
90年愛される熱田神宮の参拝みやげ。つるんと滑らかな「きよめ餅」と職人技の結晶「藤団子」
2026/03/26
今回、編集長のアッキーが注目したのは、職人が1時間半かけて練り上げる「きよめ餅」 と、彩り鮮やかな干菓子 「藤団子(とうだんご)」です。ひと口食べれば、つるんと滑らかな羽二重餅が喉を通り、上品なこしあんの甘みを堪能できる「きよめ餅」は、名古屋・熱田神宮の門前で愛され続ける逸品。驚くほどもっちりと伸びるお餅の秘密は、「変わらぬ安心感」を大切にする、作り手の深い愛情と丁寧な手仕事にありました。また、「藤団子」は心地よい歯ざわりと口溶けが人気の干菓子。職人技の賜物です。
その背景には、戦後の困難を乗り越え、熱田の地に名物を作ろうと奔走した創業者の情熱と、それを現代につなぐ「笑顔の循環」という願いがあります。取材スタッフが、愛知県に本社を構える、株式会社きよめ餅総本家の代表取締役社長、後藤 尚子氏にお話を伺いました。

株式会社きよめ餅総本家 代表取締役社長 後藤 尚子氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
後藤 創業は1936年(昭和11年)です。創業者である私の祖父は石川県の出身なのですが、名古屋に出てきて酒屋の番頭を務めていたそうです。
当時、ここ熱田神宮には参拝客が持ち帰るような代表的な名物がありませんでした。そこで祖父が「熱田神宮にふさわしい名物を作りたい」と一念発起し、皆様のお力添えをいただきながら菓子作りを始めたのがルーツです。
江戸中期、参拝客が旅の疲れを癒やした「きよめ茶屋」というお茶屋があったという文献を紐解き、その名を冠して「きよめ餅」と名付けました。



1935年の創業以来、熱田神宮の歴史と共に歩む。
―社長ご自身は、以前は異業種で活躍されていたと伺いました。
後藤 はい。実は以前、カラオケ機器などを扱う会社に勤めていました。そこでコンテンツ制作などに携わっていたのです。「形のないもの」を作って世に出す経験を経たことで、「お菓子」という形あるもので喜びを届けることに、また違ったやりがいを感じています。現在は、製造を支える夫と二人三脚で会社を盛り上げています。着物を着る機会も増え、身が引き締まる思いですね。
―看板商品である「きよめ餅」について、誕生の経緯を教えてください。
後藤 先ほどもお話ししたように、祖父が「熱田神宮にも名物を」と考えたことが始まりです。「三種の神器」、熱田神宮には日本神話に登場する伝説の神剣「草薙の御剣(くさなぎのみつるぎ)」が祀られています。尊い場所だからこそ、清々しいお菓子を目指しました。
中にあんこを入れ、外を柔らかいお餅で包むというスタイルは、祖父のアイデアと熱田への深い敬意から生まれたものです。以来、パッケージも味も変えず、皆様に親しんでいただいています。


もっちりと伸びる羽二重餅と、さらりと溶けるこしあんの調和。発売から変わらない味だ。
―製法や素材へのこだわりについてお聞かせください。
後藤 お餅にもあんこにもこだわっています。「羽二重餅(はぶたえもち)」という種類なのですが、職人が1時間半ほどかけて、じっくりと丁寧に練り上げています。砂糖を一度に入れるのではなく、少しずつ加えては溶かし、また加えては溶かす……という工程を繰り返します。こうしなければ、きめ細かく伸びのある、もっちりとした食感にはならないのです。
中のこしあんも、季節の温度や湿度に合わせて職人が炊き上げています。冬は冷えて締まるのが早いので柔らかめに、夏は少し固めにといった具合に、長年の経験と目視で微調整しているんですよ。機械任せにはできない、人の手だからこそ出せる味だと思っています。




機械には決して真似できない1時間半の練り。
砂糖を数回に分けて溶かし込む根気強い手仕事が、唯一無二の食感を生み出す。
―おすすめの召し上がり方はありますか?
後藤 ご自宅で召し上がる際は、少し濃いめに淹れた熱いお茶や、お抹茶と合わせていただくのがおすすめです。甘みをしっかり残した味わいなので、お茶の苦味と合わせることで、ほっと一息つける贅沢な時間になると思います。もし機会があれば、本店のすぐ近くにある直営の喫茶店で、出来立てを召し上がってみてください。柔らかさが格別ですよ。

