
京都で半世紀愛される前田珈琲の職人が焙煎する、洗練された味わいの「4種ドリップパックギフトセット」
2026/01/09
今回、編集長のアッキーが注目したのは、京都・前田珈琲店の「4種ドリップパック」です。「京料理のような味」と評されるそのコーヒーは、出汁のように繊細で、毎日飲んでも決して飲み飽きることがありません。それが手軽なドリップパックでも味わえるようにと、こだわりを形にしました。その背景には、ブレンド名に秘められた物語と、守り抜かれた職人技がありました。取材スタッフが、京都府に本社を構える、有限会社前田珈琲 代表取締役社長の前田剛氏にお話を伺いました。

有限会社前田珈琲 代表取締役社長の前田剛氏
―創業の経緯と、企業のルーツについて教えてください。
前田 弊社は1971年(昭和46年)、京都の大宮で創業しました。半世紀を超え、京都の人々の日常に寄り添い続けています。創業者の父は、京都の喫茶文化を牽引した「イノダコーヒ」の初代社長・猪田七郎氏のもとで修業を積み、独立を果たしました。創業当時は資金もなく、わずか10坪ほどの店舗からのスタート。カウンター数席とボックス席1つという小さな店を、母と二人三脚で切り盛りしてきました。



呉服屋を改装した前田珈琲の「室町本店」。
コーヒーだけでなく、自家製のスイーツや名物のナポリタンを楽しめる。
―2代目であるご自身は、どのような経緯で家業を継がれたのですか?
前田 実はもともとサッカー少年で理系出身だったので、若い頃は「喫茶店のマスター」という仕事に特段の興味を持っていませんでした。大学を卒業後に入社しましたが、転機となったのは27歳の時ですね。廃校になった小学校を活用した「京都芸術センター」内への出店(明倫店)を任されたことです。
そこでパフェなどの新しいメニュー開発や、教室を活かした空間づくりに挑戦し、メディアでも話題となりました。さまざまな新しい試みを経て、父が大切にしていた「お客様の日常に溶け込む、変わらない喫茶店」の価値を再認識し、現在は原点回帰の姿勢を強めています。



小学校の内装を活用したカフェ「明倫店」。
京都らしさと、モダンさを兼ね備えた空間で、新たに開発したパフェなどを楽しめる。
―今回ご紹介いただく「4種ドリップパックギフトセット」ですが、それぞれのブレンド名に込められた思いについて伺います。
前田 このギフトセットには、私たち家族の物語と地域への愛が詰まっています。まず看板ブレンド「龍之助」の名は、私の祖父の名前に由来します。祖父は戦争に出征し、モンゴルでの過酷な抑留生活の末、現地で亡くなりました。「龍之助」という名には、会うことの叶わなかった祖父への鎮魂の思いが込められています。

祖父の名前を冠した「龍之助」ブレンド。
そしてもう一つのブレンド「冨久(ふく)」は、夫・龍之助を失った後、女手一つで父を育て上げた祖母の名前から付けました。戦争によって引き裂かれた夫婦が、コーヒーのブレンド名として並び、このギフトセットの中で再会を果たしている。そんな背景を持っています。また「牛若丸」「弁慶」の名は、本店がある地域の祇園祭の山鉾「橋弁慶山」にちなんでおり、京都という土地への深い敬意を表現しました。


家族の物語を宿す「龍之助」「冨久」に加え、祇園祭の山鉾にちなんだ「牛若丸」「弁慶」をアソート。
京都への愛と敬意が詰まった一箱。
―「京料理のようなコーヒー」と評される味は、どのようなこだわりから生まれているのでしょうか?
前田 私たちが目指すのは、味が濃い、苦いといった一点突破の特徴ではなく、洗練されたバランスのいい味わいです。その味を支えているのは、約40年前に製造された西ドイツ・プロバット社製の焙煎機なんですよ。現代の全自動マシンのようにスイッチ一つで完了するのではなく、職人が豆の色や爆ぜる音を確認しながら、片時も離れずダンパー(空気の通り道を調整する弁)や火力を微調整します。
例えるなら、古いクラシックカーやレストア車(古びた車を修復・再生した車)を運転するような感覚に近いですね。マニュアル化できない職人の勘と経験が、豆の芯までふっくらと火を通します。一日二杯、三杯飲んでも飽きない。そんな日常に溶け込む優しい味は、この手間暇かけたアナログな仕事から生まれています。


味の決め手は、40年前に製造されたドイツ製焙煎機。
手間を惜しまぬ職人の微調整が、洗練された味わいを生み出す。
―このギフトセットを、読者の皆様にはどのように楽しんでいただきたいですか?
前田 「いつものコーヒー」として、毎日の暮らしの中で楽しんでほしいですね。朝の忙しい時間の後、ほっと一息つく30分や、家事の合間のリセットタイムに最適だと思います。4種類のブレンドが入っているため、その日の気分に合わせて選ぶ楽しみもありますよ。例えば、祖母の優しさを感じたい日は華やかな「弁慶」を、力強さを感じたい日はコクのある「冨久」を、といった選び方もおすすめです。
―地元・京都のお客様や、百貨店などからの評価はいかがでしょうか?
前田 地元の常連客の中には、毎日決まった時間に訪れ、決まった席でコーヒーと新聞を楽しむ方が数多くいらっしゃいます。何も言わなくてもいつものメニューが出てくる、そんな関係性を含めて長く愛され続けていることが、品質の何よりの証明だと自負しています。また、その味は厳しい目を持つ京都の地元客だけでなく、大手百貨店からも評価され、全国の物産展などでも人気を博しています。
―最後に、前田珈琲が描く未来のビジョンについてお聞かせください。
前田 私たちは「京都の日常に文化を」というスローガンを掲げ、単なる飲食店を超えた活動を展開しています。京都府庁や二条城、大学内への出店など、歴史的建造物や教育機関との連携を深めているのもその一環です。私自身、年間300日以上外食し、京都中の経営者と親交を深める中で、新しい文化活動やコラボレーションが生まれることもあります。学生や若者が京都の文化に触れるきっかけを作る「サロン」のような場所として、これからも地域と共に歩んでいきたいですね。
―貴重なお話をありがとうございました。

「【ギフト対応可】4種ドリップパック」
価格:¥5,200(税込)
店名:前田珈琲オンラインショップ
電話:075-211-8493(10:00~17:00 土日、祝日を除く)
商品URL:https://shop.maedacoffee.com/?pid=137624246
オンラインショップ:https://shop.maedacoffee.com/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
前田剛(有限会社前田珈琲 代表取締役社長)
1972年京都生まれ。大阪工業大学卒業後、1997年に家業の前田珈琲へ。旧明倫小学校跡地の「明倫店」をはじめ、京都の歴史建築を活かした店づくりを進める。喫茶を通じて人と文化が交わる場を大切にし、茶道や芸術とも深く関わる。現在は京都市内に16店舗を展開し、2023年には京都府庁旧本館にも出店。京都の心を未来へつないでいる。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井 ちあき 画像協力/前田珈琲>




























