洋と和、どちらの食卓にも欠かせない卵。全国各地に「おいしい」と言われる卵は数あれど、今回、編集長アッキーこと坂口明子が気になったのは、大久保養鶏場の卵。「卵が嫌いな人にこそ、食べていただきたい」という大久保養鶏場代表取締役社長の大久保吉訓氏に、取材陣がお話を伺いました。
オレンジのような黄身と透き通った白身、うまみと甘みたっぷりの「元禄卵30個入り」「飛駒卵30個入り」
2024/05/10
―養鶏場は栃木県佐野市にあるのですね。
大久保 はい。弊社の本社は群馬県館林市にあるのですが、創業者である祖父が佐野市飛駒町に養鶏場を移しました。自然豊かな日光山麓に位置する佐野市は、昔から水がおいしいことで知られ、とくに飛駒町は「湧水の里」とも呼ばれ、きれいな水があちこちに湧いています。水がおいしいのでおいしいお米ができる。ならば、鶏を育てるのにもよいに違いないと、祖父は考えたんでしょうね。実際、卵の7、8割は水分ですから、水が卵の味に影響することは間違いないと思います。
―社長で3代目。子どもの頃から、養鶏場を継ぐことを考えていらしたのでしょうか?
大久保 家族経営だったので、小さい頃から手伝いをさせられていたんです。卵を拾ったり、鶏糞の掃除をしたり。そうすると褒められるのがうれしくて(笑)。自然と、自分もこの仕事をするんだろうなと思っていました。
―どのくらいの規模で鶏を育てているのですか?
大久保 現在、6万羽くらい。養鶏場の規模としてはかなり小さいほうだと思いますが、弊社は規模を拡大することよりも、味を追求するほうを選択しました。
大量生産のほうが効率がよいですし、飼料もより安く仕入れることができるでしょう。でも、たとえば同じ飼料を使っていても「大久保さんの卵は味が違う」とお客様におっしゃっていただけるのは、やはり手間を惜しまず鶏を育てているからだと思います。
飛駒は寒暖差がとても大きいので、1羽あたりの飼料摂取量が多い。その意味では効率が悪いのですが、その分、張りがあってこんもりした卵になるんです。
弊社は養鶏だけでなく小売もしているのですが、お客様から直接「おいしい!」という声をいただけたり、よろこぶお顔を見られたりすると、やっぱりうれしい。だから、卵の味にはこだわりたいんですよね。
日光山系の南の端、栃木県佐野市飛駒町にある大久保養鶏場飛駒農場。
山に囲まれ、岩と岩の間を流れるきれいな水が、おいしい卵を育みます。
盆地のため夏は暑く、冬は寒いそう。
―では、その「こだわり」について教えていただけますか?
大久保 たとえば、飼料。多くの養鶏場では既成の配合飼料を使っていると思うのですが、弊社の最高級卵である「元禄卵」の飼料は、祖父の代からのレシピをもとに、それを現代に合うようにアレンジしながら自分たちで作っています。
既成の飼料が悪いわけではないのですが、せっかく祖父が作ったレシピや技術があるのだから、それを受け継いで、続けていってもいいんじゃないかと。
弊社ではつねに3~4種類の鶏を育てていますが、そのすべての卵を販売しているわけではありません。味の研究のために育てている鶏もあるんです。この飼料をこれくらい入れるとこういう味になる、というデータを取り、ああでもない、こうでもないと試行錯誤しながら。ほとんど自分の趣味の世界ですが(笑)、とにかくお客様に「おいしい」と言っていただける卵を作りたいんです。
―卵が苦手な人は「生臭さが気になる」と言いますね。
大久保 臭みの第一の原因は鮮度。鮮度が落ちると、どうしても臭いが出てきます。
次は、魚粉系の持つ独特の臭いだと思います。卵の味にコクを出すには魚粉系の飼料が不可欠なのですが、配合の割合を工夫することのほか、臭いを消す作業が必要です。
弊社では「元禄卵」であれば大麦、「飛駒卵」ではハーブで臭いを消しています。
―では、今回ご紹介させていただく「元禄卵」について。どのような卵なのでしょう。
大久保 味にコクと甘みがあるのが特徴です。そのために飼料には魚粉をたくさん入れていますが、さきほどお話ししたように大麦を入れて、生臭さを消しています。
生で食べていただくとその味をよくわかっていただけますが、目玉焼きやオムレツなど調理すると、よりおいしく感じられる、という声をいただいています。
とくに、白身。卵は「完全栄養食」とも言われていて、黄身だけでなく白身にも大事な栄養素が含まれているのですが、「生臭く、味もしないから苦手」という方も少なくありません。でも、この元禄卵は「目玉焼きにしたら白身が甘くて、おいしかった!」とおっしゃっていただけるのが、うれしいです。
元禄卵は、黄身の色が濃いこと、白身が透き通っていることも特徴です。卵焼きにすると、あらためて黄身の色の濃さを感じていただけると思います。
自社農場で厳選した飼料のみをブレンドした「元禄卵」。
安心、安全はもちろんのこと、おいしさをとことん追求した自信作です。
冷蔵庫(10℃以下)にて保存。消費期限は発送日から14日。
黄身の色がオレンジ色に近く、見るからに味わいが濃そう。
白身は透きとおり、水っぽくありません。
―次に、「飛駒卵」について教えていただけますか?
