
北海道のきびだんご?!屯田兵の携帯食がルーツ。北海道の定番おやつ「きびだんご」
2025/11/26
「きびだんご」と聞くと、多くの人が桃太郎の物語や、一口サイズの丸いお餅を思い浮かべるかもしれません。今回、編集長のアッキーが注目したのは、北海道で70年以上にわたり愛され続ける「きびだんご」です。桃太郎のお話が発祥の岡山のきびだんごとは全く異なり、水飴をベースにした板状の形で、創業時から変わらないレトロな赤い包装紙が目印。 その味わいは素朴で、どこか懐かしさを感じさせます。その背景には、北海道開拓時代の歴史と「助け合い」の精神が込められていました。取材スタッフが、株式会社天狗堂宝船の代表取締役、千葉 仁氏に話を伺いました。

株式会社天狗堂宝船 代表取締役の千葉 仁氏
―御社は1953年(昭和28年)のご創業と伺いました。これまでの歩みや、社名の由来についてお聞かせください。
千葉 創業は1953年(昭和28年)で、今年で72年になります。 当初は私の祖父が「千葉製菓」という名前で創業しました。当時はカステラなどのお菓子を作っていたと聞いています。その後、父が社長を継いだときに「天狗堂宝船」という現在の社名に変更しました。 これは、当時の得意先だった大手菓子問屋の名士の方から命名していただいたもので、「天狗のように鼻高々と誇れるような商品を作れる会社になりなさい」という思いが込められていると聞いています。


函館の地で、70年以上受け継がれる菓子づくりの精神。
―千葉社長は4代目でいらっしゃいますが、どのような経緯で家業を継がれたのでしょうか。
千葉 幼稚園くらいの、本当に幼い頃から「大人になったら天狗堂で働く」とずっと思っていました。そのため他のことをやろうと考えたことはほとんどありません。学校卒業後は、すぐには家業に入らず、得意先でもあったお菓子の問屋さんで4年間修業させてもらいました。 その後、天狗堂に入社し、札幌駐在員として6年間、営業として駆け回っていました。合わせて10年ほど札幌にいたことになりますね。 その後函館の本社に戻ったのですが、実はその時、会社は業績不振にあえいでいました。 だからこそ、外で培った視点を活かして、何か新しいことができないかと思っていましたね。
―看板商品である「きびだんご」は、岡山のものとは全くルーツが異なると伺いました。
千葉 そうですね、北海道の方はほぼ100%、板状のきびだんごを思い浮かべると思います。 岡山の丸いきびだんごとはまったくの別物です。北海道のきびだんごの原型は、北海道開拓時代の「屯田兵の携帯食」にあります。 厳しい環境下で、外での作業中に手が汚れていても「ささっと食べられるようなもの」が必要とされたんです。最も特徴的なのはその名前の由来で、「団子(だんご)」ではなく「団合(だんごう)」が本来の読み方。 「事が【起】きる前に【備】え、【団】結して助け【合】う」という意味を込めた「起備団合(きびだんごう)」が名前の由来です。 開拓時代の厳しい歴史と、助け合いの精神が息づいています。


板状の形が特徴的な北海道のきびだんご。
もっちりとした食感と、ほんのりとした甘さのバランスが絶妙。
桃太郎のお話から生まれたお菓子ではなく、名前からきびだんごになり、それでイメージを桃太郎にしたのです。
―製法についても、守り続けているこだわりを教えていただけますか。
千葉 私たちの「きびだんご」は水飴、砂糖、小麦粉、もち粉、あんなどを原料にした、しっとりとした和菓子です。その製法も独自で、「きびだんご攪拌鍋」という大きな鍋で原材料を丁寧に混ぜ合わせて生地を作ります。 出来上がった生地を板状に伸ばして切り、最後は手作業も交えながら丁寧に包装されます。


大きな鍋でじっくりと練り上げられた生地は、手作業で丁寧に包装されていく。
また、この赤い包装紙のデザインは創業時からほとんど変えていないんです。 乾燥を防ぐための透明ピロー包装は追加しましたが、「このデザインだけは変えない」という意志を持っています。 このパッケージが、北海道で育った人々にとって故郷の懐かしい思い出そのものであり、その風景を守り続けることができたらと思っています。

鮮やかな赤色が目を引く、どこか懐かしさを感じるパッケージ。
この変わらない姿が、長年愛され続ける信頼の証。
―携帯食がルーツとのことですが、現代ではどのように楽しまれていますか。
千葉 もちろん、お子様のおやつや、温かいお茶と楽しむ「お茶請け」として、日常のシーンにぴったりです。加えて、この商品の「日持ち・腹持ちがいい」という特徴は、元々の携帯食というルーツそのものです。 1本130〜150kcal前後ありますから、週末のハイキングや登山の携帯食として、 また忙しい朝のエネルギー補給として、現代のライフスタイルにも活躍します。もしもの時の備えや、ローリングストック(日常備蓄)としても、おいしく頼りになる存在です。
―まさに「備え」のお菓子ですね。お客様からはどのようなお声が届いていますか。
千葉 函館から本州へ引っ越したお客様から、「包み紙を見て、昔を懐かしみました」という心のこもった手紙が届くことがあります。 このエピソードは、この商品が単なる食べ物ではなく、個人の思い出や故郷の風景と強く結びついている証拠だと感じています。世代や場所を超えて愛され続けているのを感じ、嬉しく思いますね。
―伝統の「柱」を大切にしながら、2025年4月には新店舗「109”Ziel(てんぐじーる)」をオープンされるなど、新しい挑戦もなさっていますね。
千葉 はい。70年以上続く「きびだんご」という大きな柱があるおかげで、新しいことにもチャレンジできます。 その一つが、2025年4月12日に七飯町にオープンした新店舗「109”Ziel(てんぐじーる)」です。
店舗名は、天狗堂の「天狗(109)」と、ドイツ語で「目標・目的地」を意味する「ZIEL(ジール)」を組み合わせました。なぜドイツ語かというと、この七飯町が、ドイツ人によって西洋りんごの試験栽培が始められた「西洋林檎栽培発祥の地」という歴史的背景があるからです。
この店は、観光客の方はもちろん、地元の方たちにも普段使いしてもらえる店舗を目指しています。 目標にしているのは、スーパーのような「目的買い」とは違う、宝探しのようなワクワクする体験ができるお店です。
6,000坪の敷地を活用してマルシェやキッチンカーイベントを開催したり、店舗限定の「チョコがけりんご」や地元のりんごを使ったアップルパイを開発したりと、未来の「楽しい体験」を創造していきたいです。



きびだんごはもちろん、七飯町の特産品であるりんごを使用した商品も盛りだくさん、
目指すは「宝探しのような体験」。
―貴重なお話をありがとうございました。

「5本入きびだんご」
価格:¥292(税込)
企業名:株式会社天狗堂宝船
電話:0138-66-3200(9:00~17:00 ※土日、祝日を除く)
商品URL:https://tengudou.co.jp/webshop/5本入きびだんご/
オンラインショップ: https://www.tengudou.co.jp/webshop/category/item/
※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。
<Guest’s profile>
千葉 仁(株式会社天狗堂宝船 代表取締役)
1968年北海道函館市生まれ。1986年に入社し、札幌駐在所開設。道内外の営業活動に注力。その後2000年本社営業部長就任。2002年専務取締役に就任。2009年に同社代表取締役に就任。地場特産品を活かした商品開発にもこれまで注力している。
<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/天狗堂宝船>




























