岡山県・井原、デニムの聖地発、着るたびに自分色に育つデニムコート「ショップコート」と日本人の体型変化に合わせたジーンズ「ジャパンパンツ」

2026/07/24

年齢とともに変わる体型にすっきりと寄り添い、長く愛着を持てる一着に出合いたい。今回、編集長のアッキーが注目したのは、着るほどにパッチワーク柄が浮かび上がる「ショップコート」と、楽に伸びて体型を美しくカバーするジーンズ「ジャパンパンツ」です。どちらも「デニムの聖地」の一つである岡山県井原市で熟練の職人が仕立てたこだわりのデニムを使用しています。

その背景には、自分たちの存在がお客さまに届かない環境から脱却し、直接本物の価値を届けたいと願う作り手の熱い思いがありました。取材スタッフが、岡山県に本社を構える、有限会社ミズタニ 代表取締役社長の水谷哲士氏にお話を伺いました。

有限会社ミズタニ 代表取締役社長の水谷哲士氏

―まずは、御社の歩みと自社ブランド立ち上げまでの経緯について教えてください。

水谷 1968年に私の父が縫製業を始めたのがはじまりです。私たちの工房がある岡山県井原市は、江戸時代から織物の街として知られ、かつては参勤交代のおみやげ物として備後絣(びんごがすり。広島県福山市周辺(備後地方)で生産された伝統的な木綿の織物)を織っていました。歴史あるこの地で、当社はボタンの取り付けなどを行う工場としてスタートしました。しかし直接取引ではなく、下請けの下請け、いわゆる孫請けのような立場で仕事を請け負っていました。それゆえ、いくら作っても自分たちの顔や名前がお客さまに届かない環境に、どこかもどかしさを感じることもありました。

大きな転機となったのは2003年のことです。職人たちが培ってきた丁寧な縫製技術をベースに、自分たちの手でお客さまに直接いいものを届けたいという思いが芽生え、下請けから自社製造販売へと舵を切り、自社ブランド「BlueTrick(ブルートリック)」を立ち上げました。

当時は同世代の仲間と「岡山デニム協同組合」を設立し、岡山県のデニム・ジーンズ産業を国内外に広くアピールするため活動していました。「デ(10)ニ(2)ム(6)」の語呂合わせにちなんで10月26日を「デニムの日」として日本記念日協会に認定・登録された実績もあります。。組合自体は解散しましたが、その仕組みは自治体に引き継がれ、現在は街をあげて全国へ魅力を発信しています。

井原市やその周辺では、国産デニムの90%以上が作られている。

「お客さまに直接いいものを」という思いから自社ブランド「BlueTrick」を立ち上げ、
デニムを使用した衣類や雑貨を一点一点製造している。

―社長ご自身が家業に入られるまでの歩みと、オンラインショップを始められた背景についてお聞かせください。

水谷  私は1968年に岡山県で生まれました。学生時代は家業を継ぐ気が無く、縁あって紹介いただいた子供服メーカーに就職し、そこで15年間勤務しました。最初の1年は出荷や配送の作業に追われ、次の3年は生産管理として下請け業者さんとのやり取りを経験しました。その後は営業や販売にも携わり、服を作って自ら売るという一連の流れを現場で学んだのです。ここでの経験が、現在の製造から販売までを一貫で対応する会社を支える大きな力となっています。

実は私は、もともとネット通販に消極的でした。「洋服は直接触れて袖を通してみないと、本当の良さは伝わらない」という思いがあったからです。しかし、コロナ禍により直営店を閉めざるを得ない危機に直面。衣料品店は生活必需品を扱う店舗とは見なされず、休業補償が出ない中で、社員を休ませても給料は発生するという厳しい状況を迎えました。

そこで、何があっても社員の雇用と暮らしを守るという一心から、自社の通販サイトを開始したのです。当時のその決断が、現在ご好評いただいているオンラインショップへとつながっています。

―ショップコートが誕生したきっかけについて教えてください。

水谷 このショップコートは、ブランドの最初期から作り続けている定番のロングセラー商品です。開発の背景には、本物の価値と上質さを形にしたいという思いがありました。本当にいいものを長く大切に愛用したいと願う気持ちに寄り添い、手にした瞬間にその価値に気づいてもらえる上着を目指したのです。10年間変わらずに愛され続けているのは、お客さまの生の声に耳を傾け、地道な試行錯誤を重ねてきたからだと思います。

良いものを、長く使えるようにという思いから誕生したデニムコート。
サイズはM,L,LLの3種類(モデル:レディース 154cm Mサイズ着用)。

―織りの技術やデザインのこだわりについてお聞かせください。

水谷 最大の特徴は、ジーンズの糸でパッチワーク柄を表現したオリジナルのジャガード織り生地です。着用を重ねるごとに色が変化し、徐々にパッチワークの模様が美しく浮き出てくる経年変化を計算して仕立てています。そして、本来は裏に潜る横糸を部分的にあえて表に出すことで、透かし模様のような繊細な柄に仕上げました。

袖を折り返すと可愛らしいドット柄が顔を出すなど、大人の遊び心をくすぐるデザインも散りばめています。

この特別な生地を織るために、複数の地元織物工場にお願いをしています。それぞれの工場が得意とする高度な専門技術を活かし、適材適所で生地を特注しているのです。

ポケットの位置の試行錯誤を重ね、お客さまが自然とすっと手を入れられる絶妙な位置を探し、気がつけば自然とポケットに手がおさまっているような、日常使いしやすい工夫を施しました。袖を通すたびに自分色に育っていく、世界に一枚だけのデニムの風合いを、長くお楽しみください。

