日本酒好きな方へのお酒の贈り物、どれを選んだらいいのかめちゃめちゃ悩みますよね。今回、編集長アッキーこと坂口明子がおすすめするのは、「牛に引かれて善光寺参り」の逸話で知られる信州・長野の善光寺の門前町に、古くからある蔵元「よしのや」の純米大吟醸酒「西之門」です。16代目ご当主である藤井信太郎社長から取材陣が伺った、開蔵と酒造りにまつわる数々のエピソードには、老舗ならではの長い歴史と変革の秘話が盛りだくさん。とっておきのストーリーを仕込んで上質なお酒に添えてお贈りすれば、会話も弾んで喜ばれることうけあいです。
日本酒マニアのご指名銘柄!! 善光寺に最も近い蔵元が造る「西之門」純米大吟醸のギフトセット
2023/12/21
株式会社よしのや 代表取締役社長の藤井信太郎氏
―「よしのや」さん、創業は江戸時代だそうですね。
藤井 戦国時代に武将たちによって持ち出されていた善光寺の御本尊様が、豊臣秀吉の命によって戻されたのですが、その際、京都からお連れした善光寺大本願智慶上人について来たうちの初代が、この地にそのまま定住したのが始まりです。慶長3年(1598年)頃のことだそうです。2代目になって、善光寺に隣接する西之門町で寛永14年(1637年)に酒造業を創業。以来、清酒と味噌(明治期に製造スタート)を醸造し、そのどちらも善光寺名称使用を公許され、今日に至ります。
善光寺を正面に見ると、参道入口左手付近にあるのが、酒と味噌の店「よしのや」。
―今回ご紹介する銘柄「西之門」の名称は、地名から来ているんですね。
藤井 西之門町は、善光寺大本願の西側に広がる町です。門前町らしい趣を見せる蔵造りの家や古風な店が点々と続く町並みの一角で、古くから「善光寺にいちばん近い蔵元」として知られる「よしのや」を営んでおります。平成7年(1995年)には、酒蔵・工場見学コースと蔵元直営売店を併設する複合観光施設として「善光寺外苑 西之門 よしのや」もオープン。定番商品から蔵元が開発したその時々の新商品まで、様々な試飲(味噌の試食も)を無料で楽しんでいただける、人気の観光スポットとなっています。一生に一度はお参りしたい、と古から日本の仏教の霊場として信仰されているお寺の門前で、「善光寺の酒」として親しまれる「西之門」を、国内外のたくさんの方々に味わってもらいたいと、歴史を刻み続けているのです。
―「西之門」は、どんなお酒ですか。
藤井 お客様から“指名していただける“最高品質の酒を造ろう、と開発を重ねた、「よしのや」の主要銘柄です。酒造好適米を原材料とし、千曲川から信濃川へと通ずる犀川(さいがわ)水系の伏流水を用いた贅沢な純米大吟醸酒で、華やかな吟醸香とふくらみのあるコク深い味わいが特徴の高級なお酒です。
化粧箱入りの2本セットは、どちらもプレミアムな純米大吟醸。
―昔から今のような高級な純米大吟醸酒をつくっていたのですか。
藤井 江戸時代はじめの創業時、今のような精米技術はなく、全く違った酒質だったと思います。明治維新を迎え、善光寺町が長野県の県庁所在地長野市として振興したため、人口流入があり、近場の一般的な需要を満たすための製造直売の酒蔵に発展。さらに太平洋戦争後は、広域に日用品の普通酒を売るようになりました。
―高級酒をつくるようになったきっかけはなんですか。
藤井 原料米が不足していた頃は日本酒も供給不足のため、それなりの価値を保っていたはずです。ところが昭和40年代頃から米余りが始まって、日本酒も供給過多となり、値崩れを起こして価値を失い、その後、販売数量も減少していきました。この状況に危機感を感じたため、お客様に“指名していただける“最高品質の酒をつくろうということで、高級酒づくりに本格的に取り組み始めたのです。
―昔ながらの手造りの酒づくりを復活させたのですか。
藤井 いいえ。平成7年(1995年)に創業の地・西之門に最新の酒造設備を整備し、清潔な環境で、精密な温度管理をできるようにしました。また、原料米の水分調整など最新の研究で大吟醸づくりに良いとされている技術も導入。酒質を最も左右する酵母には、ちょうどその頃、長野県工業技術センターで分離された、長野酵母を使うようになりました。
―よく、昔ながらの変わらぬ味を守り続けて、などと言いますが…
藤井 それはないですね(笑)。江戸時代から変わらない味なんて、今の時代にはまったくそぐわないはずです。蔵元としての伝統にはもちろん守り続けてきた部分もありますが、製法や味に対して、その時代時代に合わせて工夫を凝らし、発展してきたことが今日に繋がっているのだと思います。2010年には犀川のほとりに生産拠点を移し、西之門町の観光施設はお客様の生の声が聞ける貴重なスポットとして、役立てています。長野県最大の観光地である善光寺に隣接していますから、国内外から足を運ばれるお客様の声を反映して、人気の味を日々追求しているのです。毎年、新しいお酒を出すたびに、「今年の酒が一番うまい」って製造責任者は言うんですよ(笑)。
―品評会でのたくさんの受賞歴もお持ちです。
