所作まで美しく。京都で300年続く職人技が光る、和洋折衷のエレガンス扇子「シャインレース」

2026/02/05

バッグから取り出した扇子ひとつで、その場の空気がふわりと華やぐ瞬間があります。今回、編集長のアッキーが注目したのは、江戸時代から300年続く伝統の技と現代的な感性が融合した気品のある扇子「シャインレース」です。
繊細なレースにパールの装飾、そして親骨に施された螺鈿(らでん)の煌めき。それは単に涼をとる道具ではなく、現代の装いに寄り添い、持つ人の美しさを引き立てる「持ち歩く芸術品」とも呼べる佇まいがあります。取材スタッフが、京都に本社を構える、株式会社山岡白竹堂の代表取締役、山岡憲之氏にお話を伺いました。

株式会社山岡白竹堂 代表取締役 山岡憲之氏

創業から300年を超えるという、貴社の歩みについて教えてください。

山岡  私たちの原点は、江戸時代の1718年(享保3年)、徳川吉宗が将軍だった時代にまで遡ります。京都の西本願寺前で「金屋孫兵衛」という商号で店を構えたのが始まりです。当時はお寺で使われる扇子を専門に扱う、非常に格式高い扇子店として産声を上げました。
その後、明治時代に入ってから、近代日本画壇の巨匠として知られる富岡鉄斎氏より「白竹堂」という屋号を授かり、現在に至るまでその暖簾を守り続けてきました。300年という月日は気が遠くなるほど長いものですが、私たちは常にその時代の空気を吸い、人々に求められる扇子をコツコツと作り続けてきました。代々の店主が創業者の名である「駒蔵」を襲名しながら、ここ京都の地で技を繋いできた歴史こそが、私たちの誇りです。

「白竹堂」の暖簾は、300年の信頼の証。
京都本店では、扇子の購入だけでなく、
絵付けや伝統的な遊びである「投扇興(とうせんきょう)」が体験できる。

社長ご自身は、最初から家業を継ぐことを意識されていたのでしょうか。

山岡  実は若い頃は全く意識していませんでしたね。学生時代は京都の撮影所でエキストラのアルバイトをしたり、自分で貯めたお金で旅行に明け暮れたりと、とにかく自由に過ごしていました。当時は家業ではなくどこか別の会社に勤めるのだろうとぼんやり考えていたのですが、転機は突然訪れました。学生時代に父が体調を崩し、急きょ手伝いをすることになったのです。そこで初めて、自分が10代目にあたることや、間もなく創業300年を迎えることを知り、この歴史を自分の代で絶やしてはいけないと強く決意しました。
自由な感覚を持っていたからこそ、伝統に縛られすぎず、「今の時代に何が求められているか」を柔軟に考えられるようになったのかもしれません。2011年の東日本大震災の際には、チャリティー活動に精力的なことでも知られるミュージシャン・泉谷しげる氏らと協力してチャリティー扇子を制作するなど、扇子という枠を超えた社会貢献にも取り組んできました。

今回ご紹介する「シャインレース」は、どのようなきっかけで誕生したのですか。

山岡  「扇子は和装の時だけのもの」という固定観念を、どうしても打ち破りたかったんです。今の時代、多くの方は洋服で生活されていますよね。おしゃれを楽しむ現代の女性が、ワンピースやブラウスに合わせて「ファッションの一部」として楽しめるデザインを追求しました。 扇子は決して生活必需品ではありません。だからこそ、手にした瞬間に心がときめくような、憧れのアイテムとしての存在意義を持たせたかった。伝統的な京扇子の技法をベースにしながら、いかにして「洋のエッセンス」をエレガントに融合させるか。その挑戦の結果、従来の扇子にはなかった繊細なレースという素材に辿り着きました。扇子本体だけでなく、お揃いの扇子袋、さらに高級感のある桐箱をセットにすることで、一つの物語として完結するような贈り物に仕立てています。

高級感のある桐箱に収められた、特別なギフトセット。
カラーはホワイト、ネイビー、ブラックの3種類。

―繊細なレースを扇子にするのは、技術的にもかなり難しいのではないでしょうか。

山岡  おっしゃる通り、見た目の華やかさの裏には、気の遠くなるような職人技が詰まっています。京扇子の製造工程は細かく分けると88工程にも及ぶのですが、そのすべてが京都近郊の職人による分業制で行われています。骨(竹)を削る人、紙を折る人、生地を貼る人。それぞれが一生をかけて磨き上げた技術をバトンとして繋いでいくんです。

