
時間をかけて丁寧に醸造したからこその旨み。農林水産大臣賞受賞蔵の「別製つぶ味噌」と「特撰つぶ味噌」
2026/02/25
今回、編集長のアッキーが注目したのは、新潟県で長年愛されている「別製つぶ味噌」と「特撰つぶ味噌」です。通常よりも米麹を贅沢に使い、職人が手間暇を惜しまず仕込むお味噌は、まさに「お野菜が主役になる」魔法のような調味料。一口含めば、麹の優しい甘みと大豆の深いコクが調和した、芯のあるおいしさが体に染み渡ります。毎日の食卓に欠かせないお味噌汁が、格別な一杯へと変わるはずです。
その背景には、二度の工場の移転という大きな転換期においても、創業以来受け継いできた「伝統の菌」を大切に守り抜き、変わらぬ味を追求し続ける作り手の真摯な姿勢がありました。90年の歴史の中で培われた技術と、時代が変わっても「本当においしいもの」を届けたいという一途な思い。効率化を優先せず、あえて手間のかかる昔ながらの製法を貫くことで生まれる「本物の味わい」がここにあります。取材スタッフが、新潟県に本社を構える、株式会社渋谷商店 代表取締役の渋谷信夫氏にお話を伺いました。

株式会社渋谷商店 代表取締役の渋谷信夫氏
―まずは、御社の歩みについてお聞かせください。
渋谷 私たちの原点は、1936年に新潟市内で創業した、味噌の製造・販売を行う醸造元にあります。創業以来、90年にわたって新潟の伝統である「越後味噌」を造り続けてきました。大きな転機となったのは2018年の二度目の工場移転です。バイパスの拡張工事に伴い、現在の聖籠町(せいろうまち)へ移ることになったのですが、味噌造りにおいて何より大切なのは、長年工場に住み着いている「菌」なんですね。この目に見えない微生物をどうやって新しい場所へ導くかが最大の課題でした。
そこで私たちは、以前の工場で仕込んだ味噌を新工場に移し、1年という歳月をかけ新しい場所の環境に少しずつ菌を馴染ませていく手法をとりました。まさに命を繋ぐような作業の連続でした。この時期には共に味噌造りをしてきた父親と工場長との別離もあり、精神的にも肉体的にも非常に過酷でしたが、「この菌と味を決して絶やしてはいけない」という強い使命感で、今日まで歩んできました。


1936年の創業以来、新潟の地で「越後味噌」の伝統を守り続けている。
―社長ご自身は以前、全く異なる業界にいらっしゃったそうですね。
渋谷 はい。私はもともと東京で、雑誌などのメディア関係の仕事をしていました。情報を整理し、読者に届ける編集者としての毎日を過ごしていたんです。ところが、妻の実家である渋谷商店に後継ぎがいないという話になり、縁あって新潟へ移住することになりました。
忘れもしないのが、移住初日の朝です。目が覚めたら窓も埋まるほど雪が積もっていて、すぐに雪かきに駆り出されました。東京育ちの私にとって、驚きの連続の日々でしたが、この地で代々受け継がれてきた味噌造りの尊さを、より客観的に、そして価値あるものとして捉え直すことができたと感じています。
―今回ご紹介する「別製つぶ味噌」は、どのようにして生まれたのでしょうか。
渋谷 創業者からは「新しいものを作る必要はない。今ある味を完璧に守り続けろ」と教えられてきました。これは一見、守りに入っているように聞こえるかもしれませんが、気温や湿度が毎年異なる中で、長年愛されてきた「いつもの安心感」を100%再現し続けることは、実は非常に難しい挑戦なんです。流行に左右されるのではなく、食卓の風景に寄り添い、飽きのこないおいしさを提供し続けるという理想から生まれたのが、この味噌の在り方です。「ここの味噌でないとだめなんだ」と言ってくださる全国の常連さんたちの期待に、今日も明日も応え続けていく。それが私たちの誇りであり、一番の願いです。

大豆の粒感を残した「つぶ味噌」ならではの、豊かな食感が特徴。
―「別製つぶ味噌」のこだわりについて、詳しく教えてください。
渋谷 原料には新潟県産の米と大豆を厳選しています。最大の特徴は、米麹の配合量です。一般的な味噌は大豆に対して米を8割程度使うことが多いのですが、私たちは10割以上の米麹を贅沢に使います。これにより、麹由来の自然な甘みが際立ち、まろやかな風味に仕上がるのです。
製法においても、創業当時から「抜け掛け法」を続けています。「こしき」という大釜でお米を蒸す際、一層ずつ丁寧にお米を撒き、蒸気の抜け具合を職人が五感で確かめながら重ねていく手法です。機械を使えば短時間で済みますが、この手間をかけることで、お米一粒一粒にムラなく火が通り、力強い麹が育ちます。さらに大豆も、早朝から3時間ほどかけて、大きな釜でコトコトと煮上げます。圧力をかければ数十分で済みますが、時間をかけて煮ることでしか出せない大豆の豊かな旨味があるのです。
こうして仕込んだ味噌を最低でも7カ月、長いときには1年以上、四季の移ろいの中でじっくりと熟成させます。「時間」という最高の調味料が、味噌の角を丸くし、具材の味をそっと引き立てる味わいを育ててくれるんですよ。