大久保 この卵も、コクと甘みがあります。臭み消しのハーブを、飼料にかなりたっぷり加えています。他社さんでもハーブを使っているところは多いと思いますが、量に関しては弊社がかなり多い。そのぶんコストはかかりますが、卵の味としては甘みだけがきれいに残っています。
ハーブを多く含んだ飼料を与えて育てた「飛駒卵」。
冷蔵庫(10℃以下)にて保存。消費期限は発送日から14日。
「元禄卵」に劣らず、濃い黄身の色。
甘みがあるので、卵かけご飯におすすめです。
―おいしい卵を、さらにおいしく味わえる、おすすめのいただき方はありますか?
大久保 元禄卵も飛駒卵も、まずは生のまま、卵かけご飯で召し上がってみてください。生臭さがなく甘くて、「卵って、こういう味だったんだ」とあらためて感じていただけるはずです。
次に、私が個人的におすすめしたいのは、半熟の目玉焼き。ご飯の上に乗せて、醤油を少したらすと、黄身の甘みが引き立ちます。
コクと甘み、旨みをたっぷり味わうなら、やっぱり卵かけご飯で。
半熟の目玉焼きを熱々ご飯に乗せて。
卵を焼いていると甘い香りが立ち上がり、鼻をくすぐります。
白身も甘く、うまみたっぷり。
しっかりした黄身を一晩冷凍した後、醤油漬けに。
そのままでもおいしくいただけますが、おむすびの具にすると、
ねっとりした黄身がご飯にからんで絶品。
―最後に、今後の展望について聞かせてください。
大久保 弊社の自慢の卵を、より多くの方に食べてもらいたいですね。全国の方に食べていただきたくて、直販店での販売のほか、インターネット販売を始めました。また、栃木県佐野市と群馬県館林市の「ふるさと納税」の納税返礼品に登録されましたので、佐野市や館林市から遠く離れた所にお住まいの方にも、弊社の卵を味わっていただけるようになりました。
規模を大きくすることは、あまり考えていません。こだわりの味は守り続けたいので、今後も地道にゆっくり卵と向き合っていきたいですね。
最後に一つお伝えしたいのが、「卵を嫌いにならないでください」ということです。卵は非常に栄養バランスの取れた食品なので、食べられないのは本当にもったいないと思うんです。卵が嫌いな人にこそ、弊社の卵を召し上がってみていだたきたいです。大好きとまでいかなくても、卵への苦手意識はなくなるんじゃないでしょうか。もちろん、どなたにも「大好き!」と言っていただけるような卵を、今後も研究を重ねて、つくっていきたいと思っています。
―本日は、貴重なお話をありがとうございました。
「元禄卵30個入りセット」
価格:¥2,300(税込)
店名:たまごや
定休日:オンラインでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://tamago-shop.ohkubo-net.com/shop.cgi?order=&class=&keyword=&FF=&price_sort=&pic_only=&mode=p_wide&id=100000&superkey=1&back=https%3A%2F%2Ftamago%2Dshop%2Eohkubo%2Dnet%2Ecom%2F
オンラインショップ:https://tamago-shop.ohkubo-net.com/
「飛駒卵30個入り」
価格:¥1,720(税込)
店名:たまごや
定休日:オンラインでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://tamago-shop.ohkubo-net.com/shop.cgi?id=5
オンラインショップ:https://tamago-shop.ohkubo-net.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
大久保吉訓(株式会社大久保養鶏場 代表取締役社長)
1980年、群馬県生まれ。2008年、家業の養鶏場に入る。2016年、株式会社養鶏場とし、同社代表取締役社長に就任。「おいしい」卵を作ることに注力している。
<文・撮影/鈴木裕子 MC/矢口優衣 画像協力/大久保養鶏場>