
セカンドベッドとしてとっても便利!段ボール製ベビーベッド「クイックベースベビー」
2025/09/26
今回、アッキーこと坂口明子編集長が注目したのが、段ボール製ベビーベッド「クイックベースベビー」。帰省時用に実家に置いておいたり、リビングに置いたりと赤ちゃん用のセカンドベッドとしてとっても便利。2分で組み立てられて耐荷重も45kgと堅固です。山形県上山市で100年以上、パッケージ事業を展開する株式会社エスパック 代表取締役社長の佐藤健太郎氏にこの商品の魅力、またパッケージや、段ボールをきっかけにした文化育成への熱い思いを取材スタッフがうかがいました。

株式会社エスパック 代表取締役社長の佐藤健太郎氏
―佐藤社長は山形のご出身ですね。
佐藤 山形県山形市に生まれました。今、45歳です。山形で学生時代を過ごした後、映画が好きだったので東京の映画の専門学校に行かせてもらっていたのですが、21歳頃に当社が経営不振になり、父から「会社の現場を回さないと大変だから学校を辞めて帰ってこい」と言われました。専門学校に行ったといっても実はそれほど真面目に行っていなくて、東京でふらふらしていたし、会社の危機と言われてもあまり実感がありませんでした。今振り返ると現実を舐めていたんでしょうね。父が車で上京して私の荷物を載せ、否応なく私を山形に連れて帰りました。帰ってきて、21~23歳ぐらいまで父と一緒に工場で働いていました。
そうしているうちに会社も安定してきたのですが、私は海外に行きたくなり、なけなしの貯金20万円を持って、タイなど東南アジアの国を2か月ほどバックパッカーとして旅行しました。帰国してまたお金を貯めてまた東南アジアに行くみたいなことを2年ほど繰り返していました。当時は料理人になりたいという夢があったので東南アジアのいろいろな国の厨房で働きながら、将来はエスニックレストランとかダイニングバーとかカフェなどの飲食店を開きたいと思っていたからです。
でも、結局何もできず、形にならなくてまた会社に戻っていきました。それも、周囲には『結果が出ないから帰る』というのはかっこよくないから、『家の事情で帰らなくてはいけないみたい』な言い訳をして帰国しました。それで2007年に2回目の入社をしました。

エスパックの「クリエイトシリーズ」は、
かわいくておしゃれなデザインの果実の段ボールとして全国の農家で人気。
―そこからはお父様と二人三脚で?
佐藤 営業、設計の仕事を担当しましたが、自分がやりたいことが芽生えてきました。あるとき、父と衝突し2012年頃だったかと思いますが、会社を辞めて独立しました。そのとき、作ったのが農家さんに向けたパッケージ事業です。その後、会社を支えてくれている社員さんたちに対する思いがあり、私が会社を継がないとこの人たちを守れないと思って会社に戻りました。会社が100周年を迎えた2021年に社長になり、現在に至ります。
―社長としては4代目になりますか。歴史ある会社ですね。
佐藤 今年で創業104年目になります。そもそも佐藤家の祖先は室町時代に山形に入部した武将、斯波兼頼(しば かねより)に仕える武士だったと聞いています。明治時代になり武士の時代ではなくなったため、お膳を作ったり刀の鞘を作ったりする木工業を営んでいたそうです。その後、木箱を作り始め、最初は手で加工していましたが、1922年(大正11年)に曽祖父がモーターで木を切断する機械を導入しました。モーターを導入したのがちょうど祖父が生まれた日でその日を創業日と定めたと聞いています。
今でも大型の機械メーカーと取引があり、重量物の梱包材で丈夫な箱を作っています。堅牢な梱包をするという意味で木箱を作っていた時代の名残と言えます。そして、祖父の代になって1957年(昭和32年)に山形でいち早く段ボールを作り始めました。父の代になって段ボールの中に入れる緩衝材をパソコンで設計して段ボールに付加価値をつけるなどしてデジタル化を進めました。私は包装材にグラフィック的な要素を取り入れながら新次元の梱包を進めています。

さくらんぼを入れたクリエイトシリーズの梱包材。
果実の魅力を引き立てる。
―独立して立ち上げた事業が「クリエイトシリーズ」ですね。
佐藤 段ボールはモノを中に入れて運んで、運び終わったら処分されるものなのであまりデザインにお金をかけないのが普通です。付加価値を提案しても反応はなく悔しい思いもしました。
山形は果実が豊富な地域として有名ですが、あるとき、山形のフルーツを使った「山形代表」というジュースの缶詰のパッケージを見て、かわいいと思いました。その箱を手掛けているのは地元の印刷屋さんでしたが、こういうこともやってみたい、やりたいとインスピレーションを受けました。
そこで全国の農家さんに向けオンラインで果物のパッケージを販売する「クリエイトシリーズ」という事業を始めました。果物のブランディングにパッケージで貢献したいと思ったのです。
当社のデザイン、サイズをテンプレートで用意してあり、クライアントさんの都道府県名を印刷します。さくらんぼ、ぶどう、桃、なし、洋なし、りんごなど8種類に各2種類のデザインタイプがあり、サイズが5種類、都道府県ごとに印刷できるので約2,000アイテムから選ぶことができます。農家さんに直接オンラインでアプローチしたり、インスタグラムでDMをお送りしたりして知っていただき、受注された方には直接お目にかかって挨拶したりしています。オンラインだけでなく顔の見える関係で信頼を築いていきたいと思っています。(エスパッククリエイトシリーズ ⇒ https://spackwebshop.com/)


