかがっています。

髙橋 当社の会長である私の父が1988年(昭和63年)に創業して、現在は私が継いで代表取締役を務めています。当社は宮城県石巻市雄勝町、市の中心部から車で30~40分のところに社屋を構えています。活タコ加工品の製造販売と、季節によっては生タラの加工販売などを行っています。父は活魚を仙台の市場に卸す仕事を始め、そのほかにワカメや昆布の加工も手掛けていました。1990年代には北海道、三陸沿岸部で水ダコが大量に獲れるようになり、これを仕入れて当社で加工して販売する仕事を始めました。その事業が現在の活ダコ事業の始まりです。ほかにもサケやカツオなど手広く加工し、業績が伸びていたのですが、2011年、東日本大震災が起きました。

―被害は?

髙橋 当社は震災の3年前の2008年に総工費5億円をかけて工場を建てました。それが津波で流されゼロからのスタートになりました。工場が再稼働できたのは2013年です。やはり父が一番苦労したのはこの時期ではないでしょうか。そのとき私は東京の大学を卒業して就職する直前でしたが、家に帰ってきて被害を目の当たりにして言葉も出ませんでした。ただ、父は普通だったら精神的なダメージが大きいはずですが、表面には表さず、すでに事業の先というか、もう前を見ていましたね。その姿に感銘しました。

―それで事業を継ぐ決意がついたのでしょうか。

髙橋 私は中学までは地元にいて、高校から仙台に出て、東京の大学に進学しました。水産物卸の会社に就職が決まっていましたが、実はそのときは一度就職して水産の仕事がつまらなかったら別の業種に行けばいいぐらいの気持ちでした。小さい頃から水産の現場を見て、きつくてカッコ悪い仕事だと思っていたこともあります。しかし、父の姿を見てやはり安易な気持ちでこの業界に入ってはいけない、身をこの道に埋める気持ちでやらなくてはいけないんだとマインドチェンジしました。6年間会社員として修業してこちらに戻ってきたという流れです。

「マルカの活タコ炙り焼き一本足」は水タコを高温で炙っただけのタコ本来の味を味わえる逸品として人気。

―修業後に入社なさったのですね。

髙橋 はい。2017年に彗星のごとく戻ってきました(笑)。工場は再稼働できたものの2010年代からは水産物の漁獲高が最盛期の半分以下になり、国内の販売量が落ち、働く人も少なくなっていく中で苦しい状況になりました。私は修業中に学んだ営業のノウハウを使い、東京のスーパーマーケットや外食チェーンに営業をかけ社の財務状況も改善していった矢先にコロナ感染症が蔓延し、一時は一日の売上が1/6ぐらいまで落ちました。それをなんとか乗り切ったと思ったら2023年にロシア・ウクライナ問題による物価の高騰が続いています。

―波乱の連続です。今後の計画は?

髙橋 国内のスーパーマーケットだけではなく海外に目を向けています。商社を通じてアメリカ、ベトナム、マレーシアに輸出しています。国内ではアメリカに本社がある会員制倉庫型スーパーマーケットへの販売が開け、そこで当社のタコが評判になりました。タレントさんがYouTubeで取り上げたり、インフルエンサーの方がSNSで紹介したりと評判になっています。売上も上がり、これからどんどん事業を拡大させていきたいと思っています。

柔らかく甘味のある「お試しサイズ マルカの活タコ炙り焼き一本足」はたっぷり大人4~5人用(400~500g)。

―その商品が今回紹介していただける「お試しサイズ マルカの活タコ炙り焼き一本足」ですね。特徴は?