伝統や技術を継承しながら、新しい感性を取り入れているのが白竹堂の扇子づくり。
骨作りから地紙づくり、組み立てまで約88もの工程のほとんどが、職人の手仕事で仕上げられる。

特に「シャインレース」のように厚みと伸縮性のあるレース生地を、扇子として寸分違わず美しく折り畳むのは至難の業です。紙とは違い、布は力加減一つで形が変わってしまうため、竹の骨とのバランスをミリ単位で調整しなければなりません。まさに職人が「生地の呼吸」を読みながら、長年の勘を頼りに手作業で仕上げていく。少しでもズレれば、扇子を閉じた時の美しさが損なわれてしまいます。
また、親骨(両端にある厚くて丈夫な部分)に施した「百合の紋章」の螺鈿(らでん)も、熟練の職人が光の角度を計算して嵌め込んだ贅沢な意匠です。揺れるパール玉のチャームや、銀糸の煌めきといった細部まで、一切の妥協を許さない職人の魂が宿っているからこそ、安価な大量生産品には決して真似できない重厚感と気品が生まれるのです。開閉時のしなやかな手応えからも、その品質の高さを実感いただけるはずです。

繊細なレースと揺れるパール。
親骨にきらりと光る「百合の紋章」は、職人が光の角度を計算して施したものだ。

日常の中で、どのようにこの扇子を楽しんでほしいですか。

山岡  ぜひ、お気に入りのアクセサリーを選ぶような感覚で、夏の外出のお供にしてほしいですね。観劇や友人とのランチ、あるいは特別なパーティーなど、バッグからサッと取り出す瞬間のさりげない演出を楽しんでいただけたら嬉しいです。レースの質感を慈しむように、両手でゆっくりと開閉する「優雅な所作」そのものが、その場の空気を整えてくれます。また、扇子は広げた形から「寿恵廣(すえひろ)」と呼ばれ、繁栄を願う縁起物として大切にされてきました。母の日や大切な方のお誕生日、あるいは自分へのご褒美として、感謝や思いを込めたギフトにも最適です。この扇子があるだけで、いつもの夏が少しだけ特別で、品格のあるものに変わるような、そんな体験をお届けしたいと思っています。

お客様からはどのような反応がありますか。

山岡  ありがたいことに、海外のお客様はもちろんですが、目の肥えた日本のお客様から「やはり本物は違う」と選んでいただけることが、私たちの最大の喜びです。「大切な贈り物として選んだら、これまでにないほど喜んでもらえた」というお声をいただくと、私たちも幸せな気持ちになります。300年という歴史を積み重ねてきた私共を信じ、本物を大切にされるお客様に選んでいただけることは、何よりの誇りです。これからも、手に取った方が「いいものを持った」と心から満足できる製品を届けていきたいですね。

最後に、これからの貴社のビジョンについてお聞かせください。

山岡  伝統とは、決して形を変えずに守ることではなく、「革新の連続」であると信じています。現在、職人の高齢化という課題がありますが、私たちは若手職人の育成に積極的に取り組み、京都の技を次世代へ繋ぐ使命を果たそうとしています。すでに社内では11代目の後継者も研鑽を積んでおり、次の100年を見据えて暖簾を守る準備をしています。
また、最近では環境への取り組みとして、新幹線の窓のシェード生地や、車のエアバッグの廃材を再利用したSDGsな扇子づくりにも挑戦しています。伝統工芸の枠にとらわれず、今の社会に必要とされる新しいモノづくりの形を模索し続けたい。日本が世界に誇る扇子文化の魅力を、京都から世界中へと発信し続けていくことが、私たちの願いです。

―素敵なお話をありがとうございました!

「シャインレース 扇子セット」
価格:¥16,500(税込)
店名:白竹堂オンラインショップ
電話:075-257-2585(9:30~18:00 土日、祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://hakuchikudo.jp/collections/birthday/products/shinelace
オンラインショップ:https://hakuchikudo.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

山岡憲之(株式会社山岡白竹堂 代表取締役)
立命館大学卒業後、株式会社山岡白竹堂に入社。2004年に社長に就任する。2018年には創業300年を迎え、十代目山岡駒蔵を襲名。「伝統と革新」を信念に、現代のライフスタイルに寄り添う新しい扇子の形を提案し続けている。

<文/お取り寄せ手帖編集部、MC/藤井 ちあき、画像協力/山岡白竹堂>

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