袖を折り返すと、可愛らしいドット柄が現れる。

―お客さまからは、どのような反応がありますか。

水谷 10年間デザインを変えずに多くのお客さまに選ばれ続けているという事実が、私たちにとって何よりの誇りです。トレンドが激しく移り変わるアパレル業界において、長きにわたって定番として支持され続けてきた実績こそが、品質とデザイン性の高さを証明する最大の証だと考えています。一度袖を通したお客さまが何年も大切に着続けてくださっている姿を見るたびに、地道なモノ作りを続けてきて本当によかったと実感します。

―続いて、ジャパンパンツが誕生した背景と、開発に込めた思いについて教えてください。

水谷 現代の日本人の体型変化に着目したことが開発のきっかけとなりました。人は年齢を重ねるにつれて体型が変わり、ウエストに合わせてジーンズを選ぶと太もも部分がどうしても太くなってしまい、全体のシルエットのバランスが崩れてしまうという悩みが生じがちです。「これまでの服が似合わなくなってきた」という、大人のリアルな服選びの悩みに寄り添いたいと考えました。

そこで、年齢とともに変わる体型に合わせて、誰もがすっきりと美しく穿きこなせる理想の衣服を作りたいという思いから開発がスタートしたのです。日々の服選びのストレスを解消し、日常のおしゃれを格上げする一本を目指しました。体型カバーの機能性と美しいシルエットを高い次元で両立させるため、徹底したパターンの見直しと修正を何度も繰り返しています。

体型が変わっても、すっきり美しく履きこなせるジーンズ。
OW (ワンウォッシュ)(上)とユーズド(下)を展開。サイズは28〜38インチ。
(モデル:メンズ 173cm 30インチ着用)。

―このパンツのシルエットや、独自の製法について教えてください。

水谷 旧式のシャトル織機で織られた伝統的な「セルビッチデニム(生地端にほつれ防止のセルビッチ(耳)が付いたデニム生地)」を使用しながら、あえて伸びる糸を混ぜることで優れたストレッチ性を持たせた独自の製法が強みです。本格的なヴィンテージのディテールを維持しながら、楽な穿き心地を実現しました。シルエットは、お腹まわりをゆったりと包み込む深い股上に設計しています。そこから膝下に向かって細く絞り込むことで、すっきりと見える美しいシルエットを生み出しました。

後ろ姿にも遊び心あふれる仕掛けを施しています。バックポケットにはオリジナルの日本地図をプリントし、ポケット口にはセルビッチ(赤耳)を使用することでさりげない、アクセントを添えました。このパンツを穿いた人の後ろを歩く人の目線を自然と上へと集めるための視覚効果を狙ったデザインです。穿き始めの風合いをゼロから自分で育てる「ワンウォッシュ」と、職人の手作業で3年後のリアルな色落ちを表現した「ユーズド加工」の2色を展開し、じっくり育てたい方にも、すぐにこなれた味を楽しみたい方にも寄り添う一本に仕上げています。

バックポケットには日本地図のワンポイント。

―お客さまからは、どのような声が届いていますか。

水谷 体型の変化が気になり始める50代前後のお客さまから、「これなら体型を気にせずすっきりと穿ける」と、体型の変化に寄り添う一本として、多くのお客さまに喜んでいただいています。手放せない一本として長く愛用するお客さまも少なくありません。お客さまの日常の自信を支える衣服として定着していることは、私たちの大きな励みになっています。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

水谷 現在は、日本を訪れた海外のお客さまが、当社の通販サイトを通じて、母国に戻ってからも継続して商品を購入できる海外向けのオンラインショップの開店準備を進めています。

さらに、2026年12月には、約500坪の敷地を活かした観光・体験型の新工場をオープンする予定です。職人の手仕事を間近で見学できるオープンファクトリーで、手織り機を使用した機織り体験ができる構想を進めています。デニムが織り上がる仕組みなどを実際に手で触れて体験していただけたらと思います。

これからの時代、自社だけが発展し続けることは難しいと考えています。地域の行政や異業種の仲間と強力なタッグを組み、この地方に人を呼び込む理由作りをしていきたいです。10年後の世代交代を見据え、外部の先生を招いて社員だけで新工場の活用法やイベントを企画する仕組み作りにも積極的に取り組んでいます。社員全員が自発的に未来を描いて経営に参加する、そんな会社を継続していくことが私たちの目指す未来です。

―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「【BlueTrick】ショップコート(IDパッチ/鳳凰)(レディース)」
価格:¥27,280 (税込)~ 
店名:BLUE TRICK
電話:0866-62-3801(10:00~17:00 ※土日祝日を除く)
商品URL:https://www.bluetrick.shop/view/item/000000000051?category_page_id=ct14
オンラインショップ:https://www.bluetrick.shop/

「【BlueTrick】メンズ ジャパンパンツ (テーパード)」
価格:¥26,180 (税込)~
店名:BlueTrick
電話:0866-62-3801(10:00~17:00 ※土日祝日を除く)
商品URL:https://www.bluetrick.shop/view/item/000000000034?category_page_id=ct9
オンラインショップ:https://www.bluetrick.shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

水谷哲士(有限会社ミズタニ 代表取締役社長)
1968年岡山県生まれ。瀬尾株式会社に入社し、15年務めた後、2003年に有限会社ミズタニへ取締役として入社。2025年に同社代表取締役社長に就任。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/ミズタニ>

羽田甚商店

注目の連載

注目の連載

Special serialization

羽田美智子さん連載

SNSできになるあのひと

社長インタビュー

連載一覧を見る

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter