
素材の甘みが驚くほど引き立つ!直火釜で炊き上げる静岡の「あらしお」と「あらしお やきしお」
2026/05/08
今回、編集長のアッキーが注目したのは、まろやかで丸みのある味わいが素材の良さを引き出す「あらしお」と、「あらしお」を炒って使いやすく仕上げた「あらしお やきしお」です。富士山を望む静岡の地で、今では希少となった「平釜」を使い、職人の目で炎を見守り、炊き上げる塩は、まるで雪のような白さと、角のない優しい味わいが特徴。ひと口なめれば、その「丸み」のあるおいしさに、お塩本来の深い味わいを再発見できるはずです。
効率化が進む現代において、なぜあえて手間のかかる製法にこだわり続けるのか。その背景には、日本の食文化を支えたいという熱い思いがありました。取材スタッフが、静岡県に本社を構える、あらしお株式会社 専務取締役の川島 由紀氏にお話を伺いました。
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
川島 私たちの塩作りの原点は、静岡の久能浜(くのうはま)という場所にあります。ここは江戸時代以前から塩作りが盛んな地域なのです。徳川家康公の遺言によって建てられた久能山東照宮のすぐ下の浜で、古くからお塩が作られてきました。私の家系も代々その製塩に携わっており、1906年に商売として創業してから、今年でちょうど120年目を迎えます。

製塩の歴史ある地で創業し、一度は消えようとしていた伝統的な塩作りを守り続けている。

大正4(1915)年、あらしおを天皇陛下に献納。
戦後の日本の専売制によって塩の製造が国に厳格に管理され、昔ながらの平釜での塩づくりが姿を消し、最新技術を用いた、効率よく生産できる最新技術を用いた、従来とは全く違う結晶と味の塩だけが全国で販売されるようになりました。しかし、それでは料理の味や風合いが変ってしまう場合もあり、「昔ながらの塩がほしい」と、多くの料理人や主婦の皆さまから切実な声が上がったのです。その熱い要望に応える形で、1963年に全国で初めて「平釜塩(浅い釜で、海水や濃縮塩水を時間をかけて穏やかに煮詰めて作る塩)」の国の専売公社から委託を受け、昔ながらの塩の製造を再開したのが当社でした。日本の味の原点となる、おいしくて結晶の良い塩を、より良い品質で供給し、伝統の味を守るという使命を持って、私たちの歩みは続いてきたのです。

直火釜でゆっくり炊き上げ、雪のような結晶の「あらしお」
―専務ご自身は一度異業種を経験してから入社されたと伺いました。家業を継ぐことへの迷いはなかったのでしょうか。
川島 父からは直接「継いでくれ」と言われたことはありませんでしたが、心のどこかではずっと意識していましたね。大学卒業後はマスコミ業界に入り、ディレクターとして全く違う世界を楽しんでいました。しかし、30歳を過ぎて自分の将来を改めて考えたとき、ふと思い出したのは幼い頃に父と行った工場の景色でした。
当時の工場は今のように機械化されておらず、職人たちが手作業でお塩を袋に詰めていました。山のように積まれた真っ白な塩の結晶を見て、子どもながらに「わあ、雪みたい!」と感動した記憶が鮮明に残っています。あのときなめたお塩の、体に染み渡るようなおいしさ。
言葉には出さないけれど、静かに私の会社への参画を待っていた父の背中を見て、「これからの道は、幼いころから接してきたこの仕事にこそある」と決意して父の会社に入りました。一度外の世界を見たからこそ、家業が守り育ててきたものの尊さをより深く実感できるようになったのかもしれません。
―看板商品である「あらしお」について教えてください。
川島 「あらしお」は、まさに当社の伝統復活を象徴する商品です。専売制によって日本の塩が画一化されようとしていたとき、このお塩がなければ自分たちの料理が完成しないと言ってくださった方々のために生まれました。私たちが目指しているのは、素材の味を最大限に引き出すための「日本人のための塩」です。
発売から50年以上、パッケージのデザインもほとんど変えずに作り続けています。今では全国の有名百貨店、大手スーパーなどでも手にとっていただけるようになりましたが、今でもベテランの料理人の方から「あらしおがなくなったら商売ができない」というお言葉をいただくこともあり、それが何よりの励みになっています。時代が変わっても、料理の基本となる「本物の味」を絶やさずにお届けし続けることが、私たちの変わらぬ信念なのです。