藤井 品評会用に特別につくった酒ではなく、ほぼ一般のお客様に飲んでいただいている「西之門」と同じもので賞をいただいている、そのことはうちの自慢のひとつと言っていいかもしれません。
―現代的なロゴを使ったラベルのデザインもすてきです。
藤井 このロゴが生まれたのも西之門蔵を整備した1995年です。「西之門」には、通常商品だけで15アイテムほどあるのですが、すべて、このロゴの色違いのラベルデザインで棲み分けしています。今回のギフトセットは、そのなかの2本をチョイスしたものです。
ゴールドとピンクのロゴが光る、力強く印象的なラベル。
ラベル右上にある五色のマークは、善光寺のイベント時に本堂の軒先から垂らされる五色幕をイメージしているそう。
―今回ご紹介する純米大吟醸50は、華やかなゴールドのロゴですね。
藤井 このゴールドのラベルが、「西之門」のなかの王道中の王道で、この銘柄を代表する商品になります。酒造好適米を50%まで削って磨き、長野酵母を使って完全発酵させた、まろやかで洗練された純米大吟醸です。ひところ流行った淡麗辛口などのキリッと爽やかな飲み口のお酒とは真逆の、米の旨味やコクをダイレクトに楽しんでいただける味となっています。
満足感の強い、重厚でふくよかな純米大吟醸50。
―ピンクラベルの方は、どのような特徴があるのですか。
藤井 燗酒にしてもおいしく飲んでいただけるよう、通常の「西之門」が生詰と言って1回の火入れにするところ、2回火入れしているのが最大の特徴です。度数も16度と少し低めですので、軽やかな飲み口です。(ちなみに上記のゴールドラベルは火入れ1回、17度)。冷やしたり常温で飲んでももちろんおいしいのですが、これからの寒い季節、お好みの熱さで燗をつけて、ゆっくりほっこり飲むのもまた楽しみのひとつかと思います。
おすすめは、ぬる燗。ふわっと甘い香りが漂います。
―どんな方にお贈りするのがおすすめですか。
藤井 そうですね…。本格感のある日本酒ですので、お酒好きの方に、ぜひプレゼントしてみてください。少し贅沢なお酒ではありますので、年末年始の訪問やご挨拶に使ってもらってもいいかもしれません。人が集まるおもてなしのテーブルなどに置いて、善光寺やその門前町、辿ってきた歴史などに思いを馳せながら味わっていただけたらいいなと思います。
包装紙も「西之門」の文字を配したシンプルでおしゃれなデザイン。
包装紙の裏には善光寺一帯の地図が描かれていて、眺めているだけで行きたくなる!
―どのようなお料理と合いますか。
藤井 よく聞かれるのですが、和でも洋でも、本当にどんな料理にも合うんですよ。あっさりした料理でも良いですし、お酒自体がしっかりしているので、濃い目のつまみでじっくり味わいながら飲むのもまた一興。強いて言えば、信州色が強いお酒なので、地元長野の名産品と一緒に味わっていただけると、ストーリー性もあって尚良しかなというところでしょうか。おいしい信州味噌を使った料理ならバッチリ合いますし、野沢菜とか、しょうゆ豆とか、ちょっとしたつまみで充分満足できるお酒だと、自負しております!
―ではどんなシーンで飲んでいただきたいですか。
藤井 これも季節や人に合わせて、いくらでもどうとでも(笑)。とにかくヒストリーや味のこだわりなど、語り始めたら止まらないくらいストーリー性の高いお酒ですから、お酒好きな方々の集まりで、わいわい日本酒談義に花を咲かせながら楽しんでいただけたら、こんなに嬉しいことはないですね。
日本酒好きのみならず、歴史好きや寺社マニアなどとも、飲めば会話が弾みそう。
―しっかり重厚なゴールドと、それより少し軽めなピンク―華やかなラベルをまとうコンビには、380年という歴史をもつ老舗蔵元の手間と時間がたっぷりと醸されていて、ただお贈りするだけでなく一緒に酒宴を囲んで語りたくなる魅力がありました。貴重なお話、ありがとうございました!
「西之門 純米大吟醸50・純米大吟醸(ピンクラベル)セット」
価格:¥5,500(税込)
〈セット内容〉
西之門 純米大吟醸50 720ml(¥2,970) 1本
西之門 純米大吟醸(ピンクラベル)720ml(¥2,200) 1本
ギフト用化粧箱(¥330)
店名:善光寺外苑 西之門 よしのや
電話:0120-237-522(9:00~17:30 日・水曜、祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:nishinomon-yoshinoya.com /products/detail/166
オンラインショップ: https://nishinomon-yoshinoya.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
藤井信太郎(株式会社よしのや 代表取締役社長)
1976年長野県長野市生まれ。1999年3月東北大学経済学部卒業。1999年4月キリンビール株式会社入社。3年間の修行期間を経て、2002年4月に株式会社よしのやに入社、代表取締役社長に就任。
<文・撮影/亀田由美子 MC/木村沙織 画像協力/よしのや>