新潟県産の米と大豆を厳選。
創業から続く「抜け掛け法」は、職人が五感で確認しながら米を蒸し上げる製法である。
―おすすめの楽しみ方はありますか?
渋谷 どんな具材にも合いますが、ぜひたっぷりの根菜と豚肉を入れた「豚汁」で味わってみてください。私たちの味噌は油との相性が非常に良く、味噌が油のコクを包み込みながら、お野菜本来の甘みを引き出してくれます。お湯にサッと溶けるきめ細やかな質感なので、お料理の仕上げもスムーズです。根菜の旨味が溶け出した温かな一杯は、心まで解きほぐしてくれるはずです。

「別製つぶ味噌」は油との相性が抜群。
具だくさんの豚汁に最適。
―お客様からは、どのような反響が届いていますか。
渋谷 「今までお味噌汁をあまり飲まなかった子どもが、おかわりをするようになった」というお声をいただくのが一番うれしいですね。子どもの舌は正直ですから、私たちの目指す「優しい味」が伝わっているのだと自信になります。また、品質への信頼をいただき、東京・青山にある人気のセレクトショップでもお取り扱いいただいています。美意識の高い方々が選ぶ日常の一品として、私たちの味噌が食卓に並んでいることを誇りに感じています。
―もう一つの商品「特撰つぶ味噌」についてもお伺いします。どのような特徴があるのでしょうか。
渋谷 こちらは、伝統的な越後味噌の良さを活かしつつ、現代の嗜好に合わせてより「上品でさわやかな味」を追求した商品です。見た目にも美しい、透明感のある白味噌風に仕上げました。最高品質の国産米麹を贅沢に使用し、麹由来の天然の甘みを丁寧に引き出しています。低温でじっくりと、最低でも7カ月以上熟成させることで、雑味のない洗練された風味を実現しました。

雑味のない洗練された白味噌風の味わいが特徴の「特撰つぶ味噌」。
―こちらはどのようなシーンで味わうのがおすすめですか。
渋谷 カブや大根、白菜といった淡白なお野菜とよく合います。お野菜そのものが持つ繊細な甘みを主役にしてくれる、滋味深い味わいです。週末の朝など、少しゆっくりできる時間に、心身を整える一杯として味わっていただきたいですね。澄み切ったおいしさが、一日の始まりを彩ってくれるでしょう。

澄み切った上品な味わいが、素材本来のおいしさをそっと引き立てる。
―第三者からの評価も非常に高いと伺いました。
渋谷 ありがたいことに、令和7年度全国味噌鑑評会で最高賞である「農林水産大臣賞」を受賞いたしました。300点以上の出品の中から選んでいただいたことは、私たちの味噌造りが間違っていなかったという大きな裏付けになりました。審査では、きめの細かさと色の美しさ、そして角のないまろやかな塩味が特に高く評価されました。プロも認めたこの美しさと味は、大切な方への贈り物としても、自信を持っておすすめできます。
―最後に、これからの展望をお聞かせください。
渋谷 「一椀のお味噌汁ですべての人が健康で幸せで安寧でありますように」という思いを胸に、これからも精進していきたいと考えています。一杯の味噌汁が、家族の会話を弾ませ、日々の暮らしに小さな幸せを運んでくる。そんな存在であり続けたい。効率を追い求める時代だからこそ、あえて手間暇をかける価値を次世代へ繋いでいくことが、私たちの使命です。新潟の地から、全国の食卓へ、そして未来へと、本物の食文化を届けていきたいですね。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。

「別製つぶ1kg」
価格:¥752(税込)
店名:株式会社渋谷商店
電話:0120-65-2080(08:30~17:00 ※土曜不定期休業、日、祝日を除く)
商品URL:https://shibuyamiso.shop-pro.jp/?pid=139182292
オンラインショップ:https://shibuyamiso.shop-pro.jp/

「特撰つぶ1kg」
価格:¥800(税込)
店名:株式会社渋谷商店
電話:0120-65-2080(08:30~17:00 ※土曜不定期休業、日、祝日を除く)
商品URL:https://shibuyamiso.shop-pro.jp/?pid=139296166
オンラインショップ:https://shibuyamiso.shop-pro.jp/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
渋谷信夫(株式会社渋谷商店 代表取締役・新潟県みそ技能士会会長)
1943年生まれ、東京都出身。東京の出版社で雑誌メディアの編集に携わった後、1975年に新潟へ移り、株式会社渋谷商店の味噌造りの道へ。50年にわたり発酵の世界で研鑽を積み、現在は代表取締役として、新潟の伝統「越後味噌」の魅力を全国へ発信し続けている。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/田中香花 画像協力/渋谷商店>




























