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お米を2割まで磨き上げ、日本一に輝いた「極聖(きわみひじり) 純米大吟醸 天下至聖」

2025/10/29

今回、編集長のアッキーが注目したのは、日本最大級の日本酒品評会「SAKE COMPETITION 2025」で日本一の栄冠に輝いた特別な一本です。それは、お米を2割まで磨き上げて造られる究極の日本酒、「極聖(きわみひじり) 純米大吟醸 天下至聖」。この奇跡の日本酒を生み出したのは、岡山の地で110年の歴史を刻む宮下酒造株式会社。その栄誉の裏に隠された、作り手の「限りなき挑戦」の物語と、究極の味わいの秘密について、5代目社長である宮下晃一氏に取材陣が伺いました。

宮下酒造株式会社 代表取締役社長の宮下晃一氏

宮下酒造株式会社 代表取締役の宮下晃一氏

―まず、宮下酒造の歴史についてお聞かせください。

宮下 弊社は1915年、私の曾祖父にあたる宮下亀造と弟の元三郎が、岡山県玉野市で日本酒造りを始めたのが起源です。以来、戦争中も休むことなく、今年で110回目の酒造りを迎えました。創業から続く品質へのこだわりは、60年ほど前に行った大きな決断にも表れています。「酒造りの命」である、よりいい水を求め、現在の岡山市中区西川原へと蔵を移転したのです。この地で、名水百選に選ばれた「雄町(おまち)の冷泉」とほぼ同じ水質の、清らかな地下水を得ることができました。創業者の思いを受け継ぎ、品質に一切妥協しないという姿勢が、今日の酒造りの礎となっています。

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伝統と歴史を守ってきた宮下酒造。
現在は、総合酒類メーカーとして日本のみならず世界にも進出している。

―社長ご自身は、どのような経緯で5代目を継がれることになったのでしょうか。

宮下 幼い頃から家業を継ぐことを強く意識していたわけではありませんでしたが、父の勧めもあって広島の大学で発酵工学を学ぶことにしたのです。「酒蔵をやるなら、酒造りを分かっていないといけない」という思いからでした。大学院時代には、日本で唯一の国立研究機関である酒類総合研究所で学び、最先端の知識や技術に触れる機会を得ました。そこで得た人との繋がりも、今の私にとって大きな財産です。

2002年に蔵へ戻り、現場で20年以上経験を積んだ後、2024年、社長に就任しました。伝統的な職人の技や感覚はもちろん大切です。そこに科学的な知見を掛け合わせることで、宮下酒造ならではの唯一無二の酒を生み出せると信じています。

―「極聖(きわみひじり) 純米大吟醸 天下至聖」は、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか。

宮下 このお酒は、創業100周年を記念して新たな挑戦をしたいということで開発を始めました。「最高の日本酒を造る」という理想を掲げ、10年前に開発した一本です。「天下至聖(てんかのしせい)」という名前は、孔子の孫の子思の作といわれる『中庸』の中の「唯天下の至聖のみ、能く聰明睿知にして・・・」(第三十一章)という言葉に由来します。「天下至聖」とは最高の徳性をそなえた聖人という意味で、中国では聖人は時に清酒のことを指します。そこから、「天下至聖」に天にも並ぶ最高の清酒という意味を汲み取り名づけました。

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―「天下至聖」という名にふさわしいお酒造りには、大変なご苦労があったのではないでしょうか。こだわりのポイントとあわせてお聞かせください。

宮下 はい。最大のこだわりは、「精米歩合20%」という前例のない挑戦にあります。例えば、いいお酒の基準とされる純米吟醸酒は精米歩合が60%以下、最高級といわれる純米大吟醸酒でも50%以下です。私たちはその基準をはるかに超え、お米の表面を8割も贅沢に削ります。中心にある最もピュアな部分、わずか2割の「心白」だけでお酒を造っているのです。だからこそ、雑味が一切なく、驚くほど滑らかで澄んだ味わいが生まれます。

