末富_top

箱を開けた瞬間、ときめく。京菓子の老舗「末富」が贈る、美しいふやきせんべい「京ふうせん」

2025/12/22

今回、編集長のアッキーが注目したのは、まるで色とりどりの風船が詰まったような、愛らしいお菓子「京ふうせん」。サクッと軽い口当たりのふやきせんべいに、平安時代の雅な美意識が映し出されているようです。その背景には、京菓子の老舗としての伝統を守りながら、新しい風を取り入れ続ける4代目社長のユニークな歩みがありました。取材スタッフが、京都府に本社を構える、株式会社末富の代表取締役社長、山口祥二氏にお話を伺いました。

まずは、御社のこれまでの歩みについてお聞かせください。

山口 私たちは1893年(明治26年)に京都で創業しました。初代は「亀末広」というお菓子屋さんで修業を積んだあと、独立する際に「末富」という名をいただいて創業したと聞いています。創業以来、寺社仏閣や茶道の各御家元の御用達を務めさせていただき、京都の文化とともに歩んできました。

ただ、私たちは伝統を守るだけでなく、革新の精神も代々受け継いでいます。包装紙の鮮やかな「末富ブルー」は、戦後間もない二代目の時代に画家の池田遙邨(いけだようそん)氏と考案したものです。当時はまだ、包装紙にデザイン性が求められていない時代だった上に食べ物屋で「青色」を使うのはタブーとされていました。しかし、時代に対する先進性と、「食を進めない色」をあえて使うという挑戦的な姿勢は、この時代からすでに始まっていたのです。

末富_1
末富_2
末富_3

京都の風情が漂う本店の佇まい。
二代目の時代から続く「末富ブルー」の包装紙は、
今や店の顔となっている。

―ご自身は4代目でいらっしゃいますが、家業に入られるまでの経緯がユニークだと伺いました。

山口 実は私は末富ではなく、西陣の呉服屋の生まれなんです。同志社大学を卒業した後、西武百貨店の本社に7年ほど勤めました。その後、末富の長女と結婚したのを機に、この和菓子の世界に入ったのです。義父である3代目のもとで、職人として朝3時や4時に起きて、あんを炊くところから修業を積みました。

百貨店のご経験が、今のお仕事にも活きているのでしょうか。

山口 そうですね。百貨店での経験もあり、アラン・デュカスやジョエル・ロブションといったフランス料理の巨匠とも交流が生まれました。また、コロナ以前は10年以上にわたり毎年パリを訪れ、和菓子とは異なる「洋」のデザートの表現方法や感性に触れてきました。この「百貨店での流通の視点」と「フランスでの異文化体験」が、今の菓子作りにもつながっていると思います。

今回ご紹介いただく「京ふうせん」は、どのようなお菓子なのでしょうか。

山口 「京ふうせん」は、G7サミットでも提供させていただいた、末富を代表するお菓子の一つです。モチーフは、平安時代の女官装束の「かさねの色目」です。当時の女性たちは、表地と裏地、または重ね着した時の色の組み合わせで季節や美意識を表現していて、いわば当時の「ファッション」とも言える文化ですね。その雅な美意識を、現代の暮らしの中でも楽しんでいただけるお菓子として誕生しました。

末富_4

平安貴族が楽しんだ「かさねの色目」の雅な世界が、箱の中に広がる。

こだわりの製法や素材について教えてください。

山口 「京ふうせん」は、米粉を使った「ふやきせんべい」という、とても軽いお菓子です。原料は非常にシンプルで、厳選した「国産の餅米」だけを使っています。

だからこそ、こだわっているのは、その「焼き加減」なんです。焼きすぎても、もちろん生でもいけない。その絶妙な火加減を、今も職人が「目で確認」しながら、一枚一枚、本当に丁寧に焼き上げています。この繊細な職人技が、口に入れた瞬間のあのサクッとした軽やかな食感と、お米の優しい風味を生み出しているんですね。

そして、平安時代の「かさねの色目」の基本となる赤・白・青・緑・黄の5色を、お砂糖で美しく表現しています。

末富_5

赤・白・青・緑・黄の5色は、お砂糖で表現。
シンプルな原料だからこそ、職人の目と技が光る。

G7サミットでは、どのような形で提供されたのですか?

山口 サミットでは、パートナー(奥様方)へのおもてなしとして提供されました。その際、おせんべいに各国の国旗を印刷してお渡ししたところ、大変喜ばれたと聞いています。国際的な舞台で、こうしたデザイン性も含めて認めていただけたのは光栄なことですね。大切な方への手土産としても、自信を持っておすすめできる一品です。

伝統を守りつつ、新しい挑戦もされていますが、未来へのビジョンをお聞かせください。

山口 一番のテーマは「食べて笑顔になるようなお菓子、楽しいお菓子を作る」ことです。そして、自分が考えたお菓子を、次の世代にも繋げていければと願っています。ユニークかもしれませんが、「マネされるようなお菓子を作りたい」とも思っていますね。多くの人に広まってこそ「本当に良いお菓子」だという、老舗ならではの考えからかもしれません。こうした挑戦の一つとして、近年立ち上げた新ブランドが「SUETOMI AoQ(青久)」です。ここでは、コーヒーと和菓子のペアリングなど、現代のライフスタイルに寄り添う新しい提案を行っています。

末富_6

伝統を守る本流とは別に、革新を担う新ブランド「SUETOMI AoQ(青久)」。
コーヒーとのペアリングや、フィナンシェにあんを乗せて楽しむ
「あんフィナンシェ」など、新しい提案を続ける。

―素晴らしいお話をありがとうございました!

京ふうせん

「京ふうせん」(25枚)
価格:¥1,296(税込)
店名:京菓子司 末富
電話:075-351-0808(9:00~17:00 日・祝日を除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://shop.kyoto-suetomi.com/items/27802777
オンラインショップ:https://shop.kyoto-suetomi.com/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

山口祥二(株式会社末富 代表取締役社長)
1960年京都市生まれ。83年同志社大学卒業。91年より末富に入り父富藏に師事。2009年には、モナコ「ル・ルイ・キャーンズアラン・デュカス」にて晩餐会のデザートを担当。同年より「パリ日本文化会館」にて京菓子の講義とワークショップを行うなど、国内外で京菓子の伝統を広めることに努めている。同志社女子大学・大谷大学非常勤講師。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/末富>

羽田甚商店

注目の連載

注目の連載

Special serialization

羽田美智子さん連載

SNSできになるあのひと

社長インタビュー

連載一覧を見る

OFFICIAL SNS

Instagramでハッシュタグ#お取り寄せ手帖を検索。

  • Instagram
  • Facebook
  • Twitter