果実のパッケージデザインは2種類あり、都道府県ごとに名称を変えることができる。
―そのほかにも多種多様な製品を開発していますね。
佐藤 段ボールの可能性を広げたいと思って、新しいことをどんどんやっていきたいと思いました。たとえば私はスケートボードが好きなのですが、スケートボードのアールのセクション(台)を強化段ボールで作りました。これは受注されたものではなく、私が単純にスケートボードの台を段ボールで作ったらおもしろいかもしれないと思って製作したものですが、残念ながら当社には強化段ボールの技術がないので今後は開発したいと思っています。現在、上山市はスケートボートでの町おこしに取り組んでいますが、何らかの形で私が地域に貢献できたらいいと思っています。このように楽しい文化を発展させたいなと思います。

「クイックベースベビー」は2分ほどで組み立てられ、耐荷重は45kgとしっかりした設計。
不要になったらリサイクル資源として出すことができる。別売りでマットもある。
―今回は新生児用ベッド「クイックベースベビー」を紹介させていただきます。開発のきっかけは?
佐藤 私たちの会社の所在地は山形県上山市で、福島県とは近い場所にあります。東日本大震災のときに会社の近くの体育館に多くの方が避難してこられました。私たちも何か力になれないかと思い、段ボールのシートを何百枚か持っていきました。すると大変喜んでいただけました。冷たい床で寝ないで済み、段ボールで仕切ればプライベートも守られます。私たちは段ボールにはそういう役目があるんだなと再認識したのです。そこから段ボールでベッドを作りたいという企画が社内であったのですが、なかなか実現はしませんでした。その後コロナ禍の時期に企画が一気に進みました。

セカンドベッドとして使いやすい「クイックベースベビー」。
―この商品のコンセプトは?
佐藤 すばやく自分の居場所を作ることができる、クイックベースという考え方をコンセプトにしています。ただの段ボールベッドではなく、家族で避難する場合などに赤ちゃんの場所もしっかり作るという発想です。また、フィンランドでは赤ちゃんが生まれたときに、段ボールの箱に布団や哺乳瓶を入れて贈り、贈られた家では赤ちゃんを段ボールの箱の中に寝かせる文化があると聞きました。そのエピソードも取り入れて企画開発しました。
ただ、災害というのは不幸なことなので、私たちはあまり災害需要を見越した商売をしたいとは思っていません。この商品の最大の利点は、一定期間しか使わないベッドを簡易に組み立てることができ、その後に手間をかけずに処分しやすいという点にあります。発売日は2020年10月10日です。妊娠してから出産までを十月十日と言われるのでそれに因みました。その後、オンラインショップを立ち上げそこでの販売も始めました。
―消費者の反応はいかがでしたか?
佐藤 お母さんが赤ちゃんを連れて里帰りしたときに実家に置いておくとか、寝室とは別にリビングにもベビーベッドを置いておきたいという場合のセカンドベッドとして使われる方が多いようです。わざわざベッドを2台買うのは大変だというときに便利だと評価されているようです。レンタルするよりも割安に用意することができます。注文したら120cmサイズの段ボールに入って届き、箱を開けたらすぐにベッドの形に広がり、仕切りを差し込むと完成です。約2分でできます。
―お話をうかがって段ボールの可能性が分かりました。今後の展望をお聞かせください。
佐藤 全国にはお菓子屋さん、服屋さんとか全国には小売店がたくさんあります。その店主さんたちも段ボールを必要としていると思うので、先ほど述べた農家さん向けのパッケージの延長として、それらのお店に向けてデザイン性の高い段ボールの販売をオンラインでしていきたいと考えています。今は無地の段ボールを使っている方でも、商品を輝かせるようなパッケージを作って、人と人をつないでいくような事業がしたいです。贈り物や購入した商品でも箱を開けるときってわくわくしますよね。その感激をさらに高めるようなパッケージを作りたいです。そして箱を活用しながら、結果的に面白い文化が磨かれる、その手助けができる会社になりたいと思います。

パッケージを通じて人をわくわくさせ、
人と人を結ぶ仲介役になりたいと佐藤社長は願っている。
―熱い思いを聞かせていただきありがとうございました。
佐藤 実は私は本来、メディアにはなるべく載りたくないと思っているのですが、私がお客様への感謝を抱く中、特に個人事業時代に私を支えてくださった方、仲間たちには特別な感情を抱いていて、私やエスパックの活躍のニュースをお届けすることで感謝をお返ししていきたいと思いました。また、パッケージで市場や文化を盛り上げたいという思いもあり、今回は登場させていただきました。これからも人を楽しませ、わくわくさせる事業に取り組んでいきたいと願っています。
―佐藤社長の思いに感銘を受け、こちらもわくわくしました。本日はありがとうございました。


「クイックベースベビー」(幅750×奥行500×高さ400mm・耐荷重45kg)
価格:¥6,050(税込)
店名:エスパッククイックベースショップ
電話:023-673-1155(9:00~12:00/13:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://qb.spackwebshop.com/products/detail/3
オンラインショップ:https://qb.spackwebshop.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
佐藤健太郎(株式会社エスパック 代表取締役社長)
1980年生まれ。業界経験20年(内10年は個人事業家として新規事業開拓も兼務)。関わる人たちが『面白い』『地元(地域)』『DIYの精神』を大切にする姿勢は、日本中の同志にパッケージを通して価値創造と仕事への熱量を伝えている。
<文/今津朋子 MC/田中香美 画像協力/エスパック>




























