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大分の海苔産業を守り続けたい。「桃太郎海苔」が全国に届けたい味付け海苔の魅力

2024/05/15

今回、編集長アッキ―こと坂口明子が気になったのは、大分の特産品であるかぼすを使った海苔など、魅力的で独自性のある海苔のギフトセットです。大分の海苔産業を絶やさず、未来につないでいこうと日々努力されている株式会社桃太郎海苔の代表取締役社長の姫野靖之氏に、取材陣が伺いました。

株式会社桃太郎海苔 代表取締役社長 姫野靖之氏
株式会社桃太郎海苔 代表取締役社長の姫野靖之氏

―創業から76年、どのような状況でしょうか。

姫野 以前は、ここ大分県大在地域だけでも海苔屋さんが何社もあったそうですが、今は海苔メーカーが弊社ともう一社しかありません。ですから、大分の海苔屋さんというものを絶やさないことが我々の宿命だと思っています。

どんな業界でも言えることだと思いますが、地元の会社だからこそ、優先的に仕入れたり販売できたりするので、地元のものというのは最大の強みです。大分県の海苔メーカーであることをこれからも守っていきたいと思います。

―社長に就任された経緯は?

姫野 私が大分に戻ってきたのが13年前、2011年でした。東日本大震災の年なので、ギフトを贈るのは自粛しようというムードがあり、実際にその後2年くらいはギフトの出荷数がとても落ちていました。

当時の社長である父は、商工会議所の会頭をやっていたため、会社に不在の時期が続きました。そのため、帰ってすぐではありましたが、当時27歳にしていきなり専務を任されることになりました。

当時の私は海苔のビジネスについて完全な素人状態だったので、指示を出そうとしても何も思い浮かびませんでしたし、小さい頃からかわいがってくださったおじさんたちよりも、立場が上になってしまったため、コミュニケーションの取りづらさも当然ありました。

さらに、経営状況も厳しくなりました。自然災害だからしかたないとはいえ、解決策が見出せず、最初の3年間ぐらいは円形脱毛症が年に3回ぐらいできるほど苦労しました。特殊な環境だったと思います。

―その苦境をどう乗り越えましたか?

姫野 父からは「今、他の社員がしていることを手伝っていたら、2人で同じことをやっているだけになってしまうから、1戦力として新たな仕事を自分で作りなさい」と言われました。当時、大分ではドラッグストアが増え、スーパーが減っていて、弊社のお得意様である店舗も廃業されてしまうところが複数あり、新規開拓をするしかないと思いました。

そこで、東京のお得意様に向けて営業していくことにしました。独自に営業を始めていき、約5年かけてそれなりの数字を出すことができました。
同時に、新規事業として海苔以外のビジネスを始め、その事業も順調に進んでいっています。

―今回ご紹介するギフトセット「EK-20」について伺います。味付海苔、焼海苔、かぼすの3種類が入った商品ですが、まず、味付海苔についてこだわりを教えてください。

姫野 味付海苔で使っているたれは、創業当初から変わらないレシピでずっと作っています。他の海苔メーカーさんは、味付海苔のたれを外注して作ってもらっているところが多いそうです。弊社のように、社内で24時間かけて出汁を取り、たれを作っているところは、珍しいと思います。

また、たれに醤油を入れると簡単に味を濃くできますが、弊社のたれは醤油を使っていません。そこが他社との一番の違いです。出汁も昆布といりこからとっていて、これも珍しいと思います。

そしていりこに含まれるアミノ酸をたくさん抽出するために、塩麹を使っていることも独特だと思います。

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こだわりのたれを使って作られた「味付海苔」。そのままでもおいしい。

―かぼす海苔の特徴は?

姫野 かぼすは大分の特産物なので、かぼすを味付けのたれに使ったらどうなのかということで、当時の社長と社員が検討して作ったと聞いています。かぼすの爽やかさと、弊社独自の味付けたれが混ざっていて、癖になる味わいだと思います。大分空港にも置いているので、お土産にもおすすめです。

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かぼすの味をしっかり楽しめる「かぼす海苔」。一度は食べてみてほしい一品。

―焼海苔の特徴は?

姫野 有明産の初積みの海苔を使用した焼海苔です。有明海産の良い海苔を使っているので、焼いただけでも当然おいしいんですよ。素材本来のおいしさを楽しめる商品です。

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シンプルに海苔の味を楽しめる「焼のり」。

―おすすめの楽しみ方は?

姫野 やっぱり、海苔はごはんと一緒に食べるのが一番だと思います。通の人は焼海苔を一度軽く炙ってから、香りを出して、醤油をつけてごはんに乗せて食べているそうです。

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「味付海苔」はごはんと相性抜群。

姫野 味付海苔、かぼす海苔はおつまみにも合います。スナック感覚で食べるお客様も結構いらっしゃいます。特に、お子さんが大好物というご家庭もあるそうです。

―今後の展望は?

姫野 海苔のビジネスを行ううえで他社と差別化できることは、何枚に切るのか、どんな味をつけるのか、この2点でしか基本は勝負できません。だから、独自性を出すことが大事だと思っていて、地元の方々に気に入っていただくためにも、他のメーカーさんや、地元のデパートなどともっとコラボして、その時々のニーズに合う商品を作っていきたいと思います。

海苔の一本勝負というより、地元を盛り上げるという意味合いでも、例えば地元の地酒やお米とコラボして、食べ方の提案ができるような商材を作れたらいいですね。海苔はコンビニでも買える時代ですから、わざわざ取り寄せてまで弊社の海苔を買いたいと全国の方に思っていただくことはすごく難しいと思います。ですから、地域性を感じられるもの、他の県の海苔屋さんでは絶対に作れないものを、さらに積極的に開発していきたいです。

また、前提として弊社の商品で使っているのは、大分県産の海苔ではありません。海の環境的に難しい部分もありますし、大分で活動する海苔漁師の方も減っているので、現在は有明海の海苔を使用しています。将来的には原料から大分県産の海苔を作れたらいいなと思います。
弊社は創業から今年で76年目です。ここ数年、コロナや異常気象で苦しい時代が続きましたが、80周年に向けて躍進していきたいと思います。

―貴重なお話をありがとうございました!

ギフトセット「EK‐20」

ギフトセット「EK-20」
価格:¥2,160(税込)
店名:桃太郎海苔オンラインショップ
電話:097-522-1234(平日9:00~17:00)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://momotaro-nori.shop-pro.jp/?pid=153017737
オンラインショップ:https://momotaro-nori.shop-pro.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>
姫野靖之(株式会社桃太郎海苔 代表取締役社長)

1983年大分県生まれ。國學院大學卒業。2019年より株式会社桃太郎海苔 代表取締役社長に就任。2022年には大分青年会議所の理事長も務め、社業の発展はもちろん、地域貢献や地球環境の保全にも注力している。

<文・撮影/サカモトアヤ MC/白水斗馬 画像協力/桃太郎海苔>

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