しかし、この挑戦はきわめて困難なものでした。当時はまだ高精白の技術が確立されておらず、お米が小さくなると麹造りも非常に難しくなります。洗う際には網の目からこぼれ落ちてしまうため、網を小さく改良するところから始めました。温度や湿度を徹底的に管理しながら、まさに試行錯誤の連続でしたね。

原料にも徹底的にこだわり、お米は”幻の酒米”と呼ばれる岡山県産の「雄町米」を100%使用しています。仕込み水は名水「雄町の冷泉」と同じ水質の清らかな地下100mの伏流水です。この10年間の蔵人たちの努力が実を結び、SAKE COMPETITIONで「日本一」という評価をいただいたときは、本当に嬉しく、これまでの苦労が報われた瞬間でした。

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「雄町米」の玄米と精米歩合20%の比較。
米の中心に近い「心白」という部分を贅沢に使用している。

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製造の過程でも試行錯誤を重ねた。
蔵人たちの努力が実を結んだ日本酒。

―SAKE COMPETITION2025での第1位獲得、本当におめでとうございます。審査ではどのような点が評価されたのでしょうか。

宮下 ありがとうございます。直接審査員の方からコメントを伺ったわけではありません。しかし、お酒の香り、そして味わいのバランスが非常によくまとまっていた点ではないかと考えています。

特に、高精白によって実現できた雑味のなさと、絹のような滑らかさ。これが他の銘柄にはない特徴として評価していただけたのかもしれません。1,000点を超える出品酒の中から、数多くの銘酒を知るプロ中のプロたちが選んだ最高峰の一本。その確かな品質は、大切な方への贈り物としても、この上ない安心感と満足感をもたらしてくれるはずです。

―おすすめの飲み方や、どのようなシーンで味わってほしいですか。

宮下 ぜひ、ワイングラスでその華やかな香りをじっくりと楽しんでいただきたいですね。味わいは非常にクリーンで、スッと体に入っていくような飲みやすさが特徴です。日本酒に少し抵抗があるという方からも「これならおいしく飲める」と言っていただけることが多いんですよ。

頑張った自分へのご褒美として、静かな夜に一人でじっくりと向き合うのにもいいですし、大切な人の誕生日や記念日など、お祝いの席を華やかに彩る乾杯酒としてもぴったりです。この一杯が、日常を少しだけ「特別な日」に変えるきっかけになれたら嬉しいですね。

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―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

宮下 私たちは社是に「限りなき挑戦」を、そして理念として「クラフト酒文化の創造と普及」を掲げています。これは、単にお酒を造って売るのではなく、地元の産物を使った手作りで「本物」のお酒を通じて、その背景にある文化や豊かな時間そのものを届けたいという思いの表れです。そのため、日本酒の技術を応用しながら、地ビール「独歩」やウイスキー、ジンといった多様な酒造りにも挑戦しています。これからも、話題性のある新しい商品を開発し続け、皆様の暮らしを豊かにする一杯をお届けできるよう、努力を続けてまいります。私たちの挑戦に、ぜひ注目していてください。

―作り手の情熱と挑戦の物語が詰まった一杯、その味わいがますます楽しみになりました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

極聖 純米大吟醸 天下至聖(720ml)

「極聖 純米大吟醸 天下至聖」(720ml)
価格:¥16,500(税込)
店名:宮下酒造株式会社
電話:086-272-5594(9:00~17:00 ※土日・祝日は除く)
定休日:インターネットでのご注文は24時間365日受付
商品URL:https://www.msb.co.jp/ptag/tenkanoshisei/
オンラインショップ:https://www.msb.co.jp/

※紹介した商品・店舗情報はすべて、WEB掲載時の情報です。
変更もしくは販売が終了していることもあります。

<Guest’s profile>

宮下晃一(宮下酒造株式会社 代表取締役)
1977年岡山県生まれ。広島大学大学院修了後、宮下酒造に入社。2024年に同社代表取締役に就任。全国地ビール醸造者協議会の副会長として、クラフトビールの普及活動にも努める。

<文/お取り寄せ手帖編集部 MC/藤井ちあき 画像協力/宮下酒造>

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