50年以上変わらない味とパッケージは時代が変わっても
「本物の味」を届け続けたいという思いの証。
―「あらしお」の味の決め手となる「平釜炊き製法」とは、どのようなこだわりがあるのでしょうか。
川島 現在、日本国内で平釜(浅い釜)で炊き上げ製法を守り続けているメーカーは、きわめて稀です。手間も時間もかかりますが、この製法でなければ出せない味があるのです。職人が目と感覚で火加減を調節し、じっくりと時間をかけて水分を飛ばすことで、トゲのない、じわっとした旨みを感じる「丸みのある味」が生まれます。
この製法で作られた結晶はサックリとしていて美しく、お水に溶けやすいだけでなく、素材への馴染みが非常によいのが特徴です。父がよく「塩は名脇役でなければならない」と言っていましたが、まさにその通りで、自分たちが前に出るのではなく、料理の相手をいかにおいしく引き立てるかが私たちの腕の見せ所なのです。
―おすすめの食べ方を教えてください。
川島 ぜひ試していただきたいのは、「塩むすび」です。私たちの塩を使うとお米の甘みが際立ち、炊きたてはもちろん、冷めてもお米がしっとりとしておいしさが持続します。お弁当作りをされる方には、ぜひ一度この違いを体感していただきたいですね。
また、夏にはスイカに一振りしてみてください。お塩のジャリッとした心地よい食感とともに、果実の甘みが最大限に引き出される贅沢な味わいを楽しめます。さらに、結晶が固まりやすいため、盛り塩として暮らしに取り入れている方もいらっしゃるそうです。盛り塩は神社様や飲食店様、一般の方にも愛用者が多く、見た目にも美しく、日々の暮らしを清める丁寧な習慣にそっと寄り添ってくれます。

おむすびに使用すれば、お米の甘みが際立つ。
冷めても米粒がしっとりとした状態に。
―もう一つの商品「あらしお やきしお」についても教えてください。こちらはどのようなきっかけで誕生したのですか。
川島 伝統の「あらしお」のおいしさはそのままに、もっと手軽に食卓で使いたいというお客さまの声から誕生したのが、この「やきしお」です。日本料理の世界では、料理人があらかじめ塩をなべで炒ってから使う「プロのひと手間」がありますが、その工程を私たちが済ませておくことで、手軽においしく料理を仕上げられるように工夫しました。もともとの「あらしお」はしっとりとしていますが、それを職人が丹念に炒り上げることで、サラサラとした質感なのが特徴です。2014年の発売にあたっては、清潔さと持った時の感触の良さ、「あらしお」のイメージである、昔から暮らしになじんでいるようなレトロ感を活かすため、キッチンや食卓に置きたくなるようなガラス瓶を採用しました。

軽やかな舌触りとすっきりとした後味が特徴の「あらしお やきしお」。
湿気に強く、最後の一粒までさらさらとした使い心地が続く。
―「やきしお」ならではのこだわりや、使い心地の特徴は何でしょうか。
川島 原料となる「あらしお」の結晶自体が非常に良質であるため、焼き上げてもガチガチに固まることがありません。ふんわりとした軽やかな粒子は、瓶から振り出したときに均一に広がっていきます。また、炒ることでサラサラとした質感に仕上がり、ふんわりとした軽やかな粒子が均一に広がるのが特徴です。
湿気に強く、最後の一粒までサラサラとした使い心地が続くので、ストレスなくお使いいただけます。50gという小ぶりなサイズ感も、使いやすいと大変喜ばれています。
―「やきしお」のおすすめの使い方はありますか。
川島 一番のおすすめは「揚げたての天ぷら」ですね。お塩がパラリと衣に馴染み、サクサクとした食感を損なうことなく素材の甘みを引き立ててくれます。
また、卓上の「追い塩」としても優秀です。ゆで卵やサラダ、焼き魚など、食べる直前に一振りするだけで、素材の輪郭がくっきりと際立ちます。一度使うとその手軽さと味のよさが手放せなくなり、何度もリピートしてくださるお客さまが非常に多い商品なのです。


サラダやゆで卵、焼き魚などに食べる直前に一振り。
素材の輪郭がくっきりとし、味にメリハリが生まれる。
―これから100年先へ向けてどのようなビジョンを描かれていますか。
川島 お塩には代わりになるものがありません。人間が生きていくうえで不可欠なものだからこそ、100年後も変わらぬ製法で作り続ける責任があると考えています。AIなどの新しい技術や効率的な手法は、取り入れられる部分は柔軟に活用していきますが、味の肝となる「平釜炊き」と、職人の「人の目」というアナログな部分は、決してブレさせてはいけないと考えています。
最近では、地元のチョコレート専門店とのコラボレーションや、製造過程でどうしても出てしまう余ったお塩を活かしたバスソルトや、地元静岡の富士山を模したかわいらしい盛り塩キットの開発など、新しい風も吹き込んでいます。静岡の風土が育んだ「本物の塩」の価値を次世代へ繋ぎ、世界中へその魅力を伝えていくことが、これからの私の使命なのです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「あらしお 400g」
価格:¥220(税込)
店名:あらしお株式会社
電話:054-288-4780(9:30~12:00、13:30~17:00 土日祝を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shiohikoshop.thebase.in/items/5090220
オンラインショップ:https://shiohikoshop.thebase.in/

「あらしお やきしお 50g」
価格:¥360(税込)
店名:あらしお株式会社
電話:054-288-4780(9:30~12:00、13:30~17:00 土日祝を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shiohikoshop.thebase.in/items/5090267
オンラインショップ:https://shiohikoshop.thebase.in/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
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川島 由紀(あらしお株式会社 専務取締役)
静岡県にて、創業家に生まれ育つ。早稲田大学卒業後、マスコミでディレクターとして勤務ののち、あらしお株式会社へ入社。日本文化を好み、和食の歴史と共にある塩の伝統を守りつつ、暮らしの中での塩をテーマにした製品の開発やEC販売にも積極的に取り組んでいる。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香 画像協力/あらしお>


























