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深いコクと濃い旨みで「お袋の味」を目指す黒い味噌。信州松本の天然蔵で育む「二年味噌」

2025/11/20

スーパーの味噌売り場で、ひときわ目を引く「赤褐色」の信州味噌を見たことはありますか?
今回、編集長のアッキーが注目したのは、その「二年味噌」です。際立って濃い色合いと、熟成による深いコクと力強い風味が特徴です。信州・長野県松本市で1895年(明治28年)から続く老舗が守り続けるこの味噌が生まれた背景には、「100人中10人に届けばいい」という先代から受け継いだユニークな哲学がありました。こだわりと、4代目の思いについて、株式会社丸正醸造 代表取締役の林信利氏に取材陣が伺いました。

―まずは、御社の歴史について教えていただけますでしょうか。

 創業は1895年(明治28年)、豊富な水に恵まれた信州松本の「出川」という地で、初代・林松太郎が「醤油醸造業」を始めたのが起こりです。

その後、時代は変わり、1967年(昭和42年)に地域で初めて大型スーパーマーケットが誕生したことをきっかけに、3代目である父が「味噌」の本格的な販売へと舵を切りました。

時代の波を捉えて変化をする中で、「醤油(液体)」と「味噌(個体)」の両方を扱える技術と設備を持っていたことが、当社の大きな強みになりました。

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豊富な水に恵まれた信州松本で、丸正醸造の歴史が始まった。

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松本の本店には直営店舗も。
蔵元の商品全てが揃うのは全国でもここだけ。

―林社長は、どのような経緯で4代目を継がれたのでしょうか。

 私は東京農業大学の醸造学科で専門知識を学びました。卒業後は、調味料を百貨店などに卸す東京の商社に就職し、百貨店の味噌売り場も担当していました。そこで、「流行は一瞬で全国に伝わるが、食習慣は15年~20年ほど遅れて地方に移る」という市場感覚を肌で学びました。

東京で5年ほど経験を積んだ頃、3代目である父から、そろそろ戻らないかと声がかかりました。大学から数えて約10年間、外で修業し、専門知識と市場感覚を身につけたタイミングで、1996年(平成8年)に家業に戻りました。

戻ってからは、「丸正醸造は、あくまで地元長野県の人に愛されなければ存在意義はない」ということや、「手作り感を守ること」の大切さを父から学びました。

そして、15年ほど前から、「東京で学んだ未来(=簡便調味料の需要)」と「信州で守るべき伝統(=味噌醤油の技術)」を融合させ、味噌醤油に加えて、その技術を活かしたタレやドレッシングなどの加工調味料事業を新たな柱として展開しています。

―今回ご紹介いただく「二年味噌」は、どのような商品ですか。

 ひと言でいうと、「個性が突出した味噌」です。スーパーの棚に並んでいる他の信州味噌と比べても、「わっ色が濃い!」と驚かれるほど完熟色が特徴です。

この味噌の原点には、3代目である父の「100人中100人がおいしいと思うものは作るな。100人中10人でもいいから、その10人が賛同してくれるものづくりをしろ」という教えがあります。

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自然の力と長い時間をかけて育まれた二年味噌。

―「100人中10人」とは、とてもユニークな哲学ですね。

 先代はよく「家のカレーが一番おいしい」という例え話をしていました。万人に受ける平均的な味ではなく、「この味じゃないとダメだ」と言ってくれる熱狂的なファン(=お袋の味)を作れ、ということです。

この「二年味噌」は、まさに流行に左右されない、当社にとっての「お袋の味」のような、替えの効かない存在の象徴なのです。

―その独特の味わいは、どのようにして生まれるのでしょうか。

 一番のこだわりは、製法と熟成期間にあります。私たちは「古式製法」を守り、機械による温度管理に頼るのではなく、天然蔵に棲みついている微生物や乳酸菌といった「自然の力」を借りて、じっくりと発酵させます。そして何より、丸2年という時間をかけることです。なぜ2年かというと、日本の暑い夏を2回越させるためです。味噌は、夏を越すたびに熟成が進みます。時間をかけて暑い夏を2回越させることで、塩が味噌全体にゆっくりと行き渡り、味と香りが深く、深く熟していくのです。

この自然の営みと長い時間が、人工的には生み出せない「ほのかな酸味」と、角の取れた「深いコク」、そして豊かな「旨味」を醸し出してくれます。もちろん、その土台となる原料も厳選しています。大豆と米は、信州産の上質なものを中心に国産100%。塩は徳島県鳴門産を、そして水は「味噌造りに最も適した」と言われる奈良井川水系の地下水を汲み上げて使用しています。信州の風土と選び抜かれた素材、そして2回の夏という時間が、この味噌の複雑な風味を完成させるのです。

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天然蔵で微生物の力を借り、時間をかけて発酵・熟成される。

―これだけ個性がある味噌だと、家庭でどう使えばいいか迷うかもしれません。

 一見そう思われるかもしれませんが、答えは「定番の和食」にこそあります。

「さばの味噌煮」や「茄子の味噌炒め(おてっか)」といった、しっかりとした味付けが求められる料理にもぴったりです。2年間熟成させた深いコクと力強い風味が、青魚の臭みを消したり、油を使った炒め物にも負けずに味をまとめたりと、料理の味を一段階引き上げてくれます。もちろん、毎日の味噌汁で、その深い味わいを感じていただくのがおすすめです。

―お客様からはどのような声が届いていますか。

 特徴ある個性のから、百貨店や関東で人気のスーパーのバイヤーさんからも「他にないユニークな商品だ」と言われることがあります。うちの二年味噌は、「これがなくなったら代わりになるものはない」と思っていただける、唯一無二の味。だからこそ、わざわざこの商品目当てで買いに来てくださる熱心なリピーターの方がいるのです。

まさに、先代の言っていた「100人の中の10人」に深く愛されていることが、市場で証明されているのだと感じ、うれしく思います。

―今後の展望についてお聞かせください。

 私は必要以上に会社の規模を大きくしない、と公言しています。なぜなら、これ以上規模を大きくして量産体制になると、先代から受け継いだ「手作り感」や「作り手の思いが伝わるものづくり」、「どこか懐かしい味」が失われてしまうと考えるからです。効率や規模を追い求めるのではなく、「台所の延長線上にあるものづくり」を守り続けること。そして、「郷土の食文化を守り育む」という方針のもと、地元・長野県で愛され続けることが私たちのベストだと考えています。その誠実な覚悟が、この「二年味噌」の変わらない味を支えているのだと信じています。

―伝統を守りつつ、時代の変化にも柔軟に対応されている姿勢に感銘を受けました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

二年味噌

「二年味噌」(1kg袋、750gカップ、500gカップ、300gカップなど)
価格:1kg ¥960(税込)
店名:丸正醸造オンラインショップ
電話:0263-26-1647(9:00~17:00 土日祝日除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://mi-so.com/shop/products/list.php?category_id=2
オンラインショップ:https://mi-so.com/shop/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

林信利(株式会社丸正醸造 代表取締役)
4代目。東京農業大学醸造学科を卒業後、こだわりの調味料を扱う商社に就職し、百貨店で市場感覚を学ぶ。3代目からの声かけと、自身も10年の修業の節目と感じたことをきっかけに、1996年(平成8年)に丸正醸造に入社。2012年(平成24年)に4代目社長に就任。先代から受け継いだ「手作り感」と「郷土の食文化を守る」という理念を胸に、伝統の味噌醤油を守りつつ、その技術を活かした加工調味料分野を新たな柱として確立させた。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/丸正醸造>

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