髙橋 タコって『コリコリして歯応えがあるのがおいしい』と皆さん思っていらっしゃるかもしれませんが、実はタコの身は柔らかいのです。タコに歯応えがあると思われるのはアフリカ沿岸部など海外で穫れた段階で凍結して長期間保存されているからです。『タコは固いから苦手』という方がいるのもそのためです。

当社のタコは北海道沿岸部および三陸沿岸部で穫れた水タコを活魚車という特殊な車で生きたまま運び、生け簀に入れます。入札したその日または翌日には当社に着きます。その原料を生きたまま加工することによって、柔らかく甘味がある「タコの概念を覆す」タコを作る事が出来ます。「お試しサイズ マルカの活タコ炙り焼き一本足」は従来の「マルカの活タコ炙り焼き一本足」をもう少し手軽なサイズで食べたいというお客様の声を受けたお試しサイズです。

水タコを高温のバーナーで炙り焼きする。タコの甘味に香ばしさが加わったおいしさが味わえる。

―加工はどのようにしていますか。

髙橋 タコを1200℃の超高温のガスバーナーを使い直火で炙り焼きしています。タコというとどうしても蒸すイメージが強いですね。そうなるとどうしても原料に拘りのない他社の製品と比較されます。もっとタコ本来の甘味を出しておいしく食べていただくためにどうしたらいいかを考えたときに、炙ればいいと考えました。炙ることによって醸し出される香味も味わっていただけます。

「マルカの活タコ炙り焼き一本足」の食べ方その1。まず何もつけずに食べ、タコの甘味を味わって。

食べ方その2はわさび醤油か、ポン酢につけて。

―どのように食べたらいいでしょう。

髙橋 まず、刺身で食べてください。そのまま切ってわさび醤油かポン酢で召し上がってください。おすすめがゴマ油と塩を混ぜたタレで食べることです。会員制倉庫型スーパーマーケットのタコの試食のときこれを作って出したら人気になりました。あとはカルパッチョやアヒージョにして1本を満喫していただけたらと思います。

おすすめの食べ方その3は、塩+ごま油のたれで。試食販売で人気を博した食べ方だ。

―どんな方に食べていただきたいですか。

髙橋 空腹を満たすためだけの食事というより、おいしいものを食べたいとか自分にご褒美を上げたい日などに召し上がっていただけたらと思います。それだけ自信がありますし、当社の看板商品ですので。また、贈り物やパーティのお持たせとしても利用くださればうれしいですね。

―御社の今後の目標をお聞かせください。

髙橋 どなたが食べてもおいしいと言っていただける商品を作り続け、業績を上げていきたいです。作ることは簡単ですが、作り続けることは難しいと考えています。

スライスしたたまねぎを敷いた上にタコをのせ、ガーリック、塩、オリーブ油を振るカルパッチョにして食べても。

―髙橋社長が水産業に対してお考えのことは?

髙橋 先ほど少し述べたように、魚屋の息子の私から見ても水産業はきつくてカッコ悪いというイメージが往々にしてあるので水産業をカッコよくしていきたいです。一般の家庭の子どもさんたちが水産業に進んで従事できる環境づくりが必要だと思います。

私の親の時代は、豊富に獲れる魚をいかに効率よく捌くかが課題でしたが、漁獲高が少なくなっていく現在の私たち世代の使命は水産業が永続していくために、日本人がおいしい魚をずっと食べられるように業界を発展させていくことだと思っています。サステナブルとか難しい言葉で論じるというより、単に私たちの子や孫、ひ孫の代までおいしい魚を食べて欲しいと願っています。私は公私ともに魚が大好きなので・・・。この話をし出したらあと3時間ぐらいかかります(笑)。

―水産業に関わる人たちだけでなく、私たち消費者が意識することも必要ですね。本日は深いお話をありがとうございました。

「お試しサイズ・マルカの活タコ 炙り焼き 一本足」
価格:¥2,980(1本400~500g・税込価格)
店名:マルカ高橋水産オンラインショップ
電話: 0225-61-3370(11:00~17:00 火曜日・土曜日・祝日休み)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.maruka-t.com/items/83516913
オンラインショップ:https://shop.maruka-t.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

髙橋力(株式会社マルカ高橋水産 代表取締役)
1988年宮城県生まれ。青山学院大学卒業後、ニチモウフーズ株式会社入社、6年の修業期間を経て2017年株式会社マルカ高橋水産入社。2024年同社代表取締役に就任。現在は輸出事業の拡大に注力している。

<文・撮影/今津朋子 MC/田中香花 画像協力/マルカ高橋水産>

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