慌ただしい毎日に、ほんの少しの贅沢を。
丁寧に淹れた熱いお茶と楽しむ「きよめ餅」が、自分への最高のご褒美になる。
―お客様からはどのような声が届いていますか?
後藤 名古屋出身のお客様からは、パッケージを見ただけで「懐かしい!」と言っていただけることが多いですね。かつて愛知県で放送していたきよめ餅の柔らかさを子どものほっぺで表現したテレビCMを覚えてくださっている方もいらっしゃいます。
「熱田のおみやげといえばこれ」「大切な方への贈り物なら間違いない」と言っていただけるのは、本当にうれしいことですね。変わらない味を守り続けることが、皆様の「心の拠り所」になれているのかなと感じています。
―続いて、彩り鮮やかな「藤団子(とうだんご)」について教えてください。
後藤 こちらも江戸時代の文献「尾張名所図会(おわりめいしょずえ)」に描かれていた名物菓子を、初代が現代に蘇らせたものです。
初代が想像を膨らませて、藤の花房に見立てた美しい「五色」の色をつけました。「団子」という名前ですが、実は生菓子ではなく、乾燥した和菓子「干菓子(ひがし)」なんですよ。熱田らしさを感じていただける一品です。

藤の花房に見立てて着色された美しい五色。
初代の瑞々しい感性が、歴史ある和菓子に華やかな命を吹き込んだ。
―「藤団子」の製造にも、職人技が光っているそうですね。
後藤 はい、これはまさに時間との勝負なんです。生地を練って棒状に伸ばし、カットして丸めますが、すぐに乾燥して固まってしまうため、職人たちが一斉に取り掛かって手早く作業します。
丸めた後は1日乾燥させ、麻紐で結んでからさらにもう1日乾燥させます。手間と時間はかかりますが、この工程を経ることで、心地よい歯ざわりと口溶けが生まれるのです。職人の阿吽(あうん)の呼吸がないと作れないお菓子ですね。
―どのような方に人気がありますか?
後藤 熱田神宮で毎月15日に行われるお茶会のお菓子としても使われているため、お茶をたしなむ方から「これこそ本物」と支持をいただいています。
最近では、そのかわいらしい見た目から、若い女性のお客様が手に取ってくださることも増えました。「わあ、きれい!」と喜んでいただけるので、おもてなしの席や手みやげとしても会話が弾むと思いますよ。
―最後に、今後の展望をお聞かせください。
後藤 私は社長就任時に「笑顔の循環」というテーマを掲げました。お客様はもちろん、スタッフや取引先の皆様、関わる全員が幸せになる経営を目指しています。
受け継いできた歴史を守りながらも、新しいことへの挑戦も続けていきたいですね。最近では「きよめパン」という復刻商品も少しずつ認知されてきました。これからも、名古屋のおみやげとしてナンバーワンを目指し、次世代へこの味と笑顔をつないでいきたいと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「きよめ餅」(5個入)
価格:¥900(税込)
店名:きよめ餅総本家
電話:052-681-6161(8:30~18:30)
商品URL:https://www.kiyome.net/sweet/index.html
オンラインショップ:https://www.kiyome.net/sweet/index.html

「藤団子(とうだんご」(1房)
価格:¥300(税込)
店名:きよめ餅総本家
電話:052-681-1400(8:30~18:30)
商品URL:https://www.kiyome.net/sweet/index.html
オンラインショップ:https://www.kiyome.net/sweet/index.html
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
後藤 尚子(株式会社きよめ餅総本家 代表取締役社長)
1980年愛知県名古屋市生まれ。当時、前社長である叔父とその妻が会社を切り盛りしており、その叔母の後任として2014年に入社。叔父のもとで経営学を学ぶ。2015年の第一子出産を機に、夫(現在取締役統括部長)も同社に入社。現在夫婦で2人の子育てと社業に専念中。2024年9月、代表取締役社長に就任。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中 香花 画像協力/きよめ餅総本家>




























